しかし、この事態は想定外であるらしい。
何故、バーサーカーがこんなとこにいるのだろう。
アーチャーは目を点にして、バーサーカーを見上げていた。
「…どうしてバーサーカーがこんなとこに…出場所を間違えたか?」
アーチャーのその一言で、銀髪の小さな少女は、彼らを見た。
「なに、貴方?…って、シロウ?」
あ、やべっ。と、霊体化して逃げよう試みたが、なぜか霊体化出来なくなっていた。
凛に聞いてみると…
「アーチャー、一人で逃げる気かしら?」
少し黒い笑顔で微笑んだ。
はいはい、分かったよ。と言わんばかりな顔をして、彼女の死角で苦笑いした。
「はあ…全く、本当に世話がやけるよ。」
構造を読み取り、投影を準備。
彼の瞳から虹彩は消え、彼の頭に言葉が浮かび上がった。
そして、その時のみ、凛との契約は繋がっていなかった。
「––––––投影、開始 」
その頭に浮かび上がった投影は、彼以外の誰にも使えない。
あり得ない力を持つ投影。
「––––––投影、装填 」
彼は、一時的に自らの力を、自らの手で解放させ
「 全工程投影完了–––––––是、射殺す百頭」
人間ではなし得ないはずの技を、その場に居た者全員に魅せた。
「…む?」
どうやら彼は投影中、思考回路が停止していたようだ。
凛とバーサーカーのマスターであろう少女は困惑し、バーサーカーは少女の命令を待っていた。
「■■■■■■■■■■■■ッ!!」
バーサーカーが唸った。その右手には、アーチャーと全く同じ剣が握られていた。
アーチャーは納得したかのように頷き、一息ついてから第一声。
「ふむ。」
続いて第二声。
「生前の頃の投影技術の解放か。」
「ねえ、アーチャー?今、バーサーカーの武器を投影した?」
凛は、何故だか不安そうな顔をしている。
心配させたか?と、気が安らぐように凛を撫で、発した。
「大丈夫だよ、遠坂。魔力なら、問題ないさ。」
笑顔で答えた。
しかし、凛からは一言で返されてしまった。
「馬鹿じゃないの?」
凛はアーチャーの頭を叩いた。
「痛いな、凛。」
しかし、アーチャーはとても笑顔である。
生前を思い出したのかは未だにわからないが、彼はこの対応を知っていたのだろう。
「アーチャー!あんたねぇ!あの宝具並みの剣を簡単に投影しておいて!魔力消費無しで済むと思ってるの!?」
アーチャーはとりあえず、剣を持っていないもう片方の手で凛の頭を撫でた。
そして、額を叩いた。
「痛ぁ!?」
凛は額を押さえ、宝石を出した。
危ないぞ、と凛の頭を叩いた。
そして、アーチャーは凛の宝石を奪い、自分の服のポケットにしまった。
「君の魔術の方が消費は激しいはずだ。さて…時間を掛けずに、一瞬でケリを着けることにするか。––––––では、参る。」
投影した射殺す百頭を天高く掲げ、バーサーカーの近くへと駆けだした。
バーサーカーもアーチャーと同じく、長引く勝負はしたくないのかは分からないが、真名を解放し、カウンターの準備をしていた。
「–––––––やっちゃえ、バーサーカー」
彼女の指示で、バーサーカーはアーチャーに対して威圧し、その大きくも鋭い剣の宝具でアーチャーの頭上めがけ振り下ろした。
彼は投影した贋作の射殺す百頭で本家射殺す百頭をいなし、バーサーカーの腹部に斬りかかった。
「■■■■■■■■■■■!!」
バーサーカーも、何が起こったのか分からない、一瞬の攻防。バーサーカーは、体制を整える為に一歩下がり、マスターの彼女の指示を待った。
「どうやら、贋作の方が「強い」事に困惑しているようだな。まあ、無理もない。」
片目を瞑り、挑発するかのように発言した。
「––––––––––私は君の数倍の技量と素早さを兼ね備えているのだからな。」
もはや、現在の彼には敵無し。先ほどの彼とは違う、見違う程の魔力、あり得ない程の投影技術、忍であったかのような素早い周囲への意識、対応力を持っていた。
「…いける、これなら聖杯も…!」
凛がアーチャーの真の力を見て、片手を握りしめ、ガッツポーズをした。
「くっ…凛のサーヴァントの癖に、中々やるじゃない…。一旦引くわよ、バーサーカー!」
彼女はバーサーカーの肩に乗り、バーサーカーを走らせた。その逃げ様は、まるでアニメの悪役の如く、疾風の様に駆けて行った。
「…全く、くだらない戦闘だった。–––––バーサーカーもやはりあの程度か。」
アーチャーは、彼らの技力を知っていたかの様に呟いた。
此れが、彼が聖杯戦争のイレギュラーである『証拠』なのだろうか–––––
そこに駆けて来る1人の青年と、フードに包まれた少女。
「あら、衛宮君…貴方の隣の人物は…誰かしら?」
凛は宝石を装備して、士郎の隣の少女の目の前に突きつけた。
「遠坂こそ…お前の隣の『俺』は誰なんだ?」
士郎も痛いアニメポスターを強化して、アーチャーの目の前に突きつけた。
「やめてください、シロウ。確かに私にも分からない人物ですが、無闇に攻撃すると痛い目を見ます。」
「ああ、痛い目に遭いたくなければ、戦闘は止めた方がいい。」
少女とアーチャーの息が合った。
アーチャーは少女を見ながら、一言呟いた。
「–––––––セイバーのサーヴァントか。」
少女は降参した人の様に目を閉じ、アーチャーを睨んだ。
「–––––––ええ、私はセイバー。貴様は何者だ。我がマスター、シロウの真似事などして愉しいか。」
アーチャーは、好きでやっていると思うか?と、セイバーを睨みつけた。
「…今日は冷戦、でいいよな。」
士郎は凛に問いかけた。
凛は納得しながら、提案をした。
「明日からは敵同士よ?」
当たり前の事だが、聖杯戦争に参加した以上、「殺しあう」という現実からは逃がれられない。
理想や悲願を望む彼らの、熾烈な争いは、今此処から始まる。
–––––––––聖杯戦争、開始。
ぐだぐだ回が続いたりします。
なんだか本当にすいません。