百夜茜は生き残る   作:さんの羊

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…ほんと今日は頑張ります。


百夜茜は前に進む

 

 

「実は…」

 

私は静かに日向さんに悩みを打ち明けた。

 

「ふむ、なるほど…つまりはこのまま生徒会長を続けるか元の世界へ帰って復讐をはかるかを悩んでいる訳ですね。」

 

「は、はい。」

 

「じゃあ、まずあなたは実際どうしたいんですか?」

 

「それは…」

 

わからない。

 

「わからない…ですか…自分が本当に行くべき道がどちらなのか…」

 

「そう、ですね。」

 

日向さんが私を見下ろして笑う。

 

「あなたは他の生徒会役員を心配しているんでしょう?…今ここで生徒会長のあなたが抜ければ確実に対応はできなくなるでしょうね。」

 

「それは…!」

 

「今年の生徒会役員は例年に比べて少し力が劣っている。それに、あなたは生徒会長という座に一度はついてしまった責任がある。それはわかってますよね?」

 

「は、はい…。」

 

日向さんに言われて愕然とした。

責任もあるのにそれを放り出すなんて無責任すぎる。

 

「…しかし、それでも譲れない物はあります。…かつての僕がそうだったように。」

 

「日向さん…?」

 

「あなたは随分と立派になった。復讐の為に、あなたはなりふりかまわず強さを求め、成長し結果、ある程度力を持った人間になった。」

 

「…!!!」

 

「もう一度問いましょう、あなたはどうしたいんですか?あなたが強くなった理由は…なんですか?」

 

「私の…強くなった理由は…!!」

 

 

 

 

…どうして、忘れていられたのだろう。

 

あんなにも苦しい思いをしたのに。

 

あんなにも憎しみが胸の中を渦巻いていたのに。

 

あんな後悔が、悲しみが、無力さが一瞬でも忘れられたのが信じられない。

 

自分が強くなった本当の理由。

 

それは…

 

「吸血鬼に…復讐するためです!!」

 

私の胸に強く強くその想いがよみがえる。

 

「そうですか…それならば…百夜茜さん、あなたは自分の道を進むべきです。」

 

「日向さん…!!」

 

「後の事は任せなさい。君が選んだ道なら、僕は文句など言いません。」

 

「は、はい…!!」

 

心にあたたかいものが込み上げる。

 

私は認められたんだ。

 

後は、自分の道を進むだけだ。

 

私は前に…進むと決めた。

 

「月光さん。私は元の世界へ帰って、本来の目的を果たしに行きます!」

 

月光さんに私は強く宣言する。

 

「ふむ、やっとか」

 

「へ…?」

 

月光さんは私がいつか元の世界に帰るのをわかっていたらしい。

 

「俺は、お前が初めて強くなると俺に決意した時、あの憎しみに染まった目を見たとき、自分に重ねたんだ。」

 

「へ…?」

 

「俺がまだガキだった頃、目の前で俺は弟の日向に両親を殺された。」

 

「へっ!?」

 

あの…日向さんが…!?

 

「俺はそれから死に怯えながら復讐だけを考えてお前と同じように強さを求めて生きた。」

 

「月光さん…」

 

「あの頃の俺に…お前はよくにていた。だからこそ、俺は自分とお前を重ねて…助けようと思ったんだ。…まぁ、日向も…予言に怯え俺を助けようとして…絶望してああなってしまったと後から知ったがな。」

 

月光さんはフッと笑い、昔の事のように思い出す。

 

「お前の道は、お前が決めるべきだ、茜。」

 

「…っ!!はい!!!」

 

月光さんが、私の事をそんなふうに思っていたなんて知らなかった。思わず涙が溢れた。

 

 

 

 

それから翌日、私は元の世界へ帰る準備を済ませた。

 

他の…今までいろいろサポートしてくれていた生徒会役員達に私は心の中で謝る。

 

(ごめんね、みんな。私は行かなきゃ)

 

私は、生徒会室に道程を開く。

 

 

 

「…いくのか。」

 

「…っ!げっ月光さん!!」

 

いつの間にか月光さんが、見送りに来ていた。

 

「月光さん…今まで、本当にありがとうございましたっ!!」

 

「ああ、行ってこい。お前の…野望を果たせ。」

 

「はいっ!!いってきます!!」

 

私は、ついに、元の世界へと飛び込んだ。

 

あの、世界が崩壊し、吸血鬼がはびこる絶望に溢れる世界へ。

 

(…まってて、みんな…!!)

 






やっとここまで来た…
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