百夜茜は生き残る   作:さんの羊

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…こんなのがランキングに入ってるとか何かの間違いじゃ…?なんか凄いな、いろんな意味で。


百夜茜は組織を嫌う

私のところに、ある一通の手紙が届いた。

 

「日本帝鬼軍…?」

 

…どうやらあの日本帝鬼軍から直々のお呼びだしらしい。

 

「大方…尋問でもされるのかな…。」

 

私は手紙に従い素直に行く事にした。

 

 

 

 

 

「ここか…はは、立派な建物だなぁ…。」

 

私は建物を見上げてその立派さに吐き気を覚えた。

 

(そりゃこんな大きなな建物ならさぞかし沢山のお偉いさんが上でふんぞり返っているだろうよ…)

 

そう思っていたその時、突然後ろから声がかかった。

 

「あれ?茜!?」

 

「えっ!?ゆ、優ちゃん!!」

 

何故かそこには優ちゃんも来ていた。

 

「どうして優ちゃんが…?」

 

「どうしたもこうしたもねぇよ!!茜!!俺が目覚めたときからなんにも聞いてねぇんだけど!?つか何でお前もここに…!!」

 

実は優ちゃんが目覚めてから、私は一度だけまたお見舞いに行った。

その時は再会を喜んだだけで詳しくわたしの事を説明していなかったのだ。

 

「えっと…とりあえず事情は後で説明するから…!…えっと、私がここにいるのは呼び出されたからだよ。もしかして優ちゃんも…?」

 

「お、おう。」

 

「そっか、じゃあとりあえず一緒に行こうか。」

 

私は優ちゃんと目的の部屋へと歩き出した。

 

 

「…ん?」

 

部屋の前まで行くと、既に誰かがいた。

 

(確か…三宮三葉さんだったっけ…?)

 

「茜、俺ちょっと三葉と話してから行くから先に行っててくれ。」

 

「ん?うん。わかった。」

 

優ちゃんは私に先に行くように言い、私は一足はやく呼ばれた部屋に入る事にした。

 

「失礼しまーす…。」

 

ノックをして部屋に入ると、部屋の奥には三人の軍服を着た偉そうな帝鬼軍らしき人がいた。

 

「お前が、百夜茜か?」

 

一際威圧感を放つ真ん中の男が言った。

 

「そうですけど…あなたは誰ですか…?」

 

「日本帝鬼軍中将、柊暮人だ。」

 

「はあ、…。」

 

「とりあえず、今回はお前が知っている限りの事を一通り全て話してもらう。」

 

「…わかりました。」

 

かなりの上から目線の物言いだった。

どうやら三人の中でも制服や態度からして一番偉い人のようだ。

 

「ふん…一般人の女にしては…ずいぶんと肝が座っているな。」

 

「…そうですか」

 

…当たり前だ。私がこれまでどんな人や化け物と戦ってきたと思ってるんだ。少なくとも…ただの人間には負けるつもりはない。

 

「ではまず聞く。…お前は人間か?」

 

「…人間ですけど…。」

 

警戒しながらも私はそう男に答える。

 

「そうかそうか…お前は人間か…。ヨハネの四騎手に乗り、戦場に突っ込んだお前が…ただの人間だと…そう言いたい訳か…。」

 

( わ す れ て た ! ! )

 

…とたんに今までやった事の数々が思い浮かび冷や汗が流れる。

 

「ええ、まぁ…。」

 

…男は私を見て少し笑った。

 

「ふっ…面白い。」

 

暮人とか言う人は、そう言うと腰から剣を抜いた。

そしてそのまま何も言わず私に切りつけて来たので、私も持っていた剣で咄嗟に受け止めた。

 

「ほう…やるな。俺の攻撃を受けとめる事ができるただの一般人…ますます面白い。」

 

「そうですか…。」

(これってもしかしてやばいかも…?)

 

「憑依しろ、雷鳴鬼」

 

男ははどうやら力を解放したようだ。

 

「ッ!!」

 

雷が纏った剣が私を襲う。

だが全然怖くなかった。

 

(雷…ね、)

 

「えーと…暮人さん…だっけ?あなたの雷って…この程度、ですか…?」

 

純粋に、疑問を持って私は問う。

 

「ほう…俺の雷鳴鬼が弱いと言っているのか…?」

 

「…弱いというか…まぁこの程度なのか、と」

 

「…そうか…ならばお前の力を見せてみろ、百夜茜。」

 

ほんのすこし、ほんのすこしだけ、彼の顔が歪んだ。

 

「……我が身を纏え、雷。」

 

私は膨大な量の雷を纏った。

 

そして、ただ剣を握った右手を軽く振りかざす。

 

それだけで雷が地面をえぐり、彼に雷が向かって行く。

 

「ッ!!!」

 

彼はギリギリのところで、私が放った雷を避ける。

 

「…お前…なんだ?この力は…鬼呪ではないな…?」

 

「…教えるわけないじゃないですか。ましてや、危険な人体実験を繰り返している胡散臭い組織の人間なんかに…」

 

「ほう…?そんな事まで知っているのか…面白い。…それにこの力、ますますただの一般人だとは思えんな。」

 

「情報なんて…少し考えて探ればいくらでも出てきます。…そして、私はこれからもただの一般人として勝手に行動させてもらいます。」

 

「ふっ…ただの一般人にしておくにはおしい人材だな…どうだ?帝鬼軍に入って俺の下につく気はないか…?」

 

「お断りですね。私にそんな気はありません。」

 

この男の下につくなんてまっぴらごめんだ。

 

「そうか…まぁいい。これで尋問は終わりだ。帰ってもいいぞ。」

 

「え…?」

 

…いろいろ覚悟して来たがあっさりと返されることになった。拍子抜けだな。

 

「話されなくとも大体わかった。もういい。…だがもしも気が向いたら帝鬼軍に来い。いつでも歓迎しよう。」

 

「…それでは失礼します。」

 

私は部屋の外に出て、一安心。

 

「あー…疲れた…。堅っ苦しい所からさっさと帰ろ…」

 

今日は一日で大分濃い一日を送った。

 

「まためんどくさい組織に目をつけられたなぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…百夜茜をそのままにしておいてもよろしいのですか?暮人様。」

 

「…いい。それにいずれ嫌でもこちらに協力してもらう時が来るだろう。…その時は葵、お前に任せる。」

 

「……わかりました。」

 




頑張った。…これからはもっと頑張ろうかな…。

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