翌日
午前10時過ぎ。
コンコンッ
提督「どうぞ」
「「「失礼します!」」」
提督「ああ、皆さん早かったですね」
そこには旧横須賀鎮守府の艦娘が集められていた。
長門「で、話とはなんだ?」
提督「…。旧横須賀鎮守府所属の全艦に連絡します!」
全員が息を飲む。
その時の提督の表情はまるで読めず、帽子の陰に隠れていた。
提督「本日付で佐世保鎮守府でも任を解き、新!横須賀鎮守府への異動をめいじます!」
全員が一瞬のうちにして沈黙した。
そして…
暁「う、うそよね!?そんなの!」
提督「っ!事実です…」
雷「そんな…!やっと…また会えたのに…!」
提督「申し訳ありません…突然本部から連絡が入ったものですから、僕としても驚いています」
響「電、大丈夫かい?司令官、また、会えるかい?」
電「ひぐっ…!うぅっ!」
正直なやんだ。
政府に喧嘩を売る以上命の保証はない。
かといってそんなことをみんなに言って心配をかけたくない。
提督「はい!きっと!必ず!」
響「…信じるよ。司令官」
加賀「提督…。いえ、何もありません」
とは言うものの恐らく加賀は提督の嘘を見抜いているのだろう。
さすがは一航戦といったところ。
赤城「これからも、提督をお待ちして、横須賀で目一杯頑張ります。だから…提督もご無理をなさらないように」
提督「感謝します」
陸奥「長門…ごめんなさい提督。私達先に行くわ」
提督「あ、はい。お願いします」
それに続くように赤城、加賀、響、電、雷、暁達が部屋を後にし、部屋には鳳翔と提督が残った。
提督「鳳翔さん…」
鳳翔「提督…失礼します」ギュッ
突然鳳翔の暖かく、ぬくもりのある体に抱きしめられる。
提督「ふぇ?鳳翔さん?」
鳳翔「提督…どうか、どうかご無事で…!」
その時、抱きしめられた衝撃で帽子の脱げた頭に冷たい雫が落ちてくる感覚がした。
提督「鳳翔さん…!僕…僕ね…」
普段涙を見せず、甘えもしない提督が初めて、子供のように話し、鳳翔の服を強く握りしめる。
鳳翔「どうしま…どうしたの?」
何かに勘付いたように、母のように声をかける。
提督「怖い…怖いよ…。僕、死ぬかもしれない…!でも、死にたくないよ…っ!」
鳳翔「大丈夫、翔くんなら、どんな奴が相手でも、どんな高い壁でも、きっと超えられる。だから自分を信じて?」
提督「うっ…!うわぁぁん!」
鳳翔「よし、よし」
鳳翔も実は知っていた。
あの日、偶然にも部屋の前を通っていた。
そしてそのとき、提督が政府に仕掛けることを知ったのだった。
あえて提督の気遣いに気付き、何も言わずにいた。
だが、無意識のうちに鳳翔の母性は提督を気遣い、優しく包み込んでいた。
それから数十分程泣き続け、鳳翔にも別れを告げ、艦娘達は横須賀へと進路をとった。