あれからなんとか起き上がることができ、居間?のような場所に来た。
翔「大きいお家だね」
皐月「ふふっ。田舎はどこもこんなくらいなのよ?」
言葉を失った。
こんな大きい家が常識なのかと。
改めて田舎の凄さを思い知る。
そんな時ふと背中に視線を感じた。
ふと振り向くと、5歳くらいの女の子と、7歳手前の女の子がいた。
翔「さつきさ…お母さん、後ろに…あの」
皐月「ん?ああ、あの子達がうちの子よ♪左の子が長女の悠美、右の子が次女の奈々美、ほら、2人とも挨拶は?」
悠美「こんにちは!」
奈々美「こ、こんにちは…」
翔「初めまして。今日からここでお世話になります」ぺこり
皐月「あら?やっぱりあなた綺麗な礼儀作法をするわね?元々どこかのお坊ちゃんとかだったりしない?」
翔「んー…わからない」
奈々美「えっと…何歳なの?」
翔「僕は…ごめん…わからないんだ」
悠美「どうして?」
皐月「お兄ちゃんね、今記憶無いんだって、でもね、きっとあなた達よりは年上だからちゃんとお兄ちゃんって呼ぶのよ?」
「「はぁい!」」
率直に感心した。素直で、聞き分けの良い子だと。
そんなとき後ろから太い声が聞こえる。
???「おや?もう大丈夫なのか?」
翔「ひゃわ!」
ビックリして、跳ね上がって振り返る。
皐月「もう!あなた、ビックリしてるじゃないの!ごめんね?」
翔「い、いえ…」
皐月「この人は小早川拓海。私の夫にして、うちの大黒柱!」
拓海「よせよ。恥ずかしい」
翔「夫…。ということはあなたが僕を?」
拓海「ああ。酷い傷だったがもう動いてへい」
翔「ありがとうございました!なんとお礼を言っていいのか…」
あまりの素直さと、素早さに驚いてしまう。
拓海「あ、いや!そんなお礼なんていらないよ。しかし小さいのに礼儀作法がきっちりできてる!いい子だな!」ナデナデ
ゴツゴツした手が頭を撫でてくる。
少し痛いが、どこか暖かい。
翔「お父さん…」
拓海「え?」
翔「あ、ご、ごめんなさい!つ、つい!」
拓海「いや!お父さんで構わんさ!これからここに住むんだってな!なにかと不便かと思うが、よろしくな!」
翔「あ、はい!」ニコッ
しかし、次の一歩を踏む途端にふらつく。
拓海「おっと!大丈夫か?」
翔「ご、ごめんなさい。まだ足に力が入りにくくて…」
拓海「今日は目覚めて間がないんだ。仕方ないさ。今日はゆっくり休んでな」ニコッ
翔「うん!」
その後フラつきながらもなんとか縁側に辿り着き、海を景色に腰掛ける。
翔「ふぅ…」
悠美という女の子は父親とともに出かけて行ったのだが、奈々美の方はどうやら内気な子の様で、しかしどこか自分に懐いている様で時々視線を感じる。
奈々美「えっと…あの、お兄ちゃん」
翔「ん?」
奈々美「お兄ちゃんって、お勉強とかしてたの?」
翔「ごめんね、ほんとにそれすらわからなくて」
奈々美「ううん!あのね、ここ教えて欲しいなって」
ふと問題を見ると単純な足し算だった。
翔「…解けるね。良いよ、教えたげる」
奈々美「ほんと!?やった!」