希望を失った提督と艦娘   作:大石蔵良 ショタ 提督

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第3話 記憶の破片

勉強を教え始めて2時間弱

 

翔「偉いね、ちゃんとできてる」ナデナデ

 

奈々美「えへへ♪」

 

翔「どこかで…同じ様なことがあったような…」ボソッ

 

1人でポツリと呟く。

 

奈々美「お兄ちゃん?」

 

翔「あ、ごめんごめん。なんでもないよ」ニコッ

 

そんな何気ないひと時が過ぎようとした時。

 

悠美「おにいいぃちゃぁぁぁん!」ムギューッ

 

翔「っととと。どうしたの?」

 

悠美「見て見て!」

 

そう言うとさっと何かを見せてくる。

 

翔「珍しいね!オオクワガタだ!」

 

悠美「でしょ!さっきそこに止まってたの!」

 

不思議な感覚だった。

勉学、虫好き、全てが体に染み付いたものであり、自覚なくともそういった単純なことだけは本能として残っていた。

 

翔「ん?」

 

なにか腰あたりに違和感を感じ、ふと見下ろすと奈々美がしがみついていた。

 

奈々美「ううっ…!」

 

翔「もしかして…」

 

皐月「そう、奈々美は昔から虫が苦手なのよ」クスッ

 

悠美「あ、ママ!♪」ギューッ

 

簡単に整理できた。

 

悠美 甘えん坊、活発

 

奈々美 内気、おとなしい

 

翔「甘えん坊さんだね」

 

皐月「そうなのよ。この子親離れできるかしら」クスッ

 

翔「きっと大丈夫ですよ」ニコッ

 

奈々美「お兄ちゃんは…私のだもん!」

 

いっそう強く腰あたりに力を込められる。

 

悠美「むぅ!私の!」

 

腕をぐいぐいと引っ張られる。

 

翔「いや、とりあえず痛い」

 

が、2人の耳には届くはずもなく、仕方なく引っ張って悠美を右に、奈々美を左の膝に乗せた。

 

皐月「まあ!翔くん力もちね!」

 

無意識に力が入っていた。

数々の戦地を繰り抜けた彼の体はまだ健在だった。

 

翔「僕自身信じられない…」

 

奈々美「び、びっくりしたぁ…」

 

悠美「お兄ちゃんすごい!」

 

そんな2人の発言を無視し、海を眺める。

何故か海が懐かしい。

まるでなにか海にいて、呼ばれているように。

 

皐月「そういえばね、あなたが落ちていたところにこんなのがあったのよ」

 

そう言うと丁寧に風呂敷に包まれた長い物を持ってくる。

そっと前に置き、風呂敷をはだけると綺麗に研がれ、磨かれた日本刀が姿を見せた。

 

翔「これは…」

 

皐月「あなたが握っていたのよ。しかも血のような痕があって。でも錆びかけていたからあの人が研いでくれたのよ」

 

翔「少し、触ってみても?」

 

皐月「きをつけてね?」

 

そっと柄を持ち握り込み、刃を見つめる。

ギラリと光る刃。光に反射し、水色の鮮やかな色を放つ。

 

奈々美「綺麗…」

 

悠美「わぁぁ…」

 

膝にいる2人も刃に見入っている。

しかしあることに気づく。

 

翔「これは…」

 

皐月「どうしたの?」

 

翔「名前が彫られてる」

 

ギラリと光る刃の鍔の部分に「金山 翔」と彫られていた。

 

皐月「金山…翔。もしかして…これがあなたの?」

 

翔「もしかすると…そう、かも」

 

しかしさらなることに気がついた。

 

皐月「じゃあ、あなた…もしかして人を…」

 

翔「……殺した、ということなのか…?」

 

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