家の設計図を渡しに行った帰り、海岸沿いのベンチに珍しい艦娘が悲しげな顔をして座っていた。
提督「ん?響さん、どうしたんですか?」
響「ああ。司令官か」
提督「元気がありませんね。なにかあったんですか?」
響「大したことじゃないんだ」
その割にはとても憂鬱な顔をしている。
提督「…もしかして姉妹のどなたかと喧嘩した?とかですか?」
響「!?」
目を丸くしてこちらを勢いよく振り向いてくる。
提督「図星、ですか?」
響「ど、どうして分かったんだい?」
提督「ただの勘ですよ」ニコッ
響「はぁ、司令官の勘は侮りがたいね。その通りさ、昨日、電と喧嘩してね」
提督「事情を伺っても?」
響は黙って頷き、ゆっくりと話し始めた。
響「どうやら電は司令官が吹雪さんとの結婚で嫉妬ではないけれどこれから司令官に甘えられないと勘違いしたみたいだったんだ」
提督「なるほど…」
響「それで私は勘違いだとわかっていたから電に気にすることはないと言ったんだ。司令官が結婚しても甘えることができると、でも彼女にとっては結婚した人に手を出すようで嫌だと言うんだ」
提督「真面目で、気遣いのできる人ですからね」
響「そうなんだ。でも返ってそれが裏目に出てしまってね。矛盾してるんだ。私はではしばらく司令官と距離を置くことから始めて司令官に甘えなくするか、誰か他に甘えるとかできるだろ?と言ったんだが、彼女は頑なに嫌がるばかりで、流石に私も痺れを切らしてね、つい、その…」
提督「怒ってしまった…?」
響「うん…。酷いことを言ってしまった。そんなに中途半端なら司令官への気持ちも中途半端ということだって言ったんだ。そしたら泣きだしてしまってね…気付いた時にはもうその言葉を言っていてね、なにもできず飛び出してきて、帰れなくなってしまったんだ」
提督「響さんはしっかりものですからね。しっかりものだからこそ大事な姉妹の電さんのことを気遣ってやったことがたまたま裏目に出ただけです。姉妹なんですから、ちゃんと謝れば許してくれますよ」ニコッ
響「本当に許してくれるかな」
提督「はい!もちろん!電さんもきっと、頭では分かってると思います。ただ心がついてこない中、響さんにそんなことを言われて、混乱して、泣き出してしまったんでしょう」
響「なんだか…不安だ…」
下を向いたまま手を強く握りこみ、震えている。
きっと自分を責めているのだろう。
響はずっと誰にも甘えずに頑張ってきた、それだけ責任感の強い子だ。とはいえまだ子供、こういう時は
提督「響」ニコッ
響「!?」
へ?という顔をしている。
提督「ほら」
ポンポンと膝をたたく。
響「しれい…かん…司令官!」
勢いよく膝に頭を置くかと思えばそのまま膝の上に前向きに座り、頭をスリスリと擦り付け、そっと提督の手を掴み抱きしめるように持っていく。
提督「あ、あの、これは、」
響「この方が落ち着くんだ。ダメかい?」
提督「いえ、今は存分に僕に甘えていてください」
響「ありがとう♪」
その後数分間スリスリと擦り寄りながら泣いていたが、疲れたのかそのまま腕の中で眠ってしまった。
提督「やれやれ、これはしばらく動けませんね」
なんというかねこみたいだね。