港湾棲姫はあの日1日提督につきっきりだった。
翌日の朝、いつものようのに金剛が大声で起こしに来て眠気覚ましにコーヒーを飲んでいた。
金剛「よくそんな苦いのが飲めるデース…」
いつもは笑ってる金剛だが、抹茶やコーヒーといった苦いものを味わうと必ず渋い顔をする。
提督「そんなに苦いとはおもいませんが…」
考え込んでいるせいか素っ気なくなってしまう。
金剛「…テートク」
提督「は、はい?」
一瞬反応が遅れる。
金剛「あれからずっとテートク考えこんでマース…なにか港湾棲姫に言われたのデスカ?」
心配そうな顔をして提督の顔を覗き込みながら問いかけてくる。
提督「いや、そういうわけではないのですが…ただ人は産まれたくて産まれてくるわけじゃない、この一言が引っかかってまして…」
金剛「テートクは産まれてきて後悔してるのデスカ?」
提督「後悔…してる部分もあります。しかしそれ以上僕が今もこうして生きている意味とはなんなのだろう…と思うのです」
金剛「…テートクは…グスッ」
小さな愚図り声が聞こえて慌てて金剛の方を見る。
そこには大粒の涙を流し、一途に提督を眺める金剛の姿があった。
提督「え!?金剛さん!?」
金剛「えぐっ…ヒグッ…わたしたちが…いる。それだけじゃ…ダメ…デスカ?」
提督「!?」
金剛「テートクには…私たちがイマス…でもっ…それだけではダメなのデスカ?」
提督「金剛さん達が…生きる意味」
金剛「私だけじゃないネ、雪菜もいるじゃないデスカ」
提督「人のために、生きる…誰かのために生きる…ということですか?」
しかし、金剛は首を横に振った。
そしてそっと金剛は提督を抱きしめる。
金剛「ちがうヨ…私や、妹達、ブッキーが、雪菜がテートクを必要としているのデス…誰かに必要とされている…それだけで、立派な意味だと思うネ」
提督「そうか…。すみません、朝から変なことを言ってしまって」
金剛「まったくデス!もう、2度と言っちゃダメデスカラネ?」
提督「はい!」ニコッ
しかし、金剛の言葉を聞いてふと考えた。以前の港湾棲姫を含め、深海棲艦達は共に必要と試合っているのだろうか…と
金剛「ムー…また考え込んでるデショ?」
ほほをプクっとしてまた膨れている。
提督「ははっ。今日はなんだか変な日です」
金剛「日が変なんじゃなくてテートクが変デス」
提督「うっ…!そこまで言いますか!?」
金剛はいつも通りニコニコと聞いて聞かぬふりをしていた。
金剛「ネエ、テートク」
提督「はい?」
金剛「私たちだって、たよりっぱなしは嫌なんだヨ?だから、テートクだって私達を頼ってネ?」
提督「はい、その時はまた、お願いしますね?」
金剛「任せるネ!」
廊下では…
比叡「ひえぇ…朝からお姉様達が遅いと思えば…!司令の心を癒すお姉様!素敵でした!」
長門「なにをしてるんだ?」
比叡「ひえぇええ!」
驚いた勢いでドアを開けて転んでしまう。
金剛「比叡?なにしてるデース?」
比叡「えと、あのその…お姉様たちがお」
長門「そこで盗み聞きをしていた」
サラッと長門が言う。
比叡「ちょっ!長門さん!?」ゾクッ
背筋が凍るような寒気と共に高い声が響く。
金剛「比叡!そこに正座するネ!」
比叡「ひえぇ!ごめんなさいぃ!」
説教をし、されている金剛と比叡をさしおいて、長門が寄ってきた。
長門「提督、朝食が出来たぞ?鳳翔が待っている」
提督「あ、はい。わかりました」
そっと自然な流れで長門の手をとって立ち上がり、そのまま手を繋いで食堂に向かった。
食堂に着き、鳳翔がクスッと笑って指摘するまでお互いに気がつかなかったという…