提督が寝込んで5日目…
心音、血圧共に安定してきたので集中治療を終え自室での入院となった。
そして…目覚めることなく昼を過ぎようとした時だった。
キュッ…
ごくわずかだが弱い力で、しかし、生命の息吹を感じる強い力で金剛の手を握り返した。
金剛「!?。テートク!起きてますカ!?ねえ!テートク!」
提督「うっ…ん…んん」
ゆっくりと目を開くとぼやけてわからなかったが徐々にピントが合い、金剛を目に捉えた。
提督「こ、金剛、さん?」
金剛「テートク…!良かった…」
安堵した金剛の目からは感動というのか、喜びか、大粒の雨のような、しかし透き通った綺麗な雫が落ちていた。
提督「どう、して…泣いてるのですか?」
金剛「テートク、5日間も眠ったままだったんだヨ?」
自分自身驚いた。
五日間?
なぜ?
そもそもこの大量のチューブは?
なぜ輸血を?
あらゆる疑問が頭をよぎったが答えは簡単にわかった。
あの加賀との話した後のことを思い出した。
加賀に言われたこと。
矢で撃ち抜かれたこと。
提督「そう…か。僕はあの時に…」
金剛「ブッキーが、見つけてくれたんデス」
提督「そうですか。また、お礼を言わないといけませんね」
しかし金剛も泣いて頭に整理がついたのか、突然提督の胸ぐらを掴み、いつもの笑顔では考えられない憤怒の表情をして詰め寄ってきた。
金剛「ところで…一体誰があんな真似を?」
なんで普通に喋れてるんだ?とは考えたが、怖すぎてとてもそんなことは言えない。
提督「それは…」
提督は悩んだ。今確かに加賀だと言えば話がつく。しかしそんなことをすれば加賀の命さえも危うい。まずは赤城に話をつけるのが先決であると考えた。
金剛「言ってクダサイ!」
提督「…わかりました。しかし、まずは赤城さんと話させてください」
金剛「ドウシテ?」
提督「あの人にとっては大事な話です」
金剛「わかりマシタ。あとでちゃんと聞かせてネ?」
提督「はい、約束です」ニコッ
そう言うと金剛は赤城を呼んできてくれた。
部屋を外すように指示し、話を始めた。
赤城「どうなさったんです?」
提督「加賀さんは?」
赤城「それが…つい、5日ほど前から見かけておりません…」
提督「わかりました…少し、つらいかもしれませんが、全てをお話しします」
赤城はなんのことかと疑問の表情を浮かべたが、話を続けた。
加賀が裏切ったこと。
そしてその理由、そして、加賀が自身を重症に追い込んだ張本人であるということ。
赤城「そんな…!いくら提督でも嘘は許しません!」
提督「嘘と僕も思いたいです。しかし真実に変わりはありません!」
赤城「!」
提督「恐らく僕が今、誰かに、加賀さんにやられたと言えば間違いなく皆潰しにかかるでしょう。しかし、僕はそんなことをしたくないし、加賀さんがそんなことをするにはなにか他の理由があると思うんです!どうか、力を貸して下さい」
赤城「提督は…怒っていないのですか?自分をそんな目に合わせた加賀さんを」
提督「部下を信じてやれない上官など失格だ。部下を上官が信じてやらなくて誰がしんじてやるんだ?とよく恩師に教わりました。僕にとって皆さんは部下以上に家族なんです。家族同士で殺し合いなんて、したくない…」
赤城「提督…。わかりました。私にできることがあるならなんでも!」
提督「ありがとうございます!まずはうまく今回の一件を加賀さんのことではないと、抑えたいのですが…」
赤城「んー…難しいですね。なら…私を…。私を牢に入れてください。私が加賀さんと話がつくまで身代わりになります。」
提督「し、しかし!それでは赤城さんが…!」
赤城「家族なのでしょう?私もその一員。提督を信じていますから」ニコッ
提督「わかりました」
後日赤城を牢に入れ、ひとまずの終止符を打った。