雨の日の鎮守府。
提督も天気のせいか仕事に精がでず、あまり進まずにいた。
そこで滅多に使わない秘書艦制度を使い、吹雪に手伝ってもらうことにした。
提督「突然すみませんね」
よこで書類を集めてはファイル詰めしたり、報告を読み上げてくれる吹雪に詫びを述べる。
吹雪「いえ!こんな私でお役に立てるなら!」
提督「しかし、最近艦娘の皆さん要望をこと細かく伝えてくれるようになりましたね」
吹雪「なんだか申し訳ありません」シュン
提督「いえ!そういう意味ではありませんから!なんというか嬉しいですね」ニコッ
吹雪「司令官…私!司令官が来てくれてほんとに良かったです!」
提督「な、なんですか!?急に」
吹雪「なんだか今私や皆幸せなんです!私もみんなが笑ってる顔が大好きで!ほんとにここまで直して、癒してくれたのも司令官ですから!」
提督「て、照れくさいですね。でも僕もその気持ちはわかりますね」
吹雪「司令官は本当に優しくて、頼り甲斐のある頼もしい司令官ですから!」
提督「ほ、褒めすぎです」カァァッ!
吹雪「えへへっ♪」
しかしこの理由にはもう一つ理由があった。
ここまで皆を癒し、優しく接する切実な提督の態度に惹かれているというのもあった。
提督「にしてもこの天気では気分があまり上がりませんね」
吹雪「本当ですね…」
2人で外を眺める。
しかしそこに偶然雨に濡れながら震える猫が見えた。
吹雪「あ、猫…」
カタンッ
その横でペンを落とし、目を見開き、ガタガタと震え、声にならない声を出し、頭を抑えている提督がいた。
その姿は肉食獣に襲われかけ、まさに喰われんとする時の動物さながらだった。
吹雪「司令官?」
提督「あ、ああ…!寒い…よ。パパ…ママ…!」
そう、提督が虐待を受けていた頃、雨の日に限って外に出され凍え、真冬に近づく寒い中でも猫のようにそとで震えていた。
助けを呼んでも誰も助けてくれず、騒げば殴られていたのだ。
吹雪「大丈夫ですか?」
そっと提督の体に触れる。
ビクッと体が震える。
提督「ごめんなさい!ごめんなさい!もうなにも言わないから!叩かないで!ごめんなさい!」
吹雪「司令官!?落ち着いてください!」
提督「ふ…!うっ…!」ガタガタ
うずくまったまま震えて、吹雪の声は届かない。
吹雪「…!」
グイッと顔を上げそのまま椅子から立たせ、抱きしめる。
提督「んっ!?」
吹雪「大丈夫です。私がいますから、誰もなにもしませんから」ナデナデ
提督「はぁ…はぁ…ふ、ぶきさん?」
吹雪「大丈夫ですか?」
そっと離そうとした時だった。
離れる体をまるで生まれたばかりの子供が母親を離したくないように吹雪の体を引き寄せる。
吹雪「ひゃうっ!司令官?」
提督「もう少し、こうしていてください」
吹雪「わ、わかりました」は、恥ずかしい!
数分後
提督「ありがとうございました!」
吹雪「いえ!少しおどろきましたが…」
提督「親の真意がわかっても恐怖心やトラウマだけは消えませんね…ボソッ」
吹雪「?」
提督「いえ」