夕日に没頭し時間を忘れていた。
夕日が沈んだ後に広がった目の前の美しい夜空に心を奪われて、見入ってしまっていた。
鳳翔「あ!ここにおられたんですね!」
提督「ん?あなたは?」
鳳翔「鳳翔です。お帰りが遅いので探しに来たんです」
提督「あ、もう7時でしたか」
鳳翔「心配しましたよ?」
今ではどうしてかわからない。自然とその一言に物凄い怒りを覚えた。
提督「嘘つき。心配なんかしてもないくせに!」
鳳翔「て、提督!?な、なにを!?」
提督「みんな大人なんてそうだ!一時的に心配するだけで!愛情注ぐだけで!少しでも気に入った奴だけ可愛がる!そんなやつに言われても嘘にしか聞こえない!」
鳳翔「え!?え!」アワアワ
提督「なにも言い返せない…!もうほっといてください!」
慌てる鳳翔を無視して鎮守府に戻るやいなや執務室にこもった。
提督「なんだよ…みんなそろって…どうせ捨てるくせに…!」ガンッ!
コンコンッ
鳳翔「鳳翔です。よろしいですか?」
提督「どうぞ」あえて素っ気なく返す
鳳翔「提督、あの…先ほどの件なのですが…」
提督「なんですか」
鳳翔「大丈夫?ですか?」
提督「なにがですか?」
鳳翔「うふふっ♪そんな強気になられて」
提督「バカにしないでください!」
急に鳳翔の顔が真顔になり詰め寄ってくる。
そしてすっと手が上がる。
あの光景が蘇ってくる…
提督「…!?」ガタガタ
今更やられたところで…!慣れてる…はずなのに!
鳳翔「失礼します」ギュッ
提督「え…?」
鳳翔「こんなに震えて…」
提督「どうして…」
鳳翔「やはりなにかあったのですね。大丈夫。なにがあったかは存じあげませんが私は提督の知るような不届き者の大人ではありませんから」ギュっ
提督「…っ!?」
熱いものが頬を伝う。
目の前がぼやけて、触れている鳳翔の着物が湿るのが肌で感じた。
鳳翔「よしよし…なにがあったのか、教えていただけますか?」
提督「あ…うっ…うぐっ…うぅっ…!」
ぐっと声を押し殺し涙を流して、過去の話をした。
泣いていたせいで声にも言葉にもならなかった、でもそれでも鳳翔は黙ってただ抱きしめて話を聞いてくれた。
そして全てを話し終えた後、鳳翔はそっと僕を突き放し顔を真っ直ぐ見つめて涙ぐんだ目でこう言った。
鳳翔「偉かったね、よく耐えたね、頑張ったね。もう大丈夫だよ、そんなこと、私たちはしないからね」ナデナデ
僕の中のなにか固まっていた壁のようなものが一気に壊れ、たまりにたまったものが一気に涙となって溢れ出し、声となり、赤子のように鳳翔に抱きつき、赤子のように思い切り声をあげて泣いた。
数十分後
提督「すみません…グスッ。取り乱してしまって…」
鳳翔「いいえ」ニコッ
提督「あと、先ほどまでの無礼な発言も…」
鳳翔「良いんです。わかってましたから」ニコッ
提督「優しいですね」
鳳翔「これからはゆっくり笑えるようになりましよう」ニコッ
提督「ぜ、善処します」