希望を失った提督と艦娘   作:大石蔵良 ショタ 提督

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第9話 疑う目と怯える子犬

天龍と仲直りを済ませた提督は一航戦の部屋を訪ねていた。

 

コンコンッ

 

加賀「はい」

 

ガチャ

 

提督「初めまして。こんにちは」

 

加賀「っ…!なにかようかしら?」

 

提督「少し、顔を見ておきたくて。お邪魔でしたか?」

 

加賀「いえ、立ち話もあれですし中へ」

 

言葉に甘え、中に上がると和風の綺麗な部屋の装飾は一航戦さながらだなと思えた。

 

提督「あれ?赤城さんは?」

 

加賀「…」

 

何かを隠すように、加賀の目が虚ろになり、表情が曇る。

 

提督「あの…?」

 

加賀「赤城さんは…人が…怖いの。だから」

 

スッと指を指す方向にはベッドのカーテンの隙間から様子を伺う赤城の姿があった。

 

提督「こんにちは♪」ニコッ

 

赤城「っ!?」ビクッ!

 

勢いよくすっこんでしまった。

 

提督「えー…」

 

加賀「申し訳ありません」

 

提督「いや、気にしないでください。あの、加賀さん」

 

加賀「?」

 

提督「ごめんなさい」

 

突然謝罪を述べ、深々と頭を下げた。

 

加賀「なっ…!?提督?」

 

提督「少なからず僕たち人間のせいで普段は明るいであろう赤城さんをあのようにしたことは変わりありません。僕が謝っても仕方ありませんが、謝りたいんです」

 

加賀は驚いていた。

人間とは一体なんなのだと。

以前のように最低な男もいれば、こんな風に、謝る人間もいるのかと…しかしこうも考えた。今だけこのように謝って後からだますのではないかと。

 

加賀「…本当に、申し訳ないとおもってるのですか?」

 

疑問を威圧に変え、鋭い目つきで睨みながら問いかけた。

 

提督「命をかけても構いません。心から申し訳ないとおもっています」

 

加賀「なら、赤城さんを救ってください。その行動で示してください」

ここで怒るに決まってる。その時は…!

 

提督「…わかりました!最善を尽くします!」

 

加賀「はぁ、やっぱ…り?…!?」

 

目が丸くなり、思わず口を開けたままにしてしまう。

 

 

提督「?」

 

加賀「そ、そう…。期待はしてないけど、お願いするわ」

 

それだけ残すと加賀は部屋を後にした。

部屋にはベッドのカーテンに隠れた赤城と正座で足がしびれた提督だけが残った。

 

そっとカーテンに近寄る。

 

提督「あの、赤城さん?」

 

赤城「な…なんで、しょうか?」怖い…

 

提督「少し、お話ししませんか?」

 

赤城「え…。で、ですが…」

 

赤城の制止を無視してカーテンを開ける。

 

赤城「ヒッ!?」ガタガタ…

 

ポフッ

 

提督「大丈夫、何もしないから」ニコッ

 

提督は怯える人間という主人に虐待を受けた挙句、捨てられた子犬に優しく問いかけるように、無邪気で、笑顔いっぱいの子供として、話しかけた。

優しく頭に手を置きながら。

 

赤城「っーー…!」

 

以前震えたまま動こうとも話そうともしない。

 

提督「横、失礼しますね?」

 

赤城の震える横に腰掛ける。

その途端だった…

赤城の脳裏には横に座り、いやらしく体を弄ぶ提督の姿がフラッシュバックした。

 

赤城「…!?っ!やめて!」

 

提督「うぐっ…!うぅっ…」

 

ギリギリと首を絞められ、抑えられる。

意識が朦朧とする。

 

提督「だ、い、じょう、ぶ…だから」

 

飛びそうな意識の中、精一杯笑顔を見せ、赤城の頬をなでるように手を滑らせ、落ち着かせる。

 

赤城「フーッ!フーッ!」

 

怒る獣のように威圧し、生命を奪いにくる。

 

提督「あ、かぎ…さん…!」

 

赤城「!?わ、私は!なにを!?」

 

慌てて離す。

 

提督「っはぁ!エホッ!エホッ!」い、息が…

 

手を離されたが意識が、朦朧とし、酸欠になっていた。

 

赤城「も、申し訳ありません!わ、私のせいで!どうか…お許しを…!」

 

また震える。

 

提督「だい、じょう、ぶ…平気…だから…」

 

飛びかけの意識の中、そのまま赤城を抱き込むようにしようとするが、肩に手を回し、抱き込んだ途端に意識が途絶えた。

 

提督「大丈夫、だ…よ」

 

そのまま赤城の胸の中に落ちる。

 

赤城「ヒッ!?や、やめて!」

 

慌てて提督を振り払い、布団に落とす。

しかし、痛みや、衝撃があるのに関わらず提督はぐったりとしたまま動こうとはしなかった。

 

赤城「あ、れ?提督?あ、あの…」

 

提督「……」

 

赤城「っ!?提督!」

 

慌てて首に手をやるが脈はあるが、その呼吸や、体温は低くなっていた。

 

赤城「わ、私のせいで…!な、なんとかしないと!」

 

焦りに焦った赤城は提督を自分の布団に寝かせ、隣り合うように布団に入り、必死に背中をさすって体を温め、抱きしめた。

 

 

 

 

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