数時間後ーーー
提督「ん、んー…」
赤城「っ!?提督!気がつきましたか!?」
提督「?」
目をよく凝らして視界をはっきりさせる。
視点が合うとそこには心配そうな泣きそうな顔をした赤城の姿があった。
提督「あ、ゲホッ!ゲホッ!うっ!エホッ!エホッ!」
名前を呼ぶつもりが、咳き込み、酸欠だったこともあり、意識がはっきりせず、頭痛がしていた。
赤城「提督!?大丈夫ですか!」
提督「なんとか…ありがとうございました、赤城さんがこうしてずっといてくれたのですか?」
赤城「え?あ、は、はい!」
提督「やっぱり…。あの、赤城、さん」
少し頬を赤らめ、キュッと赤城の柔らかく、いい匂いのする服を掴む。
赤城「な、なんでしょう?」お、怒ってるのかしら?こんなに顔が赤くなるまで…解体…ですよね…
提督「…こ」
赤城「え?」
提督「ま、まだ、頭痛とかしてて…その痛い…です。だから、もう少し抱っこ…しててくれませんか?」
赤城の予想を遥かに凌駕した返答にしばらく困惑したが、理解し、暖かく返した。
赤城「そのくらいで良いのなら」ギュッ
提督「赤城さん、良い匂い…暖かい……」
赤城「提督?」
提督「スゥ〜、スゥ〜」
赤城「ね、眠ってしまいましたか…。不思議な方です。でも、優しくて、暖かいお方ですね、ありがとうございます」ニコッ
一人聞こえるはずのない提督ににこやかに話しかける。
まさに怯えた子犬が新たな恩人とも言える主人に初めて懐いて、信用し、主人のことを必死で気遣い、感謝する姿になってよく似ていた。
ふと、目をやると提督の手が軽く開いていた。
試しに置いてみると、弱く、優しい、しかしどこか力強い力で握り返してきた。
赤城「ふふっ」ニコッ
さらに数時間後ーーー
提督「ふぁ、あーあ…」
赤城「ん…あ、お目覚めですね?」
提督「はい…お陰様で、少し、楽になりました」
んー!と背伸びをする。
赤城「あの、提督」
提督「ふぇ?な、なんでしょうか?」
赤城「お聞きしてもいいでしょうか?」
提督「な、なんですか?」
あまりの唐突な質問に困惑する。
赤城「あの時…私が首を絞めた時、なぜ私を殺さなかったのですか?その守刀なら私の胸に突き立て、殺すことができたはずです。そうすればあなたもそんな」
提督「嫌です」
赤城「え?」
提督「怖かったのでしょう?僕は、僕自身、同じように怯えてばかりの生活をしていたから、わかるんです。自分を守るためにはいかなる手段をも用いなければならない、体が自然とそうしてしまう。よくある話ですよ。それに僕はそんなに怯えてる人を殺したり、傷つけたりしません」
赤城「何故ですか!?もう少しで死んでいたかも知れないんですよ!?」
提督「…信じてましたから。赤城さんはそんな簡単に人を殺さないって。きっと僕の本当の気持ちに気付いてくれるって」ニコッ
赤城「提督…!」
気付けばもう、夜。月明かりに照らされた赤城の頬を綺麗な川のせせらぎのように光る涙が流れていた。
提督「大丈夫、ちゃんとわかってますから。赤城さん、僕を信じてついてきてくれますか?」
赤城「っ!はい、提督のお力になってみせます!」
提督「良かった」クスッ
その時、グウゥゥ!という音が響く。
赤城「あ…」カァァッ
提督「へへっ♪ご飯、行きましょうか」クスッ
赤城「は、はい、!」カァァッ