鳳翔との一件以来、表情こそかわりないものの、多少なりとも雰囲気が丸くなっていた。
提督「はぁ」
毎日のように届く艦娘達からの要望や数々の受取書などのサインに追われて、疲れがたまっていた。
コンコンっ
赤城「一航戦赤城、入ります」
提督「はい」
ガチャ
赤城「お仕事お疲れ様です」ニコッ
提督「いえ、仕事ですから」
この人は赤城というらしい。先日間宮に行った時偶然話すことから、なかが良くなった。黒髪の容姿端麗な女性にもかかわらず、かなりの大食いだ。
提督「それで、なにか御用ですか?」
赤城「加賀さんは遠征からどのくらいで戻られるのですか?あまりに遅いので心配で」
提督「そのことでしたら明日にも戻られると思いますが」
赤城「そうですか。そろそろ10時ですし、休憩にお話でもいかがですか?」
一瞬迷った。本来人との話すのは嫌ではないが外でゆっくりしたい。がしかしあいにくの雨で外には行けそうにない。
提督「ええ、良いですよ」
赤城「ありがとうございます」ニコッ
提督「まぁ、どうぞ」
そっとソファーに誘導して座るように勧める。
赤城「ありがとうございます。さて、なにから話しましょうか」
提督「なんでも良いですよ?」
赤城「提督にはご兄弟はおられるのですか?」
提督「妹がひとりいました」
赤城「いました?というと?」
提督「話せば長くなるので切りますが、家庭の事情で6歳前後に別れて以来会っていないのでどうしているのか」
赤城「それは、気の毒でしたね」
申し訳なさそうにしている。
提督「しかたありませんよ」
雨のせいで暗くなった部屋がどんよりとした空気を際立たせる中、勢い良くドアが開く。
吹雪「司令官!」
提督「どうしました?それよりノックぐらいしたらどうです?」
赤城「まぁ、まぁ、落ち着いてください。それで、それほど慌ててどうしたんですか?」
吹雪「え、あ!えと!もんの前に女の子が倒れてて!連れてきたんですけどどうしたら良いのかわからなくて!」
提督「わかりました。ではひとまず医務室へ。精密な検査等を行ってください」
赤城「提督もお顔を見に行かれては?」
一瞬戸惑ったが、確かにこれからどうなるかわからないし、ここで預かるとなると顔も覚えておかなければならないので見に行くことにした。赤城は用事があると言って部屋を出て別れた。
医務室
吹雪「こちらです」
提督「失礼します」
少女を見た途端に絶句した。
同時に汗が止まらない。
疲れたわけでも、熱があったわけではない。
幽霊にでも出くわしたかのように冷たい、嫌な汗が滝のように溢れてきたのだ。
提督「ま、まさか…!」
吹雪「司令官?」
提督「雪菜…?」
吹雪「ご存知なんですか?」
提督「妹…です」
吹雪「え!?」
どういう風の吹き回しだ。
こいつからどうして?いや、そもそもどうして僕がここにいると?いや、単なる偶然?偶然にしては出来すぎている気も…。