雪菜がきて数日が経った。
かなり衰弱していたのか未だに目を覚まさない。
だがそんなに関わりもなかったせいか不思議と心配の心はなかった。
しかし、妙にモヤモヤして執務に集中できない。
提督「外に出よう」
久々に中庭のベンチに座る。
提督「ふぅ…相変わらず心地良いな」
雪菜の一件もあり、かなり疲労していた提督はそのままベンチで居眠りをしていた。
吹雪「司令官どこ行ったんだろ。雪菜さん目を開けたのに」
目を覚ましたことを知らせようと提督を探していた。
提督が真っ先に行きそうな中庭に来ると案の定そこには居眠りをしている提督を見つけた。
吹雪「あ!あんなところで」
そっと提督の隣に座る。
吹雪「風邪ひいてしまいますよ、わわっ!」
吹雪が隣に座るやいなや提督の体が吸い付くように吹雪の膝の上に落ちる。
吹雪「び、びっくりした…。でも、可愛い寝顔だなぁ…」
ツンツンと頬をつついてみると、女の子のようにフニフニとしていて、まさにマシュマロを触れているようにサラサラとフニフニした肌だった。
提督「スゥ〜スゥ〜」
ニャー♪
吹雪「あ、猫さんだ。ん?」
慣れた足取りでその猫が提督の体の上にちょこんと乗り、小さくうずくまった。それにつられるかのように一匹、また一匹と瞬く間に提督の周りや、体の上に猫が乗って、眠っていた。
ゴロゴロ♪
提督「ん、んー…重い…」
吹雪「あ、司令官、おはようございます」
提督「吹雪さん?あ、そうか…あのまま寝てしまったんですね。すいません膝枕までしていただいて」
吹雪「いえ!お気になさらず。それより大丈夫ですか?なんだかいっぱい集まってるのですが」
吹雪が指差す方を見ると、自分の体の上や横に大量に猫が眠っていた。
少し驚いたが気がつくと自然と手が猫を撫でていた。
吹雪「♪司令官は本当に動物や植物がお好きなんですね♪」
吹雪がこう言うのも無理はなかった。撫でる姿と、その時の提督の笑顔は、我が子を可愛がる父親のように落ち着いた笑顔で優しい目をしていた。
提督「いきなりどうしたんですか?」
また真顔に戻ってしまう。
吹雪は残念な顔をしながらも、本来すべき報告をした。
吹雪「いえ、なにもありません。雪菜さんですが、目を覚ましたよ」
提督「そうですか」
自分でも驚くほど冷徹で冷たい返事をした。
まさに妹を思う兄ではなく、目を覚まそうがどうでも良いと思っているのような口調だった。
吹雪「お、お見舞いとかは行かれないのですか?」
提督「そんな必要はないですね」
吹雪「!?どうしてですか!?妹さんなんですよね!?」
提督「吹雪さんは憎い相手に見舞いなどしようとおもいますか?」
この返答に吹雪は困惑した。
家族なのにどうしてこんなことを言うのか…と
吹雪「そ、それは…」
提督「僕は、捨てられたんですよ。雪菜のせいで」
吹雪「ど、どうして?」
提督「雪菜が産まれて、両親は雪菜ばかり、風邪をひいても雪菜、雪菜。意識不明の怪我をした時は僕がなればよかったなどと言われて、挙げ句の果て回復と同時に軍学校に捨てられ、そこからは会いもしてなかったんですから。そんな妹は憎くて仕方ないです」
吹雪「で、ですがそれは雪菜さんの責任ではなくご両親の責任であって!」
提督「僕にとってはどちらも同じなんですよ。見た時もなんで今更こいつの顔をってなりましたよ。親も雪菜も、自分でもわからないけれどにくいんです」
吹雪「そんな…」
提督「さてと…僕は仕事に戻ります。それじゃ」
吹雪でもさすがにこればかりは衝撃的過ぎて黙って提督を見送るしかできなかった。