吹雪との会話を済ませ、一旦休息に執務室へと戻った。
戻るや否や、
勢いよく扉が開く。
大淀「提督!こちらにおられましたか!」
提督「大淀さんノックくらい」
大淀「緊急電話です!それどころじゃないんです!」
普段冷静沈着、黙々と仕事をこなす大淀だがこの時だけは異常に慌てていた。
内線の番号を回し、受話器を取る。
提督「お電話変わりました、金山です」
救急隊員「あ!良かった!出てくれた!こちら佐世保救急病院です!」
提督「救急病院?なぜこちらへ?」
救急隊員「はい!お忙しい中申し訳ありませんがそちらの医療施設をお貸し願えませんか!救急で妊婦が一名入ったのですがこちらは満員でして!スタッフはいるのですが…」
提督「少々お待ちください」
一旦受話器を下ろし、大淀に目を向ける。
大淀「お一人でも命を救うのが我々の役目とおもいます!戦いだけが私たちの責務ではありません」
提督「わかりました」
再び受話器を取る。
提督「わかりました!施設をお貸ししましょう!早くこちらへ!門を開門しておきます!到着次第案内のものが待機しておりますので指示通りに!」
救急隊員「感謝します!」
こうして受け入れ態勢が整えられていった。
10分後ーーー
一台の救急車が停車した。
早速明石と出迎えに向かった。
提督「初めまして。金山です。そちらの明石さんの指示に従って搬送を」
救急隊員「はい!」
明石「こちらへ!」
手術室ーーー
妊婦「ううっ!んーー!あぁぁ!うぅ!」
夫「頑張れ!頑張れ!」
一方提督は上の階から鳳翔とともに出産を見守っていた。
提督「大丈夫でしょうか…」
鳳翔「ふふっ♪心配ですか?」
提督「なんというか…不安です」
鳳翔「きっと大丈夫ですよ」ニコッ
が、提督の予感は的中してしまった。
胎児が子宮内でへその緒が首に巻きついてしまい、下手をすれば窒息死する可能性が出てしまった。
そこで、一旦妊婦の身体を動かし、解くように試みる。
が、失敗。
自然出産が一番良いのだが、やむ得ず帝王切開となった。
提督「ていおうせっかい?」
鳳翔「普通はあのようにして出産するのですが、今回の場合のようなとき、胎児の安全を第一にし、帝王切開と呼ばれる方法でお腹を切って、赤ちゃんを取り出すんです」
提督「うっ…だ、大丈夫なんですか?」
鳳翔「みなさんの腕を信じましょう」ニコッ
直ちに部分麻酔を投与し、手術に移る。
医師がメスを取ると同時に腹部を切開、赤ん坊を取り出していく。
鳳翔「大丈夫ですか?気分が悪くなったらいつでもお申し付けくださいね?」
しかし、提督とて軍人。
こんな場面は幾度となく見ている。
提督「大丈夫です。それより、あの出血量…大丈夫でしょうか?」
確かに、帝王切開の場合、止血剤等を用いて、出血を抑えるのだが、明らかに多い。
医師「こ、これは…!」
夫「?」
医師「旦那様、誠に申し上げにくいのですが、本来なら子宮が収縮し、出血が止まるはずなのですが、止まらないのです。そこで胎児は諦め、母体を助けるか、母体を犠牲にして…」
夫「そ、そんな!どうにかならないんですか!?」
二人が揉める中、女性の助手に妊婦が手を握ってこう言った。
妊婦「私、はいいですから…赤ちゃんを…お願い…!」
看護師「し、しかし!」
夫「お前、なにを!」
妊婦「あなた…お願い…!この子を…助けて…!」
究極の選択となった。