希望を失った提督と艦娘   作:大石蔵良 ショタ 提督

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第25話 選ばれる命

沈黙が数分間流れた。

 

提督「そんな…」

 

鳳翔「…っ」

 

妊婦「大丈夫、あなたなら…この子…を…立派に育てられる…から」

 

夫「…っ!わかった…」

 

医師「では、胎児を最優先!必ず二人共救えるように全力を尽くせ!」

 

看護師「手を握って差し上げてください」

 

夫「はい」

 

こうして提督達が見守る中、オペが進められていった。

 

5時間後…

 

「オギャー!オギャー!」

 

医師「おめでとうございます!女の子ですよ!」

 

夫「良かった!おい!お前!産まれたぞ!元気な女の子だぞ!」

 

妊婦「良か…った。私、がんば…ったよ」

 

夫「ああ。ありがとう…!」

 

提督「良かった…これで」

 

誰もが安心していた。

赤子は無事に帝王切開により、元気に産まれ、なんとか母体の方も止血が成功し、一命を取り留めたと思っていた。

しかし…

 

ピーーーーー…

 

心肺停止…

 

夫「え…?」

 

医師「そ、そんな!すぐに素性を!」

 

看護師「輸血回します!」

 

その後も蘇生作業が進められたが…助かることはなかった。

 

提督「そんな…グスッ」

 

鳳翔「…っ!」

 

提督「鳳翔さん…!どうして、どうしてですか!?なんで!あの人は頑張ったじゃないですか!なのに!…なのに!こんなの…」

 

鳳翔「提督…世の中には救える命と救えない命があるのです。提督は私たちのことを救ってくださり、今の私たちがあるのです。ですが、今のように運命には抗えない…どうしても避けられない死があるのです…」

 

提督「うっ…!グスッ!もっと…!もっとここに医療技術があれば…!」

 

鳳翔「提督…」ギュッ

 

提督は泣いた。

悲しみに明け暮れ、涙を流し、叫び、ボロボロと涙が溢れていた。

 

しかし、夫と妻の顔はどこか幸せそうな顔をしていた。

 

医師「申し訳ありません!私達が至らないばかりに…!」

 

夫「…いえ。これが、妻の選んだことなら、文句もなにもありません。ありがとうございました」

 

提督「鳳翔さん…あなたは先に戻っていてください」

 

鳳翔「提督は?」

 

提督「少し、旦那さんに用がありますから」

 

鳳翔はなにも言わず察してくれたのか、そのまま部屋を後にしてくれた。

 

手術室前ーーー

 

夫「あ、あなた方は?」

 

提督「本鎮守府提督、金山翔と申します…。奥様のこと、心中お察しいたします。ですが…誠に…!申し訳ありませんでした!」

 

夫「な、なぜ謝られるのですか!?」

 

提督「僕の鎮守府には艦娘には適した、最新鋭の設備を備えておりました…ですが人間にはそんなに設備を揃えておらず…結果このような結果になったと、考えました」

 

夫「…」

 

提督「提督であると僕がいながら…本当に!申し訳ありませんでした!」

 

深々と頭をさげる。

 

夫「お顔をあげてください」

 

提督「?」

 

恐る恐る顔を見る。

 

夫「お気遣い感謝します。ですがこれは妻が出した答えです。あなたが責任を感じることではありませんよ。私の方こそありがとうございました」

 

提督「え…」

 

夫「ははっ♪これから頑張ります!」

 

提督「は、はい!」強い人だな。

 

この生まれた少女が将来、提督と再開するのはまたのお話。

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