第1話 疑問
あれから二カ月が経とうとしていた頃、旧横須賀鎮守府の艦娘は秘密裏に提督が保護、佐世保鎮守府にかくまっていた。
奇跡的に艦娘は全員無事だった。
提督は13歳の誕生日を迎えた。
執務室ーーー
提督「ふぅ…あれから二カ月ですか…」
コンコンッ
長門「翔、私だ」
提督「どうぞ」
長門「あ、仕事中だったか。すまない」
提督「いえ、それでどうしました?」
長門「いや、これといって要はないんだが、ややこしくないか?私が二人もいては…」
口調や独特の雰囲気だけで分かるがこの人は横須賀の長門だ。
提督「んー…別になんとも」
長門「そ、そうか」
しばらく沈黙が流れるが、再び長門が口を開く。
長門「なぁ、たかだか手榴弾程度の大きさの爆弾数個で鎮守府が吹き飛ぶと思うか?」
訳のわからないことを聞いてくるなと考えたが、冷静に答えた。
提督「ありえませんね。軍事施設なんですから、絶対あり得ません」
長門「そう…だよな」
提督「なにか?」
長門「私の見間違いと思うのだが…」
提督「?」
長門「鎮守府が吹き飛ぶ少し前…奴らが投げ込んだ爆発物は…その手榴弾程度だった気がしてな…それからすごい爆風と爆音がして、鎮守府が…」
提督「!?そ、それは本当ですか!?」
長門「あ、ああ」
提督「なぜそんなものをあんな連中が…いや、そんなものを作れるのは…政府か…」
脳をフル回転させるがまったくわからない。
仮に政府が奴らに渡したのが事実として、なんのために?
なにが目的か。
それさえもわからない。
長門「お、おい、大丈夫か?」
提督「あ、はい。とにかくこのことは他言無用でお願いします!それが事実ならとんでもないことになります!」
今までにない、威圧的な声に長門とて承諾せざるを得ない。
長門「わ、わかった」
その後長門は執務室を後にした。
提督「んー…。なにかおかしいですね…」
電話で直ちに大淀を呼び出した。
コンコンッ
ガチャ
大淀「お呼びでしょうか?」
提督「少し、調べてもらいたいことがありまして」
大淀には第一級機密事項として、今回の一件の話を伝え、兵器開発の情報を調べるように命じた。
そして、提督自身も動くことにした。
大本営上級士官資料室。
ここは少将から大将までが入ることのできる資料室。
提督「兵器開発の資料は…これだ!」
そこには様々な新兵器が記されていたが、思い当たるものはなかった。
それもそのはず、そこに記されていたのは艦娘が現れるまでに作るられた最新鋭の兵器なのだから。
提督「やはりないか…でもこれで一つ分かりましたね。艦娘が現れてから作られたということは…少なくとも妖精も関与している可能性も充分にあり得るということですか…」
だがここでもまた疑問が生まれた。
仮にも妖精、彼らが人間の事に加担するとは思えない。
彼らが我々に協力するのは、あくまで彼らと我々にとって深海棲艦が脅威であるために協力しているだけ、そんなことに加担するとは思えない。
ならば妖精以上の知能、そして、それだけの技術をどこから手に入れたのか…
ということだった。