【凍結】 突然転生チート最強でnot人間   作:竜人機

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2016.3/5
11話~20話まで一部手直しに付き、差し替えました。

2018.3/3
1話~31まで設定見直しにより一部設定変更+グロンギ語ルビ振りに付き手直し、差し替えました。



18 「お手並み拝見? 」

 

 

 

 ▽†魔石†▽

 

 魔物の体内などから必ず採取することが出来る高密度魔力結晶体。

 強い(ランクの高い)魔物ほど採取できる魔石は大きく質の良い物となる。また、魔物の種類や魔物の生息地域によっては属性を持った魔石が採れる。

 現在までで確認されている魔石の属性は無、火、水、氷、風、雷、土の7種類。

 竜種(純竜種)からは採取されたことはなく(魔石が体内外にない)、しかし亜竜種からは採取されることがある。

 これにより一部では竜種は魔物ではないとされ、亜竜種は何らかの条件により魔物と化した竜種なのではないかと考えられている。

 

 魔石は古くから魔法の触媒として用いられてきたが、近年では主に加工して魔道具の魔力源などに用いられている。

 よって高額で取引がなされており、魔物から採取することが出来ることからそれらを討伐することが主な稼業である冒険者にとって、欠かせない収入源となっている。

 

 

 

    突然の拾參「戦闘? それよりも物作りだ! 」

 

 

 

 クラン「翼の剣」という旅の道連れを得てから辿り着いたカロロ村に続く二つ目の村に一泊した翌日、速度上昇の魔法で馬車並みの速さを出す牛車は今日も快調に道を進んで行く。

 村ではフェフたちのおかげでカロロ村初日にあったようなことにはならずにすんで助かった。相変わらず怖がられてはいたようだが、それでも武器を向けられなかっただけ気分は良い。

 まあ、許可してもらえなくて行商出来なかったし、今日の天気は生憎の曇り空、雨が降らないか少々心配な雲行きだが。

 

「明日は晴、れ、る~♪ 」

 

「るっる~~♪ 」

 

 オレの隣り、御者台に一緒に乗って即興らしい歌を仲良さそうに歌うシャンフィとリュコお嬢ちゃん。

 

しっかり者のシャンフィと天然で何考えているかわからないリュコお嬢ちゃんは最初、かみ合わないと思っていたんだが―― 実際、話しかけるのはシャンフィばかりで、リュコお嬢ちゃんは聞いているのかいないのかわからない受け答えをするだけだった ――、リュコお嬢ちゃんへの対応の仕方のコツみたいなのをシャンフィは掴んだようで、この世界風にアレンジした御伽話や日本昔話を聞かせたりして、今はこうして一緒に歌を歌っているというわけだ。

 

 しかし、のん気に歌っていられる場合ではないようだ。

 道の先にいるモノに気付いたオレは牛車を止めた。

 

『アーズ? 』

 

「シャンフィ、リヂンガビビ(道の先に)オークガギス(がいる)グギソン(後ろの)フェフダヂビヅダゲデブセ(たちに伝えてくれ)

 

『! わかったっ』

 

 シャンフィはオレの言葉にすぐさま御者台の背にある戸から箱牛車へ入っていった。

 リュコお嬢ちゃんはその様子に何がなんだかわからずにしばしキョトンとした顔でいたが、すぐに武器である弓と矢筒を手にシャンフィの後を追って御者台から飛び降りて後ろの幌牛車へ駆けて行った。

 

 実際のところ、オークの一匹や二匹、恐れるに足らずではあるのだが、ここはフェフたちの実力を実際に見る良い機会だろう。

 アルブレス聖霊国の「フストレー」の街へ送った後も彼ら、クラン「翼の剣」と付き合っていくことを考えるのなら、装備か何か贈るか売るのも良いかもしれない。作る時はチート過ぎないように注意が必要だが。

 

 

「オークが出たってのは本当か? 」

 

 御者台にシャンフィが戻り、リュコお嬢ちゃんと一緒にフェフたちがやって来た。

 

「えっと、ここからだと見えづらいだろうが、この先に三匹いる。【遠見】の魔法でも確認したから間違いはないって言ってる」

 

 毎度シャンフィを通してのオレの言葉にフェフたちは道の先へ目を向ける。(すが)められたその目には辛うじて人影らしきものが見えるといったところだろうか? オレの目にははっきりとたむろしている腰みの姿の三匹のオークの姿が見て取れている。

 

「ああー、確かにいンな、オークッぽい奴らガ」

 

「ふんむ。こっちさに気付いとらんなら、気付かれんよう近づうて、マリーさの魔法で奇襲、確実に一匹仕留めるべ。

 んで、残り二匹。一匹はブークさ惹きつけて、もう一匹はフェフとリザとおらぁたちで一気に潰す」

 

「最後に残った一匹は全員でボコって終わり。妥当な作戦ね」

 

「………がんばります」

 

 オークの姿を確認したブークの声を受けてロドスが作戦を立て、それにリザが頷き、マリーは杖を両手で握りしめ力強く頷いた。

 

「よし、それじゃあ、森に沿って隠れながら行くぞ。

 マリーはいつでも魔法を撃てるようにな」

 

「はい」

 

 そうして彼ら「翼の剣」は慎重にオークへ近づいていった。

 

 

 結果を言えば接近に気付かれたものの奇襲は無事成功。

 マリーの放ったというフレイハスタという炎の槍を放つ攻撃魔法が、最初にフェフたちの接近に気付いた棍棒を持っていたオークの胸、心臓へと見事に命中して一撃必殺となった。

 そしてそれを合図にフェフとリザ、ブークの順に突撃し、手前にいた二匹目のオークをフェフとリザが斬りかかって押さえ、一番奥にいた三匹目のオークへブークへ向かい、戦いが始まった。

 

 リュコお嬢ちゃんは戦いが始まると、すぐさま近くの木に身軽に登ってみせ、太い枝の上で膝を突いて弓に矢を(つが)えた。マリーとロドスはそれぞれ呪文を詠唱し、機会を窺っている。

 

 三匹目の刃こぼれした剣を持つオークへ向かったブークはカイトシールドを前面に構え、走り寄る勢いのままに体当たりを加えて怯ませ、そこへバトルアックスの一撃を与えると、踏み込んでカイトシールドを叩き込み、押し込むようにフェフとリザが相手をする二匹目のオークからさらに離れさせる。

 そうしてブークは大振りで避けられる攻撃は避け、防ぐべき攻撃は確りと盾で防ぎ受け流す、粗野な物言いとは違った堅実な戦い方を見せた。

 

 二匹目の錆び付いた斧を持ったオークへ対峙したフェフの方は両手剣で斬りかかったが、オークに斧で防がれた。しかしすぐさま切り上げを放ち、斧を上へ弾いてみせる。そして出来た隙へフェフの左からリザが踏み込み、オークと擦れ違い様に片手剣を横に振り抜く。

 

「ゴギャァッ!? 」

 

 受けた一撃に肉を叩き斬られて耳ざわりな悲鳴を上げるオーク。

 しかし浅かったのか致命傷とは行かず、怒りの声を上げてオークは斧を振り上げ、ふたりに襲い掛かろうとする。だがそこへリュコお嬢ちゃんの放った矢が振り上げられた腕へ一矢二矢と突き刺さり押し止めた。

 腕に突き刺さった矢の痛みに堪らず怯むオーク。その好機を逃さずにリザが切りつけ、続けてフェフが唐竹に切りかかる。

 フェフ渾身の一撃を肩に受けて膝を突くオーク。そうして一撃放ったと共にフェフが大きく身を避けたそこへマリーの魔法、ウィンディウスという風の刃を放つ攻撃魔法がオークを深々と切りつけ止めとなった。

 

 

 フェフたちが二匹目のオークを倒し終えると、三匹目を相手取っていたブークは防戦から一気に攻勢に出、リュコお嬢ちゃんの矢が放たれ、フェフとリザがこれに加わって行く。

 追い込まれたオークは受けた傷も構わず、刃こぼれた剣を振り回して押し返そうとするが、フェフたちがこれをかわすため退いたと同時にマリーの火属性とロドスの無属性の初級の魔法がオークに炸裂し、追い討ちをかける。

 そして最後はブークの放ったバトルアックスの一撃がオークに止めを刺し、戦闘は終った。

 

 ギルドランクがDのリュコお嬢ちゃんとCのマリーを除いた4人はランクBだそうだから、オーク三匹に梃子摺ることなく快勝したのは当然か。まあ、リュコお嬢ちゃんとマリーの実力から言って、ギルドランク=実力とは言えないようだが。

 ランクが低いからといって弱いとは限らないだろうし、逆にランクが高いからと言って強いとは限らない。そういう考えも持っておいて損はないだろう。

 

 

 

「お疲れさま」

 

 戦い終えたリュコお嬢ちゃんたちの下へ牛車を近づけたところでシャンフィが労いの言葉をかける。しかし場の少なくない血生臭い臭いや盗賊に襲われた時のことを思い出してか、その顔色は少々悪い。

 そんなシャンフィを「大丈夫? 」と気遣うリザとマリーにリュコお嬢ちゃんたち。オレも無理をしないように言い、その内で気分を良くするような、スッキリするような魔法でもないか考えるも、過保護かと思い至り、考えるのはやめた。

 

 ちなみにフェフとブークとロドスの男性陣3人は、倒したオークたちの死骸を捌いて魔石を取り出してから道の端、森へと捨てている。

 いずれその死肉は狼などの野生の動物達や同じ魔物によって平らげられるのだろう。

 

ゴセジャガ(それじゃあ)ギボグバ(行こうか)

 

 フェフたちが戻ってきたところで声を出すと、言葉はわからないものの、なんとなく意味を察して彼らは返事と共に幌牛車へと乗り込み、リュコお嬢ちゃんは足早に弓矢を幌牛車へ置いてくると戻ってきて御者台へ乗ってきた。さっきまで乗っていたからというよりも、シャンフィが心配なようだ。

 

 シャンフィとリュコお嬢ちゃんのふたりはもうすっかり仲の良い友達なのだろう。微笑ましく思い、自然と微笑が浮かぶ。

 

 このツラで笑っても普通は怖がられるだけかとすぐに表情を正したが。

 

 

 

 オークと遭遇してから三日。

 クラン「翼の剣」の不運続きはどうやらアレで終ったようで、何事もなく旅路は良好だった。

 

 

 そして今、検問を終えてやっと「シルルーワ」の街へ入ることが出来た。

 いやあ、やっぱり検問でひと悶着あったから焦った焦った。エテジエのティグリスさんみたいに話のわかるヒトがそういるものじゃないだろうことは理解していたけど、油断してたわ。

 まあ、結構高いランクの冒険者パーティーのフェフたちが一緒のおかげか、何とか街に入れるように説得できたけども、毎回これだとなあ。何か手を考えた方が良いか? 手っ取り早いのはオレがBランク以上の冒険者になることだろうが、それはそれで目立つことになりそうな気がするし、面倒事になりそうな予感がする。

 

 腰を落ち着けてどこか一つのところに留まれば、ヒトは慣れる生き物だから、こういったひと悶着も起きなくなるんだろうが、一つのところに留まると何かあった時(何がしかの事件とか飢餓とか)、無実でも異形のオレは犯人にされるかもしれない。あたかも魔女裁判のように。

 まあ、オレなら誰も怪我をさせずに切り抜けることぐらい出来ると思うんだが、だからと言って精神的に平気かと言うわけじゃない。オレと一緒にいるシャンフィは特にそうだろう。

 親しくないにしても、隣人である身近な人間たちに理不尽な敵意を向けられる様は想像だけでもゾッとする物がある。

 

 だから根無し草のように行商の旅を続けることを選んだんだが、こうも街や村に着くたびに悶着が起きるなら、考えが浅かったかもしれない。

 

 オレを理解して受けいれてくれるヒトが強い後ろ盾になってくれたら、腰を据えることも出来るんだがな。

 

 

 そんなことを頭に過ぎらせながら、衛兵さんから聞いた馬車を預けられる商人向けの宿へ向けて牛車を走らせる。

 

 そして当然のように人目を惹き、悶着ありつつもなんとか宿を取ることが出来たオレとシャンフィは、タロウスと牛車を宿に預けると冒険者ギルドへと向かった。

 ちなみに同行しているフェフたちはホーム購入資金のため、宿は安い冒険者向けの宿を取るそうだ。

 

 シルルーワの街の冒険者ギルドは中央広場の東側の方にあるらしい。ちなみに商人ギルドも中央広場に面しているそうだ。

 

「良い仕事取れると良いんだけど」

 

「不運続きも終ったみたいだからな、大丈夫………だと、良いんだがなあ」

 

「な~に不景気なツラしてやがンだ、戻ッてきた運も逃げチまうゾ! 」

 

 リザの言葉にフェフが自信無さ気に返せば、ブークがその背を引っ叩いた。

 

「うんむ、ブークさの言うとおりだ。フェフには、リーダーには確りしてもらわんと困るべ」

 

「う、気を付ける」

 

 口を開いたロドスの言葉にフェフはバツが悪そうに頭を掻いた。

 そんな彼らのやり取りを横目に眺めつつ中央広場へと歩みを進めていく。通り過ぎるヒトに怖がられ、引かれながら。…… いい加減ちょっと慣れてきたのが悲しい今日この頃。

 心境を顔には出さずに辿り着いた冒険者ギルドで、やはり怖がられた。

 フェフたちに次いで扉を潜った瞬間、見事に身構えられたのだ。ギルド員から冒険者まで全員に。

 うん、まあね、エテジエの冒険者ギルドでもあったことだから、覚悟はしてたけどもね。

 

 ただ少し、強い後ろ盾を探すのを真剣に考えた方が良いような気がしてきた。

 

 そんなオレにフェフたちは気遣いの視線を向けて苦笑いを浮かべ、オレは肩を竦ませてお手上げの仕草をしてみせた。もう気にしてはダメだと自分に言い聞かせて、依頼が貼り出された壁、依頼掲示板へ歩み寄る。

 

ガデ(さて)ゾセビグスバ(どれにするか)

 

 採取系と雑務系の中でも一日で終えられそうな物の中から、手早く目ぼしい物に目を付けて独り言つ。

 

『やっぱり薬草採取が一番良いんじゃない。

 ヒトと会うのはギルドのヒトだけだから、面倒なことにならないし』 

 

ダギバビレンゾグゴドビバスザソグガ(確かに面倒ごとになるだろうが)ゴセゼジドゾガベヅズベスンロバ(それでヒトを避け続けるのもな)

 

『仕方ないよ。長居はしないんだから、出来るだけ面倒事は避けないとヒトの迷惑になっちゃうし』

 

「………ララバサンバ(ままならんな)

 

 溜め息まじりに呟き、目星を付けていた薬草採取の依頼書を手に取る。

 

 内容は「低級ポーションの原料になる赤切り草の採取」、赤切り草10本に付き中銅貨3枚 、30L。

 冒険者にとっては子供のお小遣い稼ぎのような低ランクのクエストだ。

 まあ、魔物とかと出くわす危険があるから、本当に子供がお小遣い稼ぎにとは行かないが。

 

 依頼書を手に依頼受付のカウンターへ足を向ける。が、一歩一歩近づくたびに怯えや引き攣った表情を見せる受付嬢たちの様子に、エテジエのギルドでもあったことだが少々傷つく。

 心は硝子、とまでは言わないけれど繊細なのだよ、こう見えて。

 

「い、いっら、しゃい、ませ。ご、ご用件を、どうぞ………」

 

 二つあった依頼受付の内、左側のメガネを掛けた受付け嬢の下へ歩み寄る。選んだ理由は表情は引き攣ってはいたが、怯えは小さいようだったから。

 ちなみに右側の受付嬢は左側の受付嬢よりも若く、思いっきり怯えて涙目になっていた。声を掛けたら悲鳴上げるか泣き出すんじゃなかろうか。

 

ボボギサギゾグベダギンザガ(この依頼を請けたいんだが)

 

「ひっ」

 

 依頼書を差し出して用件を述べるが、グロンギ語の異様さ故か思いっ切り怯えられた。できるだけ明るく且つ誠実に聞こえるように喋ったつもりなんだけど………

 

「あの! この依頼を請けたいんだがって言ってるんです」

 

 シャンフィが慌てて通訳してくれる。

 オレは溜め息一つ吐いて、懐から茶色のギルドカードを取り出して依頼書に添えると、シャンフィを前に出し、後は任せることにした。

 

 ホント、毎回これじゃあ気が滅入る。やはり言葉が話せないなりにもグランロア語を覚えて、読み書き出来るようにならないと対面することもままならないか。それにシャンフィの負担が増える一方だし、シャンフィが一緒じゃなければ何も出来なくなってしまう。

 採取に行く前に本屋を探して、読み書きなんかの本を買おう。なんとしてもグランロア語を覚えなければ。

 

 

 

「結局、良い仕事なかったな………」

 

「だカら辛気くせェ顔すンなつーノ! 」

 

「んだ、採取さ半日ほどでおわっとーなら運は良い方だべ」

 

 ここはフェフたちの泊まる冒険者向けの良宿「火蜥蜴の尻尾亭」一階の酒場。

 依頼を請けた別れ際、出発の日時を決めた時に一緒に夕食を取ろうと約束し、ココに合流したのだ。

 ちなみにオレたちの方は買い物も薬草採取も既に終えている。そしてフェフたちも時間的な問題から依頼は薬草採取にしたようで、ふたり一組の三組に分かれて三つの採取系の依頼を受けて、運よく三組とも夕暮れ前に採取を終えることが出来たらしい。

 普通、採集は目当ての植物がどういったところに生えるのか知っていても、一日で規定量を集めるのは難しい。まして土地勘のない地域ならなおさらだ。

 

 まあ、オレみたいなチートがあれば話は別だが。

 

 ともあれ、出発は明後日の朝。シルルーワの街を旅立てば、いよいよアルブレス聖王国だ。国境までには馬車で六日ほどかかるが。

 

 明日は旅に必要な物の補充に、商人ギルドへアルブレス聖王国への旅程などの情報を聞きに行く予定だ。

 

「ようやくアルブレスとの国境前か。「フストレー」まで後どれくらい掛かるのかしら? 」

 

「この調子なら、何ごともなく行ければひと月くらいじゃないか? 」

 

「だナ、大体それくらいダろ。

 ま、それもこれも、ダンナたちに出会えたおかげダ。ホント、ダンナ様様だゼ」

 

 リザとフェフの話しからオレを持ち上げ、機嫌良くエールを呷るブーク。

 オレとしても恐れず親しくしてくれるフェフたち、クラン「翼の剣」には感謝している。

 やっぱり第一印象が大事というか、接触の仕方が重要なんだろうか。

 

 そんなことを考えながら、周りから向けられる視線を極力気にしないよう夕食を口にする。

 

 うん、まあね、もう毎度のことだからヒトに怖がられるのは………

 

 

 

 フェフたちとの夕食会を終え、商人向け宿に戻ることしばし。シャンフィを寝かしつけると、オレはひとつ考えていたことを実行に移すことにした。

 それは商人ギルドへ売り込めるほどの目玉になりそうな商品の製作だ。

 鱗を売ったお金、後金をフラウラー商会から得られるのはまだ先だろうし、行商も予想より上手くいっていない。だからここでひとつ、造っているのがオレでも買いたいと思える逸品を造ろうというわけだ。

 

 使用する素材は主に木材。一応この世界の技術でも造れることを考えて設計することを前提に、考え付いた候補は二つ。

 

 自転車とキックボード。

 

 今回造るのは構造が単純なキックボードにしようと思う。

 自転車はチェーンなどの金属加工に一定規格が必要なモノのため、この世界の技術では難しいと思い製作は保留。チェーンを使わない方法を考えるにしてもどういう風にするか良く考える必要がある。

 

 さてキックボードだが。これは二種類作ろうと思っている。

 一つは普通の「木製キックボード」。

 そしてもう一つは魔法を組み込み、最大で馬並みの速さで自走することが出来る「魔道具キックボード」。

 

 どちらも一応職人なら誰でも作れるように工夫を凝らすつもりだ。特に魔道具キックボードは。

 

 オレにしか造れない物を造る気はない。いくらオレでもひとりでは造れる数は限られているし、出来るだけ安く売りたいと考えている身としては量産できる方が良い。

 この世界で量産するには人手がいる。よって技術を盗まれるのも承知で、職人なら誰でも作れるような技術を模索しようというわけだ。

 だから売るのは物と言うより技術と言った方が良い。うまく利益を得られる方法、契約法を考えないとな。

 

 ともあれ、まずは今夜中にどういう風にするか図案と設計を描き出すつもりだ。

 幸い本を買いに行った際に麻紙と藁紙(藁半紙)が売られていたので、―― 羊皮紙よりも大銅貨二枚、200(カヒイ)以上も安いこともあり ――これを購入。

 これに思いついたことを書き込んでいって形にし、さらに煮詰めて完成形に近づける。

 そして製作は明日一日使ってやる予定。

 

 出来た魔道具キックボード第一号はいざという時の足としてシャンフィにプレゼントするつもりだ。

 

ガデ(さて)ラズザ(まずは)………」

 

 

 

 

 

 

 

 

         ドグ・ヂヂ・ボンデギビジュジュゾ(To Be Continued)………

 

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