【凍結】 突然転生チート最強でnot人間   作:竜人機

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2016.2/21
1話~10話まで一部手直しに付き、差し替えました。

2018.2/25
1話~31まで設定見直しにより一部設定変更+グロンギ語ルビ振りに付き手直し、差し替えました。



07 「魔族、だったのでしょうか? 「アレ」は……」

 

 

 

 

 

 

 

 某日某所のとある一室。

 

「ことは上手く行くのだろうな? 」

 

「数を揃えた程度のゴブリンやオークのみならいざ知らず、苦労してヒートドラゴンまで用意したのです。

 如何に天才だ、姫騎士だと持て囃された方といえども……」

 

 一人掛けの豪奢なソファーに腰掛けた小太りな貴族然とした格好の男の問いに深緑のローブを纏った男が答え、嘲笑を浮べて最後の言葉を濁す。

 

「万が一の時は? 」

 

「御命令を受けた通り、万全を期しました。しくじったところで足など着きません。

 どうかご安心を」

 

 慇懃無礼でどこか人を小馬鹿にした仕草のローブの男に貴族の男、宮廷貴族の筆頭を張る侯爵、ヴェルチ・シュレヒトンはローブの男とその後ろにいる男の手下たち三人に目を向け、色々と使えそうだが「切る」準備はしておいた方が良さそうだと苦い顔を表に出さず、不遜な顔でフンと鼻で笑って男の不敬を流す。

 

 男は宮廷魔導師だ。

 野心多き男で宮廷魔導師長の座を虎視眈々と狙っていた。が、充分な実力がありながら次長にすらなることは叶わなかった。

 現在の宮廷魔導師長はマギアード・ヴァイゼンス。30年近く不動のままその座に着く老魔導師であり、人格者。

 皇国だけでなくグランローア大陸全土でも名の知れ渡る魔導師の一人。

 次長を務めているのはそのヴァイゼンス老に師事しているティシブル・マシアン。

 

 男は宮廷魔導師長の座はまだ仕方ないと、時期ではないと治まりを着けていた。老いて尚盛んを地で行くヴァイゼンス老が務めているのだからと。しかし、だからこそ次長にティシブル・マシアンが就いたことが許せなかった。同期で歳も実力も同じ、いや、才能から言えば己の方が上。

 なのに、ただヴァイゼンス老に師事しているというだけで、ヴァイゼンス老を通して第三皇女と懇意にしているというだけで優遇され次長の座に座っているティシブル・マシアンが許せない。

 

 と男は思っているのだ。そして見当違いな逆恨みで今回の(たばか)りの話に乗ったというわけだ。

 

 手下の男たちも似たり寄ったりな理由でここにいる。

 

 

 ウィータ・レヴェラ・フリキュア。下賎な平民出の第二側妃、マーテル・ルヴェラ・フリキュアを生母に持つ皇位継承権12位の第三皇女。

 皇族の分家である三大公爵家の者よりも継承権の低い平民出の側妃の娘が、国皇を始め皇太子ら他の皇族たちに可愛がられ、その生い立ちから民に慕われているからと良い気になって好き勝手に暴れ回る御転婆姫。

 

 (まつり)ごとには清いだけでは執り行えない。清濁併せ呑まねば立ち行かぬと、人目を(はばか)るような汚れ仕事も必要と考えるシュレヒトン侯爵にとって、城下に忍び出ては清廉潔白を至上とするような青臭く幼い正義を振りかざし、ことあるごとに国のため必要と考える謀りごとを邪魔をしてくる御転婆姫は目の上のコブその物だった。

 

 だから、今回の謀りだ。

 

 成功しても失敗しても自分の足が着くようなヘマはしない。魔族の仕業で終らせる手筈になっている。

 

 成功すれば目の上のコブは取れ、失敗しても御転婆姫への警告となり多少は大人しくできるだろう。そして後はどちらに転んでも対魔族のためという理由から国防や防諜に力を注ぐことが出来る。

 

 水面下ではあるが不穏な動きが見え隠れしているあの国への抑止、もしもの際の備えとなるはず。

 

 

 如何なることであれ小さくとも成果を残し、自分に被害が及ばない、及んでも最小に留めるのがシュレヒトン侯爵の最も得意とすることであった。

 

 

 

 しかし、謀りの失敗が「とんでもない不確定要素」によってもたらされたのには然しもの侯爵も予想だに出来ず、しばし唖然とするハメになったのだった。

 

 

 

    突然の伍『姫騎士の侍女』

 

 

 

 ヒートドラゴンの灼熱の息を凌いだ私達の前に有りえないモノが現れた。突如空から降り立った青みがかった白い甲殻を持つ異形の人型。

 

 

「 ゼ ダ ダ ゾ 、 ザ ぁ ぁ サ ぁ あ  ぁ あ ぁ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ ! ! ! 」

 

 

 天へ上げられた咆哮は辺り一帯の風を揺るがし、その姿は恐ろしく、暖かな日差しもつい先ほどまで灼熱の火に炙られ掛けたことも忘れるほどに身が凍る。

 

「ふつくしい……」

 

「ひ、ひ姫さま!? 」

 

 そんな状況で傍らで呟かれた乳姉妹にして幼馴染み、妹のような親友でもある我が主、フリアヒュルム皇国第3王女ウィータ・レヴェラ・フリキュア殿下、ウィータのありえない言葉に顔を向ければ陶然とあの恐ろしいモノを見つめていた。突然空から降って現れた「アレ」へ目を釘付けにして、その顔に恋する乙女のような表情を湛えて。

 確かにウィータ、この娘は周りから天才と言われるだけあって普通の人とどこか違う感性を持っているところがある。だから時折お忍びで出た城下で道具屋と鍛冶屋のアルとジョンに「チユニィビオー」とかわけのわからない言葉でからかわれている。

 しかしよりもよって今の状況でその感性が発揮されるとは。

 

 幸い私の声に我に返ったウィータは周りを、騎士たちを見やり、自分以外皆が皆、「アレ」を恐れているのを覚り――

 

「退けっ!! 」

 

 ――このままではまずい。そんな表情で声を張り上げた。

 

「退くのだっ!

 「アレ」の狩りの邪魔をしてはならぬッ! 全隊退けぇっ!! 」

 

 あらん限りに声を張りあげるウィータ。今「アレ」に手を出してはならぬと言うように。

 その込めた思いが通じたというわけではないのでしょうが、ウィータの声に我に返った騎士たちは指示に従い後退を始めました。

 

「ギ、ギ、ギギャゲェーー!! 」

 

「ゴ、ギ、ゴゲギャギャギャギャア゛ーーーッ!! 」

 

 そして退いた私たちとは反対にオークとゴブリンたちが恐怖の滲んだ叫びを上げて「アレ」に突き込んで行き、「アレ」は当然の結果とでも言うように、一番近くにいたのであろう一番槍となったオークが放った青銅の棍棒での重い一撃を何の苦もなく無造作に片手で受け止めてみせ――

 

「ジャラザ!! 」

 

 ――片手の掌を巨体のオークへ突き入れ、まるで蹴り飛ばされた蹴り球のようにそれはそれは盛大に打ち飛ばしてみせた。ゴブリンたちを巻き込んで飛ばされたオークは無様に頭から地に落ち、しばし転がってようやく止まったころには身動きなく、息絶えていた。

 

 私もウィータも、騎士たちも呆気に取られた。幾らドラゴンと比べれば小さきものとはいえ、それなりの巨躯であるオークを無造作に片手で突き飛ばし、10メルトほどもの距離を弾き飛ばすなんて、人と変わりない体躯でそれをやってのけるなんて、話に聞いた魔族くらいのもの。

 

 「アレ」は魔族なのだろうか? と、考えが過ぎる。けれども話に聞く魔族は頭に角が、背に皮翼が生えていて肌や目の色が青や赤、白や黒だという以外人間に似た姿形をしていると思い出す。

 

 あれほど恐ろしいモノが魔族ではないのか、それとも新たに生まれた異形の魔族なのか。

 

 ウィータを心配しつつ離れた場所である故に仔細はわからないけれど見極めようと「アレ」を睨みつけるように注視する。

 遠間からゴブリンメイジが錯乱したように叫ぶとヒートドラゴンに向かおうとした「アレ」に向けて魔法を放つ。放たれた魔法はアプルの実くらいの大きさをした石飛礫。中りはしたが「アレ」は堪えた様子はなくただ立ち尽くしている。

 ゴブリンメイジの行動は突然のことだったのか、その周りに居た護衛なのだろう「アレ」の威容に怯えていたゴブリンアーチャー数匹がうろたえていた。

 

「ゲゲギャギャンゲギャーー」

 

 ゴブリンメイジは周りのゴブリンたちを叱咤叱責するように呪文らしき叫びを喚いて杖を振り回し、それに倣うように周りのゴブリンも引け腰になりながら自棄気味に矢を放つが、石飛礫も矢も「アレ」の身体は甲殻に中ると弾かれてむなしく地面を転がっていく。

 

 ゴブリンたちから攻撃を受けても目を向けるだけだった「アレ」は唐突に叫んだ。

 

 

「 ゴ ラ ゲ サ ヅ ヅ ヅ ヅ グ! ! 」

 

 

 風が振るえ、地が揺れたと錯覚するほどの怒気を含んで。

 

 怒り露わに右手をゴブリンたちに向けた次の瞬間、手首の辺りから銀色の針のようなものが飛び出し、獲物へ喰らいつく蛇のように素早く蠢き、ゴブリンメイジの胸を刺し貫き、すぐさま周りのゴブリンたちにも襲い掛かる。

 細い胴は時に鞭のようにしなり打ち据え、時に蛇のように蠢いて巻き付き締め上げ、その鋭く尖った尖端は刺突剣(レイピア)細剣(サーベル)のように紙でも裂くようにゴブリンたちを切り裂き突き刺し、派手に血飛沫を上げさる。しかし銀色のソレは血の一滴が付くことも汚れるもことなく気味の悪いほど美しい銀の輝きを保っている。

 

 頭上で銀色のソレを2回3回と大きく振り回してから横薙ぎに振るうと、その勢いのまま自らもぐるりと素早く一回転し、ゴブリンメイジの攻撃を皮切りに囲う形に集まっていたオークとゴブリンたちを纏めて薙ぎ倒す。殆どが弾き飛ばされ、切っ先に中った者は切り裂かれて身を千切り飛ばし血飛沫を上げた。

 

 ゾッとした。

 

 囲い込んできたオークやゴブリンたちを苦もなく一蹴してみせたことだけではなく、一蹴したオークとゴブリンたちに騎士たちや私たちの姿が重なって見えたせいで。

 ウィータが「アレ」の邪魔をするなと言って騎士たちを退かせた理由がこの時わかった。

 ヒートドラゴンだけでも生き残れるかわからないほどの脅威だというのに、それに加えて「アレ」と敵対したらどれ程に惨たらしい屍を私たちは晒すことになるのか。

 

 考えたくもなかった。

 

 

   グ ル オ ア ア ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ッ ! ! 

 

 

 ヒートドラゴンの咆え声に我に返らさられて顔を上げれば「アレ」とヒートドラゴンの戦いは始まっていた。

 

 ヒートドラゴンが尾を振り上げ、それを「アレ」が跳んで躱し、跳んだことで落下するのみの「アレ」に灼熱のブレスが吐き付けられて…………

 

 ここまでだった、私が詳しく理解できていたのは。

 

 突然「アレ」は炎に巻かれる前に大森林へ吹き飛び。

 

 

「 ず ぁ あ あ あ  ぁ あ  ぁ あ ぁ  あ ぁ あ  ぁ  あ あ あ あ あ あ あ ! !  」

 

 

 森から出てくるなりゴブリンたちに攻撃された以上の怒りを叫びに乗せて、手足から刃を飛び出させた。

 

「ゴラゲゾボソグ! 」

 

 そして何語かわからない言葉でなにごとか言うと前に倒れ込むように地に両手と片膝を突き――

 

 

     ゴ  ッ  !  !

 

 

 ――という音が響いた後には「アレ」の姿は掻き消えていて、私が気付いた時にはヒートドラゴンの背後に居た。その尾を切り飛ばして。

 

 

 尾を切られたヒートドラゴンは血を流す痛みを訴えるように咆えて、「アレ」のいる己の背後へ振り向こうとした瞬間、ヒートドラゴンは頭から血を噴出し、その首は地面に転がり落ちた。

 

 一体なにがどうなってそうなったのかわからず、その時の私は恐々としていたけれど、後で聞いたウィータの言によれば、曰く、ヒートドラゴンの頭を飛び越えざまに何がしかの攻撃を行ない、それが余りにも鋭く素早かったためにヒートドラゴンは殺されたことに気付かず、しばしの間 生きていたのだと。

 

 

 閑話休題

 

 

 ヒートドラゴンを仕留めた「アレ」は驚くことに魔法を使い、仕留めたドラゴンを浮遊させて吊り上げてみせた。若いとはいえドラゴンほどもの大きな物を何の苦もなく易々と。

 あれほどの戦う力を持ちながら、さらにどれほどの魔力を持っているというのだろか。

 

 魔法で吊り上げられたヒートドラゴンからその血がバシャバシャと流れ落ち周りを赤く染め上げていく。

 血生臭い臭いが辺りに立ち込める。何か邪な儀式でも成そうとしているのだろうか? やはり「アレ」は魔族の………

 

 そう思い、「アレ」を恐れと猜疑の目で見つめていたら「アレ」はおもむろに何かを捧げ持つように両手を広げた。一体どんな邪悪なことを引き起こす儀式を始めるのかと私も騎士たちも身構えたが、すぐに肩透かしを受けてしまった。

 

 「アレ」の広げられた両手の間に現れたのは淡く輝く光りの珠。あれは一体なんなのか探る間もなく光りの珠は弾けて辺り一帯に暖かな光りの粒となって降り注ぎ、想像していた物とはまったく正反対の、見惚れるような幻想的な光景。

 

 気付けばドラゴンの血で穢れた辺り一帯の汚れは血生臭い臭い共々に消え、痕跡すらなくなっていた。

 

 一体全体何がしたいのだろうか、「アレ」は。

 辺り一帯を仕留めたドラゴンの血で穢して何か邪な儀式を始めるのかと思えば幻想的な光景を作り出し、その穢れを浄化してみせる。

 

 わけがわからぬまま騎士たち共々警戒しつつ「アレ」を訝しく見つめ注視していたせいだろう、不意に「アレ」と私たちは目が合ってしまった。

 

「…………………………………」

 

 騎士たちが身構えるも「アレ」は無反応。ただこちらをじっと見つめている。

 

 生きた心地がしない。

 

 こちらから打って出ようにも、「アレ」は私たちの目の前でドラゴンを瞬殺してみせた存在で、つい先ほど一蹴されたオークとゴブリンたちの姿が自分たちにしつこく重なってくる。

 杖を握る手が勝手に震え出す。

 

「大丈夫だ」

 

 震える手を包むように添えられた銀の篭手。ひんやりとしているのにどこか温かい、そう感じさせる篭手を身に着けた手の(ぬし)へ顔を向ければ心強い微笑を浮べた幼馴染みの(あるじ)

 

「ウィー………姫さま」

 

「妾たちが手を出して敵対の意を見せぬ限り、「アレ」はこちらに危害を加えたりはせぬ」

 

 なぜ笑顔でそんなに自信満々に言い切れるのか。

 問おうと口を開けるも、声を出すことは叶わなかった。「アレ」が動き、身構えた騎士たちの緊張が高まったせいで。

 

 まぁ、10年来の付き合いで返って来るだろう答えは「女の勘、乙女の直感であるな」などというものだろうことは落ち着いた後になって容易に想像できはしたのだけれど。

 

 ともあれその時はそんな余裕はなく、動き出した「アレ」は離れたところに転がっていたヒートドラゴンの首は人ほどの大きさはある角の一本の根元へ手から伸びるアノ銀色の針のようなもので刺し、切り落としてみせると自らの足元へ引き寄せた。

 

 一体今度は何を始めるというのか。「アレ」は本当にわけがわからない。

 

 角をガリガリと何の道具もなく指で無造作に削りだしたかと思うとこちらの目の前へ放り投げ、慌てる騎士たちを他所に「アレ」は魔法で吊り上げたヒートドラゴンとその尾へあの銀色を絡ませて引っ張るとそのままどこかへと飛び跳ねるように走り去って行ってしまった。

 残ったのは片方の角が根元から折られたヒートドラゴンの首とオークとゴブリンの屍。

 

 そして「何かが刻まれた」らしい折られたヒートドラゴンの角。

 

「行くぞ、フィリア」

 

「え、あ、姫さま!? 」

 

 私含め騎士たち全員が呆気に取られて呆然とする中で一人、普段と変わらぬウィータがヒートドラゴンの角の下へ歩みを進め出す。

 それに気付いた騎士たちが慌てながらもどこか整然と左右に別れて道を作る。

 

 辿り着いたのはやはり、騎士たちの前に放り出されたドラゴンの角の下。

 

「お待ちください、姫殿下!

 なにか恐ろしい呪いが掛けられているやも! 」

 

 触れようと思ったのか、さらに近づこうと一歩踏み出そうとしたウィータへ近くに居た若い騎士がそう言って諌め、角から私たちを庇うように行く手を阻んだ。

 

「そうです姫様。調べるのは我々で行ないます。どうかお下がりください」

 

 若い騎士の言葉を援護するように年長と思われる貫禄の騎士が声を上げる。

 

 確かに得体の知れない「アレ」が手を加えた物だもの、呪いと言わずとも何か恐ろしい意味があるのかもしれない。

 

「さした手間は掛けていなかったのだ、呪いの(たぐい)はないであろう。現にそのような気配もない。

 しかし、そなたらの憂いも分かる。妾が見分するは術士が調べた後としよう」

 

 と、言ったウィータの言葉を聴き付けた術士たちが慌てて前へ出て調べ始める。

 

「手の空いている者たちは散って逝ってしまった者たちの弔いを」

 

 そしてウィータは角を術士たちに任せ、その側から離れると一頻り騎士たちを見回し、一度目を瞑り深く息を吐くと厳かに凛然とそう告げた。

 

 騎士たちはハッと我に返って駆け出すように散り、ことにあたった。

 

 騎士たちを見送ったウィータはその仕事が終わるまでただ静かに目を閉じていた。黙祷を捧げるように。

 

 

 

 そうして結局、「アレ」が残していった角にはウィータの見立て通り、呪いの類は掛けられておらず、ただ「∀‘s」という奇妙な意味の分からぬ模様が刻まれていただけ。

 そしてウィータの指示でヒートドラゴンの首と共に持ち帰ることとなり、首は素材と頭蓋骨の飾りとして国皇陛下に贈られ、その後宮へと魔除けとして飾られた。

 

 人ほどの大きさがあるヒートドラゴンの角はウィータたっての願いで王城は東に位置する離宮、生母である第2側妃、マーテル・ルヴェラ・フリキュア様の宮である暁乃宮のウィータの居室へと飾られた。

 

 

 これが私、フィリア・ピウスの手記に第三皇女襲撃事件と記し、ウィータ・レヴェラ・フリキュア第三皇女のその手記には「∀‘s」事変と記された一連の出来事の序幕であった。

 

 

 

 

 

 

         To Be Continued………

 


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