八咫烏は勘違う (新装版)   作:マスクドライダー

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デュノア社潜入作戦最終話になります。
独自設定とか解釈は多いので、いろいろとグダグダになっております。
まぁ……どうかお手柔らかに。

次話から本格的に夏休み編スタートです。


第57話 デュノア社潜入大作戦!Ⅲ

「フ……ククク……!まさか、初対面の部外者に見透かされるとは困ったものだ。キミは良い目を持っているな、クロノ・トウドウ。」

「お……父さん……?」

 

 アルフレットは静かに息を殺して嗤うと、まるで観念したかのようにソファへと腰かけた。いや、実際のところ観念しているのだろう。確かにこの男は見透かされたと言ったのだから。鷹丸はこれから何か語るだろうと見越して、この場に居る全員の動向を見守った。

 

「キミがどういった要素でこの場に居るのかは知らないし聞かない。ただ……私の前に素顔を晒したその覚悟、それに報いなければならんだろう。」

(へ?いや~……そのぉ、単なる偶然なんですが。)

「そうさ……キミの指摘通りに全ては嘘だ。私はシャルロットの母……私の妻……ジャンヌを愛していたさ。」

「っ!?ほ、本当……なの……?本当の……本当に……?」

「隠そうという気がないのでしたら、全て語ってくれますね?」

 

 アルフレットは黒乃に対して、誇り高き者という印象を抱いていた。自分の立場を鑑みるに、素顔を晒すのは愚行そのものだ。しかし、そんな愚行を何の迷いもなく黒乃は実行して見せた。それら全ては、恐らくシャルロットの友人として貢献するため。その上で自らの本音を見抜かれたならば、もはや話す以外の選択肢は残されていない。

 

「私の妻……と貴方は言いました。しかし、貴方には本妻がいるでしょう。」

「……私はアレを妻と思った事など無い。親同士が互いの利益の為だけに決めた結婚だ。あの女も……私を金蔓程度にしか思っていないだろう。」

「じゃあ、どうして私はあの時……。」

「ああ、あれか……。私が動かす金等々……それがシャルロットに流れる事を恐れたのだろう。泥棒猫の娘と罵る事で、互いの立場という物を確立させた……といったところか。」

 

 鷹丸が質問を投げかけると、観念した事が顕著に表れるかのようにスラスラと回答する。アルフレットが語ったのは、金持ち同士の世界では良く聞くような話だった。では何とも思っていないのならば、どうして自分は叩かれたのかとシャルロットは不思議そうに頬を撫でる。どちらの回答も……どうしようもないとしか思えない。

 

「では、奥様とはどのような出会いを?」

「私は突然に社を継ぐことになってね、結婚に関してもこれとほぼ同時期だ。社長を世襲させていくパターンは良く聞くだろう?現にミスター・近江もそれに該当する。それと同じほどに、社員から七光りだと罵倒されるのも良くある話だ。」

「…………。」

 

 ここで鷹丸が奥様と表現したのは、もちろんジャンヌと呼ばれた女性の事だ。アルフレットにとってその女性が妻と言うのならば、間違いなくそうなのだろう。それを訊ねると、まず自らの身の上から始まった。確かに似た境遇ではあるためか、鷹丸はいつものように僕はあくまで代理ですから……などとおどけてはいられない。

 

「無論会社経営は上手くいかない。あの女が横槍を私の方針に入れてくるのも十分にあったが、まぁ……まず向いてはいないのだろうな。それに加えて陰口の応酬……私の精神は徐々に疲弊していき、一時期は荒れに荒れたものだ。」

「お父さん……。」

 

 その語り口は何処か辛そうで、何処か恥ずかしげだ。自分が暴走していた時期の話を告白せねばならないのだから、それも仕方がないのかも知れない。本人としては嘲笑ってくれればそれで良かったのだが、シャルロットを筆頭に神妙な顔つきを見せる。

 

「あの日も会社帰りにフラリとした街へ繰り出し、ストレス発散と称して酒に溺れたよ。そんな時だ、私が彼女と出会ったのは……。」

「奥様……ですか。」

「そうだ。小汚い酒場には似合いもしない美しく優しいウェイトレスだった。彼女目当てで足げなく通う者も多くてな。いつしか私もその内の1人になっていた……。彼女は、酷く荒れた私の話を親身になって聞いてくれたよ。」

「…………。」

 

 シャルロットは、アルフレットの言葉に亡き母の姿を思い起こしているようだった。知らず知らずの間に、その目じりには密かに涙があふれる。我慢する性質にあるシャルロットは、まだ泣くべきところでは無いと自分に言い聞かせ、父の語りに耳を傾けた。

 

「その時は既に戸籍上ではあの女と夫婦だったが、私はそんな事に気が向かない。本気で結婚したいと思える女性だったのでな。根気よく彼女にアプローチをかけ、いつしかその想いは恵まれた。……あの女と夫婦である事実は隠したままな。」

 

 ジャンヌを語る際の表情は、昔を懐かしかのようなものだった。……が、徐々にそれは悔恨の念が宿るかのように変貌していく。鷹丸は、アルフレットが僅かに歯噛みしているのを見逃さなかった。真剣な分その目は開かれていたが、静かに閉じずにはいられない。

 

「あの時の私はまだ若かった……。年齢は勿論、考えもな。効率的にあの女と縁を切る方法を考え、私が思いついたのは……既成事実くらいの事だ。あの女の他に子を作ってしまえば、双方の両親も口は出せんだろう……とな。」

「…………。」

「私はジャンヌを騙した。私の親がキミとの結婚に反対している、子を作ってしまえば誰も口出しできんだろう……とな。」

「嘘は言っていませんよ。」

「ハハハ……キミならそれで押し通しそうだな、ミスター・近江。しかし、既に妻が居る事を話さなかった時点で何を言っても無駄さ。ジャンヌは……私が何か隠していたのは察していたろう。それでも私の意見に賛同してくれたのは、それでも私と一緒に居たいと思ってくれたのか……果たして。もはや真相を知る由もない。」

 

 それまで質問以外で沈黙を貫いた鷹丸だったが、ついそんな言葉を口にしてしまった。確かに嘘は言っていないが、嘘である事も確か。アルフレットの言葉を的確に解釈するならば、そのような表現が最も正しい。本人も一応は頭の片隅にはそんな考えもあるらしく、少し笑みをこぼした。相変わらず自嘲するかのようだが。

 

「それでジャンヌとの夜を過ごしたわけだが、そこから全てが終わったとも言って良い。」

「全部……?」

「私の動向は、あの女の親に探られていたようだ。ある日呼び出されてこう言われた。」

「キミもまだ若い、このような事もあってはおかしくない。だが、立場という物がある。私が何を言いたいか解るね?……といったところでしょうか。」

 

 鷹丸の紡いだ言葉に、アルフレットは無言で頷き同意した。つまり、この1件は無かった事にする。……が、今後ジャンヌとの接触は一切認められない。要約するとこんなところか。それは間違えようのない脅し……。コレを破れば、ジャンヌの身が危ない。アルフレットは……そう考えた。

 

「だからこそ私は、ジャンヌの為に嫌われる努力をしたよ。さも私がジャンヌを捨てるような演出でな。それから一切、ジャンヌの事が耳に入って来る事はなかった……。重い病を患った事さえも……。私とジャンヌの間に、子が出来ている事もな。」

「それが……私……?でも待ってよ!お父さんがお母さんを愛していたのは解ったけど、けど……私は……!」

「……シャルロット、私は娘が居ると知り……守ろうと思ったよ、今度こそな。」

「……!?信じられない……!今までの冷たい態度は!?お母さんを愛していたなら私にだって―――」

(マイエンジェ……いや、シャル。ちょっと落ち着こうか。)

 

 シャルロット・デュノアとは心の優しい少女だ。IS学園にて結果的に一夏を騙したことに対して、相当な後ろめたさを感じていたのがその証拠だろう。今のシャルロットは、何処からしくない。混乱するなと言う方がおかしい状況ではある。シャルロットが父親に抱くイメージは、狡猾で冷淡な男という物だからだ。

 

 しかし、ジャンヌは愛していても自分は愛されてない。シャルロットのそんな考えを、第3者であるからこそ黒乃は真っ向から否定する。アルフレットを知らないからこそ、黒乃は絶対に嘘をついている様には見えなかった。シャルロットの肩を掴んだ黒乃は、ジイッとその瞳を見つめた。

 

「…………っ。ごめん、まだ何も聞いてないのに否定はダメだよね。ありがとう、黒乃。お父さん、ごめんなさい。」

「フッ……私に対して謝るか。そう言うところも見た目も、お前はまるでジャンヌの生き写しだ。初見は思わず飛び付くところだった。」

「私とお母さん、似てる?そっか……嬉しい。」

「……話を戻そう。守ろうと思ったからこそ、私はジャンヌの時と同じく嫌われる努力をした。残念ながら私では、お前を幸せにしてやることはできん。……あの女に縛られている限りはな。」

 

 黒乃の行為で落ち着きを取り戻したのか、シャルロットは自分がどうかしていたと省みる。本来ならばまず責められるべきはアルフレットだ。それなのに娘は自分に対してあろうことか謝罪を述べてきた。その姿勢は、アルフレットにジャンヌの幻影を映させる。

 

「……なるほど。貴方の形だけの奥さんは、デュノアさんの事を知らなかった。となると、ご両親はその事実を本当に自分を心の内に留めていたわけだ。だからこそ財産がデュノアさんの手に渡る事を恐れ、取り乱すような態度で接した……。」

「その通りだ。あの女に、私がどうとも思っていない女との間にできた子だと印象付ける必要がどうしてもあった。シャルロットを道具のように扱う……という体で、日本に送るにはな。」

「そ、それって……どういう意味なの……?」

「あの女は、最悪お前の暗殺を試みる。長い事あの女を見てきて、まずそれは間違いない。そんな事はさせてたまるかと思った。ジャンヌの子は守らねばと思った。するとどうだ、日本で男性IS操縦者が見つかったと言うではないか。」

 

 物静かな雰囲気を纏っているアルフレットではあるが、冷淡だなんて事は無い。困っている者がいれば救済の努力はするし、それに見返りも求めない。だがそんな温情こそが邪魔だった。そう……シャルロットを守るためには。本人は自分が殺されるかも知れなかったと言う事実に、驚愕を抑えきれない。

 

「そこで私は思いついた。IS学園にスパイ行為と広告塔という名目の任務を与え、日本へ送る事が出来たのならば……とな。」

「ああ……デュノアさんの正体がバレる事は想定内だったんですね。」

「え、えぇ!?そうなのお父さん……?」

「……その通りだ。ジャンヌの生き写しならば、そう長く嘘はつけまいと思っていたのでな。いずれ正体が発覚し、どうにか日本で保護されれば私はそれで良かったんだ。いや、むしろ私から切り離すような運びにするつもりだった。この役立たずめ、お前など二度と私の元へは戻って来るな……と。」

 

 本末転倒にも程がある。アルフレットはそう言いながら大きくソファに体重を預けた。鷹丸としてはそこが違和感ありありだったのだ。例え数回しか会った事が無いとはいえ、シャルロットがそういった行為に向いていない事なんて一目瞭然。まさかそんな真意が隠されているとは思うまい。

 

「じゃあ……話してくれれば良かったのに……。」

「……ジャンヌを死なせた私に、お前の父を名乗る資格なんてものはない。」

「それは違うよ!お母さんの事を少しでも後ろめたく思っているのなら……逃げないで!」

「シャルロット……。」

「私もお父さんから逃げたかった……。ホントはこんな所に戻って来たくは無かった!けど、逃げなかったから……お父さんの本心を知れた!だからお父さんも逃げないでよぉ……!私から……お母さんから、逃げないで!」

 

 シャルロットの呟きに、グッと手に力を込めながらアルフレットは返した。父の本心は知れたから、後は逆に自分の想いを知ってもらうべき時だ。シャルロットは今にも泣きそうな表情で、声色で、必死にアルフレットへ訴えかける。アルフレットは、水に打たれた表情を見せた後……ゆっくりと立ち上がった。

 

「私は結局……何も成長していなかったようだな。ジャンヌの想いを裏切ったあの時から……。」

「お父さん……。」

「嫌われる事でしか、遠ざける事でしか……救済の道は無いと思い込んで……自己満足に過ぎない。立場も何もかも捨てて、ジャンヌと共にあればよかったんだ……!ジャンヌの遺した我が娘に、思い切り甘えさせてやればそれでよかったというのに……!」

「お……とう……さん……。」

「シャルロット……此処まで聞いて解ったろうが、私は恐ろしく不器用でどうしようもない男だ。だが、ジャンヌとお前を愛している事だけは確かなんだ。今までのジャンヌとシャルロットへの仕打ち、許してくれなどと都合のいい事は言わん。だからこそこれからは、偽りなき愛をお前へ捧げようと思う。どうか……信じてくれ。」

「おとうさん……!おとうさああああん!」

 

 ゆっくりと、着実に、アルフレットはシャルロットへと近づいて行く。黒乃と鷹丸の両名は、とにかく無言でそれを見守った。そしてアルフレットも少しだけ表情を歪ませながら、嘘偽りのない言葉を送る。それでシャルロットは限界だったようで……大声で鳴きながら父へと抱き着いた。

 

「フ……フフフ……。こんな私でも、まだお父さんと呼んでくれるのか……。ありがとう……ありがとうシャルロット……。私はお前を愛しているぞ……。」

「お父さぁん!うぅ……!」

(あぁぁぁ……えぇ……えぇ話しやぁ……!)

 

 アルフレットは静かに、そしてシャルロットは大声で泣きわめいた。感動の親子の和解のシーンを前に、黒乃は何故だか関西弁で感動の言葉を内心呟く。それが表に出ないところが救いといったところだろう……。やがてデュノア親子は、互いの身体から離れ……どうにも照れくさそうだ。

 

「しかし、これから現状をどう打破するおつもりで?」

「あの女の事か?何、どうにかして見せるさ。今後は近江重工の手も借りられるだろうしな。」

「あ、潜入したのを盾に強請る気ですね。まったく悪い人だ。」

「フッ、キミには言われたくないよ……ミスター・近江。」

 

 確かにアルフレットはあの女に縛られていては未来が無いと言った。しかし、今の……憑き物が落ちたアルフレットならば何も問題は無いはずだ。むしろ毒婦の裏をかく事もできるはず。その辺りで2人は気でも合うのか、互いを認め合うかのような笑みを浮かべた。

 

「シャルロット、いずれ私の娘として共に暮らそう。その為にはいろいろと準備が必要だ。……解かるな?」

「勿論……。でも約束だよ?早くしてくれないと、私拗ねちゃうから。」

「……似たような台詞をジャンヌに言われた事があるよ。……さて、キミ達は急いで出た方が良い。何とか私が誤魔化そう。」

「解りました。本当に申し訳ありません。期待させるようなまねをした事をお詫びします。」

「いや、それももはや終わった事だ。本来は私の力でどうにかすべき事だからな。……シャルロット。」

「うん?」

「また会おう。」

「……うん!」

 

 シャルロットのどこかあざとい言動は、もしかするとジャンヌからの遺伝なのかも知れない。なんだか早くも手玉に取られている気がしたアルフレットは、どう反応して良いか困った様子だ。とにかく、和解は成立したのだ。お互いにこれ以上は何も求めまい。そうして潜入劇は、親子の再会の誓いで幕を下ろした……。

 

 

 

 

 

 

「―――ったく何考えてんだよ!素顔晒して社長室に突入とか……。シャルの親父さんが良い人だったから、結果的に良かったものの……!」

「本当デース……。ワタシの人生……終わったかと思いましタ。」

(い、いや~……本当面目ない。この通りだからさ……!)

「ま、まぁまぁ……。黒乃の思い切った行動のおかげで、お父さんが本心を話してくれたってのもあるし……。」

 

 作戦を終えて、黒乃達は空港に戻って来ていた。結局のところ一夏とエヴァは一足早く撤収せざるを得なかったので、空港で合流するなり待っていたのは尋問だった。何があったかをかいつまんで話すと、一夏は頭を押さえながら小言を呟く。エヴァに関しては疲れ切った表情だ。

 

「まぁ……終わりよければ全てよシ。そう言うのもまた確かデス。」

「そうですね……。とにかく、皆無事でよかった。」

(うぅ……本当にごめんって!)

「まぁまぁ、そんなにペコペコしてたって何も変わらないでしょ。キミ達は先に飛行機へ乗っててよ。僕はエヴァさんと報酬の事とかで話があるからさ。」

 

 今回の件に関しては、本当に自分1人のミスでは済まないところだった。かなり責任は感じているらしく、黒乃は何度も何度も頭を下げる。しかし、それを鷹丸は止めさせる。一夏もエヴァもシャルロットも、黒乃が心配だったからこその説教だ。全員が鷹丸の言葉に同意すると、ようやく頭を下げるのを止めた。

 

 そして、続いての言葉にも同意した。大人の世界と言うかなんというか、リアルな金のやり取りなどまだ目の当たりにしない方が3人の為だろう。自家用機のチャーターでフランスまで来ているため、手続きだとかは易い。フランス出身であるシャルロットを先頭に、3人は搭乗口へと消えていく。

 

「じゃあ、約束の額は……どの口座が良いですか?やっぱりスイス銀行かベタで―――」

「その話しですが鷹丸サン。ワタシ、報酬必要ないデス。ホントはたんまり貰うつもりでしたけどネー。」

「……その心は?」

「おかげで仕事1つ終わりましタ。そのお礼みたいなものですヨ。」

 

 エヴァは特に金に執着があるわけではない。金の為に生きるのではなく、生きる為の金。……と言うのが彼女の信条である。とはいえ、タダ働きなどまっぴらごめんと思っているのも確かだ。今回のように、世界の治安維持と関係のない仕事は尚のこと……。

 

「ぶっちゃけますが、ワタシ黒乃サンの監視命じられてましタ。」

「なるほどねぇ。そういう事でしたか……。」

「結果……警戒する必要なし。そう報告するつもりデス。……普通の人間、自分の立場危うい思ってあんな大胆な事できませン。ましてや、友達なんていうあくまで他人の域を出ない人の為二。」

 

 実際に目の当たりにしていないから想像でしかないわけだが、エヴァはまず間違いなく躊躇なしに素顔を見せたのだと推測していた。人は場合によって簡単に肉親でも裏切れる。それにも関わらず、黒乃は自らの立場を顧みずに友人を救って見せた。

 

「まぁワタシ達に迷惑かかるのも配慮するべきでしょうが……この際だからそれは言わないでおきマス。」

「……友人の為に己を犠牲にした黒乃ちゃんは―――」

「危険性なしデス。これで危険人物と言ったらワタシ鬼の類ですヨ。」

「そうですか……ありがとうございます。」

「いえいえ、誇り高い黒乃サンの行動あってデス。それでは鷹丸サン、ワタシもう消えます。あの子達とはもう二度と会わないでしょうが、よろしく伝えておいてくれると嬉しいデス。」

「ええ、また会いましょう。そしてさようなら、エヴァ・マルタンさん。」

 

 黒乃に危険性はない。そう言いながらエヴァは背を見せ歩き出した。彼女の行く先は鷹丸も知らないが、1つだけ解る事がある。『エヴァ・マルタン』とは、もう会う事は無いと言う事。だからこそ鷹丸はさようならと言ったのだ。エヴァは人混みにわざと紛れるように歩き、片手を高く突き上げプラプラと左右に振った。

 

 そうしてエヴァの腕が引っ込み、人混みが消えると……同じくエヴァの姿ももう見えなくなっていた。間違いなくエヴァと友人関係である鷹丸は、一抹の寂しさを感じながらも3人を追って搭乗口へと向かう。鷹丸は知らない。その背が見えなくなるまで、エヴァ・マルタンだった女性がその姿を見守っていた事を……。

 

「オル・ヴォワール……ってね。」

 

 

 




黒乃→うん、だから素顔を晒したのは偶然でして……。
エヴァ→誇り高き彼女は、警戒する必要なし……と。

金髪でフランス人って言われるとジャンヌしか思いつきませんでした。
おかげでシャルロットの母親像が完全にFateのジャンヌに……。
凄くどうでも良いですが、三つ編みよりストレートのジャンヌが好きです。
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