どうしてこうなった? 異伝編   作:とんぱ
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ダイの大冒険 第十二話

 アバン達は順調にバーンパレスを攻略していた。道中に敵の姿はなく、そしてトラップも全てアバンが見抜いて無力化する。順調だ。順調過ぎると言ってもいい。

 だからこそ、アバン達は不安に思った。敵の本拠地でありながら襲撃がなく、そして一直線に進む一本道しか存在しない通路。それはすなわち――

 

「そこまでだ」

『!?』

 

 すなわち、絶対的に信頼のおける強者が守りについている証ということだ。

 そう、大魔王バーンの最大にして最高の側近。太古からバーンをただの1人で守り通してきた最強の存在。ミストバーンである。

 

「とうとう出やがったな……!」

 

 ミストバーン。前回の戦いにおける最大の難敵。ミストバーンがいなければ、打倒バーンは成っていただろう。

 ダイも、ラーハルトも、バランも。全てがミストバーンによって阻まれた。どんな攻撃も受け付けない無敵の存在。そんな化け物に勝てる道理があるわけがない。

 だが今は違う。あらゆる物質を消滅させる呪文メドローアを覚えたポップならば、ミストバーンを倒す事は可能なはず。自身に集まる期待に緊張するポップだが、ここで外す訳にはいかないと気合を入れる。

 

「てめぇ1人かよ! 大した自信だなおい!」

「ふ……お前達如き私1人で十分。この無敵の肉体にダメージを与える事など出来るわけがあるまい」

 

 そう言いながら、ミストバーンは闇の衣を剥ぎ取った。口ではアバン達を蔑んでいるが、真の力を解放せずに勝ち目はないとその力を認めているようだ。

 

「へっ! 吠え面かかせてやるぜ!」

 

 姿を現したミストバーンの力を感じつつも、そのプレッシャーに負けじと強がりを見せるポップ。そんなポップを見て、ミストバーンはバーンの危惧が当たっていたと感じ取る。

 無敵の肉体を持つ自分に対し、何らかの対抗手段を講じている。だからこその強がりなのだと悟ったのだ。あのアバンが何の対策もせずに勝算なく挑むはずがない。バーンのその危惧は的中していたという訳だ。

 だが、その方法ばかりはミストバーンも分からない。だからこそ、今のミストバーンから油断という文字は消えた。余裕や慢心も見せずに、確実に敵を排除するつもりだった。

 

 それを感じ取ったのか、メタルンが前に進み出て、ミストバーンと対峙する。

 

「ピギギィ!」

「油断するなよポップ。今のこいつは危険だ。僅かでもミストバーンから目を逸らせば、その瞬間に命を失うと思え! と言っているよ」

「お、おう……!」

 

 メタルンの言葉に一瞬戸惑うが、ポップはすぐにミストバーンへと意識を集中させた。

 そうだ。敵は無敵の肉体を持つだけじゃない。圧倒的な力でダイを戦闘不能に落とし入れ、あの竜魔人とも互角以上に戦える存在なのだ。油断でもしようものならメドローアを撃つ前に殺されるだろう。

 ポップが意識を切り替えたのを確認したメタルンは、そのままミストバーンへと更に近付いていく。

 

「ほう……貴様が私と戦うつもりか?」

「ピギィ。ピギギィ?」

「無敵の肉体とやらに興味があってね。少しばかり試させてくれないかな? と言っているよ」

 

 ダイの通訳を聞いたミストバーンは面白いと呟く。このバグメタルキングは予測不可能な未知の存在だ。その力は暴いておくに越した事はない。

 それに、いかに存在が不可思議なメタルキングといえども、この無敵の肉体に敵うはずもない。ダメージは受けず、こちらの圧倒的な力はメタルキングといえども粉砕する事が可能だ。ならば、注意をするのはあの魔法使いの少年だけだった。

 そう、ミストバーンはポップが危険だと気付いていた。アバン達が何らかの対抗手段を講じていると注意しながら観察した事で、連中がポップにさりげない視線を送っているのを察知したのだ。

 無敵の肉体に対する何らかの手段をあの魔法使いの少年が有している。その可能性は非常に高いと言えた。そして、もう1人注意すべき存在であるアバンに関しては、ミストバーンが注意を向ける必要はない。何故なら、アバンが何かをする前に、もしくは何かをしようとした瞬間、死神の鎌がアバンの命を刈り取っているからだ。

 自分が激しい戦いを繰り広げれば、それだけアバン達の注意は自身に向き、キルバーンがアバンを暗殺する機会が増えるというもの。ならば、ここでこのバグメタルキングが挑んでくるのは寧ろ好都合と言えた。

 

「いいだろう。いいかげんスライム風情に場を荒らされるのも鬱陶しかったところだ。ここで粉々に粉砕してやろう!」

「ピギィ! ピギィギィ!」

「やってみるといい! 出来るものならばな! と言っているよ」

 

 ここから先はシリアスが崩れるのを防ぐ為、予めメタルンの言葉を翻訳してお送りいたします。

 

 

 

「いくぞ!」

「むぅ!?」

 

 先手を取ったのはメタルンだ。ラーハルトを更に上回るスピードで一瞬にしてミストバーンに肉薄し、そして後ろに回り込んだ。

 間近で初めて経験したメタルンのスピードにミストバーンは反応しきれず、敢え無く背後を取られてしまう。そして、そのままメタルンの先制攻撃が命中した。

 

 メタルンのこうげき!

 ミス! ミストバーンにダメージをあたえられない!

 

 だが、というべきか。やはり、というべきか。メタルンの攻撃はミストバーンにダメージを与えるには至らなかった。

 メタルンの攻撃力は竜魔人バランに匹敵する。いや、闘気の量はメタルンが圧倒しており、籠められた闘気によってはメタルンの攻撃力の方が高くなるだろう。それでも、ミストバーンはメタルンの体当たりに吹き飛ばされはすれど、ダメージを受けた様子は欠片もなかった。

 

「む?」

「ふ、攻撃は無意味だと理解出来たか? ならばここで砕け散れ!」

 

 吹き飛ばされたミストバーンは体勢を立て直し、そして反撃の一撃を放つ。ミストバーンの攻撃力もまた、竜魔人バランに匹敵ないし凌駕している。例えメタルキングだろうと、当たれば粉砕する事は可能だろう。

 

 ミストバーンのこうげき!

 ミス! メタルンはすばやくみをかわした!

 

 だが、というべきか。やはり、というべきか。ミストバーンの攻撃はメタルンに掠りさえしなかった。

 例え当たればダメージを受けるのは必至だとしても、当たりさえしなければどうという事はない。あのバランでさえ幾度となくメタルンと戦った経験の中、メタルンにダメージを与えたのは一番最初の戦いだけなのだ。

 肉体のスペックはバランよりもミストバーンが上だが、戦闘の経験はバランが圧倒しているだろう。そのバランが当てる事も出来ないメタルンに対し、ミストバーンがダメージを与えるのは至難の業だろう。

 

「当たらなければどうという事はない」

「ならば、当たるまで攻撃してやろう!」

 

 そう言い放ち、ミストバーンはメタルンに怒涛の連撃を放つ。

 ミストバーンの言葉は正しい。無敵とは文字通りどんな攻撃だろうとも傷一つつかず、倒す事が不可能な事を意味する。一方メタルンは圧倒的な回避力であらゆる攻撃を避ける事が可能だが、どれだけ回避が巧みだろうと当たりさえすればダメージを受けるのは言うまでもない。並の攻撃ならばメタルボディに掠り傷一つ付ける事も出来ないが、ミストバーンの肉体の力ならばメタルボディを貫く事も十分に可能だ。

 千の攻撃を繰り出そうと、万の攻撃を繰り出そうと、ミストバーンに疲労もダメージもない。ならば、当たるまで攻撃し続ければいいだけの話だ。

 

 当然メタルンも黙ってミストバーンに好き勝手させるつもりはない。攻撃を回避しつつ、メタルンもミストバーンに反撃を加える。無敵というが、それがどこまで真実かは自分で確かめない限り納得は出来ない。確認の意味も籠めた攻撃であった。

 そうして、無敵と不可触による攻撃の応酬が開始された。

 

 メタルンのこうげき!

 ミス! ミストバーンにダメージをあたえられない!

 

 ミストバーンのこうげき!

 ミス! メタルンはダメージをうけなかった!

 

 メタルンのこうげき!

 ミス! ミストバーンにダメージをあたえられない!

 

 メタルンはベギラマをとなえた!

 ミス! ミストバーンにダメージをあたえられない!

 

 ミストバーンのこうげき!

 ミス! メタルンはすばやくみをかわした!

 

 メタルンのこうげき!

 メタルンのぜんしんがひかりかがやく! メタルンは闘気砲をはなった!

 ミストバーンのフェニックスウイング! 闘気砲をはねかえした!

 ミス! メタルンはすばやくみをかわした!

 

 ミストバーンのこうげき!

 メタルンのうけながし! ミストバーンにこうげきがはねかえる!

 ミス! ミストバーンにダメージをあたえられない!

 

 キルバーンのあんさつ!

 とつじょとしてくうかんがゆがみ、キルバーンがあらわれた! キルバーンがアバンにおそいかかる!

 メタルンのインターセプト! メタルンのこうげき! メタルンは闘気砲をはなった!

 キルバーンに334のダメージ! キルバーンをたおした!

 

 ミストバーンのこうげき!

 メタルンのかいてん! ミストバーンのこうげきをはじいた!

 ミス! メタルンはダメージをうけなかった!

 

 メタルンの――

 ミス――

 

 ミストバーンの――

 ミス――

 

 メタルンの――

 ミス――

 

 メタルンの――

 ミス――

 

 メタルンの――

 ミス――

 

 ミストバーンの――

 ミス――

 

 メタルンの――

 ミス――

 

 場内の皆様に申し上げます。ただいまの勝負は引き分けといたします。なお、賭け金はお返ししますので、またの勝負をお楽しみください。

 

 

 

「ええいちょこまかと!」

「ピギィ?」

「当たらんなぁ? と言っているよ」

 

 あらゆる攻撃をひらりひらりと避けるメタルンに語気を荒げるミストバーン。そしてそれを煽るメタルンに、律儀に通訳するダイ。壊れるシリアス。

 勝負はぐだぐだのままに進んでいた。互いに決め手がなく、決着は見えそうになかった。

 

「いや待て待て待て! さらっと流してるけど、お仲間がやられてるぞおい!?」

「なに? ……き、キル!?」

「気付いてなかったのかよ!」

 

 ポップのツッコミにようやくキルバーンが倒れている事に気付くミストバーン。どうやらメタルンを倒す事に集中し過ぎていた為に、キルバーンが倒れた事に気付かなかったようだ。

 キルバーンはメタルンとミストバーンが凄まじい戦闘を繰り広げているのを目晦ましに利用し、二人の戦いに集中しているアバンを暗殺しようとしていたのだ。

 だが、その程度の気配を察知出来ないメタルンではない。ミストバーンは全神経を集中させてメタルンを捉えようとしていたが、メタルンにとっては準備運動のような戦闘だ。周囲に気を配り、キルバーンの殺気を察知するなど訳はなかった。

 そして、キルバーンがアバンの背後に現れた瞬間、キルバーンに向けて背中から闘気砲を放つ。全身の至る所から闘気を放出出来るメタルンにとって、背中から闘気を放出する事も、気配だけを頼りに敵のみを攻撃する事も容易い。戦いの年季が違うのだ。

 哀れ、キルバーンは登場した瞬間に退場するのであった。

 

「馬鹿な……! あのキルが……!」

「……ピギィ」

「……おかしいな。と言っているよ。どうしたのメタルン?」

 

 何やら疑問を抱いてそうなメタルンにダイが心配そうに話し掛ける。だが、それに対してメタルンは何の反応も見せず、じっとキルバーンを見つめ続けていた。

 

 ――死んでいる? 生命エネルギーは感じられない……だが、どこか違和感を感じる――

 

 メタルンはキルバーンの遺体を見て違和感を感じていた。最初の違和感は死んでいた事だ。確かに闘気砲で迎撃はしたが、それは迎撃を重視するあまり、威力は然程でもない一撃だった。初期のハドラーでさえ死なない程度の攻撃と言えばいいだろうか。

 その程度の攻撃で大魔王の側近とやらが倒されるだろうか? だが、キルバーンの体から生命エネルギーは感じられない。確実に死んでいるように見える。

 まるで最初から死んでいたような……。いや、最初から生きていなかったような、そんな違和感をメタルンは感じ始めた。もしメタルンがキルバーンが動いている様を一目でも見ていれば、その違和感の正体に気付いていただろう。だが、一目見る前に倒してしまった為にそれも叶わない。

 メタルンは感じた違和感を調べるべくキルバーンに近付こうとする。だが、そこに新たな闖入者が現れた。

 

「う、うわぁぁ! キルバーン!」

 

 キルバーンの使い魔であるピロロという名の小悪魔だ。主がやられた事に動揺したのか、慌ててキルバーンに駆け寄り、そして死んでいる事を確認して肩を落とす素振りを見せる。

 そしてアバン達を睨みつけ、その怒りを吐き出した。

 

「よ、よくもキルバーンを!」

「いや、こっちを暗殺しようとしといてそれはないだろ?」

 

 全くの正論を返すポップ。殺しに来ていながら殺されて怒るなど、逆恨みもいいとこである。

 

「ひぃ!」

 

 だが、力弱いピロロはポップの何気ない返しすら脅しと感じたのか、恐怖の声を上げながらリリルーラで逃げ去っていった。……キルバーンの遺体と一緒に。

 

「……」

 

 その行動に更に違和感を感じるメタルン。怒りの感情は確かにあったが、どこか真に迫っていなかった様に見えたのだ。

 だが、リリルーラで移動されては追いかけるのも困難だ。それに、この状況を放り出して行くわけにもいかないだろう。

 

「……まあ良い。キルが倒れようと、私一人いればバーン様をお守りする事は容易い」

 

 その言葉にキルバーンが死んだ事への悲しみは含まれていなかった。それが更にメタルンの違和感を加速させるが、まあ今更なので心の隅に留めておくだけにした。

 

「おいメタルン! どうにかしてミストバーンの動きを止めてくれ!」

 

 そうすればメドローアで倒す事が出来る。その言葉だけは呑み込みつつ、ポップはメタルンにミストバーンの動きを封じる様に頼み込む。

 これまでにもポップはミストバーンにメドローアを命中させる機会を見極めようと、メタルンとミストバーンの戦いを観察していた。結論は一つだ。速過ぎて当てられない。これに尽きる。

 メタルンは言わずもなが、ミストバーンの動きもメタルンに対抗すべく速度に重きを置かれていた。そのため、ポップではミストバーンのみにメドローアを命中させる事が極めて困難だった。下手にメドローアを放ったところでミストバーンに避けられるばかりか、動き回っているメタルンに命中する可能性もあるのだ。その可能性がある限り、気軽に放てるものではないだろう。

 

「ふ、動きを止めさえすれば、お前が私を倒す事が出来るのか?」

 

 ミストバーンはポップを煽るように言葉を放つ。だがそれは煽りではなく、確認の意味を籠めた言葉だった。

 

 ――やはりこの魔法使いは油断出来んな。だが、私への対抗手段が呪文ならば――

 

 仮に無敵の肉体に効果を及ぼす呪文だろうと、この身体はそれすら防ぐ対処法を有している。

 それが先程メタルンとの戦いで使われた技、フェニックスウイングである。ミストバーンの強靭な肉体だからこそ可能な超高速の掌撃だ。そのあまりの速度と威力に、あらゆる呪文を弾き、強力な攻撃すら防ぐという凄まじい防御技である。この技を用いてミストバーンはメタルンの闘気砲を弾き返したのだ。

 本来は使用すら禁じられている技だが、今は有事として全力を許されている。このバグメタルキングを倒す為に使ったとしても何も問題はなかった。

 

 そう、フェニックスウイングならばあらゆる呪文を弾く事が出来る。それは物質を消滅させる呪文であるメドローアも例外ではない。つまり、まだアバン達の誰も気付いていない事だが、メドローアはミストバーンには通用しないのだ。

 フェニックスウイングを使用出来ない状況を作り出せば話は別だが、そこまで追い込むにはメタルンの協力は必要不可欠。そして、その状況ならばメタルンにメドローアが命中する可能性は更に上がるだろう。そうなった時、果たしてポップがメドローアを放つ事が出来るだろうか。

 メタルンなら当たらないだろ、と軽く放つかもしれないが。

 

「くっ……!」

 

 ミストバーンの言葉にポップがうろたえる。ただの挑発の言葉ではないとポップも気付いているのだ。

 恐らく自分は警戒されている。このままではメドローアを当てる事が出来ないかもしれない。どうすれば。

 ポップがそう悩んでいる所で、ハドラーが楽しげにメタルンへと言葉を放った。

 

「おいメタルン。どうやらお前でもミストバーンは倒せんようだな? オレが代わってやろうか?」

「ピギィ!」

「ちょい待って! あと一つだけ試すから! と言っているよ」

 

 試す。その言葉の通り、メタルンは色々と試していた。無敵のミストバーンに本当にダメージを与える事は出来ないのか? それを検証しているのだ。

 通常攻撃は無駄だった。闘気による強化も、呪文も、闘気砲も無意味。恐らく単純な攻撃ではどれだけ威力を高めても無駄だろう。

 関節攻撃も無駄だった。この身体で合気柔術の真髄を発揮出来るよう必死で修行したのだが、どれだけ関節を極めても、関節を外そうとしても、全く無意味だった。関節は動いているのに外す事は出来ないなんて理不尽極まると、理不尽の塊であるメタルンは憤慨する。

 

「まあいいがな。くくく。貴様でも倒せん敵がいると思うと胸がすく思いだ」

「ピギィ!!」

「あと一つ試したい事があるって言ってるだろ! 後で覚えておけよハドラー! と言っているよ」

 

 ハドラーの言い草にプルプルと身体を震わせて怒りを表現するメタルン。それを見て理解出来ているのはメタルンと長く暮らしているバラン一家やデルムリン島のモンスター、そして非常に濃い修行時間を過ごしたハドラー達くらいだが。

 

「愚かな……。何をしようとも無駄な事だ」

「ピギギィ」

「無駄な足掻きは嫌いじゃないんだ。と言っているよ」

 

 ニヒルなスライムスマイルでそう返しつつ、メタルンはミストバーンとの戦闘を再開する。

 

「!?」

 

 闘気の放出をブーストに利用したメタルンの接近は、今までとは比べ物にならない速度を出していた。その速度の差に面食らったミストバーンはメタルンの攻撃をまともに受けてしまう。

 だが、どんな攻撃だろうと意味はない。そう信じているミストバーンは徒労ばかりを繰り返すメタルンを嘲笑う。そして――その口から苦痛の声が漏れ出た。

 

「がはぁっ!?」

「なっ!?」

「み、ミストバーンが!?」

『ダメージを受けた!?』

 

 メタルンの攻撃を受けたミストバーンの反応に誰もが驚愕の声を上げた。当然だ。今までどんな攻撃も無意味だったのだ。メドローア以外の攻略法などないと誰もが思っていた。だと言うのに、無敵のミストバーンが苦痛の声を上げたのだ。

 

「馬鹿な……!」

 

 天魔の塔の更に上。己の居城にてこの戦いを観ていたバーンも信じがたい思いだった。凍れる時間の秘法を破る事は出来ないはずだ。少なくとも、ただの体当たりなどでは絶対に不可能だろう。それが何故? 何故ミストバーンはダメージを受けたのか。

 

「ピギィ……」

「やはりな……と言っているよ。メタルン! 何をしたのさ!?」

 

 通訳をするダイも興奮して声を荒げていた。一体メタルンはミストバーンに何をしたというのか。その答えをメタルンは律儀に説明した。

 

「ピギギィ。ピギィピギィ」

「ミストバーンは今の姿を現す前は光の闘気でダメージを受けたと言っていたよね。そして、時間の止まった肉体を操っている。そこからこいつの正体を推測したんだ――」

 

 そう、メタルンはバランから助っ人を頼まれた時にミストバーンについて説明を受けていた。闇の衣を纏っている時は光の闘気によるダメージを受けていたが、闇の衣を脱ぎ去り真の姿を晒した時から、あらゆる攻撃が効かなくなった。

 その無敵の理由はアバンの推測によると、凍れる時間の秘法と呼ばれる呪法により肉体の時間が止まっているからだという。だが、時間が止まったまま動く事など普通は出来ない。それでもミストバーンが動いているのには何らかの理由があるはずだ。

 そこでメタルンは考えた。ミストバーンは己の肉体の時間を止めて動いているのではなく、時間が止まった他人の肉体を操っているのではないか、と。

 この二つに違いはあるのかと言えば、大いにある。後者ならば何らかの方法で操作していると納得出来るが、前者ならば運営に修正案件として問い正さなければならないだろう。理不尽極まりないとバグが仰ってます。

 

 つまり、前者であればほぼ完全無欠だが、後者ならば対処法はあるという事だ。何らかの手段や方法があるならば、それは付け入る隙が必ずあるという事だからだ。

 その隙を見つけるヒントとなったのが、闇の衣を纏っていた時は光の闘気でダメージを受けていたという点だ。ミストバーンは暗黒闘気による攻撃が得意との情報もあり、闇の衣を纏った状態で攻撃を受ければ、裂けた衣から暗黒闘気が漏れ出していたとの情報もあった。

 そこでメタルンは思いついた。ミストバーンは暗黒闘気によって時間の止まった肉体を操っているのではないか、と。

 

 ガス生命体という種類のモンスターがいる。物質としての肉体を持たないタイプのモンスターの総称だ。ミストバーンはそれに近しい暗黒闘気の性質を持った生命体である可能性が高い。

 闇の衣に覆われている時は無敵の肉体の周囲に纏わり、いざ無敵の肉体を操る時にその中に入り込む事で自在に操作する。そんな特殊なモンスターがミストバーンの真の正体なのではないか。

 

「――と言っているよ」

「ば、馬鹿な……!!」

 

 メタルンの解説を通訳したダイの言葉を聞いたミストバーンが驚愕の声を上げた。そして、その声を聞いたアバン達もまた、驚愕の声を上げた。

 

「嘘だろ……!?」

「まさか……!!」

「メタルンが……!」

『賢いだって!?』

「ピギィ?」

 

 ――お前らぶっ飛ばすぞ?――

 

 ミストバーンの反応を見る限り、メタルンの推測は正しいようだ。その事実がアバン達を驚愕させていた。

 ピギィピギィと鳴き、いつもスライムスマイルを貼り付けており、嬉しい事があれば地面を焦がす程に高速回転するメタルンが、まともな推察を述べてしかも正解している事に驚愕しない訳がなかった。

 だが、こう見えてもメタルンは凄まじい経験を得てこの場に存在している。例えメタルキングとなって賢さの数値が下がったとしても、これまで培ってきた経験までは変わらないのだ。そこから生み出される推察はそこらの賢者よりもよっぽど信憑性があるだろう。普段が普段なので信じがたいのも確かだが。

 

「私の正体はどうでもいい! 何故だ……! 何故私にダメージを与える事が出来た! 貴様は何をしたメタルキング!?」

「ピギィ? ピギギィ」

「ふ、真の完全無欠などこの世に存在しない事が分かったか? まあいい、他の皆も気になっているだろうから説明しよう。と言っているよ」

 

 メタルンがした事は単純だ。ミストバーンが暗黒闘気の性質を持つモンスターだと言うのなら、やはり攻略法は光の闘気において他ならない。

 だが、ミストバーンの操る肉体は無敵だ。時間の止まった肉体にダメージを与える事はメタルンでも不可能だった。

 そこでメタルンは考えた。無敵の肉体にダメージを与える事が出来ないなら、その肉体を操っているモンスターを攻撃すればいいじゃない、と。

 

 ミストバーンの本体が無敵の肉体の内部に入り込んで操っている可能性があるならば、その肉体の内部に光の闘気を浸透させてやればいい。

 そういった技術はメタルンの十八番だった。メタルンはインパクトの瞬間に大量の光の闘気をミストバーンの肉体の内部に叩き込み、浸透させたのだ。外皮である程度無効化されたようだが、メタルンの膨大な光の闘気を完全に遮断する事は出来ず、光の闘気は無敵の肉体の内部に浸透していった。

 そして、暗黒闘気の集合体とも言えるミストバーンは天敵である光の闘気をまともに喰らい、大きなダメージを受けたのだ。

 

「――と言っているよ」

「わ、私に直接ダメージを与えたというのか!? そんな馬鹿な……!」

 

 絶対の優位が崩されたミストバーンが慄いていた。この無敵の肉体を操って数千年。こんな事は一度もなかったし、想像した事もなかったのだ。当然の反応だろう。

 そんなミストバーンに対し、メタルンは更に追い撃ちの声を掛ける。

 

「ピギィ?」

「暗黒闘気の自分が時間の止まった肉体に入り込んでおいて、光の闘気は入って来ないと思っていたのか? と言っているよ」

「う、うう……」

 

 メタルンの正論にたじろぐミストバーン。

 負ける。負けてしまうのか? 最強無敵の肉体を預かっていながら、負けるというのか?

 それは絶対の主に唾を吐く行為に等しい。それを自分がしようとしている。それが恐ろしくてミストバーンは恐怖で震えた。

 

 このままでは負けると考えたのはミストバーンだけではない。この戦いを観戦していたバーンもまた、ミストバーンでは荷が重いと理解し、そしてメタルンの力を想像以上だと認めた。

 真の力を発揮し、その上で全力で戦って初めて勝てるかどうか。それがメタルンの戦闘力だ。こんな存在が地上にいるなどとは予想外にも程があった。あれはまさに神々に匹敵、いやそれ以上と言える存在だろう。

 このままではあの肉体はともかく、ミストバーンという代えの利かない大事な側近がやられてしまう。それは避けたいと思ったバーンがミストバーンに下がるよう声を掛けようとする。だが、その前に戦場にて今までとは異なる動きが起こった。

 

「ピギィ」

「さ、私でも倒せると分かったから、思う存分に戦っていいよハドラー。と言っているよ」

「こ、このバグメタルキングめ……!」

 

 ようやく自分が優位な点を見つけたと思ったら、それをわざわざ覆してから嬉しそうに戦闘を交代する旨を伝えてくるメタルンにハドラーも怒り心頭であった。

 メタルンとしてもハドラーに出来て自分に出来ないのが悔しいという思いがあったようだ。まあ、実際にハドラーはメタルンでは出来ない事が出来るのだから、例えメタルンがミストバーンの本体にダメージを与える事が出来たとしてもその点に変わりはないのだが。

 

「まあいい……! この憤りはお前にぶつけるとしよう……ミストバーンよ!」

「な、なんだと……!? お前が私と戦おうというのか、ハドラー!」

 

 そう。バーンが観た異なる動き。それはメタルンがアバン達の元に下がり、ハドラーがミストバーンと戦う為に前に出るという、またも大魔王をして想像外の動きだったのだ。

 いや、この動きはアバン達も想像外だった。メタルンがミストバーンを倒す事が出来るのならば、何故そのまま戦わないのか?

 そんな疑問を抱いたところでアバンがふと思いついた。

 

「まさか……あなたもメタルンと同じ様な攻撃が出来るのですか?」

「!?」

 

 アバンの言葉を聞いて大きな反応を見せるミストバーン。どうやらメタルンの攻撃が相当堪えたようだ。それも肉体としてのダメージ以上に精神的なダメージが上だろう。無敵の肉体を操りながらダメージを受けた事がよほど恐ろしかったようだ。

 だが、そんなミストバーンも、質問をしたアバンも、どちらも困惑する答えがハドラーから返ってきた。

 

「いや、口惜しいが今のオレには出来ん攻撃だ。闘気を相手の内部に叩き込むなどとな……」

 

 その言葉の中にはいつかはオレも出来るようになってやるという意味が見え隠れしていた。ハドラーも中々の負けず嫌いのようだ。

 そんなハドラーの言葉を聞いて、ミストバーンは精神的な余裕を僅かに取り戻す。

 

「ふ、ふふふ……よくよく考えればお前は暗黒闘気は使えども、光の闘気を操る事など出来なかったな……そんなお前がどうやって私を倒すというのだ?」

 

 そう、例えメタルンと同じ様な攻撃をハドラーが行えたとしても、叩き込む闘気が暗黒闘気ならば全くの無意味だ。暗黒闘気とガス生命体の中間とも言えるミストバーンにとって、暗黒闘気を浸透させる攻撃など涼風に等しいだろう。

 だが、余裕を見せるミストバーンに対し、ハドラーは笑みを浮かべてその身体から闘気を発生させた。そう、光の闘気を、だ。

 

「はああぁ!」

 

 闘気の量はメタルンと比べると遥かに下。だが、それは紛う事なき光の闘気だった。

 

「馬鹿な!? 何故お前が光の闘気を!?」

 

 魔族であり、魔王であり、暗黒闘気の使い手だったはずのハドラーが、光の闘気を放っている。その事実にミストバーンはまたも驚愕する。

 そんなミストバーンにハドラーは己が光の闘気を操れる様になった経緯を説明した。

 

「ふ、メタルンとの地獄の修行の果てに身に付けたのよ!」

 

 ハドラーの受けた修行は地獄の修行と言っても過言ではなかった。短期間で鼻垂れ魔王が魔界を震撼させる大魔王に挑もうというのだ。地獄くらい味わわなければ挑んだ所で本当の地獄に行くだけだろう。魔王と大魔王。大という一文字の差は果てしなく大きかったのだ。

 そう考えたメタルンは徹底的にハドラーを扱いた。その扱きはでろりん達やクロコダインとは比べ物にならない程にだ。具体的には何度も何度も死ぬ一歩手前――実際に二つあるハドラーの心臓が止まった事もある――に追い込む程にだ。

 死に掛ける度にハドラーはメタルンの闘気による治療を受けた。メタルンは光の闘気の使い手なので、当然闘気の治療も光の闘気によるものだ。

 そんな治療を数え切れない程受けた為か、いつの日かハドラーは光の闘気を生み出せるようになっていた。いや、原因は他にもあるかもしれない。ハドラーがデルムリン島で過ごす内に、穏やかな心を手に入れた事もまた、原因の一つだろう。ハドラーはそれを認めていないが。

 

「く……! だからといって、そこのメタルキングと同じ攻撃が出来ないならば意味はない!」

 

 ハドラーが光の闘気を操る事には驚いたが、それが自分にダメージを与える事には繋がらないとミストバーンは言う。

 そんなミストバーンに対し、ハドラーはまたも笑みを浮かべてその身体から光の闘気とは異なる闘気を発生させた。そう、暗黒闘気を、だ。

 

「むぅん!」

「ば、馬鹿な!? 暗黒闘気を同時に!?」

 

 ミストバーンは驚愕する。本日何度目の驚愕だろうか。まあそれはいい。

 ハドラーがただ暗黒闘気を放っただけならばミストバーンは驚愕しない。それだけならばかつても出来ていたのだから驚かないだろう。

 ミストバーンが驚愕した理由。それはハドラーが光の闘気と暗黒闘気、二つの異なる闘気を同時に発生させたからだ。

 二つの闘気は相反するものだ。両方の闘気を操る者やその素質を持つ者は極少数ながら存在するが、両方同時に操る存在などミストバーンは見た事もなかった。

 だが、ハドラーはそれを成した。厳しい修行の上でそれを成し遂げたのだ。全てはメタルンの一言……光と闇の闘気を同時に操ったら強くね? その一言から始まった地獄の中の地獄の修行により、ハドラーは光と闇が両方そなわり最強に見える系戦士へと至ったのである。

 

「く……! だ、だからといって、お前が私にダメージを与える事は出来ん!」

 

 どことなく既視感を感じる反応を見せるミストバーン。少しずつ精神的に追い詰められている感じもする。

 そんなミストバーンに対し、ハドラーは三度笑みを浮かべて両手から地獄の爪(ヘルズクロー)を生やし、その爪に二つの闘気を宿らせた。

 

「おおお!」

「ば、馬鹿な!? 魔炎気と、氷の闘気だと……!?」

 

 ミストバーンは驚愕する。数えるのも面倒になるほどの驚愕回数だ。まあそれはいい。

 ミストバーンが驚愕した理由は、ハドラーが右の爪に魔炎気を、左の爪に氷の属性を持った闘気を宿したからだ。

 魔炎気とは暗黒闘気から派生した闘気の一種だ。ならば、暗黒闘気と相反する光の闘気から、炎と相反する氷の属性を持つ聖氷気とも言うべき闘気が派生しても何ら不思議ではない。不思議ではないのだ。

 こうして聖氷気を会得したハドラーは、光と闇と炎と氷がそなわりとんでもなく最強に見える系戦士へと至ったのだ。

 

「く……! そ、それがどうしたというのだ! 炎だろうが氷だろうが、私にダメージを与える事は出来ん!」

 

 そんな既視感全開のミストバーンの発言に、アバンやポップが反応する。

 

「炎と、氷?」

「ま、まさか!」

 

 炎と氷。無敵のミストバーンを倒す為の手段。この二つのキーワードから、2人は同じ呪文を頭に浮かべた。

 そう、あらゆる物質を消滅させる力を秘めた呪文。ミストバーンを倒す為にポップがマトリフから伝授された極大呪文、メドローアである。

 そして、2人の予想が当たっていると証明するかの如く、ハドラーが炎と氷の爪を交差させ、二つの力を融合させた。

 

「うおおぉぉ! これがオレとメタルンが開発した新たな必殺技! 聖魔滅爪撃だ!!」

「ピギィ!」

「ネーミングはハドラーだと断言しとく! と言っているよ。どういう意味なのメタルン!?」

 

 それ以上は古傷に障るので止めておいた方がいいだろう。

 ともかく、闇の炎と聖なる氷を爪に宿して融合させたハドラー。そして、光と闇と炎と氷が合わさった属性盛りすぎの爪をかざし、闘気の噴出を以ってして一気にミストバーンに詰め寄った。

 

「行くぞミストバーン! そして刮目せよ! これが! 貴様らが捨て駒にした男の力だぁっ!!」

「う、うおおお!?」

 

 その気迫はミストバーンを怯ませるに足るものだった。信じていた大魔王に爆弾扱いされた恨み、そして悲しみは、ハドラーの中に大きな爪あとを残していた。

 必ずや奴らに一矢報いる。その一心であの地獄の修行を乗り越えたのだ。今のハドラーはあの地獄の修行を味わう原因を作ったバーン達への復讐心でいっぱいだった。若干暗黒闘気が光の闘気より強い気がしなくもない。その証拠か魔炎気が聖氷気よりも強くなり、若干ハドラーの左腕が燃え始めていた。まあ炎の耐性が高いので問題はなく、ハドラーもすぐに調整し直したが。

 あと、復讐の内容が変わっているが気にしないことだ。人の心など容易く移ろうものなのだ……。

 

「はあっ!」

「!?」

 

 ハドラーの鋭い一撃がミストバーンの頬を掠める。顔に命中する目前でどうにか回避に成功したようだ。だが、掠めるとあるように、その回避は完全ではなかった。なかったが、問題ないだろう。

 何せこの肉体は無敵だ。掠めた所でダメージなどなく、本来なら回避の必要もないのだ。咄嗟に回避してしまったのはこの肉体の尊顔に無闇に触れさせたくないというミストバーンの想いの表れだ。

 そう、問題ない。問題ないはずだった。ミストバーンの本体にならばともかく、時間が止まった肉体にダメージを与える事はメタルンでも出来なかったのだ。それをハドラー如きがどうしようというのか。……そのはずだった。

 

「ああ!」

「み、ミストバーンの右頬に……!」

 

 最初に気付いたのはメタルンだ。こうなるだろうと思っていたからこその気付きだ。次にアバン、そしてポップが気付き、そして叫んだ。2人はハドラーの新たな必殺技の効果を予測していた。だから、他の者達よりも早くに気付けたのだ。

 そして次にダイ達がアバンとポップの言葉でその事実に気付き、最後に痛みを感じる事がないミストバーンが気付いた。己の操る肉体の右頬に、うっすらとだがハドラーの爪あとが残されている事に。

 

「あ、ああ……!? この身体に……このお顔に……き、傷が? 傷を受けた……だと……?」

 

 その恐ろしい事実にミストバーンが恐怖する。偉大な主からお借りしているこの肉体に、しかもその尊顔に、傷をつけてしまった。それはミストバーンにとって己の命を幾つ断っても償いきれない罪であった。

 

「これが聖魔滅爪撃の力よ。今のオレの爪で貫けぬ物などこの世に存在せん!!」

 

 そう、これが光と闇と炎と氷の力を混ぜ合わせてカオスった必殺技の力。メドローアと同じく、あらゆる物質を消滅させるエネルギーを宿した爪である。

 メタルンという殴っても当たらないばかりか、当たったとしてもダメージを受けない化け物を倒す為に編み出した究極の必殺技だ。その効果は凍れる時間の秘法で時間が止まった肉体にも作用した。まさしく地獄の修行の賜物であった。

 己を捨て駒にした大魔王の側近であるミストバーンの反応に、ハドラーも溜飲が多少だが下がる思いだった。だが、そんな思いをぶち壊す存在がハドラーに一声掛けた。

 

「ピギィ」

「私は貫けなかったけどね。と言っているよ」

「喧しいわこのバグメタルキングめが!!」

 

 メタルンの言う通り、聖魔滅爪撃ではメタルンのボディを傷つける事は出来なかった。それは命中しなかったからではなく、命中してもそうだったのだ。

 ボス属性というまさにラスボスに相応しいメタルンの固有能力により、物質を消滅させるという力は無効化されてしまったのだ。まあ、効果自体は非常に高いので、何度も命中させればいずれメタルンの闘気は枯渇するだろうが、まあ命中しなければどうという事はないのである。ハドラーの無念や如何に。

 

「まあ良い。あのバグはいずれ倒すとしてだ。まずは貴様からだミストバーン!」

「わ、私には最早生きる価値も資格もない……このお姿を傷つけた罪は重い、重すぎる……。だが! 私が死ぬ前に貴様だけでも粉々にしてやる! 死ねハドラー!!」

 

 ミストバーンの動揺は激しい怒りへと変貌した。このご尊顔を傷つけた者は万死に値する。その一心でミストバーンはハドラーに向けてその力を揮う。

 こうして、ハドラーとミストバーンという、かつての魔王軍の重鎮同士による死闘が始まるのであった。

 

 




 メタルンがミストバーン本体にダメージを与えられた理論は独自考察です。原作で可能かどうかは不明です。

 ポップ(あれ、メドローアを覚えた意味って……)

 地上の面々(敵、来ないなー……)







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