どうしてこうなった? 異伝編   作:とんぱ

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BLEACH 第十三話

「君の負けだ。……黒崎一護」

 

 一護と藍染の戦いは、藍染が立ち一護が膝をつく形で決着しようとしていた。この結果を見る限り藍染が勝利したように見えるが、戦いの内容は終始一護が圧倒していた。

 一護は断界での三ヶ月の修行で、己の斬魄刀から最後の月牙天衝を学んだ。月牙天衝。霊圧を斬撃の形にして放つ一護の斬魄刀の能力だ。そして最後の月牙天衝とは、一護自身が月牙になる事だった。

 その技を使えば、一護は斬魄刀と完全に融合した姿へと進化する。オレンジ色の髪は黒く染まりロングヘアーになり、口から上半身に青灰色の包帯を巻いた姿へと変貌していた。そしてその手には斬魄刀を握っていなかった。斬魄刀と完全に融合した為に、斬魄刀が刀という形を成していないのだ。今は一護自身が死神であり斬魄刀でもあるのだ。

 

 その力は崩玉の力で完全覚醒し、全てを超越した筈の藍染すら超越していた。藍染が一護の霊圧を感じられなかったのは一護が進化に失敗したからではない。一護の霊圧が藍染とは次元の異なる領域にあったが為に、藍染には感知出来なかったからだ。

 そして一護は藍染を圧倒し、勝利を収めようとしていた。だが、最後の月牙天衝にはある欠点が存在していた。この技を一度でも使用してしまえば一時的に強大な力を得る代わりに、使用者は死神としての力を、霊力を全て失ってしまうのだ。

 藍染を圧倒した一護。だが、完全に止めを刺す前に一護に限界が訪れた。死神としての一護に最後の時が迫っているのだ。最後の月牙天衝とは、死神としての最後という意味も籠められているのかもしれない。

 

 そうして膝をつき、力を失いつつある一護に向かって、藍染が一護の敗北を告げる。

 

「見ろ」

 

 藍染は一護に己の斬魄刀を見せつけた。尸魂界(ソウル・ソサエティ)全土を騙した完全催眠を有する恐るべき斬魄刀、鏡花水月。それが今、砕け散ろうとしていた。

 

「斬魄刀が消えていく……君ならこの意味が解るだろう……」

 

 そう、これは鏡花水月の耐久に限界が来た為ではない。これは、一護と同じ事象が藍染の身に起ころうとしているのだ。

 

「崩玉が! 私に斬魄刀など必要ないと判断したのだ!!」

 

 藍染は一護との戦いを経て、敗北寸前まで追い詰められた事で、一護という自身をも上回る進化を見た事で、更なる進化を得ようとしているのだ。

 斬魄刀と完全に一体となる。それが更なる進化だ。それは一護と同じ、いや、力を失った一護を遥かに上回る高みに至ろうとしているのだ。

 

「終わりだ!! 黒崎一護!!!」

 

 幾度も驚愕し、脅かされたが、最後には自身の勝利で終わる。過程は想像を超えていたが、結局この結末は想像と変わらないものだった。そう、藍染は思った。

 その瞬間――

 

「!?」

 

 藍染の胸元から突如として光の棘が衝き出した。

 

「何だこれは……!! 鬼道か……!? こんなものいつ……」

「……ようやく発動したみたいっスね」

 

 藍染の驚愕と疑問に答えたのは浦原喜助だった。

 藍染の身を襲う鬼道は浦原が仕込んだものだった。藍染が偽空座(からくら)町で戦っている時、まだ完全な変貌を遂げる前、最も油断していた時に、別の鬼道に乗せて体の中に撃ち込んだのだと浦原は言う。

 

「……あの時か……!」

「それは封印っス」

 

 浦原は藍染が崩玉と融合した場合、藍染を殺す事はほぼ不可能になるだろうと考えていた。その為、藍染を封印する為に新たな鬼道を開発していたのだ。

 もちろん藍染が崩玉と融合しない場合もあったかもしれない。その場合、この封印は使われなかったかもしれない。今後も使う機会はないのかもしれない。だが、それでもいいのだ。例え使う必要がなかったとしても、必要になる可能性が僅かでもあれば備えておく。それが浦原喜助という男なのだ。

 

「この程度の鬼道で私を封じる事などできるものか!!!」

 

 藍染は更なる進化を遂げようとしている。そんな自分が、この程度の鬼道で封じられる筈がないと、浦原に対して叫ぶ。その時――

 

「な……何だこれは……!」

 

 藍染の全身に変化が起きた。今までの進化とは違う、元に戻ろうとしている変化だ。藍染の手にした力が藍染の手から消えようとしているのだ。

 

「……それが、崩玉の意思っス。あの時撃ち込んだ封印が今ようやく発動したのは、アナタの力が弱まったからっス。崩玉はアナタを(しゅ)とは認めないと言ってるんスよ」

「……バカな……! そんな訳あるか……そんな訳が……そんな訳があるか…………ッ!!」

 

 藍染は浦原の言葉を否定する。だが、藍染の全身を覆う封印は更に進行していた。最早藍染が自力で封印を破る事は不可能だろう程に。

 この時浦原は藍染の力が失われたのは崩玉の意思だと言った。藍染はそれを否定したが、この結果を見る限りでは否定しつつも内心では否定しきれない想いがあるだろう。

 だが、崩玉は藍染を拒絶した訳ではなかった。崩玉の能力は周囲にある者の心を取り込んで具現化するというものだ。つまり、この結果は藍染が心の何処かで望んでいたものでもあった。

 

 藍染惣右介は傑物だ。尸魂界(ソウル・ソサエティ)の長きに渡る歴史を紐解いても、藍染に勝る者はおろか、迫る者さえ殆どいないだろう。

 そんな藍染は孤独だった。生まれた時から飛び抜けた力を持ち、誰一人として理解者を得る事ができず、孤独のままに過ごして来たのだ。

 一護は藍染と対等に渡り合える力を手にし、戦いの中で藍染の(こころ)に触れた。そしてその孤独を感じ取ったのだ。そして浦原の藍染が崩玉に拒絶されたという言葉を聞いて、思った。藍染は自ら力を捨てたのではないか、と。

 自分と同じ目線に立ってくれる誰かを探し、それが見つからないと諦めた瞬間から、心のどこかで“ただの死神”になりたいと願っていたのではないか、と。

 

 一護のそれは真実かもしれないし、藍染には別の想いがあったのかもしれない。それを確かめる術はどこにもなく、そして藍染の封印が止まる事も――

 

「ああ、終わったか」

『!?』

 

 藍染が浦原に向けて蔑如の言葉を放とうとした時、この場にクアルソが到着した。クアルソは藍染の状況を見て、戦いの結果を察した。一護と浦原が藍染を倒すなり、封印なりに成功したのだろうと。

 ここまで来た事は無駄になったが、それも仕方ないかと思う。そして、少しだけ寂しそうに藍染を見つめた。その瞳を見て藍染は――

 

「こいつはあの時の……!?」

「クアルソさんっス。大丈夫、味方ですよ。ね?」

 

 現世にて藍染と敵対していたようだが、そうなった経緯も詳細も把握出来ていない破面(アランカル)の登場に警戒する一護。藍染と敵対していたとはいえ味方とは限らないのだから当然の反応だろう。そんな一護に対し、浦原が安心させるようにクアルソに関して説明をする。もちろん敵ではないという確認も籠めてだ。

 

「ああ、死神と敵対するつもりはないよ。えーと、黒崎一護だよな。虚圏(ウェコムンド)で織姫さんが待ってるぞ。早く迎えに行ってやれよ末永くお幸せにな!」

「え? ああ、ありが……最後何てった!?」

 

 クアルソの言葉に何か祝福とも不穏とも言えない言葉が混ざっていた事に一護が動揺する。そしてクアルソに否定の言葉を言おうとして――

 

「おおおおおおおお!!!」

『!?』

 

 ――藍染の突然の咆哮に、意識を完全に取られた。

 

「こ、これは……!」

「ど、どうなってんだよ浦原さん……!」

 

 藍染を封印しようとしていた鬼道の進行が止まっていた。それだけではない、藍染の肉体にも変化が起こっていた。崩玉の力で完全覚醒していた時の姿に、いや、一護との戦いを経て更なる進化を遂げようとしていた姿に戻っていっているのだ。

 

「そ、そんな……!?」

 

 ここに来て力を取り戻そうとしている藍染に、流石の浦原も驚愕と絶望の想いを抱く。いくら千の備えを用意し、万全を期しても、藍染程の超越者を相手に取れる手段は少ない。その中でも最大の一手が覆されようとしているのだ。これで無理なら流石に打つ手がない。

 時間を掛ければ新たな手段を用意する事は可能だろうが、藍染がその時間を与えてくれる筈もない。ここで倒さなければどうしようもないのだ。

 

「クアルソさん!!」

 

 浦原はクアルソに望みを懸ける。一護はまだその霊力を完全に失ってはいないが、戦闘に耐えうる程の霊力は残っていない。自身も戦う事は出来るが、藍染との間には隔絶した差が存在する。藍染が封印を破る前に致命の攻撃を加える事は出来ないだろう。

 だからこそクアルソだ。クアルソの霊圧を感じる事は浦原でもできない。それは藍染や一護と同等とまでは行かなくとも、少なくとも足元には届いているという証拠だ。そのクアルソならば、まだ完全に力を取り戻していない藍染に多大なダメージを与え、再び封印へと持っていく事が可能なのではと思ったのだ。

 だが、藍染の力は浦原の予測を遥かに超えて高まっていた。

 

「いや――」

 

 もう遅い。その言葉をクアルソが言い終わる前に、事は終わっていた。浦原が何を願って自身の名前を叫んだのかは理解出来ていた。だが、既に遅かった。

 藍染はその力を完全に取り戻し、一護の最後の月牙天衝と同じく斬魄刀と完全に融合するという更なる進化を遂げ、そして封印の鬼道から抜け出したのだ。

 

「……クアルソ」

 

 藍染は息を荒げつつも笑みを浮かべてクアルソを見やる。その笑みは普段の超然とした余裕の笑みではなく、本当に愉しいモノを見つけた者の笑みだった。

 藍染は孤独だった。誰も藍染を理解する事は出来なかった。藍染について来れる者は誰一人としていなかった。強さという点では山本元柳斎は確かに藍染より上だったかもしれない。だが、容易く欺く事が出来た。それに、その強さも既に超えている。藍染は今の強さを得る前から、山本元柳斎を上回る強さを得られると計算していた。そしてその計算は正しかった。ならば、山本元柳斎も己の理解者足り得ない。

 黒崎一護もそうだ。確かに一護は強くなった。藍染の計算通りに成長し、藍染の想像以上に進化した。だが、その力も最早失われている。故に、黒崎一護も己の理解者足り得ない。

 

 だがクアルソは違う。出会った時から、(ホロウ)であった時から藍染と互角以上の力を持つ存在。(ホロウ)が進化した破面(アランカル)を従える自分に、(ホロウ)の存在でありながら匹敵し、完全催眠も効かない規格外。

 それが破面(アランカル)に進化して更なる力を得た。恐らくその力は崩玉と融合し完全覚醒しなければ対抗しえない程に上昇しただろうと藍染は予測した。いや、それ以上の力を持っているのではないかと藍染は思っていた。

 その証拠に、死んでも構わないと思ってクアルソに対して流刃若火の暴発と完全詠唱の黒棺を同時に放ったというのに、こうしてクアルソは五体無事でここにいる。まさに規格外の存在だ。

 

「クアルソ・ソーンブラ!」

 

 藍染がクアルソの名を叫ぶ。今の藍染は常に己の感情を律してきた今までとは異なっていた。それ程に、一護の進化、自身の更なる進化、封印、そしてクアルソの登場に心を掻き乱されていたのだ。

 クアルソならば己の理解者足り得るのではないか。ただの死神になる必要もなく、力を捨てる必要もなく、孤独を感じずにいられるのではないか。そう、藍染が無意識に思ったのだ。そしてその思いを崩玉が汲み取ってしまった。

 最早藍染に己を縛るモノはない。自分自身を偽る必要なく、その力を全力で解放してもいいのだ。それだけの力がある存在と出会えたのだから。

 

 クアルソは封印を解き、己の名を叫び興奮している藍染を見て思わず呟く。

 

「これってオレのせい?」

 

 その通りである。

 

 

 

 

 

 

 状況は絶望的だった。藍染惣右介は封印を破り、そして最後の月牙天衝を使用した一護と同じく斬魄刀と融合する進化を果たしてしまった。

 崩玉と融合しているので殺す事はほぼ不可能。封印の術式は砕けてしまった。もう一度封印の術式を仕込めたとしても、発動するには再び藍染を弱らせなければならない。

 だが、それを誰が出来るというのか。最後の進化を果たした一護でさえ、止めを刺す前に限界が来た。その時の藍染よりも今の藍染は更に強くなっているのだ。

 

 ――何か……! 何か手は……!――

 

 浦原は僅かな時間で何千もの手段を脳内で検索する。用意していた数多の策を、術を、道具を、それらを組み合わせて新たな手段すら講じる。

 だが、その結論は一つだった。

 

 ――無理だ。今の藍染サンを止めるには――

 

 全てが足りない。小手先の技術は藍染の霊圧の前に潰されてしまうだろう。先の封印が埋め込んで直に発動しなかったのも、藍染の霊圧に阻害されていたからだ。一護が藍染を疲弊させてくれたおかげでようやく発動したのだ。

 つまり、藍染が弱らない限り浦原の手段が活きる事はない。結局はそれに尽きる。そして、藍染をそこまで追い詰める手段を浦原は有していない。

 だがそれは浦原が弱いとか、技術力が足りないという結論にはならない。ここまでの規格外を相手にしては誰であろうと力不足だ。

 

「藍染サン……あなたは――」

 

 最早どうしようもない藍染を前に、浦原は藍染の真意を知ろうとする。藍染がこれ程の力を得る理由を知りたかったのだ。幾つかの想像はしているが、当人から訊くのが一番確実だろう。

 一応時間稼ぎを兼ねてもいた。少しでも時間を稼ぎ、現世にいる死神達が回復できるようにする。本当に自身の無力さを嘆きたくなるほど小賢しい行為だが、何もしないよりはよっぽどマシだろう。

 だが、そんな浦原の嘆きも献身も、今の藍染には路傍の虫けらに劣る代物だった。

 

「黙れ浦原喜助。クアルソ以外の有象無象が、私の前に立つな」

「ぐっ……!!」

 

 藍染のその言葉のみで、いや、その言葉に籠められた霊圧を受けただけで、浦原は十数メートルも後方に吹き飛ばされる。

 

 ――何て圧力……!――

 

 浦原では藍染の霊圧を感じる事ができない。それでも霊圧に伴っている圧力を感じる事は出来る。その圧力のみで吹き飛ばされたのだ。まさに化物と言っても過言ではない力だった。

 貧弱な魂魄ならば今の圧力だけで消し飛んでいただろう。隊長クラスの浦原だからこそ、吹き飛ばされるだけで済んだのだ。

 

「ッ! 黒崎サン!」

 

 浦原は一護が霊力を失いかけている事を思い出す。今の圧力は浦原に向けられたものだが、浦原の近くに居た一護に影響がない訳がない。

 今の一護の力ではあの圧力に耐えられるかどうか。下手すれば消滅してしまう可能性すらあった。それを危惧した浦原は一護の姿を探す。だが、先程一護が居た場所に一護の姿はなかった。

 消滅したのか。いや、自分と同じように吹き飛ばされたのか。そう思い、周囲を確認する浦原だったが――

 

「大丈夫か黒崎一護」

「あ、ああ……」

 

 一護はいた。クアルソに抱えられており、浦原の後ろに移動していたのだ。どうやらクアルソに庇われたらしいと浦原は判断する。

 そうして一護を抱えて浦原の後ろに移動したクアルソは、そのまま一護を大地に降ろす。

 

「浦原さん、あんたなら結界なり何なりでこいつを護ってやれるだろ? オレはちょっと結界術とか知らないから、よろしく頼む」

「え、ええ。それは勿論っスけど……クアルソさんはどうするつもりですか?」

 

 もしかして、まだあの化物を止めるというつもりなのだろうか。そういう意味を暗に籠めて、浦原はクアルソに問うた。

 そして返って来た答えは、最初から何も変わっていないものだった。

 

「決まってるだろ。あんたを止めるぞ藍染様」

 

 その答えを聞いて浦原は困惑する。クアルソには藍染の力が理解出来ていないのだろうか、と。もしかしたら、今の藍染すら上回る力を持っているのだろうか、と。

 どちらも浦原には信じ難い事だ。クアルソ程の実力があれば藍染の力の一端くらい感じられるだろうし、今の藍染を超える力を持っているなど考えられない事だ。

 だが、藍染を見るクアルソの表情に緊張した様子は見られなかった。むしろ高揚しているようにも感じられる程だ。今の藍染を前にして高揚するなどと、どういう神経をしているのだろうかと浦原は思う。

 

「ああ、止めてみせるがいいクアルソ」

 

 クアルソの言葉に藍染がそう返した。その言葉を聞いた浦原が藍染を見るが、その時浦原は信じ難い物を目にした。

 藍染が笑っているのだ。嘲笑でも、余裕の笑みでもなく、楽しそうに笑っているのだ。まるでクアルソと同じく高揚しているように見えるのだ。

 一体藍染に何があったのか。クアルソの何が藍染をそこまで高揚させるのか。もしかして本当に――

 

 ――クアルソさんならもしかして……――

 

 浦原が僅かな希望を抱いた瞬間――尸魂界(ソウル・ソサエティ)全土を揺るがす戦いが始まった。

 

 

 

 先手を取ったのは藍染だった。空間を裂き、瞬時に別の空間へと移動する。空間転移の力は尸魂界(ソウル・ソサエティ)では禁忌とされている力だ。それはあまりにも便利過ぎる事と、悪用されると非常に厄介という理由がある。そして簡単に悪用されないくらいに使用難度が高い力でもある。それを瞬時に発動させる藍染の力は想像を絶する程高まっていた。

 移動先はクアルソの後方だ。空間を裂いてからクアルソの後方に現れるまでのタイムラグはほぼ零だ。一護との戦いでも同じ移動方法を使用していたが、その時よりも明らかにタイムラグが少なくなっていた。藍染の力が更に高まっている証だろう。

 そうしてクアルソの後方に出現した藍染は、そのままクアルソに向けて手刀を振るう。斬魄刀は藍染と融合している為にその姿を失っているが、それ以上の力を藍染は得ている。今の藍染の手刀ならば鏡花水月と同じ、いやそれ以上の切れ味を誇るだろう。

 

 完全な死角からの奇襲攻撃。触れれば全てが斬り裂かれる圧倒的な攻撃力。その斬撃を、クアルソは見もせずに躱し、そして大地を踏みしめ力を連動させ、後方にいる藍染に向けて靠撃(こうげき)――肩や背面での攻撃――を放った。

 下位十刃程度ならば爆散しそうな程の威力が籠められたその靠撃を、藍染は霊圧の障壁を生み出す事で防いだ。薄く何千枚も重ねられた障壁を靠撃が砕いていくが、僅かに押し留められた瞬間に藍染は再び空間転移を行う。そしてクアルソの上空に出現し、そこから霊圧を刃の形に整え、クアルソに向けて放った。

 

「な……!?」

「藍染……!」

 

 藍染の放った一撃の威力に、両者の戦いを離れた位置から結界の中で見守っている浦原と一護が驚愕の声を上げる。

 藍染が放った霊圧の刃は尸魂界(ソウル・ソサエティ)の地形を大きく変えていた。その一撃は一護と戦った時よりも更に高まっている。それは霊力を失いつつある一護も理解出来た。

 

「くそっ! 俺が止めをさせていれば……!」

「黒崎サン……」

 

 一護が藍染に止めを刺せなかった事を悔やむ。藍染を追い詰めた最後の最後で時間切れになった事を悔いているのだ。後少し、後少しだけ力が持っていれば。今の強くなりすぎた藍染を見て、一護はそう思わずにはいられなかった。

 このままでは藍染の手によって空座(からくら)町は蹂躙されてしまうだろう。その後は尸魂界(ソウル・ソサエティ)もどうなるか解ったものではない。あの時倒せてさえいれば……。一護がそう思っているという事は、つまり一護はクアルソが藍染に勝てないと思っているという事だ。

 それも仕方ないだろう。一護にとって藍染とは絶対の強者だった。最後の月牙天衝によって藍染を超越したが、そこに至るまでは幾度となく絶望的な差を見せられてきた。一護は藍染を圧倒的な存在と認識し、対して良く知らないクアルソは藍染に劣る存在だと無意識で決め付けていたのだ。

 だから言葉を失った。今の一撃をまともに受けた筈のクアルソが、高速で回転する霊圧の渦の中から無傷で姿を現した事に。

 

「うそ……だろ……」

 

 一護が驚くのも無理はない。クアルソの実力を見誤っていたのはともかく、藍染のあの一撃を無傷で防ぐ事は最後の月牙天衝を使用していた一護でさえ不可能だろう。それを破面(アランカル)が成し遂げたのだから、その驚愕はどれ程か。

 もっとも、流石のクアルソも今の一撃を受けて無傷だった訳ではない。それなりのダメージを負っていたのだが、それを回道にて回復させていたのだ。回復している処は霊圧の渦にて目に映らないようにして。自身の手札をギリギリまで明かさないようにする為だ。そうと知らない一護はクアルソが無傷で防いだと思い込んだのだ。

 

「やはり……クアルソさんなら可能性はあります! 藍染サンを止められる可能性が!」

 

 クアルソの予想外の実力に一護が驚愕し、浦原は期待の声をあげる。勝てなくてもいいのだ。クアルソが勝てなくても藍染を相手に健闘してくれればそれでいい。それで藍染が疲労してさえくれれば、再び藍染を封印する事が出来るかもしれない。

 護廷十三隊も駆け付けてくれる可能性もある。そうすればまだ何とかなるかもしれない。藍染に劣るとはいえ山本元柳斎はやはり強い。山本元柳斎の卍解ならば今の藍染にも大きなダメージを与える事は不可能ではないだろう。あまりに強い卍解故に尸魂界(ソウル・ソサエティ)に被害を出す可能性が高いが、この際致し方ないと言えた。

 とにかく、今はクアルソに賭けるしかない。一縷の望みをクアルソに託し、浦原は両者の戦いを再び見守り始めた。

 

「……今のは手応えがあったと思ったのだが? 先程の霊圧の渦はそれ程の防御力があるのか、それとも超速再生か?」

「かなりの一撃でしたよ? まあ防げない程じゃないけど」

「ほう」

 

 実際に防げたわけではない、挑発を籠めた言葉だ。その言葉に藍染が笑みを浮かべる。そして安い挑発に乗ってあげる事にした。

 

「ならばどこまで防ぎ切れるか試してやろう」

 

 その言葉を言い終わった瞬間、藍染がその力を解き放つ。破道の九十九・五龍転滅。破道の中でも最高難度の九十番台でも最高の破道。それを、詠唱破棄はおろか術名すら破棄して放ったのだ。死神の理を超えた藍染だからこその離れ業である。

 当然その威力も並ではない。例え鬼道に長けた者が完全詠唱にて放ったとしても、これ程の威力は出ないだろう。そんな恐るべき破壊力を秘めた龍型の鬼道がクアルソに向けて迫っていく。

 

虚閃(セロ)!」

 

 クアルソが五龍転滅に向けて言霊を籠めた虚閃(セロ)を放つ。虚夜宮(ラス・ノーチェス)にて剣八に放ったのと同じ全力の虚閃(セロ)だ。だが――

 

「無駄だ」

 

 藍染の言葉通り、クアルソの放った虚閃(セロ)は五龍転滅の前では無力だった。無詠唱のはずの五龍転滅が、クアルソの強大な虚閃(セロ)を食い破っていく。その様は全てを食らい尽くす暴龍が如くだった。

 

螺旋虚閃(セロ・エスピラール)!」

 

 虚閃(セロ)を食い破って来た五龍転滅に、クアルソが掌から螺旋虚閃(セロ・エスピラール)を作り出し叩き付ける。通常の虚閃(セロ)と違い放出せず、掌で乱回転させて球状に圧縮した特殊な虚閃(セロ)だ。

 乱回転と圧縮により威力が遥かに向上した虚閃(セロ)により、五龍転滅が弾け飛ぶ。

 

「ほう! 器用な事をする! こうか!?」

「!?」

 

 藍染が霊圧を放出し、掌に留めて乱回転させてクアルソの螺旋虚閃(セロ・エスピラール)と同じような技を作り出す。そして空間移動にてクアルソの眼前に現れ、クアルソに向けて乱回転させた霊圧を叩き付ける。

 それに対しクアルソもまた螺旋虚閃(セロ・エスピラール)を作り出し、藍染のそれとぶつけ合う事で相殺する。

 

「ふむ、圧縮が足りなかったか」

「一目見て真似るとか器用な人だわ」

 

 圧縮が足りず相殺されたが、それを何とも思っていないように藍染は言葉を放つ。もう一度同じ技を使えば完全なものとなっているだろう。

 まさに天才だ。いや、天才という言葉すら藍染の前では霞むだろう。まさに死神の規格外。いや、今は死神すら超えた存在だったか。だが、クアルソもまた破面(アランカル)の規格外だ。それに相応しい力を藍染に見せつけた。

 

「ならこんなのはどうかな? 破道の九十・黒棺!」

「!!」

 

 クアルソが藍染に向けて詠唱破棄の黒棺を放つ。破面(アランカル)が死神の鬼道を、しかも九十番台の破道を詠唱破棄で放つ。流石にそれには藍染も驚愕したらしく、周囲に発生した重力の奔流に飲み込まれていく。

 

「甘いな!」

 

 だが、藍染は即座に重力の奔流を破り無傷で姿を現す。確かに破面(アランカル)が鬼道を放った事は驚いたが、超越者となった藍染に今更詠唱破棄した黒棺が通じる訳もない。

 

破面(アランカル)の君が鬼道を放つとはな! 私の黒棺を見ただけで憶えたか! 流石と言っておこう!」

 

 藍染がクアルソを称賛する。鬼道の中でも最高難度の九十番台の黒棺を、藍染の放った黒棺を見ただけで憶えたのだ。凄まじい才能、凄まじい技術、凄まじい観察眼と言えた。

 だがその程度では意味がない。確かに凄まじい技量だが、ただの九十番台の鬼道では今の藍染には意味がない。もっと驚く何かを見せてみろ。そう思う藍染に向けて、クアルソがそれに応えるように新たな力を放った。

 

「破道の九十・黒棺!」

 

 藍染が重力の奔流から抜け出すまでの一瞬のうちに藍染から離れたクアルソは、再び詠唱破棄の黒棺を発動させる。だが、発動した筈の黒棺は一向に藍染の周囲に発生しなかった。

 

「なに……!」

 

 藍染はクアルソの右手に黒棺の力が留まっているのを見た。そして、その黒棺に虚閃(セロ)の力が混ざっていくのも――

 

重虚閃(セロ・グラベダド)!!」

 

 藍染に向けて黒い虚閃(セロ)が放たれる。それは刀剣解放した十刃(エスパーダ)が放つ事が出来る黒虚閃(セロ・オスキュラス)と見た目だけは似ていた。

 だがその中身は別物だ。クアルソは鬼道である黒棺と虚閃(セロ)を混ぜ合わせ、新しい虚閃(セロ)を作り出したのだ。死神と虚の境界を打ち崩した破面(アランカル)だからこそ出来る技と言えよう。尤も、同じ事は仮面の軍勢(ヴァイザード)にも出来るかもしれないが。

 

「嘗めるな!」

 

 凄まじい威力が籠められた鬼道と虚閃(セロ)の合わせ業に対し、藍染は真っ向から立ち向かう。

 その腕に膨大な霊圧を纏わせ、重虚閃(セロ・グラベダド)を弾き飛ばす。そして弾かれた重虚閃(セロ・グラベダド)尸魂界(ソウル・ソサエティ)の遥か彼方、誰もいない地平の先へと飛んで行き、凄まじい重力の奔流を生み出した。

 

「な、何という……!」

「嘘だろ……!」

 

 鬼道と虚閃(セロ)の合わせ業を生み出したクアルソも、それを容易く弾いた藍染も、どちらも化物だと浦原と一護は思う。そんな両者の驚愕はさておき、圧倒的強者同士の戦いは加速していく。

 

「確かに素晴らしい力だクアルソ! だが、今のお前では――」

 

 重虚閃(セロ・グラベダド)を弾いた藍染がクアルソに向けて言葉を放つ。帰刃(レスレクシオン)をして本気を出せと言いたいのだろう。だがそれを言い終わる前に、いや、藍染が言葉を放つ前から、クアルソは更なる攻撃の準備をしていた。

 

「――爬行する鉄の王女 絶えず自壊する泥の人形 結合せよ 反発せよ」

「完全詠唱!? させると思っているのか!」

 

 クアルソは藍染に重虚閃(セロ・グラベダド)を放った後、直に黒棺の完全詠唱に入っていた。それを見た藍染が空間転移を行いクアルソの真後ろに出現する。クアルソの右手が傷付き()を流しているのを見て、クアルソが何をするつもりか理解しそれを阻止しようとしたのだ。

 だが、クアルソは詠唱を維持したまま響転(ソニード)にてその場から移動し、藍染の一撃を回避する。そして完全詠唱の黒棺を完成させた。

 

「地に満ち己の無力を知れ! 破道の九十・黒棺!!」

 

 完全詠唱された黒棺は、やはり先程と同じようにクアルソの右手に留まっていた。そしてその黒棺が――極大の虚閃(セロ)と融合した。

 

王虚の重閃光(グラン・レイ・セロ・グラベダド)!!」

 

 自身の血を虚閃(セロ)に混ぜ合わせる事で発動出来る特大の虚閃(セロ)。本来なら十刃(エスパーダ)のみが放つ事が出来ると言われている王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)に、完全詠唱の黒棺を融合させた一撃をクアルソは放ったのだ。

 虚夜宮(ラス・ノーチェス)に織姫を助けに行った時、一護は王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)を受けた事がある。その威力は時空をも歪ませる程であり、一護も虚化しなければ防げなかった程だ。そんな王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)に黒棺を融合させる。しかもそれを放ったのは今の藍染と戦えているクアルソという化物だ。その威力がどれ程のものか、一護には想像もつかなかった。

 

「伏せてください黒崎サン!」

「うおおおっ!?」

 

 藍染に向けて放たれた筈の攻撃の余波だけで、浦原の結界が歪み衝撃が届いてくる。その衝撃に一護が吹き飛ばされまいと伏せる。あまりの衝撃に目も開けていられない程だ。

 そしてようやく衝撃が落ち着いた時、一護はその目を開いた。そして、尸魂界(ソウル・ソサエティ)の上空にある空間の裂け目をその眼で見た。

 

「な、なんだあれ……!?」

「空間が裂けているんス……! 空間に作用しないただの威力の高い攻撃で、これ程の……!」

 

 空間に作用する技術や能力は幾つもある。だが、クアルソはそれらの力ではない純粋な破壊力のみで空間を斬り裂いたのだ。一体どれだけの威力があればこんな事ができるのか、浦原でさえ瞬時に理解し切れなかった。

 

「藍染はどうなったんだ……!?」

 

 今の一撃を受けては流石の藍染でさえただではすまないだろう。そう思う一護は、しかし藍染があれで終わっているとも思えず藍染の姿を探した。

 そして、砕けた障壁の中から姿を現す藍染を見つける。どうやら今の一撃を障壁を張る事で防ごうとしたが、完全に防ぎ切れずに砕かれたようだ。だが、藍染の全身は傷付いているものの健在であり、その傷も崩玉の力で瞬時に再生していった。

 

「素晴らしい力だクアルソ……。尸魂界(ソウル・ソサエティ)の時空をここまで斬り裂くとは、その威力は称賛に値する」

 

 藍染はクアルソの王虚の重閃光(グラン・レイ・セロ・グラベダド)を空間転移で回避しようとしていた。だが、それが出来なかった。王虚の重閃光(グラン・レイ・セロ・グラベダド)のあまりの威力によって空間が歪み、正確な転移が出来なかったのだ。故に、藍染は障壁を張る事で防ぐ事にしたのだ。

 

「完全詠唱の黒棺と王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)の融合、君以外の誰であろうと不可能な所業だろう」

 

 藍染の言葉は正しい。完全詠唱の黒棺なら死神か仮面の軍勢(ヴァイザード)でも可能だ。王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)なら十刃(エスパーダ)でも可能だ。だが、その両方を同時に発動し融合させる。それが出来る者が果たして仮面の軍勢(ヴァイザード)十刃(エスパーダ)の中にいるかというと、いないと断言出来るだろう。それ程に有り得ない技術を要する技と言えた。

 

「だが、それが限界だ」

「そうみたいですね……」

 

 藍染の言葉をクアルソは肯定する。そう、今の一撃を超える攻撃は()のクアルソにはない。あれで無理ならば藍染を倒す方法は()のクアルソにはないという事だ。

 クアルソと藍染の戦いは拮抗しているように見える。だが、藍染はまだ全力ではなかった。クアルソがどれ程の力を有しているか確認する為に、本気を出していなかったのだ。

 

「あの破面(アランカル)でも無理なのかよ……!」

 

 藍染とクアルソの会話は一護の耳にも届いていた。両者の会話からして、クアルソでも藍染に勝つ事は無理だという事になる。

 クアルソの力は一護が見て来たどの破面(アランカル)よりも強かった。一度は絶望したウルキオラすら遥かに凌駕していた。それでも藍染には届かない。一体どうすれば今の藍染を止める事ができるのか。

 一護が絶望し掛けた時、浦原が藍染とクアルソを見つめながら一護に向かって声を掛ける。

 

「いえ……まだ分かりません」

「え……?」

 

 浦原の声には希望が籠もっていた。まだ勝負の行方は分からないと思っているのだ。

 一体どのような希望が残されているのか。藍染の絶望的なまでの力に圧倒されていた一護は、浦原に期待と困惑を籠めた眼を向ける。

 

「忘れていませんか黒崎サン……クアルソさん、まだ斬魄刀を抜いてないんスよ」

「――ッ!!」

 

 浦原のその言葉で一護は思いだした。破面(アランカル)には帰刃(レスレクシオン)という破面(アランカル)の真の姿と能力を解放させる力がある事を。

 今の今まで、クアルソの圧倒的な戦闘能力に驚愕し、クアルソがまだ帰刃(レスレクシオン)していない事を忘れていたのだ。

 

「あいつ……まだ強くなるのかよ!?」

 

 今のクアルソが帰刃(レスレクシオン)すれば確かに藍染に迫る強さになるかもしれない。破面(アランカル)がそこまでの力を持っている事に多少の危惧を抱くが、今は藍染をどうにかする方が先決だと思いその危惧は一時捨て置いた。

 そして再び藍染とクアルソの動きを注視する。これからの動きを僅かとも見逃さないようにする為に。

 

 

 

「今の君では私には勝てない。君がどれほど強くとも、どれほど技術に長けようとも、根本的な力が違い過ぎるのだ」

 

 藍染の言う通り、クアルソの力では藍染に届かない。技術では負けていない。接近戦ではクアルソに一日の長があるだろう。鬼道を用いた戦いでは藍染が勝るだろうが、この世界で最初に戦った時よりもその差はかなり埋まっていた。クアルソがこの世界での戦闘知識と技術を高めた結果だ。

 だが、今のクアルソの力ではどれ程技術で勝ろうとも、藍染に致命の一撃を与える事が出来ないのだ。クアルソの放てる最大火力ですら、藍染を傷付けるだけに終わった。崩玉で瞬時に再生する藍染にはその程度のダメージでは意味がないのだ。

 そもそも、王虚の重閃光(グラン・レイ・セロ・グラベダド)は放つまでに時間が掛かり過ぎるという欠点がある。虚閃(セロ)の言霊ですら出来るだけ省きたいと思っているクアルソは、あれだけの発動時間を要する力を何度も放とうとは思わないし、藍染も何度も放つ隙を与えてはくれないだろう。

 

「……」

「クアルソ」

 

 藍染の言葉に無言を貫くクアルソに対し、藍染が再び声を掛ける。その声が、その目が、その表情が、藍染の想いを全て物語っていた。

 

「はぁ……仕方ない。出来れば使いたくなかったんだけど……」

 

 クアルソは溜め息を吐きながらそう呟き、己の斬魄刀を抜き放った。それを見て、藍染が歓喜の笑みを浮かべる。ようやく、ようやく真の戦いが始まるのだと。

 

「私をここまで焦らしたのは君が初めてだ……!」

「そんな初めていらんわ……」

 

 男の初めてなんか貰っても欠片も嬉しくないという想いを籠めてクアルソがそう呟く。そして己の斬魄刀を藍染に衝きつけ――大地に落とした。

 

「!?」

「目覚めろ――」

 

 クアルソが放った解号と共に斬魄刀が砕け散る。そして――

 

 




 クアルソは尻拭いをしているだけだったりする……。オリ主の行動が全ていい方向になるとは限らないわけでして。

現世「助かった」
尸魂界「助けて」

なお、帰刃しても女になりません。

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