東方幻想郷巡り   作:北風北

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暑くなってきましたがよろしくおねがいします!


にとり

 

 

 

 

 

 

たどり着いた先には案の定、川があった。すぐにでも水を浴びたかったが、その川の中に一人の少女の姿を確認することが出来た。水色の髪を左右に分け、ふたつに結んでいる。そして浅い川の中心にぽつんと座りこちらをじっと見つめていた。

 

 

どうしてこんな所に·····?

そう思ったが、すぐにひとつの答えにまとまった。彼女は妖怪なんじゃないか、と。

 

 

もしそうだとしたらかなり危ない状況なんじゃないだろうか。もちろん、普通の女の子が川で遊んでいるだけ、という状況も充分ありえるわけだが里の外は基本的に危険な妖怪が沢山いるらしい。慧音さんのような妖怪もいるのだ。目の前に居る少女が妖怪ではないとは言いきれない。

 

 

ここまで考えている間にも時間は過ぎている。目の前の少女は未だ動く気配がない。今のうちにいつでも逃げれるように構えておこう。俺自身妖怪から逃げ切れるなんて思っちゃいないが、体は鍛えてはいたんだ。里にいる連中と比べると郡を抜いて逃げ切れる確率は高いはずだ。まぁ、妖怪と鬼ごっこなんてしたことないけど。

 

 

すると、そこへ本格的に逃げる体勢をとっている俺に少女から声が掛かる。

 

 

「ま、待って! 」

 

 

「·····っ! 」

 

 

いきなり声が掛かるとは思ってなかった俺からすると、かなりびっくりした。しかし、話し掛けられたと言うことは友好的な妖怪だったりするのだろうか。取り敢えず少しだけ警戒はとけた気がする。そのおかげか少女の謎の焦りも収まってきたようだ。

 

 

「な、何か用かな? 」

 

 

「盟友、と君のことはそう呼ばせてもらうとして·····盟友は私の事は誰だか分かる? 」

 

 

いやいや、初対面の人に対してそれはないだろう。あと盟友ってどういうことなんだ。

 

 

「申し訳ないんだけど、君の事はわからない。俺は君が誰なのか聞こうとしてたんだ」

 

 

もしここで妖怪だと答えられても、多分この子は人は襲わない妖怪なんだと思うことが出来るだろう。俺の事を盟友と呼んでいることからして目の前の少女からは敵意というものが一切感じらない。

 

 

「あ、あぁ、そうだったよね。ごめんなさい。私ってばついついうっかりさんだったね」

 

 

あはは、と笑う少女を見ながら何がうっかりだったのか疑問に思うがそれは置いておくとしよう。

 

 

「それで聞きたいんだけど、君は妖怪·····だったりするのか? 」

 

 

一番聞きたかったことを聞いてみる。正直体の方は汚れまくっていて気持ち悪いが、最低限の緊張の糸だけは切らない。

 

 

「あ、うん! 私は河童のにとり! 河城にとりって言うんだ。これから宜しくね」

 

 

····················河童。やっぱり妖怪だったか。ニコニコと笑っている彼女を見る限り、もう警戒しなくていいようだ。俺の中に張りつめていたものが消えうせる。

 

 

「·····ふふっ。やっと··········を··········くれた」

 

 

彼女が何かつぶやいた気がしたが、まぁ、気にしない事にする。それにしてもさっきこれから宜しく、みたいな事を言われたがそれは一体どういう·····

 

 

「あっ、さっき言ったこれから宜しくっていうのは取り敢えず安全な場所まで一緒に行こうって事だよ。私たち河童の仲間である盟友を見殺しにしたとあっちゃあ、他の子達に顔向けできないからね」

 

 

なるほど。

疑問に思っていることを説明してくれたにとり。話を聞く限り、妖怪は妖怪でも河童は人間に対してかなり友好的らしい。

 

 

里の外に出て初めて会ったのがにとりで本当に良かったと、そういった内容をにとりに伝えると頬を人差し指で照れくさそうにかいていた。

 

 

 

俺が水浴びを終えるとタイミング良くにとりが後ろから現れた。にとりには、水浴びの最中に目の前に居られると少し気まずいという話をすると、私が辺りを見張っておくよ、と言ってくれたのでお言葉に甘えることにした。そもそも幾ら見張りを任せておくとしても、にとりは妖怪なのであまり心配はしていなかったのだ。人間の俺なんかより、遥かに強いはずだ。

 

 

「にとり、ところで安全な場所ってどこなんだ? 」

 

 

「あぁ、それならあと少し歩いたところに小屋が建ててあるんだけど、そこの近くなら理性のない下級の妖怪なんて一匹も近付けないから安心していいよ」

 

 

「えっ、にとりってもしかして結構強い妖怪?」

 

 

「まぁ河童の中では、ね!」

 

 

えっへん、といった風に胸をはるにとり。年相応の女の子にしか見えないその仕草は普通に可愛く感じられた。

 

 

「もう少しで到着だよ」

 

 

おっと、いかんいかん。いくら可愛くても親切に接してくれたにとりに対してそういう目で見続けるのは失礼だな。

 

 

「·····ん? ·····今、何考えてたの?」

 

 

さすが妖怪というべきか、色々と勘が鋭い。今こんなふうに冷静を装っているが普通に焦っている。雰囲気が怖かったし、何よりにとりの目を直視出来なかったからだ。

 

 

「あ、いや、何でもないですよ·····?」

 

 

「なんでさっきまで普通に話してたのに丁寧な言葉遣いになってるのさ」

 

 

そうして、はぁ〜とため息をつくにとり。

 

 

「この場所で変な考えは起こさない方がいいと思うよ。盟友なんて私がいなかったら、今頃妖怪の胃袋の中なんだから」

 

 

俺の手首を握りしめながらそんなことを言うにとり。その姿はとてもじゃないが、年相応の女の子には見えなかった。

 

 




にとりの雰囲気が怪しく·····
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