Fragment of the planet   作:えっこ

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臆病な勇者のつなぎめ

 

「これじゃ、ダメとわかっているの」

 

結局わたしは振り出しに戻ってしまった。

掴めるチャンスは掴めず、自分の事はわからずじまい。毎日食事し就寝を繰り返して行く日々。幽霊の私はその行為を必要としないのに、まるで生きている人の真似事をしてただ日々を過ごしていく。この状況は非常によろしくないことはわかっている。

 

隣で黙々と洗濯物を畳んでいたナルト君に乗り出して、自分の気持ちを訴えた。

彼は、男物の下着を畳んでいる私の姿を複雑そうな顔で見守っていた。が、突然大声を張り上げた私を驚いて見ていた。

 

今日はナルト君の家にお泊まりの日だ。

彼は明日予定は何も無いらしく、明日一日つき合ってくれることになっている。

 

「どうするだってばよ?」彼の言葉を聞いて息詰まる。「どうしたらいいかわからないの…」手元にあった彼の下着を無意識で握りしめると、複雑な表情でナルト君はそっと私の手から自分の衣服を奪った。

困っている私を見て彼は、言葉を探して視線を彷徨わせた

 

「先生はなんて言ってんだってばよ?」

 

声を無くして、視線を下げる。「…言ってないの」カカシさんとは毎日顔を合わせているがお祭りの日以来この話はしていない。途方に暮れたり迷った時にいつも道を示してくれたのは、カカシさんだった。その彼に相談できないのは、この前あの日に感じてしまったもやもやした気持ちのせいだ。

 

彼に相談しなくなってから初めて気づく。

いつも私の背中を押して答えを教えてくれていた。答えを与えないと言いつつ結局は遠回しに答えを教えてくれる。スマートなやり方にむずがゆさを今更になって悔しくなる。

彼がいなければ自分で答えを導けない自分の無力さに。

 

畳まれた下着を彼は持って、タンスにしまいにいった。

先週荒れていた部屋はなんとか綺麗を保ったままだった。洗濯物をこうして一緒にたためばそれを覚えてそれを維持しようとする。

綺麗にする知恵を教わらなかったから、あんなに荒れていた…のだと思う。まだ完璧にきれいな部屋だとは言えなかったが彼は努めて部屋をきれいにしようとしてくれたいた。

 

 

「他に誰か私の事知っている人がいたらいいのに」

今のところ私の旧友は猫と幽霊だけだ。

ナルト君の知り合いに私を知る人がいたら全て教えてもらえたらとても簡単なのに。

 

「聞いてまわればいいんじゃねーの?」

うわさは人の口から。片っ端から声をかけるやる気も一応あるが首を振った。それが無駄足になることは目に見えていた。

人に見てもらえるようになってから数週間とたった今でも私の事を知っている人間には会っていない。

「無理だよ、私の事知っている人なん…」思い当たる友人達を思い出して目を見開いた。私が不自然に言葉を切ったので、彼の視線がこちらに向く。

 

 

ナルト君たちとわたしたちは似ているようで全然違う。

今のいままで自分とナルト君達人間を比べて落ち込むばかりしていた。私が生きる世界とナルト君が行きている世界同じようで違うとあんなに卑下に思っていたが、私のこちら側の世界は私だけではない

 

「あのひとたちに、聞けば良いのか」

わたしは、ゆうれいだ。

 

 

 

 

自分で見つけた新しい微かな希望を胸に抱き、真っ暗な夜道を2人で歩き出した。

幽霊の人たちなら私の事を知っているかもしれない。大人びて笑うあの幽霊の友達も、言っていた。昔、戦争で亡くなった人たちの話をワタシが聞いていたと。その人に会えたら一番いいが少しでも手がかりが見つかればいい。

明日探しに行こうかとおもったけど、夜の方が見つけやすいかもしれない。ナルト君がそう言ってどんどん真っ暗な道に進んでいったのだけど、情けない事に指先が震えている。じっとりと手の中の汗が気持ち悪く感じた。

 

不安な気持ちを隠す為にナルト君に声をかけると彼の声が不自然に裏返っていた。目を見開いた。

「…どうしたんだってばよ、」

恐る恐る振り返る彼の顔はひきつっていていた。良くない顔色を見て言葉に詰まる。

 

 

「まさかナルト君」

「おおお俺ってば全然怖くねーし」

私が最後まで言葉を言う前に、食い気味で私の言葉を否定した。…まだ何も聞いていないのに。

先程の私の話を聞いて意気揚々にすぐに出かけようと言ったのは彼だったのでまさかこの状況に怯えているとは微塵も思わなかった。

 

体中に汗をかいて小刻みに震え、とても怖がっている。

頼もしい背中だと思っていたのに、思ってもいない姿を見て言葉を無くす。

 

「おばけ、苦手なの?」

「んなわけねーってばよ!」

強く否定した言葉は震えていて説得力がとてもなかった。

見るからにとても、苦手そうだった。

目をぱちくりとさせ、彼の今までの行動をゆっくりと思い出し首を傾げた。

 

「ワタシはいいの?」

私と話すときにこんな怯える姿を見たことが無い。自分でも忘れてしまうが私は幽霊であり、ナルト君たちとは違う。浮こうと思えば浮けるものだし食事も睡眠も必要としない。あればもちろん栄養にもエネルギーにもなるらしいが、基本は必要としない

そんな私を怯えている姿を見たこと無い。というよりも、こんなに何かにおびえているナルト君を見るのは初めてだ。

 

 

私の問いが気に食わないのかナルト君はむすりと唇を尖らせて私を軽く睨んだ。

「ねーちゃんはお化けっぽくねーし。」

…訂正、気に食わないのかは読み取れない。怒っているのか、図星で拗ねているだけなのかわからない。

彼はじっと黙って私を下から上なめるように見た。あらたまって確認そのする素振りは恐らく私という幽霊を再確認しているのだろう。彼の綺麗な瞳が恐怖で揺れていたのに、何度か頷いて私の瞳と交じり合わせるとにっこり笑った。

 

「俺のねーちゃんだし、怖くねーや」

 

少し照れたように笑った彼に面喰らってしまった。

目を見開いて固まっていると、照れくさそうに私を見上げる瞳に声をつまらせてそっぽ向いた。その言葉はなんてずるい。

震えはまだ微かに感じていたが胸の中が暖かくなるのを感じた。

 

 

2人で並んで身を寄せ合うように裏路地を歩いていくと、どんどん足先も指先も冷たく感じていった。先程の嬉しい言葉があっても身体は素直だった。まだまだ暑い季節なのに寒いというのはなんとも不釣り合いな言葉だ。

感覚がなくなっていく。

それが緊張のせいなのか、空気のせいなのかわからない。

 

 

「…ナルト君、待ってて」

曲がり角の死角に彼を引っぱり、そこで静止させた。

私の強張った表情を見て彼の表情は怯えきって蒼白していく。緊張の所為でうまく笑えないのを自覚しながらも彼を安心させるために下手な笑顔で口端をつり上げた。

どんどん身体が硬直していくのをお互いに感じ合っていた。二人で下手な苦笑いをして拳をつくった。

 

 

 

曲がり角を曲がった先に1つの街頭の下に小さな公園がある。街頭が寂しく灯る下に、沢山のヒトタチがいた。この辺は人通りも少ない。辺りを見渡しても居住区は見当たらないのにこのヒトダカリは異様だった。辺りを覆い茂っている木の所為で一層暗く感じ、皆ヒソヒソと楽しそうに陽気に笑っている。声が、何か雑音にも似たような声にそれが本当に声なのかわからない。

 

沢山のヒトタチは、顔が視えない子が多く、人の形をしていないものもいる。初めて見る人間の姿ではない存在を見て膝が笑う。以前妖艶に笑う私の幽霊の友達はまだ人間だった。私の存在にとても近かった。公園のヒトタチは、いかにも本物らしい。冷や汗を感じながらももう一度かたく拳を握りしめた。

 

 

 

「こんばんは!」

両手で握りこぶしを作って大きな声を出し、その沢山のヒトタチに声をかけた。がやがやと騒がしかった声が聞こえなくなり幾つもの視線を肌で感じた。

 

人に注目されるのも苦手だし、お化けもにがて。

でも、そんな事言ってられなかった

 

 

「少しだけ、私とお話してください!」

懇願するように叫ぶ私は傍から見たらなんと滑稽だろう。

しかし微かな光を逃すわけにもあの暗い道でずっと一人で震えながら待っている弟がいると思うとここでワタシがここで逃げてはいけない。

 

公園は静まり返り重たい空気が濃くなった。人ならざる者の空気が、やけに重たい

自分の心臓の音がどんどん早くなっていき、重たく動いている。

私、呪われるかな?変な事を頭によぎった

 

 

「あなた、いちか?」

突然呼ばれた名に、目を見開き下げていた視線を上げた。

私を知っている人がいるという予想はどうやらあたっていたようだ。まさかこんなにも簡単に見つけた事に驚きを隠せない。

私の顔をきょとんとした顔で覗きこみ、視線を揃えてきた女の子の瞳とぶつかる。

 

わたしを、しっているひとがいた!それに、顔がある。

その存在にほっと心をなでおろした。高揚する胸を落ち着かせゆっくりと女の子の問いに頷いた。「私は、いちか。」恐る恐ると口にして彼女の様子を伺った。

 

私の問いを聞いて彼女は目を見開き、私に思い切り飛びつくと静まり返った公園が一気に大騒ぎになった。

「いちかだ!」「いちか?!」

私の名があちこちと呼ばれて、目を見開いた。

声をかけてきた女の子だけが私を知っている唯一の幽霊かと思ったがこの公園にいるヒトタチ大半が私を知っているようだった。

 

「一体何処に行っていたの?」「久しぶり過ぎるわ!」

今まで、私を知る人がいなかった事なんて嘘だったような周知度だ。沢山の人タチに囲まれて、私の名を何度も呼ばれる。彼らが近づくとなんだか背筋が寒くなる空気に苦く笑った。

予想が当たったとはいえ、なんという予想外な展開だった。私を知るヒトタチがここまでいて、それも一気に見つけるなんて思いもしなかった。

混乱した頭でなんとか笑顔を貼り付けた。

恐怖ではなく、期待に足が震えた。

 

 

「あの男の子誰~かわいい~彼氏~?」

人の気配を感じとったヒトリが、死角に隠れているナルト君を見て楽しそうに私に声をかけてきた。可愛らしい声につられて振り返ると「ひっ」顔がなく、思わず驚いて声を失う。

しまったと思ったが後悔先に立たず。微妙な空気が流れてしまい顔のない彼女と向かい合う形でお互いを見つめる。(顔は無く見つめ合っているかも、わからない)

失礼な態度を取ってしまった。

冷や汗を垂らして、様子を伺っていると一番最初に声をかけてきた女の子が私の背中を叩いた

 

「相変わらずね~!」

重たい空気はまたどこかへ行き公園中に笑いが起きて、目をぱちくりとさせた。

怖がられた顔のない女の人も気分を害する事は無く皆と同じように笑っていた。つられるように私も笑ったが、何故皆が笑っているのかさっぱりわからない。

 

彼らの明るい声を聞いたら少しだけ肩の力が抜けていくのを感じた。

ひっきりなしに私に何かを聞いているが一斉に聞くものだから何も答えられなかった。しかし向けられる好意は何一つ嫌なものはない。危険はないとわかりほっとした。この空気は、慣れないけども!とりあえず怖いイメージはなく、笑顔がつくれていた。

 

髪をあちこちと誰かに触られて、ボサボサになっていた。視えない事を理由にして基本的に悪戯するのが好きな子が多いらしく会話をしながらちょっかい出されていた。お空に消えたあの旧友も悪戯好きだった。

 

 

「あの子もからかっていーい?」

死角の曲がり角を指差して、慌てて手を振った。

「こ、怖がりだから勘弁してあげて」ガタガタと震えて怯えきっていたナルト君を思い出して悪戯を阻止しようとした。

 

「あなたと一緒ね」

その子は悪戯に笑って踵を返したのを見て安心した。

彼女の言葉を脳で反芻させてはっとする。私って昔から幽霊を、怖がってたのか。彼らが先程「相変わらず」と言って笑っていた意味がわかった。

私が幽霊を怖い事を知っていたからあの人はちっとも怒らなかったのだ。

きっと昔同じ事をしたに違いない。心が広くて、助かった。

 

公園中のヒトタチは先程から落ち着き無く私との再会を喜んでくれていた。ひとりだれか私を知ってくれればよかったと思っていたのだが思いもよらぬ収穫だ。

だけど、落ち着いて誰かに私の事を聞き出せる状況ではなかった。あちらこちらと私に誰かが悪戯をして、色んな人に声をかけられて話す隙がない。この状況をどうしようかと思い途方に暮れていると私の足元にいた男の子が私の足元の裾を引っ張った。

 

 

「ねえ、またお話会やってよ」

 

色んな質問をしてくる言葉の中で甲高い子供の声が辺りに響く。爛々と輝く瞳とぶつかった。

「おはなし、かい?」

素っ頓狂な声をあげて、子供が吐いた言葉を反芻させる。まったく意味を把握していない私を他所に周りは歓喜の声を上げて期待ありげに幾つもの視線をぶつけられる

その空気を無碍に否定する理由が無く、空気にのまれながら

 

「や、やろうかな」

提案を受け入れた。回りにいたみんなが喜んでいるのを見て、悪い気はしなかった。

お話し会、というものが何なのかよくわからなかったが「また」と言ったあたりここで昔私がやっていたのだろう。それをしていたからこんなに私を知っている人が多いのかもしれない。

だけど、記憶が無いことをこの人達に言わないと話がいずれ噛み合わなくなるだろう。だけど落ち着いて話せる人は見当たらなく困ったと口を真一文字に閉ざし眉を下げた。

 

 

 

「なんかこの辺薄気味悪いってばよ!」

一人でいたたまれなくなったのか物陰に隠れていたナルト君が姿を現した。隠れて、と言っていたのに待ちきれなかったようだ。

突然姿を現したナルト君にぎょっとした。案の定公園のヒトタチは物珍しそうにみんな彼を覗き込んでいた。ナルト君は何人にも覗かれている事に気づいていない様子で、どうやら視えないらしい。

 

「何かいたのか?」

夏なのに寒い。肩をさすりながら近づいてくるナルト君に怖がらせないようになんと答えるべきか悩んでいた。

おかげで沢山いたよ、なんて言える筈もなかった。ナルト君の後ろを楽しそうに漂っている女の子を無意識で目線で追いながら思慮していると「なに見てるんだってばよ!?」後ろをこわがって見ていた。

黙っていたのが逆効果になってしまった。

 

「えーと、何人かいるよ」

ナルト君の周りに何人かいて、私のまわりにはとても沢山のヒトタチがいます。全てを言わず言葉を濁して伝えると「そ、そんなにいるのか?!」慌てて周りを見渡すナルト君を楽しそうに皆が漂い始めた。悪戯に笑う彼女達に首を振ってバツサインを出すとつまらなさそうに口を尖らせ手を出すのを諦めてくれた。でも、昔の旧友みたいに笑う。

…この子達も見た目以上にこの場所で時を過ごしているのだろう。

 

「もう少ししたら帰るから、もうちょっと待ってて」

彼の震える手を握ると両手で掴んで不安げに大きく頷いた。こわいと言ったのに逃げ出さずにここにいてくれるらしい。

 

「あなたってば変わらないわね、」

バツサインを送られた少女が心底楽しそうに笑って私の前を横切った。それを視線で追い「怖がりなところ?」問いを投げかけた。

「そうやって私達を道から踏み外さないでくれるところ」

「、道をふみはずす?」彼女の言葉を反芻させる。私の問いに目をぱちくりとさせて目を伏せた。

 

「いちか、記憶を失くしたの?」

的を得た言葉に目を見開いて「え、ええ。そうなの」嘘をつかずタイミングを逃した言葉を吐いた。回りにいたヒトタチは目を見開いて私の言葉を聞いていた。先ほどの浮かれたざわつきとは違うどよめきが起こった。

 

「そう、それは災難だったわね」

視線を逸らした彼女達に疑問符が浮かぶ。たしかに、久しぶりの知人が記憶を無くしていたら驚きはあるのはわかるが。彼らは驚いているというよりは、悲しんでいるようにみえた。彼らの反応について理解する答えはその時は、わからなかった。

大きくため息を吐いて先ほどの少女は私を見つめた。

 

 

「道を外すって事は、悪霊になるって事」

 

息をつまらせた。幽霊と、悪霊は全く別のものだと思っていた。全く別な存在だと思っていたが、そうではなく悪霊に变化する事実に驚きを隠せない。

 

「死んですぐに悪霊になるものもいれば、未練を残しているうちに悪霊になるものもいる。」

思いもしなかった言葉に言葉を無くした。私は話しを聞いて、それを阻止をしていた?

どうやって、そんな事をしていたの?

 

「また来て、」

暖かくもつめたい空気を漂わせる彼らは優しく私を見守っていた

「わたしたちあなたのことずっと待っていたんだから」

あまりにも感情がこもった言葉に涙が出てしまいそうだった。

 

私の事を知る存在が待っていてくれたなんて初めての体験だ。おもえば、あの彼女も私を待ってくれていた。

 

「…ありがとう、今日はあえて嬉しかった」

私の言葉に彼女達も嬉しそうに「わたしたちもよ」笑った

 

 

 

 

 

恐怖で怯える彼の手を引いて、その場から離れた。

少しずつ明るい電灯がちらほらと見えてくると、彼が握る力が弱くなっていくのを感じた。

ナルト君は視えてはいないようだったけど、恐らく何かを感じ取ってはいたのだろう。あんなに大勢いれば、鈍感で気づきにくい人も流石に気づくと思う。

 

「良かったな」

嬉しそうに笑うナルト君に、驚いた。先ほどまで私の掌を強く握っていたというのに、思いもしなかった表情だった。

彼が笑っている理由を考えていると、自分が破顔していた事に気がつく。彼の言葉に大きく頷いた

 

「これで、寂しくならないな」

「…私、寂しそうに見えた?」

思わず身を固くした。いつの日にか蓋をした感情が誰かに悟られてはいけなかった。

彼はゆっくりと首をふった

「いつも先生の家にひきこもってるんだろ?」

どうやら寂しそうに見えたのではなくて、予想だったらしい。俺なら耐えられないと苦渋の表情を見て思わず目を見開いた。

 

「ナルト君…!」

涙を浮かべて彼の腕を力強く取って、見上げる。涙を見た彼は驚いている

本当にこのこは寂しさに敏感な子だと思う。

少し無知でお馬鹿だと笑われるけど人の気持ちも汲み取ろうと努力して人の気持ちに寄り添えるいい子だ。

情けなくなき始める私の頭をぎこちなく一回だけ撫でた。

なだめてくれる姿に眉間に皺を寄せた。

過去に寂しい想いをしたからこそ気持ちに寄り添えるのだ

お腹に抱えるキュウビが原因なのに、それを受け入れようとしてる

 

「、お、おわ!?」

お腹に抱えるキュウビごとしがみついて、彼に感謝する。

私を理解しようとしてくれる寂しさはこのキュウビからきている。

ありがとうあなたのおかげでこのこはこんなにも優しくなれた。

私に優しくしてくれた

 

照れくさそうに私の腕でもがき続け離れようとした彼をぎゅっと抱きしめる

お化け、こわかっただろうに。無理してくれたのは私が困っていたからだ。私の為に、私が寂しくないように動いてくれた。

 

「こんな弟がいて幸せだよおいいお兄ちゃんになるよお」

「…俺ってば兄ちゃんに昇格?」

 

彼はもがくのをやめてお腹で情けなく泣く私を仕方ねえと眉を下げて笑った

 

 

 

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