ドウシテウナッタ……。
という事で、本編の方をどうぞ!!
いよいよ始まった冬華と由紀の初バイト。
しかし幾ら待っても肝心のお客さんが来ないので、チノの提案により2人はリゼからラテアートを習う事になった。
「取り合えず手本はこんな感じだ。」
「「おぉー!」」
先にリゼが手本としてウサギの絵を描いてみせる。
リゼの描いたウサギはとても上手で可愛く、その出来栄えにおもわず2人の口から感嘆の声が出た。
「リゼ、ラテアートすごく上手だね!」
「そ、そんなことはないぞ。」
冬華に褒められて恥ずかしかったのか、リゼは顔を赤くした。
「そんなことあるよ。リゼちゃんが描いたこのウサギの絵、上手で可愛いよ! ねぇ、他にも何か描いて。」
そんなリゼに由紀は上目遣いをしながら、まるで姉に甘える妹の様におねだりした。
「そうか、他のも見たいか。よしユキ、トウカ、よく見とくんだぞ! うおぉぉぉ!!」
由紀のおねだりで気をよくしたリゼは、物凄い勢いでカップにミルクで絵を描き始める。
「出来た!」
数十秒後、ラテアートが完成したリゼは満足気に、描いたそれを冬華と由紀に見せる。
「「こ、これは!」」
カップに描かれていたのは1台の戦車の絵だった。
しかもその車体には迷彩柄が入っていて、砲台の先には砲撃を撃った後なのか、煙が出ているという芸の細かさだった。
「「す、すごい!」」
その凄さに冬華と由紀はさっきとは違う意味で感嘆の声を出した。
その後2人もラテアートに挑戦し、冬華は祖母が飼っている柴犬を、由紀は髪に付けているヘアピンのクマをそれぞれ描いて、リゼによるラテアート教室は幕を閉じた。
――第12話 かんげい3――
「……それにしても、お客さん来ないですね。」
ラテアート教室が終わって暫くした後、店内を見渡したチノが呟いた言葉につられ、他の4人も店内を見渡す。
ランチの時間もおやつの時間も過ぎたこの時間は、客足が少なくなる時間の為、店内には1人も客はいなかった。
そんな店内を見て、席に座っていたココアが突然「そうだ!」という声と共に立ち上がる。
「ど、どうしたの、ココアちゃん?」
冬華は驚きながらココアにそう尋ねる。
他の3人もココアの突然の行動に驚いて自然と視線をココアに向けていた。
そして、4人の視線を受けたココアは、
「お客さんいないなら私たちがお客さんになれば良いんだよ!」
と、元気よくそう言い放った。
「「!」」
「「?」」
ココアの提案を理解したリゼと冬華と違い、よく分からず頭に?マーク浮かべた由紀とチノだったが、
「なるほど、つまりチノちゃん達がお客さん役をやって、僕とユキの接客スキルを見るって事だよね?」
「その通り!」
という冬華とココアの会話で2人もココアの提案内容を理解した。
「しかも今回は店員役のトウカ君とユキちゃんはお客さん役の私達の事を“お客様”じゃなくて“おねえちゃん”って呼ばなきゃだめだからね!」
「なんだそのルール! 2人も何とか言ったらどうだ。」
ココアの立案におもわずリゼがツッコミを入れ、冬華と由紀に聞く。
ココアの案は、ただ単に2人から“おねえちゃん”と呼んで貰いたいがための下心丸出しの案なのだが、当の本人達は「まぁ別に良いよ?」と特に気にすることなくそれを受け入れた。
「やったー!! じゃあ早速!」
自分の案が受け入れられ、テンションが跳ね上がったココアが、外に出て行こうとすると、
「でもココアさん、お客さん役と店員役に全員が分かれてしまうと、実際にお客さんが来た時に対応が遅れてしまうので、せめて2人位は残しておいた方が良いのではないでしょうか?」
と、チノが冷静に指摘する。
「そっか、それもそうだね。それに気付くなんてチノちゃんエライエライ。」
指摘を受けたココアがチノの頭を撫でるが、撫でられたチノは「子ども扱いしないで下さい」と少し不機嫌そうな声を出すだけだった。
「それじゃあじゃんけんでお客さん役を決めよっか。勝った人が出来るからね! いっくよー。」
「「「じゃん、けん、ぽん!」」」
掛け声と共にココア、リぜ、チノの3人は同時に手を振り下ろした。
ーーーー
ラビットハウスの店内に「チリンチリーン」と、来客を知らせるベルの音が鳴り、
「いらっしゃいませ♪」
その2人に向かって明るい笑顔と共に出迎える店員役の由紀と、その由紀を既にテストを終え、ティッピーとともにカウンターから暖かく見守る冬華。
「うぅぅ……。」
そして、ホールの隅っこの方で項垂れているココア。
先程行われたお客さん役を決めるじゃんけんは、ご覧の通りココアの1人負けという結果に終わった。
そして、その時からココアのテンションはだだ下がりだった。
「いらっしゃいませ、
項垂れているココアに気にせず、店員役の由紀がリゼとチノを窓側の席に案内する。
その際に由紀が言った“おねえちゃん”というフレーズを聞いて、ココアは「うっ!」と声を洩らし、更に項垂れるのだった。
ココアがここまで落ち込んでいるのは、雰囲気は違うがチノと声の似ている由紀から“おねえちゃん”と呼ばれる事で、少しでもチノから“おねえちゃん” と呼ばれる感覚を味わおうと企んでいたのだが、
「グーが、私のグーがぁ!!」
その計画は、ココアが出したグーにより一瞬にして崩れ去った。
「おねえちゃん達、ご注文は何が良い?」
席に案内した由紀が手に持つメニュー表をチノとリゼに渡し、2人に注文を尋ねる。
「では、カプチーノとサンドイッチをお願いします。」
「じゃあ私はキリマンジャロとナポリタンで。」
「かしこまりました、しばらくお待ちください。」
2人の注文を受けた由紀が、その場で一礼してカウンターの方に歩いて行く。
そしてカウンターにいる冬華に注文の品を伝え、事前に用意してあった水の入ったカップと、空のお皿がそれぞれ2つずつ乗ったお盆を冬華から受け取り、リゼとチノの元に運ぶ。
「オッケーです。ユキさんも合格です。」
再びその場で一礼してカウンターの方に歩いて行く由紀の後ろからチノがテストの終了と合格を告げた。
その後、実際に何組かのお客さんを接客して、冬華と由紀の初バイトは無事終了し、5人で店内を掃除した後、冬華は空いている部屋で、他の4人は更衣室でそれぞれ私服に着替え、リゼ、冬華、由紀の3人はラビットハウスを後にした。
次回は数日中に投稿する予定です。
お楽しみに!
8/26(金)
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