……前回の投稿後、書き溜めた分を見直して、特に必要ないと思った部分を消していった結果思ったより早く本編に移れそうなので、原作を変えない事にしました。
私の勝手な行動で不快になられた方、申し訳ございませんでした。
今回も1人称で書いてみました。
ポンポン視点が変わるのでご注意下さい。
まずは冬華sideから……どうぞ!
夜、いつもでは考えられない程静かな夕食を終え、お風呂からあがった僕は、居間に戻って床に寝転ぶと机の上に置いてある2枚の書類を手に取った。
両親の異動辞令の書類には、両親が海外に勤める事が書いてあり、転校手続きの書類には、僕が巡ヶ丘学院高校から名も知らないどこかの高校に転入する事が記述してあった。
『……父さん達、4月から海外で働く事になってな、それで一姫はおばあちゃん家に、冬華は父さんの知り合いの人の家にお世話になる事になったんだ。』
書類を見ていると、何時間も前に母さんと共に再び会社に戻った父さんの言葉を思い出した。
信じれなかった。
理解出来なかった。
そして、したくもなかった。
父さんから転校の話を聞かされた時、そんな思いが頭の中を巡った。
……そして若干薄まったとは言え、その感情は未だに僕の中で巡っている。
だから僕は、そんな思いを消すかのように、床から起き上がってキッチンに行ってコンロに火をかけると、
その2枚の書類を火にかけた。
茶色く変色していく書類を僕は、ただ静かに見守っていた。
ーー第7話 それぞれーー
一姫 side
朝、いつも通り冬華の部屋で目覚めた私が居間に行くと、テーブルの上には朝食のサンドイッチと、私の昼食のお弁当、そして冬華からの置き手紙があった。
『ちょっと気持ちの整理をしに出掛けて来るから今日は学校休みます。心配しなくて大丈夫だから2人はちゃんと学校に行ってね。』
「! 冬華っ!」
手紙を読み終えた私は飛び出るように居間から出ようとすると、
「「わっ!?」」
ドアの所で珍しく私より先に目を覚ましていた由紀とぶつかりそうになった。
「由紀、大丈夫!?」
「うん、大丈夫。それよりかずねえ、トー君のバックと帽子がないよ!」
ぶつかりそうになった由紀をなんとか避けると、由紀が冬華が外出の際にいつも持って出ている茶色のショルダーバッグと、猫耳の様な突起の付いた帽子がない事を知らせてくれた。
玄関に行くと冬華の外行き用の靴も1足なかった。
どうやら出掛けたのは本当らしい。
冬華を待つ事にした私達は、朝食を食べ支度を済ませた後、家を出るギリギリまで待ったけど結局冬華は帰って来らず、仕方なく学校に行った。
由紀 side
「あれ? 丈槍、今日上白の奴どうしたんだ?」
朝礼中、出席を取っていた佐藤先生が不思議そうな声を出して私に聞いてきた。
『由紀、ゴメンけど、冬華が休んだ理由を言われたらこう言って欲しいの。』
私は今朝、校門の前でかずねえから言われた事を思い出し、
「ちょっと熱出したらしいので……。明日には来ると思います。」
と、今日何度目にもなる
そんな先生の反応を見て、私は静かに胸を撫で下ろした。
トー君が学校をお休みするのは本当に珍しい。
朝、教室に着いたらきーちゃんや音君、友君や他のクラスメイト、終いには料理部の部員の子達までトー君のお休みの理由を聞きに訪れたから。
その人達全員に同じ
「丈槍、ちょっと良いか?」
「? なに?」
「ちょっと話があるんだ。廊下に行こう」
「うん、わかった」
朝礼が終わってすぐ、音君が私の席に来て、私を廊下に連れ出した。
「ねぇ、話ってなに?」
「……なあ、丈槍。今、冬華の奴、行方不明じゃないのか?」
「!?」
廊下に出て、私が聞くと音君は開口1番にそう聞いてきて、いきなりの事だったからつい大きな反応になった。
「……その反応はやっぱりか。実は俺、毎日早朝にランニングしてるんだが、今朝あいつに似た奴がタクシーに乗る所見たんだよ。……どこに行ったかまでは知らないがな。」
「……そう、なんだ。」
私がポツリと呟くと同時にチャイムの音が聞こえて来た。
「おっと、もうこんな時間か。……心配するな、丈槍。あいつならきっと大丈夫だ。だから早く教室入ろうぜ。」
「……うん」
音君に呼ばれ、教室に入る前に私は窓の方を振り返って、
「早く帰って来てよ、トー君。」
と、周りに聞こえない程静かに、そう呟いた。
貴依 side
「ーーーー」
3時間目の数学の授業。
授業速度が速すぎて相変わらず教員が何を言っているか分からない授業の最中、チラッと右隣を見ると、由紀がボーっと前を向いていた。
私の右側の席に座る由紀は、普段から授業なんて聞かない奴だけど今日は特に聞いてなくて、今の所授業中はこうしてボーっと前を向いているだけだった。
こいつがこうなった理由は分かってる。
上白が休んでるせいだろう。
(……元気のないこいつなんか見ててつまらないから、明日は絶対に来いよ、上白!)
そう心の中で上白にボヤいた後すぐに、黒板のまだ書いてない所を教員が消し始めたので私は慌てて手を動かしていった。
冬華 side
目の前をさっきまで乗っていたタクシーが通り過ぎた後、振り向いた僕の視線の先には、両親のいる借り上げのアパートがあった。
「……来ちゃった。」
思わずそう呟いた後、僕は2枚の紙を握りしめ、そのアパートに向かって歩き出した。
一姫 side
キーンコーンカーンコーン
終礼の終わりと同時に小学生みたいに騒ぎ出すクラスメイト達。
高校3年にしては少し子供過ぎる位に騒いでいる彼らを横切って私は早々に教室を出た。
そこそこ人のいる廊下を早歩きで歩いていく。
もう冬華が家に帰っているかもしれないと思うと、足が勝手に動いた。
校舎を出ると迷わず走り出す。
一刻も早く家に帰りたかったから。
中学校まで戻ると、前方の校門から飛び出してきた
「由紀!」
「えっ、かずねえ!?」
立ち止まって振り向いた由紀は、走ってくる私を見つけると、少し驚いた顔をする。
「早く行くわよ」
そう言って由紀の手を取って走り出した。
PS.次回をお楽しみに