転生したらヴェルドラの兄だった件   作:ゴロゴロ鼠

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第35話

「来てくれたか」

 

その部屋にはアクノロギアとマルド・ギール、そしてベルディアと八鬼門の一人トラフザーがいた

 

「アクノロギア様、我々に用事とは?」

 

「お前達にはリムルとギィの所に行き暫くそこに留まってもらう、そして『滅竜之王』が襲ってこないか警戒をしていてほしい」

 

この二人を選んだのには勿論ちゃんとした理由がある、ベルディアは何度もテンペストを訪れているしリムル達にも面識があるからだ。トラフザーはギィとは面識がないが安心できる、しかし他の者はもしかしたらギィの不況を買う可能性があるので駄目だ

 

「もし滅竜之王が襲ってきたら直ぐに俺に連絡しろ」

 

「「はッ」」

 

~~~~

 

アクノロギアは二人を直接ギィとリムルの所に送ることにした

 

「まずはギィの所へ行く。ギィの所にはトラフザーに行って貰う」

 

「御意」

 

アクノロギアは竜の姿になると背にトラフザーを乗せギィの居る氷土の大陸へと移動する

 

「アクノロギア様」

 

「どうした?」

 

今アクノロギアは氷土の大陸に向けて摑まっていないと落ちてしまう程のスピードで飛んでいる、しかしそれを感じさせる事無くトラフザーはアクノロギアに質問をする

 

「なぜ転移を使わないのでしょうか、そうした方が一番早いのでは?」

 

「トラフザーは冥界島に知らない奴が転移してきたらどうする?」

 

「攻撃して捕えます」

 

「だろ。もし氷土の大陸のギィの所にでも転移したらこっちもそうなっちまう、ギィは良いとしてもあっちには原初がもう二人いるしな」

 

こっちは仲間を置いてもらうんだから転移してトラフザーを置いてさよならというのは失礼だろう

 

「見えて来たぞ、そろそろだ」

 

アクノロギアの前には一つの大陸が見えてきた

 

 

 

 

「よお、来たか」

 

城の中に入ると玉座に座るギィと複数の名付きの悪魔達が控えていた

 

「そいつが?」

 

「ああ」

 

「トラフザーと申します」

 

トラフザーは一歩進み出るとギィに礼をする

 

「・・・お前、面白いな」

 

その言葉にアクノロギアは安堵する、トラフザーはギィの興味を引いた様だ。少なくとも突然殺されることはないだろう

 

「じゃあ」

 

「ああ、こいつは預かっておく」

 

「ありがとう、じゃあ俺は帰る。リムルにも言ったがある程度の事ならトラフザーをこき使ってくれても構わない」

 

「お兄様?」

 

アクノロギアがさっさと帰ろうとする声が聞こえてきた、アクノロギアがその方向を向くとそこには驚いた表情をしている一人の女性がいた、女性はアクノロギアの近くまで来ると嬉しそうに話す

 

「やはりお兄様でしたか、お久しぶりです」

 

「ヴェルザード、久しぶりだな。元気にしているか?」

 

「はい。所で、そちらは?」

 

ヴェルザードはアクノロギアの後ろにいたトラフザーに目を向けアクノロギアに尋ねる

 

「こいつはトラフザー、当分ここで預かって貰うことになった」

 

「まあ!では・・・」

 

「悪いが、ゲームには関係ない。そして俺はどちらの側にもつかない」

 

「そうですか・・・」

 

ヴェルザードはアクノロギアがあるゲームに参加してくれるのかと思ったがアクノロギアは断った。ゲームとはギィとヴェルザード、皇帝ルドラとヴェルグリンドに分かれて相手の陣地を制圧すれば勝ちという簡単なゲームだ。

 

「ではどうして?」

 

「『滅竜之王』が動き出した」

 

「!!」

 

アクノロギアの発言によりヴェルザードはなぜアクノロギアがここに配下を置いてほしいと言ったのか分かった

 

「ここにも来る可能性があるのですね」

 

これはゲームの行く末をも決めるかもしれない事だった。もしかしたらギィはパートナーのヴェルザードいう最強の手駒を失う危険がある為にアクノロギアの頼みを聞いたのかもしれない

 

「ああ、もしあいつがここを攻めてきたらトラフザーが俺に連絡をする、そしたら俺が『空間移動』で直ぐに駆けつける。大丈夫だお前に怪我はさせない」

 

そういってアクノロギアはヴェルザードの頭を優しく撫でてやる

 

ヴェルザードは昔、『滅竜之王』によって殺されかけている。いや、正確には『滅竜之王』に体を乗っ取られたアクノロギアに殺されかけている、アクノロギアが自力で自我を取り戻したため三人は死ななかった。しかしアクノロギアは自分のせいで死にかけた(ヴェルドラ)妹たち(ヴェルザード・ヴェルグリンド)に責任を感じている

 

「・・・無理はしないでくださいね」

 

そのことを分かっているヴェルザードは兄に撫でられるまま小さな声でつぶやいた

 

 

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