転生したらヴェルドラの兄だった件   作:ゴロゴロ鼠

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第55話

「これムリっす」

 

ギアルはあきらめたように言った

 

「そんなこと言う暇があったらお前も前に出て戦え!」

 

「いや、無理ですって。誰もダメージ入れられてないじゃないですか」

 

先ほどからエゼルが攻撃を続けているがアクノロギアの鱗から作られたゴーレムは全ての攻撃を受け流している

 

(ゴーレムとは主の命令に従って動く者、何年と動き続けたゴーレムは自分で考え最適な動きを見せることもあるが。いくらアクノロギア様の鱗から作られたゴーレムとは言え生まれてすぐにエゼルの攻撃を全て防ぐほど戦闘経験を積んでいるとは思えない。まさか鱗の時から自我があった?)

 

時間を稼ぐため、敵の情報を少しでも得るためギアルはゴーレムに話しかける

 

「聞きたいことがあるんですけど、あなたの記憶っていつからあります?」

 

ゴーレムはギアルの方に顔を向け見ないでエゼルの攻撃を防ぐ

 

「何時かは忘れましたがかなり昔から見ていましたよ、皆さんの事もアクノロギア様の戦いも」

 

(やはり長い年月異常なほどの魔素を吸い続けて只の鱗が一種の魔物化していたのかな)

 

ギアルは本気を出せる状態ならともかく今あのゴーレムを倒すのは不可能と判断し周りを見渡す

 

(アクノロギア様はあの三人の原初に任せるしかないとして獣たちは少し厄介だな、意外に硬いし近くに武器があればそれを取り込んで復活する、それにオルが紛れてる)

 

ガビル達が戦っている所では獣の他にオルが紛れ込んでおり石や武器に化けて敵が近づくと襲い掛かっていた

 

(まだ被害は出ていないがこのままだと被害者が出るかもしれない。それはなるべく避けたい)

 

「マルド・ギールさん、ここは頼みました私はあちらの援護に行きます」

 

「分かった、こちらはあのゴーレムがアクノロギア様やあちらの方に行かないように足止めしておく」

 

「頼みます」

 

ギアルはガビル達の方へ走りながら魔法を使い岩人形を作りそれでオルや獣達を倒していく

 

「手伝います!」

 

「おおギアル殿!協力感謝しますぞ敵の中には姿を変えて奇襲を仕掛けてくる者もおりますので」

 

「私は変身している者達を優先的に倒します、他にも仲間が操られていますが倒しても冥界島で復活するので遠慮はいりません!」

 

「そういう事ならば本気で行きますぞ!」

 

~~~~

 

アクノロギアが原初三人が氷魔騎士と戦っているのを眺めていると空にいくつかの船が現れた、それと同時に頭の中に流れる不快な男の声にアクノロギアは舌打ちをすると三人に話しかける

 

「時間切れだ、しばらくそいつらと遊んでな」

 

「あっ待て!」

 

三人は止めようとするが氷の騎士たちが邪魔してアクノロギアを止められなかった

 

「じゃあな」

 

アクノロギアは飛空戦の一つに向かって飛んで行った

 

「戻ったか」

 

ルドラが船に着地したアクノロギアにそう言うがアクノロギアはルドラに目も合わせずヴェルグリンドの方を見ながら歩く

 

「貴様、陛下の言葉を無視するとは・・・」

 

「よしなさい、死にたいのなら別だけど」

 

ヴェルグリンドの言葉に騎士の動きが止まると後ろから声がした

 

「運がよかったですね」

 

騎士が後ろを見るとゴーレムが剣をその騎士の首数センチまで近づいていた。その者は、この船に乗るものは全員が近衛騎士という帝国での精鋭達だったがゴーレムが喋るまでゴーレムの存在に気づけたのはヴェルグリンドを始め数えるほどしかいなかった

 

「主の行動を邪魔しないことです、次は本当に頭が飛びますから」

 

ゴーレムはそれだけを言うとアクノロギアの方に歩いき途中でルドラとの方に顔を向ける

 

「おや、元気そうですね。魔王リムルにやられてしまえばよかったのに」

 

「主に対してとんでもない事を言うなお前は」

 

「ハハハ・・・調子に乗るなよ?」

 

その瞬間ゴーレムが放つ殺気にゴーレムがルドラに危害を加えられないと知っていても反射的にルドラの前に立ち周りで見ていた者たちも恐怖でへたり込む者たちもいた

 

「お前など主ではないさっさと魔王リムルにでも殺されて主の支配を解け」

 

「・・・そろそろ口を閉じなさい、いくらお兄様のゴーレムでも容赦しないわよ」

 

「私はあなた達への攻撃は禁止されましたがあなた達にどう話しかけようが自由です」

 

「はいはい、ストップ」

 

ヴェルグリンドとゴーレムが一触即発の中ソーニャはそんなの関係ないと二人の間に入りなだめる

 

「ゴーレムさんも叔母さんもパパの前なんだから喧嘩は駄目ですよ?」

 

「・・・あなた様が言うのであれば」

 

「私も分かったわ」

 

「これで一件落着ね」

 

「ねえ」

 

「なに?叔母さん」

 

「あなたがお兄様の娘というのは分かった、支配されているとはいえお兄様があなたが何をしようと攻撃しないのを見ればわかる。それは良いのだけど叔母さんっていうのはやめてもらえないかしら」

 

「でも叔母さんは叔母さんでしょ?」

 

「まあ・・・そうなるんでしょうけど・・・でも少し前まで貴方がお兄様の娘だったなんて知らなかったんだしまだ少し慣れないのよ」

 

「じゃあなんて呼びましょう?」

 

「普通にヴェルグリンド・・・いや義理でも少し硬いわね・・・お姉さんじゃダメかしら?」

 

「分かりました!ヴェルグリンドお姉さま」

 

「・・・少し変な気分ね、誰かにお姉さまなんて呼ばれるの」

 

(ヴェルドラは姉上なんて言ってくれるけどお姉さまって呼ばれるのも悪くないわね)

 

長い時を生きたヴェルグリンドは初めての姪という存在に少し心を和ませているとリムル達がアクノロギア達が乗っている船のすぐ近くまで転移してきた、急な事にヴェルグリンドが動きを止めているとリムルは悪魔たちを大量に召喚し始めた

 

「アクノロギア、あの悪魔共の相手を作れ」

 

「お兄様、お願いします」

 

ヴェルグリンドからの頼みでアクノロギアは飛行船の周りに氷の竜『氷魔竜』を複数作った

 

「お兄様、ここでルドラを守っていてください」

 

ヴェルグリンドは自分よりも強い兄にルドラを守ってもらうように頼むとヴェルドラと一緒にリムルとの決着をつけるべくリムルのもとへ向かう

 

リムルが動くと配下たちも動き出した、幹部のベニマル達が船に向かってきており地上に加勢に行く悪魔たちもいた。ソーニャと氷魔竜達を地上にいかせアクノロギアはルドラを守るために防御魔法の準備に入る

 

「我・契約文を捧げ・空間に漂う魔の獣を放つ」

 

その魔法はアクノロギアとルドラ、そして眠っているヴェルグリンを中に入れ球場の結界とった、テスタロッサが放った魔法は結界の外にいた近衛騎士の大半を殺したが〝ひとけた数字(ダブルオーナンバー)〟や結界の中にいたルドラたちに危害を加えることは出来なかった。

 

ベニマル達が甲板に着地するとヴェルグリンドは〝八門堅陣〟を発動しベニマル達対〝ひとけた数字(ダブルオーナンバー)〟とヴェルグリンドの戦いが始まった

 

 

 




我・契約文を捧げ・空間に漂う魔の獣を放つ

防御魔法、発動すると球状の結界を作りアクノロギアより格下の相手の魔法ならば完全に防げる

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