鬼と骨 オーバーロード   作:たる・とり

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なんとか1月以内に出すことが出来ました。
ただ書いていてなかなか話が進まない・・・

あと原作が最初の方が結構日程が不明なことが多いので適当に妄想設定させて頂いてます。


第肆話--芽生--

5日目朝

 

宵月による目覚ましのお蔭で寝坊することなくブリタとの待ち合わせに一人一向かう神楽。

途中で屋台が出している串焼きのような物をかじりながら待ち合わせの北門へと歩みを進める。

「んー♪ちょっと筋が多いけど中々に香ばしくておいひいー♪現実(リアル)じゃあぐにゃぐにゃした栄養食ばっかりだったし異世界万歳!」

宵月にはエ・ランテルでアイテムやは人々の噂、物の相場や生活それに加えてユクドラシルには無かった生活魔法などの現地調査をお願いしている。

・・・と言うのは建前で一人で気兼ねなく冒険したいからだった。

 

「あっ・・おーい!こっちこっち!」

北門にはブリタを含め3人の冒険者が既に到着しており、神楽を見つけたブリタは手を振りながら駆け寄ってきた。

「おはようございます、ブリタさん。もしかして遅くなっちゃいましたか?」

「おはよー、大丈夫!まだあと4人来てないし集合の時間には早いからね。」

「なら良かったです、今日はよろしくお願いします。」

「ええ!任せてちょうだい、先輩として何でも聞いてね」

「ブリタに聞いたら育つ者も育たねーよ」

「ちげねぇ」

「ちょっとあんた達!」

後ろにいた弓矢を担いだ男とフードの樫で出来た杖を持った男は先輩風を吹かせたブリタをからかいながらブリタの横に来る。

「君がブリタの言ってた娘か、リーダーをやっているバスタだ。今日はよろしくな。」

「おれはスオー、レンジャーだ。話には聞いてたけど別嬪だな、本当に大丈夫なのか?」

「ええ、よろしくお願いします。ええ、それなりには(・・・・・・)足をひっぱらない用に頑張りますね」

「それじゃあ今日の流れを・・・」

 

今日の流れを確認しているとショートソードを腰に履いた3人組の男と鎌を持った男が荷車を引いて合流し出発することになった。

「ザッコさん、エネさん、ミーズさん。よろしくお願いしますね」

「ああ、よろしくな!」

「あしひっぱんなよ?」

「おいエネ、相手は女の子なんだから冷たくしてやるなよ。カグラちゃん、困ったらいつでもいってね?」

「鼻の下伸びてるぞミーズ」

「ば、ばっかそんなんじゃねーよ!」

「やれやれ・・・俗にまみれてますね、私は神父のゾスです。」

「お前ら、遊んでる場合じゃないぞ。お客さんだ」

「ゴブリンの群れか、陣形を整えろ!一匹も逃がすな。カグラは後方で待機!」

「了解!」

「わかりました(のんびり戦いぶりでも眺めようかなー武技ってのを見てみたいし)」

リーダーのバスタが号令をかけるとザッコ達剣士三人が前衛、ブリタは補助、バスタとスオー、ゾスが後衛に別れゴブリン達との戦闘を始める。

神楽は荷車の上でぼーっと眺めながら物思いにふける。

(あぁ・・・昔ユグドラシルを始めた時はこんな感じだったなー。みんな装備とかも整ってなくて、でも何もかもが新鮮で楽しかったな・・・・そうすごく楽しかった・・・・あの時は・・)

「・・い!おい!ゴブリンが抜けたぞ!」

バスタの声で思い出から抜け出し目の前に迫ってきたゴブリン達にようやく気がつく神楽。

「もう・・・邪魔しないでよ。<<二重最強化(ツインマキシマイズマジック)雷球(エレクトロスフィア)>>」

一瞬で二体のゴブリンは雷球の直撃を受け、腹に小さな穴を開けて絶命する。残りの1体はヤケクソ気味に神楽へ向かって棍棒を振るおうとするが・・・

「遅すぎ」

鯉口から刀を抜き放つと瞬く間にゴブリンの頭は宙に舞い、頭を無くした体はふらふらとよろめいた後、思い出しかの様に血を噴出しながら倒れていった。

「あっ・・・(やっば・・・やり過ぎた・・・)」

思い出に浸っていたのを邪魔された為、苛立ちを隠せずオーバーキルしてしまった。(一応位階はセーブしたが)

「なっ・・!」

「えっ?い、今の何?何にもみえなかったんだけど・・・」

カバーに入ろうとしていたバスタとブリタは目の前で繰り広げられた光景に唖然とした。

「第三位階のそれも二重最強化(ツインマキシマイズマジック)・・ここまでできるなんて、最低でもミスリル・・・いやオリハルコンクラス!」

「何、何が起きたの?気がついたらゴブリンの首がぽーんって飛んだように見えたんだけど・・あの子凄すぎない?」

「あはは・・・ちょっと焦って最大攻撃しちゃいました」

苦しい言い訳であるが元々第三位階魔法の使用は宣言していたし、バスタは魔法に驚いてブリタはそもそも見えていなかったので問題ないはず・・というか問題がある様ならコントロール・アムネジア(記憶操作)を使用するか、最悪全員を消すしかない。

そんな物騒な考えを巡らせていると残りの5人も集まり、口々に神楽の魔法を賞賛していった。

「あんな魔法見たことないぜ!、第三位階ってのはあんな威力なのか!」

「いやー凄いな、ゴブリン共が瞬殺だなんて。」

「二重化なんて始めて見たが、凄まじい・・・」

「行きなりポーンって首がとんだのよ!」

「どうせブリタの事だビビって目瞑っただけだろ。あれだけ魔法使えて戦士としても一流だったらお前になんて着いてこないだろ。」

ブリタは今一つパーティー内の評価が良くないせいか話半分で聞き流されていた。

(あぁ良かった、何とかボロは出なさそう)

ほっと心中で一息作った神楽。

その後も神楽は後衛として参加、街道沿いにモンスターを狩っていった。

元の役割である荷物運びは戦力的にもブリタが担当となり、コンナハズジャーと叫んでいた。

一行は日が暮れる前にはエ・ランテルへと帰還、組合で今日の成果を換金しに行った。

「今日はありがとうございました、でもこんなに頂いて良かったのですか?」

「構わないさ、君の魔法には大分助けられたし初仕事のお祝いだと思って受け取ってくれ」

「そうそうブリタ何かより全然助かったし、いっそブリタの替わりにチームにはいらないか?」

「ちょ!ちょっと!なんでそうなるのよ!」

「ぶっはは!冗談、冗談だよ。そんなに焦んなよブリタ。こんなにいい腕してるのが鉄級のチームなんかに収まる器じゃないだろ」

「まぁこんなに稼げたの久々なんだ。今日はぱーっと飲みに行こうぜ!」

「ポーションの為に貯蓄してるって言ったでしょ!・・・一杯位なら付き合うけど」

「そう来なくちゃ!」

一行はそのまま宿屋の一階に有るバーで飲めや歌えやと大騒ぎして店主から雷を落とされる迄大いに飲んで食べた。

「おひゃふみー」

「ブリタの奴ふらふらじゃねえか、ほら肩貸してやるから早く二階の部屋で寝ろ」

「おいおい大丈夫か、まぁ今日はありがとうな、また機会があれば宜しく頼む」

「いえいえこちらこそ。色々とありがとうございました。」

「うわっ!ブリタの奴、吐きやがった!汚ねぇ!」

「本当に別れ際に仲間が見苦しい姿を」

「あはは;ま、まぁお大事にとお伝え下さい。それではまた。」

「おう!またな!カグラちゃん!」

「いつでも歓迎するぜ!」

「貴方にも神のご加護がありますように」

握手を交わし、酒場を出て宵月の待つ宿へと一人向かう。

かなり夜が更けている事もあり、人通りは殆ど無かった。

「おい、おいってば!フードを被ったそこのお前だよ。」

路地裏から複数の男達が出てくると同時に道を塞いでいく。

足元が覚束ない様子から恐らく酔っ払いかなにかと考え、これ以上絡まれる前に立ち去ろうとすると背後にも3人の男たちが路地裏から出て道を塞ぐ。

「はぁ・・・面倒くさい・・・早く帰りたいのに・・・」

「おい、お前!聞こえてんだろ!なんとか言えよ!」

乱暴に肩を掴もうとするがするりとその手から神楽は避けた拍子にフードが脱げ顔が顕になる。

「おいおいこいつ別嬪じゃねーか。おいこいつ攫っちまうか?」

「へへ、抵抗しなけりゃ命までは取らねぇから安心しろや。」

下卑た表情で神楽の体を嘗め回すようにねっとりとした欲望に塗れた視線を向けてきた。

「・・仮面でも付けて置かないとまた絡まれるかしら・・・倉庫に何かあればいいけど」

「無視してんのかよ!立場ってのをわからせて・・・」

言葉の途中で口を開けたまま固まる男達、その背後の壁からすり抜けるように宵月が姿を表した。

「お迎えに上がりました、神楽様」

「宵月、派手な行動は控えるように言っておいたはずだけど?」

「申し訳ありません、玉藻と鴉丸が今にも飛び出して(暴れる)する直前でしたので独断で行動させて頂きました。」

「そう・・・あの子達にも困ったものね。でもちゃんと探知対策(カウンター・ディテクト)静寂(サイレント)を使用した上で時間停止(タイムストップ)と・・隠蔽工作はしっかりやったようね、良くやったわ宵月。」

「有難う御座います、それでこの者たちの処分は如何致しましょう?」

「もう疲れたから適当に処理しておいて、後腐れ無いように」

「御心のままに・・集団標的(マス・ターゲティング)人形化(マリオネット)時間停止・解除(タイムストップ・リリース)

固まったままだった男達は、糸が切れたように地面に崩れ落ちていく。

「さぁお人形さん達、やり(殺し合い)なさい」

宵月が一言呟くと崩れ落ちていた男達は立ち上がり、各々の獲物を持って互いを殴り、刺し合いを始めた。

飛び散る血、肉・・・それでも男達は黙々と自分の獲物で他の男達と殺し合いを続けていった。

(何でこんなことに・・・?あっ・・そっか私が適当に処分してって言ったから?でもそれ以上に私はこの光景を見て何で・・?)

 

なぜ? 現実でこんな凄惨な現場を目にしてれば気を失ってもおかしくないに。

なぜ? こんな場面ならすぐにでも止めに入るべきなのに。

なぜ? 同じ人同士が傷つけあっている光景を受け入れているの。

なぜ? こんなことをした宵月に対して叱らなければならないのに。

なぜ? 私はこんなにも気持ちが昂ぶっているの?

 

 

 

 

 

なぜ? こんなにも赤い血が、肉が美味しそうにみえるの?

 

 

 

 

 

 

頭の中で木霊する様にように声が鳴り響き、神楽の意識は暗い、暗い闇の中に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ナザリック一行は・・・

「アインズ様が執務室に入られてからおよそ10時間が経過しております」

(休憩無しの10時間労働ってどんだけブラックだよ!)

兎の耳(ラビッツ・イヤー)

アインズ様は兎耳を生やして盗み聞きをしていた。

 




次回更新は年内・・・に書けたら良いなー・・


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