首輪付きの提督さんなのです   作:久要平生

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もふもふとどっかん!

 翌日のマルゴマルマル。

 

 おなかがぐう、と鳴り目を覚ました。

 

 起き上がろうとして、横で電が眠っていることに気付く。

 

 昨日のことを思い出してみる。夕方二人で寝て、そのまま夕ご飯も食べずに朝まで寝てしまったようだ。

 

 電の寝顔を観察する。昨日の恐ろしい電と同じ人とは思えないほど寝顔は子供らしい。ま、わたしも子供だけどね。

 

 電を起こさないようにベッドから降りる。

 

 外を見ると、陽はまだのぼっていないけど空はもう明るい。

 

 二度寝する気分でもない。外の空気を吸いに行こう。

 

 ダンボールからペン助を抱き上げ、部屋を出た。

 

 

――― ――― ――― ―――

 

 堤防に、司令官が腰掛けていた。

 

「おはよう。司令官」

 

「ああ、おはよう。早いな」

 

 こちらを振り返り、司令官が返事を返す。その顔を見て、一瞬言葉に詰まる。

 

 酷い(くま)だ。やつれてるようにも見える。

 

「お腹減っちゃって」

 

「そういえば食べてなかったな。冷蔵庫に晩飯入れてあるが、どうする?」

 

「朝ごはんの時でいいわ。それより……」

 

「電の事か?」

 

「それはもういいの。電は大丈夫よ。優しい子だもん」

 

「そ、か……」

 

「電じゃなくて、司令官のことよ。ねえ、昨日何があったの?」

 

「私か?特に何もないが……」

 

「嘘よ。わたしにだってそれくらい分かるわ」

 

「……そりゃそうか」

 

 司令官が海を向く。表情が見えなくなる。

 

「鎮守府の周り、ここらの海域が危険なものになった。今言えるのはそれ位だ」

 

 顔は見えないけど、口調から苦々しい表情であることが分かる。

 

 でも、わたしは追求を止める気はない。この好奇心が危険なものでも、知りたい。何があったのか。何が起きているのか。

 

「教えてよ。本当のこと」

 

「無理だ」

 

「それって、何か隠してるってことでしょ」

 

「……」

 

「なんで、全部抱え込もうとするの?わたしだって、司令官の力になりたい!ねえ、教えてよ!」

 

「……」

 

「司令官!」

 

「……すまない」

 

「っ……!」

 

 頭にきて、我を忘れて。

 

 わたしはペン助をその場に置いて、司令官に組み付いた。

 

「なっ……!?やめろ!」

 

 座る司令官の首に抱きついて、そのまま地面に引き倒す。

 

「やめないわ!司令官が全部話すまでやめない!」

 

 そのまま、司令官の胸の上に馬乗りになる。

 

「……このっ!」

 

 でも、体格差が大きくて、うまく押さえつけられない。

 

 必死になるあまり、私は

 

「ペン助!手伝って!」

 

 と助力を求めた。

 

 と、いつもならぼーっとしてるだけのペン助が助太刀とばかりに寄ってくる。

 

「ま、待て!ペン助はまずい!」

 

「知らないわ!ペン助、やっちゃって!」

 

 ペン助が短い足で跳んだ。そして、司令官にのしかかって……

 

 

 

 司令官が変身した。

 

 

 

 

 

「……えっ」

 

「だからまずいと言っただろう……」

 

 わたしの下から司令官の感触がなくなって、私はその場で中身のいなくなった司令官の服の上でぺたりと座り込んでいた。

 

 そして目の前に、白いいきもの。

 

 司令官と同じ首輪を付け、司令官の声でしゃべるいきものがいた。

 

「……え、何?どういうこと!?」

 

「俺は……じゃなくて、私はこいつに触れるとこうなるんだ……」

 

「……俺?」

 

「そっちに食いつくのか……はぁ、もう俺でいいか」

 

 もふもふのいきものがため息をつき、ほっぺたをかく。

 

「なぜこうなるのか俺にも分からん。治すにはダンボールに入る必要がある」

 

「それが、隠してたこと……?」

 

「あー、まあ、黙っていたし隠していたといえばそうだ」

 

「ふうん……」

 

 呆れた様子だけど、くりくりの目でそうしていても可愛いだけ。

 

「……ねえ」

 

「なんだ?」

 

「だっこしていい?」

 

「は?」

 

「……だめ?」

 

「……好きにしろ」

 

「やった!」

 

 持ち上げる。

 

「もふもふ」

 

「……」

 

「なによ」

 

「……電も同じような反応だった」

 

「えっ、電は知ってたの!?ずるい!」

 

「ずるいって何だ、ずるいって」

 

 めんどうくさそうにする司令官をもふもふする。足元でペン助がこちらを見上げる。場所を取られたと思っているのだろうか。あとでペン助も抱いてあげるから今は許してね。

 

「……もういいか?」

 

「まだ」

 

「はぁ……」

 

 

 

 

 何分そうしていただろうか、いい加減にしろ、と怖い声で司令官が言うので下ろそうとした時、

 

 

 

 アラートが鳴り響いた。

 

 

「深海棲艦!?」

 

「来たか!俺は司令室に……この体じゃ遅い!担いでいってくれ!」

 

「わ、分かった!」

 

 こんな朝早くから!ふわふわしていた頭を切り替えて、ペン助も持ち上げ走りだした。

 

 と、

 

 

 遠くから響いてくる爆発音とともに水平線に煙が上がった。

 

 一瞬遅れてアラートの音が変わる。

 

「ブイが破壊されたか!」

 

「ねえあれ近くない!?」

 

「クソっ!……雷!出撃ドックに向かえ!俺は自力で司令室に行く!」

 

「わ、分かった!」

 

 

 

 司令官とペン助を置いてドックへ走る。

 

 

 電が来るまでわたしが持ちこたえなきゃ!

 

 頭ではそう使命感に燃えていたけど、実際は不安と恐怖に手が震えていた。

 




今まで上げた分の校正とか手直しをその内まとめてするつもりです
読みにくい文多いからね
たぶん設定からのやり直しはないはず いずれ後書きでアナウンスします

コメントありがとうございます もっとみんなが満足できる文章が書けるよう頑張ります
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