「ラビ。それとって~」
「それってどれさ」
「それ」
「これですよ、ラビ」
「そうそう。さすがアレン!」
「なんでわかんの?」
醤油が欲しかったエレナ。
ラビは意外とこういう日常での夫婦みたいな会話は苦手そう。
***
「ねぇ、ジェリー」
「あら、エレナ。どうしたのかしらん」
「フランス産フォアグラのテリーヌ トリュフとブッフサレ リ・ド・ヴォとレンズ豆のガトー仕立て作れる?」
「え?」
「フランス産フォアグラのテリーヌ トリュフとブッフサレ リ・ド・ヴォとレンズ豆のガトー仕立て」
「え??」
フランス料理名はやたら長いって話。
***
「こらエレナ。ダメじゃないですか、椅子に足をあげたら!肘つくのも行儀悪いですよ。あっ、なんですかその反抗的な目は!僕はエレナのためを思って言ってるんですよ。ほらリナリーを見てください。あんなに行儀よく食べてるっていうのに……。というかお箸の持ち方も間違ってますよ。恥ずかしい。だいたいあなたはいつもいつもくどくどくど」
「アレンうざ~。年下のくせに」
「あっ!足をばたつかせない!!」
お母さんアレンくん。
***
「このチェリーパイおいしい~」
「恐縮です」
「次はチーズケーキ食べたいな~。あ!洋梨のタルトもいいかも」
「どちらもお作りしますよ」
「僕はこの前のパンプキンパイがまた食べたいです」
「あの。分かりましたから早く食べて書類の続きお願いします」
リンクに餌付けされる二人と二人に振り回されるリンク。
***
※「ティエドール部隊の在りし日」の数年後
「神田のその天ぷらおいしそ~」
その一言に神田は危険を察知して食器の乗ったトレイをエレナから遠ざけた。だがしかし、その行為はもう手遅れで。カボチャの天ぷらはすでに半分ほどエレナ口の中へ放り込まれていた。
「てんめぇ……」
「は!ご、ごめん、つい!返す!!」
「いらねぇよ、アホ!」
神田の低い声と人を殺すような目つきで神田が怒っていることを察したエレナは、急いで食べかけの天ぷらを神田のもとへ返す。もちろん食べかけでは許されない。特にカボチャは天ぷらのなかでも好きなものの一つだった。
「今日こそテメェは斬る!!六幻!!!」
「きゃあああああぁぁぁああ!マリィィィイィィ!助けてぇぇええええ!!!」
響き渡る悲鳴に、食堂にいたファインダー達は呆れた視線を寄越した。またエレナか。いい加減学べよ。と辛辣な言葉が紡がれていたことを彼女は知らない。
自室で音楽を聴いていたマリは、エレナの叫びを耳に入れるなり、変わらないなぁ。と呟きながら昔を懐かしんでいた。
成長のない二人。でも仲良し。
最後だけ少し長め
訳:文字制限つらい