「やっぱりリナリーもシロムクなの?」
唐突な質問だった。
図書室で本を読み終わったエレナは、同じく目の前で本を読んでいるリナリーに問いかけた。
「?何の話?」
「結婚式!」
未だ意図がよくつかめないリナリーはエレナの手元へと視線を落とす。そしてその本を見てなんとなくの意図を察した。その本は以前リナリーも見たことがある。たしか小説の冒頭で、主人公の兄が日本で式を挙げる描写があったはずだ。
「それは日本式なの。中国ではチャイナドレスを着るのよ」
白色じゃなくて、赤色のね。と付け加えたリナリーにエレナは目を輝かせた。
「そうなんだ~!」
「ええ。でも一度は着てみたいわ、純白のウェディングドレス!」
「だよね~。お姫様みたい!」
わいわいきゃっきゃと夢をふくらませていた二人は、周りからの冷たい視線に気付くとはっと口を閉じた。そしてお互いに顔を寄せ合い、人差し指を口に当てる。そしてしばらくして、二人は静かに笑いあった。
その後、談話室に移動して話は再開される。
「でも結婚なんて想像できないな~」
「それどころじゃないものね」
「リナリーは子ども何人欲しいの?」
「そうね、二人は欲しいわ!一人はきっと寂しいもの」
幼い頃、唯一の肉親と引き離されたリナリーを側で守るためコムイは科学班員として教団へ入り、並々ならぬ努力の末に今の立場まで上り詰めた。そんな兄がいたからこそ、リナリーは今こうして笑っていられる。そしてリナリーも、兄の為にエクソシストとしての任務をこなしながらも科学班の手伝いをしている。こうして支えあっている事実があるからこそ、そう思うのだろう。
「わたしは三人かな~。ほら!日本のことわざに一姫二太郎っていうのがあるんでしょう?」
「エレナ。それは女の子一人と男の子二人って意味じゃなくて、一人目は女の子で二人目は男の子が良いって意味なのよ」
「そうなの?じゃあ二人でいい!」
おそらく先ほど読んでいた本に記されていたのだろうことわざを間違った意味で持ち出してきたエレナに、リナリーは訂正をいれる。エレナはそれを聞くとあっさりと意見を変えて、リナリーはそれに呆れたような笑みを浮かべた。
「最近のエレナは日本が好きね」
「うん!神田みたいなサムライになりたいの!!」
「エレナなら立派な侍ガールになれるわ」
すっかり話は脱線したかと思われたが、エレナの一言で話はまた戻ることになる。
「リナリーと神田って仲いいよね?好きなの?」
「ええ?!違うわよ!そんなんじゃないわ!!」
顔を少し赤らめて手を顔の前で振って否定するリナリー。エレナはつまらなさそうに、なぁんだと呟いた。
「お似合いだし付き合っちゃえばいいのに!神田と結婚したらシロムク着れるよ!!」
「白無垢きたいのはエレナでしょう?」
「神田ならコムイ室長も黙らせること出来るし!」
「力でね」
一人盛り上がるエレナにリナリーが冷静に事実を述べていた時。
「いくら神田くんでも屈しないよ?!」
どこから出てきたのか、急にコムイが現れた。完全装備で。そのまま狂ったように、リナリーはお嫁にいかせないぞおおおおおおお。と叫びながらどこかへ去っていく。エレナはおそらく被害を受けるであろう神田に、ごめんと心の中で謝り手を合わせるのだった。
兄の結婚式に参列したので結婚ネタを。
誤字訂正しました。