鬼と鬼がかった新婚生活   作:そーだー

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提案の果てに

昼飯を交えながらの話し合いは話し合いの中心人物が時折茶々を入れてしまうため、なかなか結論に至らなかったのだが、レムの

 

「でも、今までに行ったことのない場所に行く方がスバルくんとレムにとって危ない気がします」

 

という一言によって、新婚旅行先はロズワールの発言で当初の予定だった水門都市プリステラに決定した。

 

スバルの意見は果たされなかったが、確かに見ず知らずの場所に旅行気分で行くにはこの世界はスバルに厳し過ぎる。

 

その点、プリステラは一度行ったことがある上、魔女教の大規模な襲撃を受けた後、復興と共にその防犯意識は高まった事もあり、犯罪率が極端に下がった場所だ。

 

当然スバルにとっても多くの人にとってもトラウマの地ではあるが、元々美しさでは他の街を寄せ付けなかったプリステラに旅行に行くのだから、文句もつけ難いというものだ。

 

それに今回、ロズワール名義で提供される新婚旅行の為、街の中での安全は保証するとのことだった。

 

スバル本人は安全の保証よりも静かな自然で二人きりというシチュエーションに心が傾いていたのだが、安全の保証の範囲にレムが含まれるという事もあり、妥協した形となった。

 

 

 

 

 

「そういえば、ロズっちがプリステラでも静かな場所を用意するとか言ってたけどそこの所どう思いますベア子先生」

 

「どう思うも何も無いかしら。プリステラは元々街の中に水に囲まれた孤島のような場所が幾つもあるかしら。要はそれを貸し切るという話なのよ」

 

「なるほど。ようは二人で島一つ貸し切りデートって事か。それはそれで趣があっていいな」

 

「まぁ精精島そのものが沈まない事を祈りながら楽しむといいのよ」

 

「お前のその発言でもう既に十分楽しめねぇよ!」

 

昼食にしては長い話し合いを終えた皆は各自の部屋に散り散りに、もしくは各自の仕事場に散り散りに分かれた。

 

スバルも同じく自分の部屋に戻ったのだが、ベアトリスが着いてきた形だった。

 

「で、ベア子は何の用?」

 

「ベティーも何か祝いたいのよ。ただ、レムとスバル二人に何かプレゼントとなると何を渡したらいいのか困るかしら」

 

「別に気持ちだけでいいんだけどなぁ。確かに俺がベア子の立場だったら何かしたくはなるけどベア子には今までもこれからも迷惑かけるし特別に何かして欲しいとかはやっぱねぇよ」

 

「スバルならそういうと思ったのよ。けれどそれじゃベティーの気が収まらないかしら」

 

まさかベアトリスから祝いの品を渡したいと言われるとは思っていなかった為、スバルは喜びながらもどう落とし所をつけるべきか考える。

 

正直この世界に来てから少なくない時間を過ごしてはいるのだが、この世界での結婚がどのようなものでどのような礼儀が存在するのかも知らない。

 

唯一知っている結婚の例と言えば剣鬼、ヴィルヘルム・ヴァン・アストレアが当時の剣聖であるテレシアという女性を口説き、結婚するに至るまでの経緯ぐらいである。

 

全く参考にならない例だが、一人の男として、ヴィルヘルムさんの行動には尊敬を抱くところだ。

 

 

「あ、そうだ。結婚に際してレムにプレゼントを渡したい。女の子代表の意見としてベア子にプレゼント選びを手伝ってもらうって事でどうだろう」

 

「ベティーのセンスがレムのセンスと同じかは兎も角、スバル一人に選ばせるよりかはマシだと思うのよ。それでスバルがいいなら、プレゼント選び、手伝うかしら」

 

「じゃ、頼むわ。正直女の子へのプレゼントとか初めてだから分からねぇし」

 

こうしてベアトリスの協力でスバルはレムへのプレゼントを購入する運びとなった。

 

 

 

 

 

一方、レムも時同じくしてラムとオットーと共に相談をしていた。

 

「バルスへのプレゼント?そんなのレムがバルスにして欲しいことをすればいいだけじゃない?」

 

「おお、ラムさんにしてはまともな意見」

 

「切り落とすわ」

 

「恐喝じゃなくて宣言!?そんな事言ってるから最近村の子供たちに姉御って言われ始めてるんですよ!」

 

「どうやら子供たちにはこの世の厳しさを教えなければならないようね」

 

「大人気ないなぁ……」

 

「もう、姉様もオットーくんもふざけないでください!レムはかなり本気で相談してるんですよ?」

 

「いや、だって……」

 

「この屋敷で、というかこの世界でレム以上にバルスの好みを知っている人間なんて居ないと思うわ」

 

「あっ……」

 

スバルと同じく、レムもプレゼントを渡す計画を立てていたのだが、こちらはあちらとは相談相手の反応が大きく異なった。

 

レムが私欲で何かしている事は少ない。

 

誰かの為に、何かをする。

 

それが彼女の私欲だからだ。

 

スバルも誰かの為に何かをする、結果それが自分の思い描く最高の未来に繋がると考えているので似通ってはいるのだが、あれでもスバルはマヨネーズ騒動を起こす程には私欲が表に出ている。

 

よってスバルと日頃から一緒に居るレムなら好みが分かると考えるのは自然だ。

 

 

「その、なんて言えばいいのか……スバルくんの仕草とかは一挙一動分かるんです。でもスバルくんが好きなものって基本的にスバルくんの故郷のもので。意外とスバルくんの好きなものって知らないんです」

 

「なんですかねぇこの台詞の端から零れてる惚気感は」

 

「あれを惚気と感じるのはオットーが劣っていると感じているからよ。事実なんだから深く受け止めなさい」

 

「なんで分析された上に傷口を抉るような発言をされてるんですか!?最近ラムさん僕に対して厳し過ぎませんか?」

 

「そう感じるならラムがオットーに厳しいのではないわ。世界がオットーに厳しいのよ」

 

「鬼だ……鬼がいる……」

 

「だって鬼だもの」

 

「姉様、オットーくんを弄るのもそれぐらいに……」

 

「そうね、じゃあバルスが白目を剥いて喜ぶようなプレゼントを考えましょう」

 

「ラムさんはスバルを喜ばせたいんですか……嫌がらせしたいんですか……」

 

こうして、レムもまた、スバルへのプレゼントを二人の協力で考える事になった。




オットーとラムの会話は、ボケとツッコミがしっかりしていて書いている側も楽しいですね。次のお話はオットーとスバルのある相談を書きたいと思っています。
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