平均五千文字くらいは目指して生きたいところです・・・
―彼はまだ目覚めないのかい?
話声が聞こえる
―はい、傷のほうは完治していますのでいつ目覚めてもいい状態ではあります
初めて聞く男性と女性の声
―ふむ・・・・・・、いつもの私に似合わず人助けなどをしてみたが・・・・・・。既に物言わぬ体だったということかな?
―それはないでしょう。現に心臓は今も動いています。
―となるとあれかな?人助けなんて似合わない事をしたから罰でも下ったのかな?
男の笑い声が響く
―冗談でも笑えませんね。しかし仮にこのまま目覚めなければ・・・・・・処分ということでよろしいでしょうか?
―あぁ、構わないよ。・・・・・・なんなら今ここで処分するということ
「それは困る」
どろりとガラスが溶け出す。
その様子を私はただ呆然と見ていた。
何が起きた?何が起きている?私の助手であり家族の一員であるウーノが私を守ろうと武器を手に私の前に立つ。
ブワッ!と水蒸気発生し一時的に視界を遮断される。しかし私は少し浮かれた様子で考える。水蒸気が発生したということはかなりの熱源はあるということ。ガラスが溶け出した事を考えるとその熱源の正体は彼、または彼が持つ何かであろう。だが彼はフラスコの中にいた、当然熱を発するものなんてもっているわけもない。人間の体温が水蒸気を発生させるほど高くなることなんてない。
「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!俺を処分?処分するっていったかこのマッド野郎ぉ!面白い事をおっしゃるから思わず飛び出しちまっただろうがこのド阿呆がァ!」
甲高い笑い声で私は考える事を中断させる。視界が晴れ笑い声がしたほうを見ると彼が立っていた。・・・・・・うむ、外傷などは見当たらない。なら何故彼は目覚めなかったのか?・・・・・・もしやかなり前から目覚めていたのでは・・・・・・?
「あーあー・・・・・・落ち着け僕。」
先程の笑い声とは正反対に落ち着いた声が聞こえる。
「どうしますかドクター」
ウーノが私に尋ねる。しかし私が何か言う前に彼が呟く
「・・・・・・最低で最狂で最悪だ。思い出したくもなかったっつーの・・・・・・」
思い出す、何を?あの惨状を思い出したのか?
「ふむ、話が通じる事を願って私から話しかけさせてもらおう。まずは君は思い出したと言ったが何を思い出したのかね?」
目の前の白衣を着た科学者風な男から質問が投げられる。答えることに別段とためらいがあるわけではないがその男『ジェイル・スカリエッティ』の正面に立つ・・・・・・、確かウーノ。そうウーノだ、彼女から発せられる視線が物凄く精神を削っていく
「大丈夫、大丈夫ですハイ。質問も受け付けますし、答えますからまずその女性から発せられる冷却装置要らずな視線を緩和させてもらえたらなーなんて思ってたりします」
「そうか、ウーノ」
「・・・・・・了解しました」
ジェイル・スカリエッティの・・・・・・、今はジェイルと呼ぶとしよう。ジェイルの一言でウーノは渋々といった形でおそらく殺気だったものを治める。
「ありがとございまっす・・・・・・。それで質問って何でしたっけ、何を思い出したか・・・・・・でしたっけ?」
「そう、君が思い出したと呟いたんだ。あの惨状を思い出したんだろう」
あの惨状。そう言われて頭の中を人の悲鳴と燃え盛る炎で飾られた村の映像が駆け巡る。米神をトントンと叩き情報を落ち着かせようとする。これは癖みたいなものだ
「急に黙りこくってどうしたのかな?質問に答えてくれると言ったから聞いてみたのだが」
あぁ、あぁ・・・・・・。本当に、心の底から思い出さなければ良かったと後悔の念が湧き上がる。
思い出さなければ、こんなどす黒い感情なんて生まれる事もなかったのかもしれないのに・・・・・・。自然と涙が頬を伝う。ジェイルは不思議そうに、ウーノが警戒を滲ませた顔でこちらを見ている。話してしまうべきか悩む、壊してしまっていいのか悩む。一瞬だけ逡巡し・・・・・・、決めた。
「話をしよう『ジェイル・スカリエッティ』」
名を喋ると同時に空気が張り詰める。それに対して少しだけ申し訳なく思う。あぁ、あぁ・・・・・・。あんな大好きだったのになぁと心の中で思う
「ただ話をするにはここはちょっとばかし無粋だと思うんだ」
表面では笑いながら話を続ける
「部屋を移してもいいかな?」
話をすれば戻れない
「・・・・・・ウーノ、別室にお茶の用意をしておいてくれ」
「・・・・・・了解しました」
後には戻れない
「さようなら原作、こんにちわ現実」
さぁ、物語をぶっ壊そう