報道関係の皆さまへ
いつも皆様には大変お世話になっております。
この度、私、神谷旭は同事務所に所属する高垣楓と結婚する運びとなりました。
数年前よりお付き合いが続いていく中で、彼女は私の人生においてなくてはならない存在だということに気付き、彼女と家族になる決意をした次第です。
まだまだ未熟な若輩者の身ではありますが、ファンの皆様、並びに関係者の皆様のご指導ご鞭撻をいただきながら、私は俳優として、彼女はアイドルとして精進していこうと思っております。
今後も変わらず、与えられた仕事を一つ一つしっかりとこなし、皆様に最高の『神谷旭』と『高垣楓』をお見せできるように努力してまいりますので、これからもご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
また本日は346プロダクションにおきまして記者会見を開かせていただきます。そちらの方は別紙にてご案内させていただきます。
三月十四日
神谷旭
高垣楓
「旭さん、結婚するんですかぁ!?」
「お、十時、ちょうど良かった。ほいコレ、バレンタインのお返し」
「あっ、ありがとうございます……じゃなくてぇ!」
今日はホワイトデーということで事務所でお返しのクッキー(量が量なので作った方が安上がりだと判断して実家に帰り奈緒に手伝ってもらった)を配っていると、十時がひどく驚いた様子でこちらにやって来た。ちょうど良かったのでそのまま十時にもクッキーを渡す。
「か、楓さんと結婚するって本当なんですかぁ……!?」
「え、うん……あぁ、そうか。十時は『知らない組』だったっけ」
基本的にはマネージャーやプロデューサーなど事務所の人間、そして俺と楓共通の知り合いである俳優やアイドルは俺たちの関係性を『知っている組』だが、一部例外の除いてそれ以外の人間は殆ど『知らない組』だ。ちなみにその一部例外というのは妹である奈緒、そのユニットメンバーでありプライベートでも仲がいい凛ちゃんと加蓮ちゃん。そして何故か速水である。……こいつは本当に何処から嗅ぎ付けたのだろうか。
しかし、その『知っている組』と『知らない組』という括りは今日までである。
つい今朝の話になるが、事務所のFAXから各報道機関に向けてとある文面を送信した。
――そう、俺と楓が結婚することについての報告である。
今回これを報告することに至った理由は二つ。一つ目は今日がちょうど式及び入籍予定日である楓の誕生日の三ヵ月前だから。二つ目はつい先日俺の主演映画の公開が始まり、楓のソロライブが終わったから。楓や事務所の人間と話し合った結果であり、タイミングとしてはちょうど良かったと思っている。
各報道機関は朝から早速お仕事をしてくれたらしく、芸能ニュースはその話題で持ちきりとなり、さらに今日の午後から予定している俺と楓の記者会見のために多くのテレビ局がお昼のワイドショーで予定を変更して生中継を行うそうだ。それだけ俺たちの結婚が世間の関心を引くと判断してくれたということなので、芸能人としては冥利に尽きる話だ。
しかし、おかげで今朝から通話・メール・メッセージアプリの着信を告げるアラームでスマホが鳴りっぱなしとなった。事務所の知り合いはともかく、学生時代の友人や親戚にとっては寝耳に水の内容だろうから当然と言えば当然か。とりあえずうっとおしいので電源を切っているが、後で再起動したときが若干恐怖である。
さて、それはともかくとして今は目の前の十時である。
何故か十時は俺から受け取ったクッキーの小袋のリボンを指で弄びながら俯いている。時々顔を上げるものの、俺と目が合う度に逸らされた。
「……い、いつ頃からお付き合いされていたんですかぁ……?」
「んっと……そろそろ五年前ぐらいになるのか。悪い、その辺のことも多分今日の記者会見で話すと思うから、そっち聞いてもらえるか?」
毎回人に会う度に色々と聞かれるので、正直そちらで纏めて聞いてもらいたいというのが本音である。基本的な質問は全部記者からされるだろうし。
「わ、分かりました。……え、えっと……旭さん」
「ん?」
「……や、やっぱり何でもないです! お返し、ありがとうございますね!」
いつもよりも少し硬くなった笑顔でそう言い残し、クッキーの小包を胸に抱くようにしながら走り去ってしまった。いつもののほほんとした十時らしからぬ俊敏な動きで「そんな短いスカートで走るんじゃない」という忠告をする暇すら無かった。
「……何だったんだ?」
まるで『好きな人が別の人と結婚すると知った時の反応』のようにも見えたが……。
「……いや、まさかな」
楓のような素晴らしい人と結婚出来るからといって過度にうぬぼれるのは止めておこう。第一彼女から好かれる理由も無いし。
仮にそうだったとしても、今の俺に出来ることは何もない。例え今彼女からそれを告白されたとしても俺は彼女の望む答えを返してあげることが出来ないのだから。
「旭くーん」
「楓」
さて次は誰に渡すかとみんなに配る小包を収めた紙袋を片手に考えていると、聞こえてきたのは最愛の女性の声。勿論楓であり、彼女はニコニコと笑いながらこちらに歩いてくるとススッと腕が触れ合う距離にまで近付いてきた。
以前まで不特定多数の人の前では「高垣」「神谷君」呼びだった俺たちだが、ようやくこうして公然とお互いの名前を呼べるようになり、更にこうして事務所内でも堂々とくっつくことが出来るようになった。もっとも周りから「見せつけるんじゃねぇよ」という視線を一身に浴びることになるのだが、この幸せに比べれば些細な問題である。
「プロデューサーさんが記者会見の打ち合わせをしたいからって呼んでいたわ」
「あぁ、分かった」
まだお返しは配り切れていないが、どうやらタイムアップのようだ。今日中に配り切るのは流石に無理そうだが……まぁ、それぞれ部署のスタッフさんに預けておいて渡してもらうことにしよう。
「? ホワイトデーのお返し、配り切れなかったの?」
「まぁ割と多かったからな」
「なら、これからついでに配っちゃうのはどうかしら」
「……ん? いや、今から記者会見の打ち合わせなんだろ?」
「それがね――」
『それでは皆様、只今より神谷旭並びに高垣楓、両名の結婚記者会見を始めさせていただきます。司会進行はわたくし、346プロダクション所属アイドル、川島瑞樹が務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします』
俺と楓が座るテーブルの横に設置されたマイクスタンドの前に立った川島さんが、とても綺麗なお辞儀をする。成程、元アナウンサーという経歴なだけあって中々堂に入っていた。
『それでは最初に神谷旭の方から一言、皆様にご挨拶が――』
「って、そうじゃなくて、川島さんストップストップ」
『はい、何かございましたでしょうか?』
「……何この状況」
『結婚記者会見でございますが』
「いや、そうじゃなくて――」
こめかみを人差し指で抑えながら、周りを見渡す。
「――この記者じゃなくて
部屋は346プロ事務所内に設けられた多目的室であり、普段から記者会見でよく用いられる部屋である。
しかしその部屋を埋め尽くすのは各報道機関のカメラマンや記者ではなく、346プロダクションのアイドル部門に所属するアイドルたちだった。楓の飲み仲間である片桐さんたちを始め、楓も所属する『シンデレラガールズ』、奈緒が所属するプロジェクトクローネ、さらに凛ちゃんが所属するシンデレラプロジェクトなどなど、アイドル部門を代表するそうそうたるメンバーが揃っていた。
「楓ちゃんも旭君も記者会見自体は慣れてるだろうけど、結婚記者会見の経験はないでしょ?」
「そりゃありませんよ」
マイクのスイッチと共にアナウンサーモードのスイッチも切った川島さんからの質問に、当然だろうと返答する。俺も楓も未婚なわけだし、ドラマや映画でもそういうシーンは無かったので未経験である。
「だからこうして実際に記者会見の予行演習をしてみようっていう話になったのよ」
「どうしてプロデューサー陣が決めるべきことに川島さんが参加してるんですかねぇ……」
入り口付近にたむろっていたプロデューサーたちをギロリと睨むと一斉に目を逸らされた。
「百歩譲って記者会見の予行演習は分かりました。でもなんでその報道陣席にアイドル部門の人間しかいないんですか」
「本当は貴方の知り合いの俳優部門の人たちも来る予定だったんだけど、アイドル部門の子たちの『代わってください!』っていうお願いを断れなかったみたいよ」
「何やってんだよアイツら……!?」
仮にも大の男連中が何で押し切られてるんだよ!?
しかし成程、これが先ほど楓がホワイトデーのお返しをついでに配っちゃえばいいと言っていた理由か。確かに全員はいないもののチョコを受け取った子たちが結構いるし、これが終わった後にでも配ることにしよう。
「というわけで、『旭君と楓ちゃんのことを知ってた人も知らなかった人も気になることをなんでも聞いちゃえ! 大質問大会』始めるわよー!」
『イエーイッ!!』
「ノリが軽い!」
川島さんの掛け声に合わせて多目的室に響き渡った女の子たちの黄色い声を耳にし、ようやく『今回はこういう展開なのね』と若干諦めると共に、これが面倒くさい奴だということを認識するのだった。
『それでは質問タイムに移らせていただきます』
再びアナウンサーモードに切り替わった川島さんがマイクに向かってそう告げると、多目的室に集まったアイドルの半数以上の手が挙がった。見るとコッソリ奈緒の奴まで手を挙げてやがる。
『はい、それでは島村卯月さん』
「はい! 島村卯月です!」
川島さんに指名され、最近新たな『シンデレラガールズ』の顔になりつつある少女が元気よく立ち上がった。
「え、えっと、お二人はいつ頃からお付き合いされていたんですか?」
先ほど十時からされた質問と同じであるが、まぁ定番の質問だな。
「えっと、五年前だな」
「撮影の現場で初めて会って以来何回か一緒に食事に行くようになって、五回目の食事の時に告白されたの。夜景の綺麗なレストランだったわ」
そう楓からの補足説明が入る。女性を口説くなんてこと一度もしたこと無かったから、あの時は必死だったんだよなぁ。僅か五回目で告白してしまった俺も俺だけど、結局最初からお互いに一目惚れだったので初回で告白してもオッケーしていたと後に楓は語っていた。
『それでは次の質問を……はい、蘭子ちゃん』
「え、えっと、告白の……じゃ、じゃなくて……汝らが交わした誓いの言霊は如何なるものか!?」
続いての質問者は、島村と同じく『シンデレラガールズ』の一員である
『えっとつまり……プロポーズの言葉ってことでいいのかしら?』
川島さんが先ほどの言葉の意味を問うと、神崎はコクコクと頷いて肯定した。
しかしプロポーズの言葉か。多分この場合、付き合うきっかけの方じゃなくて結婚のプロポーズの方だよな。
「……えっと……『俺は、貴女を愛しています。これから先の人生も貴女と一緒に過ごしていきたい。俺の人生を貴女に捧げます。だから、貴女の人生を俺に下さい。高垣楓さん……俺と結婚してください』」
流石に一世一代の大舞台で放ったセリフなので、一言一句覚えているのは役者以前に男としては当然である。
キャーっと色めき立つアイドルたち(少女と呼べる年代多し)の様子に、若干恥ずかしいながらもこれで良かったと自分を納得させる。あぁこれでいいんだ。最後に噛んだところまで再現出来るわけないだろ!
だからさっきから隣でニヤニヤと俺のことを見てくる楓のことは気付かないフリをする。
『次の質問に移ります。……はい、藍子ちゃん』
「はい。その、お二人は普段どのように呼び合っているのですか?」
今度は
「今までは外だとお互いに名字で呼んでたけど……」
「普段は私が『旭君』って呼んで、旭君からは『楓』って呼ばれてるわ。本当は『ハニー』って呼んでもらいたくて私も『ダーリン』って呼んでたんだけど、旭君が『俺はお前の名前が好きだから名前で呼び続けたい』って言われちゃったの」
『キャーッ!』
先ほどと同じように必要最低限の返答で済ませようとしていたら、楓の口から追加エピソードが語られてしまった。ニコニコと頬に手を当てながら話す楓に、再び色めき立つアイドルたち(少女と呼べない年代も含む)。
そして今回のコレが結婚記者会見の予行演習にかこつけて楓とのエピソードを根掘り葉掘り聞かれる場だということを再認識する。
『それでは次は……はい、美波ちゃん』
「はい。今日はホワイトデーですが、楓さんは神谷さんからバレンタインのお返しは貰いましたか?」
おぉ、定番ではないものの結婚記者会見っぽい。如何にも真面目な
……って、これってさっきの告白や名前呼びの質問よりもマズイやつじゃねーか!?
「朝一番に貰ったわ。『楓』っていう旭君の声に目を覚ましたら、そのままチョコレートを口移しされちゃった」
どう誤魔化そうかと考える暇なく、楓によって流れるように暴露されてしまった。
『キャァァァッ!!』
先ほどよりもより一層大きな黄色い声に包まれる多目的室。キャピキャピと学生のアイドルたちが騒ぐ一方で、片桐さんを筆頭に大人組は「こいつらは……」と渋面を浮かべていた。
というかコレ、俺がバレンタインにされたことのお返しってことでやったけど、そっちのエピソードを知らない連中からしてみたら俺がトンデモナイコトをやったみたいになってるのではないだろうか。現に一部からは冷たい視線が飛んできている。
よし、この話はこの辺で終わらせて、次の質問に……。
「うふふ、そこのところ、もう少し詳しく聞かせて欲しいわ」
キス魔あああぁぁぁ!?
「えっと、初めはただチョコを口移ししてただけなんだけど、二個三個と食べていく内に旭君の舌が私の口の中に入ってきたの。あと別に抵抗する気は無かったんだけど、旭君に片手で私の両手を拘束されちゃって、もう片方の手で――」
「それ以上はいけない!」
『楓ちゃんストップ! 小さい子もいるのよ!?』
完全に惚気モードとなった楓が暴走を始めたので、流石にこれは本当にマズイと川島さんと二人で止めに入る。
余りにも楓の発言の刺激が強すぎたため、未成年のアイドルたち(例外として三船さんも含む)が顔を真っ赤にしていた。一応
「というか旭君、貴方いつも朝から何やってるのよ!?」
「あぁもうなんかすみませんねぇ俺だって楓が大好きなんですよ!?」
川島さんから真っ当なお叱りを受けるが、俺だって楓との朝の情事……じゃなくて事情をまさか楓本人から暴露されるとは思っていなかったのだから本当に勘弁してもらいたい。
『はい、それじゃあ次で最後の質問を……加蓮ちゃん』
「はーい」
やや疲れた表情で川島さんが名前を呼ぶと、しれっと奈緒の隣で手を挙げていた加蓮ちゃんがその場で立ち上がる。
「旭さんが結婚を決意したきっかけを教えてくださーい」
ニヤニヤとした悪戯っぽい笑顔が地味に腹立つ。
しかしこう言ってはアレだが、質問自体は意外にも真面目なものだった。
……俺が結婚を決意したきっかけ、か。
気が付けば、先ほどまで大騒ぎだった多目的室が再び静寂に包まれていた。聞こえるのは一人妄想に浸る
チラリと隣を見ると、楓もやや期待した様子で俺を見ていた。そういえば楓にも話したことなかったか。
「……ドラマチックな話を期待すんなよ」
そう予防線を張ってから、一年近く前のことを思い返す。
「恋人同士になってから楓は度々ウチに来てくれてな、料理や掃除とかそういう家事の類いをやってくれたんだ」
こういう言い方をすると俺がまるで家事をしていなかったみたいだが、流石に一人暮らしも長いのでそれぐらいしっかりとやってきた。しかし楓は「私に任せてください。
「そんである日なんだが、楓が洗濯物を畳んでくれてるのを俺は後ろから見てたんだよ」
カーペットの上に正座をして一枚一枚丁寧に畳む楓。俺の部屋なので俺の服は勿論のこと、その頃には当たり前のように楓の服も含まれていた。
「そんな楓を見て、結婚を決意したわけだ」
「……え、それだけ?」
まさかそんなわけないだろうと言わんばかりに加蓮ちゃんがジト目になる。他の子たちも似たような感じだった。
「えー、何かインパクト弱い以前に全然きっかけになってないじゃないですかー?」
「期待すんなって言ったろーが。それに仕方ないだろ――」
――そんな楓の後ろ姿に、俺はこの
高垣楓というアイドルは、いつだって前を向いている。そういうポーズを撮影することもたまにはあるだろうが、メディアに映る楓はいつも前から写した姿だ。
だからそんな楓の背中を見て、こんな無防備な背中を見せてくれる楓を見て。
アイドルではない『高垣楓』を背中から抱き締められる存在になりたいと、思ってしまったのだ。
「そんだけだよ。悪かったな大したきっかけじゃなくて」
やや自嘲気味なそんな言葉で締めくくる。
「………………」
「何だよ加蓮ちゃん、何か言おうぜ」
「……はっ!? あ、いや、その、あ、ありがとうゴザイマシタ……」
「?」
体調でも悪くなったか?
何故か片言になった加蓮ちゃんに首を傾げていると、クイクイッと隣に座る楓に袖を引っ張られた。
「どうした?」
「……私はその時にはもう旭君のお嫁さんになること以外考えてなかったから、私の勝ちね」
「……は?」
一瞬、一体こいつは何を言っているのかと思ったが、「フンスッ」と得意げな楓の姿を見ていたらそんなことはどうでも良くなった。
「……あぁ、俺の負けだよ」
惚れた俺の負けで、結婚に踏み切るのに時間がかかった俺の負けで、プロポーズの言葉を噛んでしまった俺の負けで。
――それでも最後に、俺は人生で最高の
三月十四日
今日はホワイトデーで、朝から旭君にチョコの口移しをされてしまった。なんでも先月のバレンタインのお返しらしい。いつも以上に積極的で情熱的な旭君に、思わず時間を忘れてしまうところだった。……これからも週に一回……いや、月に一回ぐらいならこういうのもありだと思う。
そしてもう一つ大きな出来事としては、ついに私と旭君の結婚を世間に公表した。朝一番に旭君手書きのFAXを関係各所に送ったことで、今日は朝から色々なメディアの芸能ニュースで私たちのことを取り上げてもらった。
私たちのことを知らなかった人は勿論、知っていた人からも大勢声をかけられ、事務所のみんなからは沢山祝福してもらった。
午後からは私たちの結婚記者会見を開いたのだが、その前にアイドル部門のみんなに協力してもらって結婚記者会見の予行演習をした。
みんなから色んな質問をされる中で、少しだけ喋りすぎてしまったため旭君だけでなく川島さんにも怒られてしまった。少し反省。
ただそこで、初めて旭君が私との結婚を決意してくれたきっかけの話を聞いた。
私もその時は、既に一人で旭君のお嫁さん気分で洗濯物を畳んでいたので、少しだけ気持ちが繋がっていたような気がして嬉しかった。
これから私たちに対する世間の評価がどう変わるのか分からないが、それでも旭君と……旦那様と一緒ならば絶対に大丈夫だと、私は信じている。
「それで加蓮、さっきいきなりどうしたんだ?」
「少し顔が赤かった気がするけど、熱気味?」
「えっ!? あ、いや、その……ちょ、ちょっとだけそのシチュエーションが羨ましいなー……とか思っちゃったり思わなかったり……」
((可愛い))
よし、甘さ控えめだな(先月との比較)
次回からは二人の関係が世間に公表された状態でお話が進みます。しかし残念ながら作者はこの小説で重たい話を書くつもりがないので、別に楓さんの結婚に荒れ狂うファンとかそういう展開はありませんので悪しからず。へいわなせかい!
残り三話。気合入れていきましょう。
……そろそろ次回作のことも考え始めないとなぁ。