高垣楓に清き一票をおおおぉぉぉ!!
【高垣楓】結婚発表からそろそろ一ヶ月経つわけなんだけど【神谷旭】
1:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
どうすればこの二人の子供に転生できると思う?
2:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
俺が知りたいわ
3:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
知ってたら言わずに実行してる
4:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
人が死んで生まれ変わるまでにかかる期間は
人が産まれてくるまでにかかる期間は
あとは分かるな?
5:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
つまり高垣楓と神谷旭が[ピー]した日を特定した後、出産予定日から逆算してその日を命日にすればいいわけだ
6:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
>>4 こいつ天才かよ
7:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
それなら俺にも出来るな
8:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
で? 肝心の高垣楓と神谷旭が[ピー]した日をどうやって特定するんだ?
9:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
……短い夢だったなぁ
10:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
最近3ch来てなかったから分からないんだけど、高垣楓と神谷旭の結婚はもう受け入れられてる感じなの?
発表当初は結構荒れてた気がするんだけど
11:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
まぁ最初は荒れてたな、主に高垣楓ファンが
でも年齢の話になって、最終的に「kwsmやktgrみたいに売れ残るぐらいなら……」っていう結論に至った
12:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
ちなみにそっちの話はこういう風に進展した
⇒ 【アラサー】結婚できない理由を議論するスレ 28スレ目【BBA】
13:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
そっちは完全にとばっちりだな……
14:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
しかしなんだって子供として生まれ変わりたいなんて発想に行きつくんだよ
15:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
バッカお前考えてみろよ、高垣楓と神谷旭の子供だぜ?
朝、高垣楓に「おはよう」と起こされ、神谷旭に「いってらっしゃい」と見送られ
夕方、家に帰ると高垣楓に「お帰りなさい」と言われ、帰宅した神谷旭に「ただいま」と言われ
夜、高垣楓と神谷旭の「おやすみ」で一日を終える
死んでいいね(断言)
16:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
文字通り死ぬ価値はあるな
17:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
最悪二人の日常会話を聞き続けられるならば家の壁とかでも構わん
18:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
そうか! 床に生まれ変われば、毎日二人に踏んでもらえるということか!?
19:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
>>18 天才かよ
20:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
>>18 猛者現る
21:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
>>18は高垣楓と神谷旭両方のファンか?
22:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
いや、高垣楓ファンだったんだが、彼女と結婚する相手ならば踏んでもらってもいいかなと
23:ふーん、アンタが774? まぁ悪くないかな
>>22 やべぇ、ガチで猛者だった
俺と楓の結婚記者会見から一ヶ月が経った。
現役のアイドルと俳優の結婚なのだから騒ぎにならないはずがなく、多少の炎上も覚悟していた。
しかし予想外に世間の風当たりは優しく、反対派がすぐに鳴りを潜めてあっという間に祝福ムードになってしまったのだ。今では先ほどのようなややアレなスレの他にも俺と楓の子供の名前を勝手に考えるスレなんかが出来てしまっていた。
……いやまぁ、受け入れてもらえたこと自体は本当にありがたいんだが、どうしてこんなに……その、アレなアレばっかりなのだろうか。
「うーん……」
「旭君、どうかしたの?」
「……いや、何でもない」
俺の手元のスマホを覗き込んできた楓に今の頭の悪いやりとりを見せるわけにはいかないので、手早く画面の電源を落とす。
「もう、折角のお花見なんだから、スマホばっかり見てちゃ、メッ!」
「悪い悪い」
確かに見上げればこんなに満開の桜が咲き誇っているっていうのに、いつまでも下を向いてちゃ風情がないもんな。
「もっとちゃんとお酒を楽しまないと」
「花より団子の方がまだ可愛らしいな」
お酌しまーすと俺の手のコップに一升瓶を傾ける楓に、まぁ今日はそういう席だしなと納得することにした。
てなわけで、今日は花見である。
春の麗らかな陽気の中、桜の下で346の人間が揃って料理やお酒を口にしながら会話に花を咲かせていた。
きっと普通なら、これほど満開の桜の下でのんびりとするには会社命令で新社会人が徹夜で場所を確保して……なんてことをする必要があるだろうが、何を隠そう、ここは346プロ事務所の敷地内なのだ。
相変わらず広大な事務所の敷地には桜の木々が点在しており、その下で花見をするのが我が事務所における毎年の恒例行事だった。
先日雨で花が散ってしまうのではと危ぶまれたが、346の桜は見事堪えきってくれたので、今年も無事花見が開催されることとなった。
――はーい! 今から美優ちゃんと二人で『あんきら狂騒曲』歌いまーす!
――え……!? か、片桐さん……!?
――歌うわよ、美優ちゃん! 準備準備!
――こ、これひょっとしてもう始まってます……!?
……向こうから憐れにも片桐さんに巻き込まれた三船さんの恥ずかしげな「アンキモアンキモ……!」という声が聞こえてきた。まさかの三船さんが
「ふふ、向こうは楽しそうね」
いや見てる分には楽しいけど、やってる本人的には羞恥以外の何物でもないだろうな。真っ赤になりながらもちゃんと歌って踊る辺り流石プロのアイドルだが、可哀想なことに佐藤さんがムービーを撮っていた。
「楓も向こう行ってもいいんだぞ?」
「ううん、今日は旭君と二人で飲みたい気分なの」
「……そうか」
そっと楓の腰に左腕を回して抱き寄せると、楓は逆らわずにコテンと俺の肩に頭を乗せた。
満開の桜の下、美人で可愛いお嫁さんを腕に抱きながら昼間からお酒を飲む。何とも贅沢の極みというか、正しく今が俺の人生の最盛期なのだろう。
「そんなあなたの幸せに一味スパイスを加えるオクスリがこちら~」
「……いつからそこにいたのか聞きたいところではあるが、その前に人の心を読むな一ノ瀬」
一体何処からやって来たのか、いつの間にか俺たちが座るレジャーシートにチョコンとクンカー娘こと一ノ瀬志希がいた。相も変わらず白衣姿だが、周囲が割りと混沌とし始めたのでそれほど浮いていない。
「にゃはは、お邪魔してま~す! これ楓さんの手作りー? すっごいオイシー!」
「てめえ俺もまだ手を付けてなかった楓お手製のだし巻き玉子を……」
「ありがとう志希ちゃん。旭君も、まだあるから」
しれっと勝手に楓が作ってくれた料理を摘まんでいた一ノ瀬に大人げなくイラッとしたが、楓に宥められた。
「それで、楓の料理をつまみ食いするために来たわけじゃないだろ?」
「うん! 桜のまろやかな匂いに混ざって甘酸っぱい春の匂いがしたから来てみたんだー。ちょーっとお二人に試してもらいたいオクスリがあってさー」
そう言って一ノ瀬は胸元から一つの小さな小瓶を取り出した。それがさっき言ってた『幸せに一味スパイスを加えるオクスリ』ってやつか。
「怪しすぎるんだが……安全なんだろうな? いやそもそも飲むとも言ってねーけど」
「うん! それを実証するために飲んでもらうから!」
「要するにモルモット役じゃねーか!?」
コイツが作ったというオクスリのせいで何度も騒ぎになっていることを俺は知っている。俺は実害にあっていないものの、主にプロデューサーたちが被害にあっていると聞く。
そんな一ノ瀬が作った薬だ、警戒しないわけがない。しかも安全性が保障されていないときた。こんなもの絶対に飲まないし、飲みたくもない。
「それで志希ちゃん、これはどういうオクスリなの?」
「えっとねー、あたしの計算が正しければ『大好きな人に対していつも以上にドキドキ出来る』はずだよー」
「なんだその効果」
一体何をどうすればそんな効果に……。
「ぐびっと」
「楓えええぇぇぇ!!??」
一ノ瀬から小瓶を受け取ったかと思うと、楓は
「ちょっとは
「あっ、意外と美味しいわね」
「子供でも飲めるようにいちご味にしてみたよー」
「安全性を保障できてないくせに子供も飲むことを前提とするんじゃない!」
そんなことよりも今は楓だ。
「だ、大丈夫か? 何処か具合が悪くなったりしてないか?」
「うーん、ちょっとだけ身体が火照ってきたような……」
それは単純にアルコールを摂取したからではなかろうか。
とりあえずもっとよく楓の顔色を窺おうと顔を近付けて――。
「……ふぇ!?」
――何故か、そんな可愛い声を上げて楓が真っ赤になった。
「楓っ!? どうしたいきなり顔が赤くなったぞ!?」
「あ、いや、その……!?」
もっとよく顔を覗き込もうとしたら何故か軽く手で押し返された。
……え、今俺拒否られた?
「うんうん、どうやら効き目はバッチリみたいだねー! しきちゃん大成功ー!」
「結局どういう薬なのかさっさと説明しろ一ノ瀬えええぇぇぇ!」
事と次第によっては『対一ノ瀬専用兵器』ことシュールストレミング缶を取り寄せて……!
「これは名付けて『感情リセット薬』! 記憶をそのままに感情をリセットするオクスリなのだ!」
「……はぁ?」
「えっとねー詳しく説明すると……」
一ノ瀬の言う詳しい説明というのは本当に詳しい説明であり、専門用語と計算式のオンパレードだったのでまるで頭の片隅にも残らなかった。
とりあえず簡単に要約すると『これまで俺と楓が付き合ってきた記憶はそのままに、それまで培ってきた感情を一度リセットする』という効果があるらしい。
「……で、それがどうしてこんな状況になってるんだよ」
先ほどから楓は顔を赤くして目を合わせてくれず、かといって離れることもなく俺の服の裾をそっと摘まんで離さなかった。正直凄い可愛い。人前じゃなかったら思いっきり抱きしめていた。
「今の楓さんは『今まで旭さんと一緒に過ごしてきた日々の記憶』があるにも関わらず『旭さんのことが好きという感情』が抜け落ちてる状態なわけ。逆に言うと『好きじゃない』のに『好きだ』という記憶がある。真っ白な感情に『旭さんのことを好きだ』という記憶が流れ込み――」
――今の楓さんは、旭さんに一目惚れした初恋状態なのだー!
「ナ、ナンダッテー!?」
いやマジでなんだそれ!? 薬一つでどうこうなるもんじゃないだろ!?
「いやぁ、実験はせいこー! これで頼まれてた惚れ薬を作るのに必要なデータが一つ増えたよー! ありがとう!」
効果は一時間ぐらいで切れるから心配しないでねー! と一ノ瀬はあっという間に去って行ってしまった。……今アイツ、サラッとトンデモナイこと言い残していかなかったか……?
しかし今はそんなことがどうでいい、というかそっちを気にしている場合じゃない。
「……えっと、楓?」
「あ、ご、ごめんなさい……あ、旭、君……?」
「何で疑問符」
「……な、名前で呼ぶのも呼ばれるのも……は、恥ずかしくて……」
……何この
しかしいくら一目ぼれの初恋だからとはいえ、楓がこんな反応をするのだろう?
……そうか、初恋の状態から夫婦一歩手前の状態へ感情が跳ね上がろうとしているから、その急激な変化に戸惑っているのか。
「でも不思議……初めて旭君と出会ったときと同じぐらい……ううん、それ以上にドキドキしてる」
心臓の上に両手を重ねてそっと目を瞑る楓。その仕草がなんとも神秘的に見えてしまい、思わず惚けてしまう。
「……ねぇ、旭君」
だからとても緩慢な動作だったにも関わらず、楓が俺の右手を取って彼女の胸の上に持っていったことに咄嗟の反応が出来なかった。
彼女の一番柔らかい優しさが手のひらに広がる。今までにも何度も触れたことがあるそれに、興奮するよりも先に思わず安らいでしまいそうになる。
「か、楓……!?」
「旭君にもしっかりと感じて欲しいの」
一体何を、と問う前に気付く。
彼女の左胸。服の下、下着の下、彼女の身体の奥底からドクンドクンという拍動が俺の手のひらに伝わってきた。
「分かる? 私が今凄くドキドキしてるの」
「……あぁ、分かる」
「……私、今凄く幸せ。こうして初めて貴方と会ったときの胸の高鳴りを、恋に落ちた瞬間をまたこうして感じることが出来るなんて」
「……そうか」
今さらになって、一ノ瀬のオクスリを飲まなかったことを後悔し始めた。初めて楓と会った日の情熱を今一度体験出来るのであれば、怪しい薬を飲むことぐらいどうってことなかった。我ながら現金なものである。
「ふふ、実はまだちょっと残ってるのよ?」
「え」
そう言う楓の手の中の小瓶を見ると、半分ほど中身が残っていた。さっきは半分しかコップに入れていなかったのか。
「はい、旭君」
「………………」
なんか結局は一ノ瀬の思う壺のような気がしないでもないが、それでもその甘美な誘惑には抗えなかった。
小瓶の蓋を開けると、そのまま中身を一気に飲み干した。
「……っ!?」
効果はすぐに現れた。腕の中にいる楓に対する感情が全て消え去り、凄まじい喪失感に目の前が真っ暗になりそうになる。
しかしそれも一瞬だった。頭の中から楓と出会ってから全ての記憶が走馬灯のように駆け巡り、目の前の女性に対する感情が次から次へと溢れ出てくる。
初めて食事に行ったときのこと。初めてデートに行ったときのこと。恋人同士になって初めて迎えた夜のこと。そして去年の楓の誕生日のこと。
きっとこれだけの思い出があるのだから、厳密に言えば一目ぼれの初恋ではないのだろう。
それでも、この胸の高鳴りと全身から溢れ出そうになる感情の爆発は間違いなくそれに近かった。
右手を胸に当てたまま、左手でグッと正面から彼女の身体を抱き寄せる。その際、指がふにっと彼女の柔らかさに沈み込むが不思議と疚しい感情にはならない。
「俺のも分かるか?」
「……えぇ、旭君も私と同じぐらいドキドキしてる」
そっと俺の胸に耳を当てる楓。
先ほどまでよく聞こえてきた花見の喧騒が遥か遠くなり、お互いの心音に耳を傾け続ける。ドクンドクンという鼓動が、次第に一つになっていくような感覚に陥った。
ねぇ旭君、と腕の中の楓が顔を上げる。
「私は貴方に恋をしてしまいました。貴方のことが好きです」
――私と結婚してください。
「楓……」
「うふふ、やっと
「……はは、まさか結婚する前から二回目のプロポーズとはな」
「むぅ、旭君、お返事は?」
「……決まってるだろ」
拗ねた顔でペチペチと頬を叩いてくる楓の手首を掴むと、そのまま優しく背後に押し倒して唇を奪う。
「幸せになろう、楓」
「……はいっ!」
再び目を閉じて唇を突き出してくる楓に、俺は再び顔を近付け――。
「ま、ままま、真昼間の屋外で何やってんだこの変態兄貴いいいぃぃぃ!!??」
ゴスッという鈍い音と共に側頭部に強い衝撃を受け、俺の視界がブラックアウトしたところで今回のお話は終了である。
四月十四日
今日は毎年恒例行事である事務所内でのお花見の日。
去年はまだ旭君との関係を公言していたわけではないので、知り合いとしての付き合いはあっても恋人同士としてお花見をしたことが無かった。なので今回はいつものメンバーではなく旭君と二人きりで楽しむことにした。
ちょっぴりイチャイチャしながら二人でお酒を楽しんでいると、突然志希ちゃんが現れてとある薬を渡された。何でも『大好きな人に対していつも以上にドキドキ出来る』らしいので飲んでみると、なんと旭君に対する『好き』という感情が消えてしまったのだ。
自分の全てを奪われたような感覚に陥るが、それも一瞬の事。次の瞬間には再び旭君に対する『好き』という感情が自分の心の奥底から湧き上がってきた。
志希ちゃん曰く、これは『再び一目惚れと初恋』を体験することが出来るらしいのだ。
言われてみれば、確かにその感覚は初めて旭君と出会ったときのものに似ていた。もしかするとそのとき以上にドキドキしていたかもしれない。
初めは嫌がっていた旭君も一緒に飲み、二人で一目惚れをやり直すという稀有な体験をすることとなった。
その際、少し心残りだった
綺麗に咲いていた桜が少し霞んでしまったが、それでも最高の『春』を楽しむことが出来た一日だった。
……奈緒ちゃんに止められなかったら、外でシてしまっていたかもしれなかったという点だけは、本当に反省しておこうと思った。
(……面白いダジャレが思い浮かばなかった)
「だから公にしたからって少しは節度を持って……楓ちゃん聞いてるのっ!?」
「は、はい! 聞いてます!」
「ぐぅ(気絶中)」
今回は甘いというか、書いてて背中が痒くなりました。
掲示板ネタとしきにゃんのお薬ネタという二つの鉄板を利用した今回のお話、構想は早かったですが、どんな感じにすれば甘酸っぱいか考えてたら割と時間がかかりました。
冒頭の掲示板のファンの反応は、以前話題に上がった某声優カップルに対するネットの声を参考にしました。まぁこんな感じのへいわなせかいということで一つ。
残り二話です! 皆さんどうか最後までお付き合いください!