カエデさんをヒロインにする小説がひとつもハーメルンに無いので読み専の私が書くことにしました(矛盾)。
ミトさんに俺の幼馴染みの"カエデ"についての知る限りの事を話すと、ミトさんはまず何故もっと早くに言わなかったのかと、7年も迎えに行かなかった事を叱った。それからミトさんも俺と一緒にカエデを連れて来るとの一点張りで説得にかなり時間を労した。
俺の故郷は一般人にはあまりにも危険だという事を理解させ、渋々引き下がらせたが、その代わりに"連れて来れなかったら一生あなたの事をジン2号って呼ぶわよ?"という恐ろしいペナルティを頂いた。俺はどんな人間も恐ろしくないが、悪魔だけは別だ。ミトさんは人の皮を被った悪魔に違いない。俺の故郷にすらそんな所業をしようと考えるものは居なかった。
くじら島を離れて5日間程飛行船等を乗り継ぎ、俺はまたここに来てしまったという何とも言えない感情を募らせながら堆く積まれた果てしなく広大なゴミ山を眺め、立ち尽くしていた。一般人が見たら間違いなく絶句するという意味ではある意味絶景かもしれない。
面積約6,000平方kmの廃棄物処分場兼街。 何を捨てても許され、この世の何を捨ててもここの住民はその全てを受け入れる。 それこそがこの俺の故郷"流星街"だ。
そして、何故俺が立ち尽くしているのかと言うと7年前はこの辺りにカエデが住んでいた筈なのだ。それがたったの7年で万年氷河の如く侵食してきたゴミ山に飲み込まれ、覆い尽くされてしまったようなのである。
流星街は世界のゴミ箱だ。別に汚染物質やら中和しきれない科学薬品やら廃油やらだけを捨てているわけではなく例えば。ゴム製品、衣類、革製品、紙くず、紙おむつ、ビデオ・カセットテープ等の燃やせるゴミ。食器、せともの、ガラス類、なべ、金物の調理器具、包丁、刃物類、乾電池等の燃えないゴミ。缶、びん、ペットボトル、新聞紙、ダンボール、雑誌・チラシ等の資源ゴミ。ストーブ、電気毛布、電気カーペット、電子レンジ、オーブン、オルガン、ステレオ、大型ポリ容器、スキー、ゴルフクラブ、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機等の粗大ゴミ。廃タイヤ、バッテリー、バイク、タイヤホイール、ホームタンク、農機具、消火器、農薬、劇薬、瓦、ブロック、土砂、モーター類、ポンプ、ペンキ、ボイラー、ガスボンベ、コンクリート、人間等の処理に困るゴミ等々、兎に角なんでもかんでも捨てられるのだ。
そのあまりにも大量のゴミの為に流星街の地形は変動し続け、それに合わせて住人の居住区も移動する。考えてみれば当たり前の話ではあるが、今の今まで俺はその考えに至らなかった。
もう一度確認するが、流星街は6000平方kmもある。これはラペ共和国とほぼ同等の広さだ。一部の都市部と言える廃ビル街に定住している人間ならば探しやすいが、カエデのようなゴミ漁りをして生計を立てている一般層の殆どが通信手段など持っているわけもなく、一度人を見失ったとすれば手探りで探さねばならない。更にカエデは人前に姿を見せたがらず、人混みも好まない割には、異様にフットワーク……いや寧ろ"ハンドワーク"が軽いので下手すれば数百kmは移動している可能性もある。
「オウフ……」
詰んだ。帰る日数を考えると後20日で探し出せる気がしない。だが、探さねば俺がミトさんに社会的に殺される。そして、引き籠りになって生活的にも死ぬ。それは純粋な死など比較にならない程辛い。流星街の住人が言うんだから間違いない。
俺は放心しながら暫くゴミの大地と言っても過言ではない光景の中で、防護服を着てゴミを漁る住人を見る。
「………………ん?」
その中で一般人が見ても明らかに浮いている人物を発見し、俺は手掛かりもないので話を掛けてみることにした。
ちなみにだが、俺は防護服を纏ってはいない。それというのは俺が念が使えるために纏が防護服代わりになるからだ。念の防御というものはこういった外部からの耐性も兼ね備えれるとの事である。念でガードさえ出来ていれば汚染も大して怖くはない。ただ、万能かと言えばそうでもなく、あくまでも防護服代わりという事だ。つまりは何かの拍子に纏を解除してしまえばそれは防護服を脱いだも同じ事となるため、絶や硬などもっての他。更に疲労が溜まれば当然、顕在オーラの厚みが落ちるためにその分耐性も落ちる。
まあ、これまでの話から何が言いたいのかと言えば、この辺りで防護服を着ずに作業をしている人間は自殺願望者か、そこそこの念能力者なのだ。
「君少し良いか?」
「はい?」
防護服を着ずにゴミを漁っている黒いショートヘアに眼鏡を掛けた俺よりも幾つか下の少女に話し掛ける。恐らく10歳前後だろう。何故か掃除機のようなものでゴミ山を吸っているのが非常に気になるがそれはとりあえずは置いておこう。
「少し話を聞いて欲しいんだ。人を探していてな。この辺りに…」
「ストップ」
少女は俺の言葉を止めると、掃除機を抱き寄せるように持ってから両手を差し出して皿を作った。そして、表情は無表情のまま変わらないが、レンズ越しの赤紫色の瞳が何処か期待に満ちたているのが何と無くわかる。
いいスジと性格しやがって……将来有望だな全く。
「ほら、これぐらいでいいか?」
「え? こんなにくれるの?」
とりあえず5万ジェニーを財布から掴み取ると少女に掴ませた。ゴミ山から使えるものを探して生計を立てている人間からしたら大金だろう。俺もそうだったからな。
本当のところは今の所持金の大部分は4日間の移動中に数十人から金だけスッたモノのために執着もなにもないので、100万ジェニーぐらい渡しても良いのだが、そこまで高額だと帰って怪しまれるだろう。というか本人を目の前に本人に金を渡すという余りにもダイナミックな人身売買にしか思えん。
「俺は"モーガス・ラウラン"。使える事以外は特に特徴の無い人間で、今はもう外に住んでいる。流星街に戻ってきたのは7年振りだ」
「ふーん、あたしは"シズク"。それで何を聞きたいの?」
「とりあえず、この辺りはいつからこうなったんだ? 7年前は居住区だったのだがな」
「ひょっとてここに住んでたの?」
「そうだ」
「えーと……3年ぐらい前かな。サヘルタ合衆国の飛行船団が2ヵ月ぐらいひっきり無しに来てこの辺りを埋めちゃったんだ。あたしの
どうやらシズクには姉がいるらしい。サヘルタ合衆国ねぇ……なんかちょっと腹立ったからそのうちヨークシンにでも行くとするか。
「それで探してる人っていうのは?」
どうやら最初に俺が話し掛けた時の事を覚えていたらしい。話が早くて助かる。
「"カエデ"という女だ。歳は13歳」
「え? たぶんその人あたしの義姉さんだよ?」
嘘マジ……?
◇◆◇◆◇◆
さっきのゴミ地帯からも、ビル街からも若干離れたところの盆地に収まるように巨大な飛行船が停泊している。とは言ってもヘリウムガスを囲んでいるパロネット等はほぼ完全に消失しており、数百人は軽く収容出来るゴンドラが残るばかりのようだ。
「ここにふたりで暮らしてるんだよ」
「随分いいところだな…他の連中が放っておかないだろう」
大昔の有名な飛行船に肖ったグラーフ・ツェッペリン三世という名を除けば、中の施設は豪華客船と言っても差し支えはない。電力と水の供給さえ出来れば食住に困る事はそうあるまい。
カエデに妹がいたとは初耳だったが、どうやら義理の妹だったらしい。俺とゴンの関係に近いものという事で若干シンパシーを覚える。
「姉さんが住んでるからね。姉さんに挑んで奪い取ろうなんていうバカがいるわけないよ」
「…………まあな」
この娘、地味に言葉の端々に毒が見える。いや、確かにこの発言に関してだけはただの人間がカエデに挑もう等と言う事は、小鹿が大型肉食恐竜に挑むようなものなのだが…。
シズクに着いていくままグラーフ・ツェッペリン三世の船内に中に入り、自分の部屋として使っているという一等号室に連れて来られた。 カエデはまだいつも帰ってくる時間ではないらしいのでここで待たせて貰うことにしたのだ。
「何か飲む?」
「いや……それよりも俺が言うのもなんだが警戒心が少し足りなくはないか?」
カエデは世界の人体収集家からすれば垂涎モノの激レアだろう。如何に流星街の住人が世界の記録に載って無いために、逆に安全性は高いと言えども本腰を入れて探せばわからない情報でもない。
「ほいっ」
シズクは掛け声と共に窓際に置いてあった頭骸骨を抱え上げると俺に投げた。骸等は流星街では珍しくもないが、本物らしくまだオーラの残子が頭骸骨を覆っているところから死んでまだそう日は経っていないようだ。
シズクから頭骸骨を受け取り、何気なく見てみると顎先がまるで
何気無く窓の外を見れば堆く積まれた風化した人骨の山が聳え立っており、その殆んどに共通するのは、"奇妙なまでに鮮やかに切断された断面"が見てとれる事だろう。
「姉さんは"流星街最強"だよ。金でしか動かないような人間が勝てるわけないじゃん」
「要するにどうせカエデが勝つから警戒する必要すら無いってわけか……それはそうだろうが、シズクが結果的に自分のせいで死んだらきっとカエデは悲しむぞ」
「………………なんで?」
キョトンとした様子で首を傾げるシズク。
流星街の住人は自他ともに命の価値というものが凄まじく希薄だ。例えば30人の人間を確実に殺す為、30人の流星街の人間に爆弾を握らせて自爆するなどは日常茶飯事だろう。そして、外での殺害理由の大半は生かしておくよりは、何処かの誰かが得をするだろうから殺した等である。そうは言っても仲間を仲間と思っていない等の純粋な外道というわけではなく、常識的な反応のネジが2、3本程ちくわか何かで出来ているのだ。ラーメンを頼んだら豚足が出て来た時のような反応なのである。
自分でも何言っているかわからなくなってきた。要するにここの住人は生で接して話してみれば意外に普通の人達だが、何かしらの事柄に対するアクションが、とても妙な方向に変わっている人達と言ったところだろうか。我ながら自分を含めた流星街の住人をここまで客観的に特性を理解している者は、俺以外に居ないとすら思う。それでもたまに無意識のうちに流星街基準のいつも通りの行動やら会話をしようとして、ミトさんにお前はなにをいっているんだ…? 的な顔をされる事が少なくないのでまっこと生まれと、慣れと、生活と言うものは恐ろしい。
そんな流星街の育ちにも関わらずカエデは敵対者には必見必殺だが、1度信頼した者には攻撃を向けない。無駄な争いの火種は自分からはあまり起こしたがらない。弱いもの虐めが大嫌い。犬派等々とカエデは流星街の人間としてはまるで聖女のような人格を持っているのだ。猫派は極刑、だから俺も極刑。
「えーと……私が死んだら姉さんが悲しむって話だったよね?」
要は流星街の常識は外に出たら大体は白い目で見られるので、早いうちに外の常識も覚えておいた方が良いという先輩からの忠言だ。流星街と一般社会の常識を両方兼ね備えているなんてまるで究極生物になったような気分だな。
「………………モーガスさん変わってるってよく言われない?」
「止めてくれシズク。その言葉は俺に効く」
「やっぱり姉さんになつく人は何処かおかしいんだね」
「……自分、ブーメランいいっすか?」
「えー、私はべつに普通だよー」
◆◇◆◇◆◇
眩しさを感じて目を開けると、外は夕日の空が広がっていた。地形が盆地のお陰で半分程しか見えないが丁度、太陽が地平線に入る程の位置にあった。流星街でもくじら島でも空の色はあまり変わらないらしい、新しい発見である。
自身の状況を確認する何処かの客室の窓側に設置された外の見えるベッドで眠っていたらしい。確か……シズクと話をしていたら、マイペースな事に疲れたから寝ると言い出して直ぐに眠ってしまい、やることもないのでグラーフ・ツェッペリン三世の廊下に作られたラウンジのソファーに移ってぼーっとしていたんだったな………ん?
なぜラウンジに居たハズなのにベッドに移動しているんだ? んん…?
更に身体を動かそうとするが、何故か動かない。首を動かして見て見るがその原因はわからず、仕方無く目に凝をして見ることにする。
そこには心霊写真に映るような関節の無い4本の透明な腕が俺を拘束していた。
「…………!!?」
思わず出そうになった声を押し殺す。いったいこれが誰の何なのかは即座に理解したが、こう寝耳に水もいいところで目にするとは思わなかった。とりあえず動く頭で周囲を見渡すとベッドの横にある椅子にこちらに背を向けるように座っている女性の姿を見つける。
血のような赤髪の奥にチラリと覗く"ネコミミのような大きさの白い2本の角"が生えているのもわかった。しかし、それよりも目に付くのは俺を拘束している4本の腕が、"彼女の背中から生えている"という事だろう。昔は2m程の長さだったが、今は5m程の長さになっているらしい。それぐらいの長さで俺をベッドに縛り付けている。
腕から彼女に意識を戻すと、小声で何かを呟いている事に気が付き、精神を落ち着けてからそれに耳を傾ける事にした。
「既成事実さえ作ればアイツだって私を見てくれるんだ…もう2度と離れたくない…離れたくない……」
「待って"カエデちゃん"待って! ぜったいこんなことよくないよ!」
「7年だ……私は7年待ったんだぞ…ここで諦めたら次は更に7年後か…? それとも十数年後か…? オリヒメとヒコボシだって年に1度は会えるんだぞ…? ふふ……ふふふ…あははははは…」
「カエデちゃん……わかるけど相手の気持ちも考えないでこんな…」
「うるさい"にゅう"は黙っていろ…昔みたいににゅうにゅう言っていればいいんだ…」
「ヒドい!?」
明らかに様子が可笑しい。内容は全く入ってこないが、少なくとも幼馴染みが声色を2種類に分けてひとりで自分自身と会話をしているという異様な事をしている事だけは伝わった。
「それに……」
彼女が片手を椅子の背凭れに掛け、首を少しずつこちらに向ける。その動作は酷く遅く、俺にとっては永遠にも感じるほどに長い時間だった。
「やあ、モーガス……遅かったじゃないか…」
「ヒィッ…!?」
長年の恋人を呼ぶ甘く焦がれるような呟きによって俺は思わず声を上げる。
「酷いなぁ……私はこんなに待ったんだぞ…? 君が来てくれるのをずっとずっとずっと待っていたんだ…」
カエデは椅子から立ち上がると漏れるように小さく笑い声を上げながら、数mの距離をゆらゆらと一歩一歩踏みしめて来る。その時、初めてカエデが何故か衣類の一切を纏っていない事に気が付いた。
「それにウヴォーが言っていた…欲しいものは奪うのが盗賊だとな…たまにはそれに従ってみようと思うんだ…」
生まれたままの姿のカエデの脇腹に目を向ければ"12本の脚を持つ蜘蛛の形をした入れ墨"が入っていた。その背には数字が刻まれており"4番"と印されている。
カエデは俺に覆い被さると、俺の胸に顔を埋めながら暫く目を瞑ると口を開いた。
「もう言葉は不要だな…大丈夫、私はちゃんと処女だから…」
暫くするとカエデは再び動き出し、俺と目が合う位置まで這い上がり、遂にカエデの前髪に隠れていた紅色の瞳と目が合う。片眼しか見ることが出来ないが、その瞳は紅いにも関わらず、真っ黒に塗りつぶされた暗い光を放っていた。
そして、カエデは蕩けるような笑みを浮かべると、その赤暗い瞳を見開く。
「好きだ……」
う…うわぁぁぁぁぁぁぁ……!! ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! ああぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!!! 助けてマコぉぉぉぉ! ミトさぁぁぁぁん! ハクアぁぁぁぁぁ! ゴぉぉぉぉン! 幼馴染みにくわれるぅぅぅぅぅぅ!!!!
あっ…。
◇◆◇◆◇◆
どんな情報がおのぞみだ?
ディクロニウスか、コイツはハンターには広く知って欲しいもんだから途中までは無料だ。
⇒Yes No
OKそれじゃあ良く聞きな。
"
偶発的に発生する生殖機能を持った1体の女王種を頂点に、その下に多数の生殖機能を持たないジルペリットを束ねる生態系を形成しやがる。それらの特長から女王種は女王蜂、ジルペリットは働き蜂とハンター協会じゃ呼ばれてるな。
人間と異なる特長は名前の通り2本の角を持ち、松果体が人間の数倍の大きさを持つ。更にA級危険生物に指定される最大の要因としてベクターを持つ事だ。
"ベクター"は見えない無数の腕だ。射程内ならば物体をすり抜け、人間の体内へ進入し、脳の血管を切るとか心臓を抜き取るなんて朝飯前で、高周波微振動を起こし、人体を切断することすら簡単にできちまう。また、個々に本数や長さが違う。歩く人間シュレッダーみたいな奴らだ。
これだけでもおっかねぇが、その最大の危険性はベクターウィルスだ。
"ベクターウィルス"自体は外気に触れると死滅する程度のウイルスなんだが、男性にベクターで直接体内に触れて感染させる事で発症し、発症した男と女から生まれてくる子供は必ず女児で、頭部に二本の角が生え、成長が早いが生殖能力のないジルペリットが生まれる。玉が冷えるねぇ…。
無論、ジルペリットのベクターにもベクターウィルスを媒介している。ディクロニウスとして生まれた子供は3歳でベクターを出すようになり、高い殺意を抱き、最初殺すのは自分の親だと言われているって話だ。
そうして1体のディクロニウスの女王種によって増加したジルペリットによって数年間で国が滅び、十数年で完成した女王によって人類へ侵略をする。
人からこんな種が発生する理由は判って無くてな、対処方も今の所は発生したばかりの女王種を殺すしかないらしいぜ。
おっと無料の情報はここまでだ。ここから先の情報は100億ジェニー頂くぜ? なに高過ぎる? そんな事はねぇぜ、悪いが1ジェニーもマケられねぇ。それと開く前にイヤホンしとけよ。
⇒Yes No
OKそれじゃあ良く聞きな。
まず、働き蜂は人間と同様の系統を持つが、女王蜂は全系統に200%程の補正を持ってるってんだ。おっかねぇおっかねぇ…。
さーてディクロニウスのベクターについての更に詳細な情報だ。
働き蜂のベクターは大体は4本で2m程の長さだが、親が強い念能力者だとかなり変わるらしい。働き蜂のベクターの力はオーラも無しに軽々と大型バスをぶっ飛ばせる。女王蜂のベクターは働き蜂とは別次元にベクターの力が強い。
ああ、そうそう。半世紀と少しぐらい前にディクロニウスの女王種と戦い、討伐した者が2日後に録画した音声があるから流すぞ、30秒やるから音量上げとけ。
…………………………………。
…………………………。
……………………。
………………よし、流すぞ。
『ハンター協会会長の"ネテロ"だ』
『もしアレの女王と殺り合おうとか考えているバカの為に先に言っておく……』
『アレは今の所、俺以外の念能力者に相手が務まる相手じゃねぇ』
『悪いことは言わねぇせめて俺に一声掛けろ。正直、俺が勝てたのもこればかりは念能力の相性が良かったからとしか言いようがねぇ』
『あの"手"とマトモに殺り合えるのは俺の念能力だけだ…』
『それとディクロニウスの女王蜂と働き蜂の見分け方だが、見りゃ誰だってわかるぜ』
『強いて言えば目が覚める程の美人で、チチがでっかくて、反則みてーなオーラしてる奴が女王だ。言いたいことはこんなもんか』
『ああ、それとこれは完全な蛇足だが…』
『"ターム族"って言葉に聞き覚えのある奴がいたら俺に教えてくれ、じゃあな』
以上だそうだ。最強の念能力者と言われていた全盛期の会長がここまで言う相手なんだとディクロニウスの女王は。ん? ターム族? 悪いがソイツはこのサイトにも無い情報だ。なんなんだろうな。暗黒大陸に非公式に1度行って帰って来た時から会長はそれを探すようになったって噂だが、詳細はなんにもわからん。案外ボケかもな。
話をディクロニウスに戻すぞ。実はベクターウィルスは他者のオーラに当てられても死滅するんで、念能力者に対しちゃ効果が薄い。まあ、絶でもしてりゃ話は別が戦闘中に感染するような事はまずないだろうな。
それでここから本題なんだが、働き蜂は女王蜂とは違い、育て方次第じゃ良くなつき、親とも認識して社会適合もするんだ。問題は家庭環境と、ベクターを退けて躾られるぐらいの親の強さと、愛情だ。
ベクターウィルスに感染すればハンターですら問答無用で去勢だが、ある場所でハンターが正規の手順を踏めばそれを免除される。まあ、監視下に置かれ、奥さんや旦那以外との性交渉は難しくなるがな。ついでにとんでもない量の審査もある。
ベクターウィルスは相変わらずワクチンは無いが、ある程度の管理と培養が可能で遺伝子操作の結果、ベクターウィルスを持たないジルペリットを産み出すベクターウィルスの開発に成功している。
それだけの
"自分の遺伝子を持った一代限りの最強の娘"……念能力者としちゃ欲しくはねぇか?
ネテロ会長への直通ダイアル
XXXーXXXーXXXX
ベクターウィルス提供バンク(前クラマ研究所)
XXXーXXXーXXXX
※ベクターウィルスの提供には2つ星以上のハンターである事、配偶者か協力者の同意がある事、当研究所の人造ディクロニウスを単独で撃破が可能な戦闘能力を最低条件としています。自信のある方のみお電話下さい。
危険度(凶暴性/数/繁殖力/破壊力/総合)
人間(個体)
C / E / C / B~E / C
ディクロニウス(ジルペリット)
A~C / A / A(E) / A~B / A-~B
ディクロニウス(女王種)
A+ / E / A(C) / A+ / A+
ディクロニウス(種族)
A+~C / B / A / A / A
危険度の補足
凶暴性A+
人間へ対してのみ極めて高い殺意が遺伝子そのものに刻み込まれている。まるで人間を殺すためだけに産まれて来たような生物。
破壊力A+
①非常に高い確率で死に至り、回避が困難。特に人間に対してのみ非常に効果が高い。
②日常生活に支障をきたす、完治困難なダメージを受け、障害に渡り後遺症が残り、さらに生活しているだけでそれを拡散させる。
③如何に対策を講じようとも人間という種が存続している限り、根本的な解決になることは決してない。
総合A+
早急に殲滅させる必要のある危険生物だが、方法が確立されておらず、現代兵器及び現代医学では撲滅が不可能。世界レベルでの対策が必要不可欠かつ、根本的な解決方法が存在せず、時間経過により人間の中で自然発生するため、早急に発見されていない新たな対策を確立する必要がある。
存命のジルペリットリスト
ナナ=クラマ
フォウ=アルマール
クレア=ハイデッカー
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カエデはまんまエルフェンリートのカエデ(ルーシー)さんです。
原作のカエデさんと違うところ。
①主人公に特に負い目がない。
②精神的に割りと余裕がある。
③シズクちゃんになつかれている。
④にゅうと記憶を共有し、喋る事が可能。
⑤某旅団などそこそこ仲間がいる。
⑥想い人がベクターでちょっとやそっとぐらいじゃ全く壊れない。
ちなみにカエデさんは、昔のディクロニウスの女王種から考えると、生まれたばかりのメルエムさんが、いきなり非暴力の教えを熱弁し出す程度には聖女です。
更に今作のカエデさんは腰を振ったり、タンバリンを叩いたり、腰を振ったりするゴンさんぐらい吹っ切れています。