私はIS   作:35(ミコ)

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ここまで迷走してたなぁとか思いつつ

これからも迷走するのかなぁとか思う

今回かなり短いです


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「やっぱりそれ、ISじゃなくてEOSじゃないの?」

 

 全員着替えてアリーナに集まった。

 そこで、互いの視線の高さが先程と変わらないままシャルルは箒が纏う黒いISを眺めていた。

 

 EOSとは国連が開発中のパワードスーツ。燃費は最悪で欠陥だらけのもの。

 

「その……EOS? とやらは知らないが、一応はISとして機能はしてる……はず」

「なんだ、箒。自信なさげじゃないか?」

「その……なんだ……学園のものと色々違くてな……」

 

 箒は今まで学園で管理されてる『打鉄』にしか乗ったことがない。

 それでも学園で管理されてるとあって、整備は行き届いており全ての機体が正常に稼働する。

 しかし、今乗っているISは、

 

「少しスラスターを動かそうとしてもビクともしないんだ……」

 

 両腰に接続された小型のパックのようなスラスター。それがうんともすんとも反応しない。可動式ではあるのでスラスター自体は前後に動いたりする。

 メモに書かれていた簡素な説明によると背中に刺さったようにある円柱の物体。それがジェネレーターでスラスターのエネルギー供給源らしい。

 ジェネレーターが動いてないのかと思い、耳を澄ませるが微かに音が鳴っていることから動いてはいるのだろう。

 

「不調っぽいなら全力で動かしてみたら? 案外動くかもよ?」

 

 鈴が投げやり気味なアドバイスを送る。

 そのアドバイスに一夏やセシリア、シャルルの三人は苦笑を浮かべる。

 

「そうだな、やってみる」

 

 箒は細かいことが苦手だ。

 鈴の言葉を真に受けて、全力で飛行しようと試みる。

 皆から距離を取り、空を仰ぐ。

 

「はっ!」

 

 気合いと共に掛け声を出す。

 そして、スラスターからも火が出る。

 凄まじい加速力と共に箒にも相応の圧力がかかる。

 だが、それも一瞬。

 

「ん?」

 

 十数メートル程飛んだところでゆっくりと落下を始めた。

 

「な、何だこれは……?」

 

 箒は地に足を付ける。

 他の四人もISにあるまじき挙動を見て目を疑う。

 

「な、何だったんだ……?」

 

 未だに状況が掴めない箒だが、それ以上に傍から見ていた鈴たちの方も状況が分からない。

 

「本当にテスト段階の機体なの……?」

「PICの不具合でしょうか?」

「僕も見たこと無いよこれは……」

 

 元々専用機持ちである三人も何故落下したのか分からないし、その落ち方も不自然である。

 一度覗き見る形ではあるが設定を見るも全て機能はしているらしい。

 

「そもそも、これの持ち主のソラはどこに行ったのよ」

 

 苛立ち混じりに鈴が呟く。

 それもそのはず。とても試験運用段階とは思えない機体を赤の他人に一任するなど考えられない。それにISは技術の塊である。それをやすやすと企業と無関係の人物に渡したのだ。

 

「箒は知らないのか?」

「いや、都合が合わないとだけ言われて頼まれたのだが……」

 

 流石に、土下座までしてきたことは伏せる。

 んー、と一夏は考える。

 

「誰か連絡先知らないか?」

「知らんぞ?」

「知らないわよ」

「知りませんわ」

「会ったことすらないけどね、ははは……」

 

 シャルル以外は真顔で即答した。

 手詰まりだ、一夏の直感はそう訴える。

 だが、最後の手段がシャルルから提案された。

 

「そうだ。プライベート・チャネルならどうかな? その、オンブグレンスト……さん? が二つのIS持ってるならもう一つは本人の手元にあるんじゃないかな。それなら、その機体からでも通信できるはずだし」

 

 普通、専用機はエリートの中でも適正に優れる者にだけ渡される。それを二つも持ってるなら可能である話だった。

 

「やってみるか」

 

 箒は慣れない中、意識を集中してプライベート・チャネルを繋ぐ。

 そして、ふと繋がった感覚がよぎる。

 

「あ、あー、その、オンブ……グレンストか?」

『…………』

 

 返事はない。だが、反応はあった。

 新しいウィンドウが開かれた。

 

『システムのインストール中です。忙しいので後にしてください』

 

 何だこれは、そう思わずにはいられない。

 恐らく向こうは向こうで機体の調整か何かでもやってるのだろう、と大体の推測を立てた直後、声が届いた。

 

『あ、あー、よしよし、聞こえるよねー?』

「オ、オンブグレンストか……?」

『そうだよー』

 

 早速、箒は機体について尋ねようとする。

 

「この機体についてなんだが……」

『分かってる分かってる。欠陥だらけのやつって言いたいんでしょ? 私だって出来ればちゃんと飛びたかったんだけどね……』

 

 ブツクサと文句を連ねる。どうやらこの機体は本人にとっても不評らしい。

 

『ともかく。乗りこなさないことには何も始まらない。……いっそ私が一度動かそうか?』

 

 その言葉に箒は眉を寄せる。

 この場にはソラはいないはず。

 

「できるのか?」

『うーん、一応』

「どうやって?」

『いやだから、私が』

「今いないのでは?」

『いないけど?』

「?」

『?』

 

 会話のループに嵌ってしまった。

 隣で会話を聞いていた鈴が溜め息をつく。

 

「だから、ソラ、どうやってアンタが操縦するかって聞いてるの。色々考えられるけど、実際はアンタがここに来て、直接乗って、操縦するしかないはずなんだけど」

『あー! なるほど、そういうことね!』

 

 ようやくソラが理解を示す。会話の中で起こる解釈の違いは段々と広がってしまう。

 

『一応は私が直接機体を操ることになるのかな?』

「はぁ? 今日都合がつかないんじゃないの?」

『できるよ、ほら』

 

 箒の腕が勝手に動き出した。

 

「な、なんだこれは!?」

『む、篠ノ之さん、力抜かないと怪我しちゃうかもしれないから気を付けてね』

 

 どうやら向こうから無理矢理でも動かしてるらしく、実際に箒は身体のあちこちを押されてるような感覚はあった。

 

「これって遠隔操作……?」

『……どうとでも? じゃあ、一回飛んでみる?』

 

 ソラの提案に箒は乗ることにした。

 ただ、動かしながら説明するように、と追加で頼んだ。

 

『じゃあ、いくよー』

「こい!」

 

 箒は心だけは落ち着かせ、身体はリラックスする。

 そして、スラスターに火が点く。

 グン、と後ろに引っ張られるような感覚が全身にかかる。

 耳元ではソラによる説明が始まった。

 

『基本的に出力任せの力技で加速力得てるから機動力は問題ないけど、ただこのスラスターに調整という文字は無いんだよね』

「というと?」

『オンかオフしかない』

「はぁ!?」

 

 その言葉に箒は驚き、身体を強張らせてしまった。直後、視界が一気に上下に反転した。

 しかし、すぐにソラによる操作によって元に戻り、機体はアリーナの天井をなぞるように飛ぶ。

 

『おっとっと……危ないから、勝手に動かないでねー』

「さっきのは何だ?」

『ああ、私のはPICの欠陥が酷くてね。必要なものがいくつか足りてないんだよ。結果、不安定なバランスで癖のあるものになってしまったんだよ』

「大丈夫なのか……?」

 

 眼下には小さく見える四人の姿。高さは大体五〇メートル程か。ISで飛んでる分には問題ないが、急に不安になってきた。

 

『一応はね。だからしばらくはスケートのように地上を滑るようにしたほうがいいかもね』

 

 機体は高度を落とし、低空を飛び始める。

 

『で、問題なのはさっきも言った、スラスターがオンオフしかないこと、それとPICの欠陥。PICのせいで宙に浮くことができなければ、スラスターは止まることを知らない』

 

 聞けば聞くほどに、欠陥しか見えてこない。

 箒は今更ながら後悔し始めていた。

 

『ただ、この機体は一つ』

 

 ソラはスラスターを止めた。

 箒はそれに目を見開く。

 

「なっ!?」

 

 ジェネレーターをいいものを使っているからか、ソラの機体の速度は専用機の中でも目をみはるほどのものである。

 その速度のまま、ソラはスラスターを切り、地に足を付けようとしていた。並の機体なら転倒してしまうだろう。

 だが、ソラは地面に足をつけ両足で踏ん張ってみせた。そして、転倒することなく止まった。

 

『パワーアシストだけなら段違いにあるから』

「…………」

 

 箒の目は訝しむものであった。なぜなら、ソラが誇らしげに言っている隣で、着地の影響で砂埃をモロに被ってしまった一夏は唾を吐きながら更衣室に駆けこんでいった。

 鈴とセシリア、シャルルはとっさにISを展開したお蔭で何とかなった。

 

「このパフォーマンスいるか?」

『……だって、カッコイイし』

 

 改めて箒は何て機体を引き受けてしまったのだろうかと後悔する。

 

 

 

『そうだね、スラスターは吹かすというより、吹かし続けるだね。面倒ならあとで調整するよ?』

「そうだな。そこは頼む」

 

『武装は斧とか大剣あるけど、ブレードでいいの?』

「これが一番手に馴染むからな」

 

『一応言っておくけど、射撃武器は無いし、火器管制も無いから』

「私としてはブレードがあればいい。あっても銃より弓のほうが馴染む」

 

『ちなみに、片側のスラスターだけで動けるようになると便利だけど……大丈夫?』

「壁に頭を突っ込んでる人間が大丈夫だと思ったか?」

 

 他の専用機持ち四人と別れ、機体の相談を進める。

 そして、箒は着々と機体に慣れてきた。

 

 ISだからといって特殊な動きは要らない。

 

 それが箒が導いたこの機体の操縦法だった。

 戦法としてはあの織斑千冬と同じだろう。

 機動力とブレード捌き。

 これだけ相手を打倒してみせる。箒は心の内で決意する。

 

「そうだな。あと必要なものといえば小太刀か」

『小太刀? ナイフじゃダメ?』

「長さとしてはナイフ以上、ブレード以下か。二刀流も考えなくては」

『分かった、次のときまでには用意するよ』

 

 隣では一夏が火器の扱いについて説明を受けていた。

 すると、ソラが何かに気付いた。

 

『ん? あれは……ドイツの機体?』

「どうした?」

『あそこ』

 

 視界に矢印が表示され、その方向には黒い機体があった。

 そして、そのパイロットは、

 

「ボーデヴィッヒ……ッ!」

 

 箒は黒い機体に乗るラウラを睨みつける。

 通信では事情を知らないソラが尋ねる。

 

「いや、すまない。オンブグレンストには関係ないことだ……」

 

 カッとなって万一戦闘にでもなったらこの借り受けた機体に傷つけてしまう。

 そんなことになれば問題になってしまう。そのことがよぎり、箒はあと一歩のところで冷静になれた。

 妙にノイズのあるハイパー・センサーがラウラの声を拾う。

 

『貴様も専用機持ちだそうだな。ならば話が早い。私と戦え』

 

 一夏に向けたそれは好戦的なものだった。しかし、当の一夏は理由がない、と断る。

 その後はいくつか言い合いをした後にラウラのレールカノンが火を噴いたがシャルルや監督の教員が間に入り、矛は収まった。

 

 箒はラウラが去った方を見つめる。

 

『……』

 

 ソラは何も言わない。

 

「箒ー! 帰るぞー!」

「……あ、ああ!」

 

 

 

『そそ、適当に置いておけばいいよ』

 

 箒は一度皆と別れ、整備室でISから降りる。

 

『じゃあ、先に戻ってて構わないよ』

「いや、ここで待つ」

『……ん?』

 

 何やらとてもソラには都合の悪い言葉が聞こえた。

 

『いや、別に私帰るの遅いし……』

「今日のことについて一度、ちゃんと話し合いたい。今後のこともある」

 

 ふんす、と箒は腕を組み仁王立ちで構えている。

 ちっとやそっとじゃ動かないな、ソラはすぐに感じ取る。

 

『分かったよ。じゃあ、一度シャワーでも浴びに行ったら? その間に私も戻って来れそうだし』

「そうか。なら、お言葉に甘えさせてもらおう」

 

 箒は腕を解き、整備室から出て行く。

 

「はぁ……」

 

 整備室の一画で溜め息を漏らす。

 今日一日で思った以上のことになってしまった。

 箒のラウラに対する感情が敵意のそれであることなどソラにも分かる。

 

「これからも大変になるかなぁ……」

 

 口の端には笑みが浮かぶ。

 

「まぁ、案外悪くはないね。やっぱ機体(からだ)動かしてる方が楽しいねぇ」

 

 箒を追いかけるように整備室を出て行く。

 

 

 

 シャワーを浴び終え、制服に着替える。更衣室を出るとソラが既にいた。

 

「やぁやぁ、篠ノ之さん。今日はお疲れ」

 

 これお詫びというかそんなの、とペットボトルの飲料水を渡される。

 

「どうだった?」

 

 ベンチに腰掛け、今日のことを思い出す。

 そして、箒の口から出たものは一言だけだった。

 

「私はあの機体、気に入った」

 

 目の前のソラは何とも言えないような微妙な表情だった。

 それが中途半端な機体が気に入られたのか、という困惑なのか、あんな機体でも気に入ってくれたなら、という喜びなのか。そんなのは分からない。

 

「あ、うん。そう……じゃあ、一応調整はしておくよ……」

 

 尻すぼみになっていくソラ。

 一方で箒は盛り上がる。

 

「ところで、次あの機体を借りれるのはいつだ?」

「……あー……」

 

 ソラは空を仰ぐ。

 

「調整が……終わり次第? こっちも色々立て込んでて私自身も色々あるから……」

 

 箒に視線を戻したソラは、連絡先を交換しよう、と提案する。

 特別断る理由もないため互いに交換し、今日はお開きとなった。

 

 

 

「たっだいまー」

「おかえり……」

 

 寮の自室、簪はパソコンを弄りながらも迎える。

 

「そういえば……今日一日専用機置いて……どうしたの……?」

 

 ベッドには白い腕時計と灰色の髪留めが適当に転がされていた。

 

「ちょっと野暮用をね……」

 

 ソラもベッドに転がる。

 一度、モニターから目を離し様子を見る。

 

「楽しいことでもあった……?」

「んー? どうだか?」

 

 彼女は笑みを浮かべるばかりだった。




私は疲れました

夏の暑さにやられてたんですよ(10月になりました。未だに日光が辛いです)

こんな作品ですがせめて2巻までは絶対にやろうと思いますので
お付き合いしていただけたら幸いです
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