「ありがとうございましたー!」
最後のお客さんが出て行ったことを確認し暖簾を仕舞うために外にでる。
「あら?にーちゃん今日もうお終いなの?」
声をかけられそちらを向けば仕事帰りですと言わんばかりに全身から疲れたオーラを放つ男性が数人いた。
「申し訳ないですけどこの後貸切になってるんですよー」
頬を掻きながらそう伝えると向こうは落胆しながらも「別の日にくるよー」と踵を返していった。何度も通ってくれている常連さんに申し訳ないが伝えたとおりこの後は貸切なのだ。
店内に戻り洗い物を済ませ次の料理の下拵えをする。
「そんなに人数が来るわけでもないし多く作る必要はないだろうなー」
冷蔵庫から焼き鳥を適当に数本取り出し焼きはじめると同時にほっけも焼く。日中に茹でて置いたホウレン草も冷蔵庫から取り出し鰹節と醤油と一緒に和える。まぁまずはこんなもんでいいでしょ、と正直遠慮する必要のない相手なので凝った物を作りたくないだけなのは内緒である。
「神楽さんお邪魔しますよー?」
店の入り口から此方を伺うような声がかけられる
「おーぅ、入れ入れ。そして適当な所に座っておけー。飲み物は何にするー?」
「「生で!!」」
「聞くまでもなかったよなー」
クスクスと笑いを溢しながらジョッキを用意し二人が座っている席に向かう
「ほれお待たせしましたっと・・・・・・、先に生失礼しますよっと。これお通しなー。先にお前らで始めといて。魚焼いてるから見てくるわー」
「「かんぱーい」」
焼き鳥はもう少しだけど魚はまだかかりそうだなー。焼き鳥をタレにつけもう一度焼く。
「いやー聞いてくれよ神楽ー。この前の子なんだけどさー」
「あー待て待て、そっちにいってからゆっくり聞いてやるから少しは落ち着け」
りょうかーいと言う返事を聞き焼き鳥の皿に移し七味と共に準備する。焼き鳥の準備が終わるころにほっけもいい具合に焼きあがったのでそちらももっていく。
「ほい、盛り合わせとほっけなー。それでこの前の子がどうしたって?」
身を解しながら先程の話の続きを促す。おいそこの守銭奴、大根おろし全部持ってってんじゃねーよ
「ホウレン草美味しいわー。うん?あぁこの前の子の話だな。それがなんとやってくれるらしいんだわ!」
「あぁ神楽さんやめてください!私七味嫌いなんですから焼き鳥全体にかけないで!」
「うるさい守銭奴、大根おろしの恨みだ。それはそれはおめでたい事で。これでお前もやっとまともなプロデューサーなわけだ」
「まともな・・・・・・。うん、俺やっとプロデューサーになったんだなぁ・・・・・・」
しみじみと、昔を思い出すように呟く。学生時代にこいつがプロデューサーやりたいといい始めた時は驚いたが今こうしてちゃんと夢を叶えているってんだからこいつは凄いと思う。
「んで千川。お前はちゃんと事務員できてんのか?」
「あぁ・・・・・・ほっけ美味しいです・・・・・・。んぐっと、神楽さんそれは愚問ですよ?私がいるからこそこのプロダクションは保たれていっていると言っても過言j「過言にも限度があんぞ」ごめんなさい・・・・・・」
しょんぼりしながらビールを飲んでいる様子を見ると少し不安になってくるがまぁ大丈夫だろう。
「そいうえば神楽がこの前言ってたユニット名使ってもいいか?」
「この前って言えばあれか?『NG』のことか?いいんじゃねーの?・・・・・・多分」
「多分って・・・・・・、まぁありがたく使わせてもらうよ」
「ってことはあれか?一人だけスカウト成功したわけじゃなくて数人成功したんか?」
「そうそう、三人なんだけどどうせならユニット組ませちゃえって社長が言ってさ。本人たちもやる気満々!って感じだったし」
「なるほどねー。ん・・・・・・ぷはぁ。お前らお代わりはー?」
「もちのろんですよー」「頼むわー」
了解と返事を告げ空になったジョッキを下げ考える『NG』ってここで使っても大丈夫だよね?著作権とか違法してないよね?存在してないもんね!
少々ビクビクしながらビールと泡を7:3の割合で入れて席に戻る
「ほいほいお待たせっと。それで、アイドルの名前は?俺がファン第一号になっちゃろう」
「残念ファン一号は俺で二号はちひろさんだ。アイドルの名前は・・・・・」
「島村卯月・本田未央・渋谷凛だ」
驚きのあまりPの顔にグーパンが飛んでしまったが俺は悪くない