私の小さい頃の、将来の夢は、おほしさまについて調べる学者さんでした。ロシアの空に浮かぶ満天の星空。いつか、誰も見つけたことのない星に『アナスタシア』と名付けるのが夢…。
でも、それから少し経つと。夢は夢のままであるから綺麗なんだと気が付き。そんな夢は諦めてしまいました。
そこから私の夢は何度か変化します。北海道に引っ越したばかりの時は、学校の先生に憧れて。プロデューサーにスカウトされて、アイドルになった時はシンデレラに憧れて。でも、今はもう夢を見る事が出来ない。強く、ハッキリと告げられた家族と言う言葉。彼の隣に立つことは出来ない、彼の側にはいられない。
ユートと出会い、生まれた新たな私の夢は、お嫁さんでした。
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アーニャちゃんを少しだけ叱ってから一週間。とても気まずい毎日が続いている。顔を合わせる度に申し訳なさそうに俯かれ。声を掛ければ怯えられる。美波ちゃんや蘭子ちゃんが謝りながら事情を話してきた時は驚いた。好意を抱いていくれる事自体は嬉しい。だけど、冷静に考えて見て欲しい。10歳近く歳が離れているのだ。世間的にも倫理的にもoutである。傍から見れば意気地の無い選択だと思われるかもしれないが、俺の行動一つでアーニャの未来が変わってしまうと考えると。下手な事は出来ない。
Pや千川は、空気を察してくれたのかアーニャが長期の仕事でこちらに余り顔を出せない様にしてくれた。要はアーニャちゃんは寝るためだけに家に来ている状態。
(まぁ、諦めて貰うしか無いかなぁ)
諦めて、俺の所から離れて、忘れるのが一番である。そうすれば、少しだけ関係はギクシャクするかもしれないけど、彼女の幸せにも繋がるだろう。
その考えに至るまでに、だいぶ時間を掛けていたようで。気が付けばそろそろ開店の時間となっていた。
暖簾出さないとなと思い、外に暖簾を掛けに出る。
外は生憎の雨模様出あり、まだ日は沈みきっていないが、太陽が雲に覆われてしまい、すっかりと暗くなっている。
お客さんはそんなに来ないんだろうな。と思いつつ、オススメ等を書いたボードも設置して、中に戻る。
「悠人さん…」
呼ばれた声に振り向くと、傘を指したままの蘭子ちゃんと美波ちゃんがいた。
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「「ごめんなさい!!」」
2人が風邪をひかぬ様に中に招き入れ、開口一番に紡がれた言葉は謝罪だった。既に謝罪を受け取っている俺は、それに構う必要は無いと判断し、料理を拵える。
「私達がアーニャちゃんを煽るような真似をしたんです!アーニャちゃんは何も悪くないんです!」
「我らが言霊は彼女に深く結び付いた…。故に、彼女の罪は我が罪であるも同然である!罰せられるは我らである!」
要するに、あれだ。アーニャちゃんは悪くないです、私達をが悪いんです。って事だ、笑わせる。
「2人が何をしたかとかはもう関係無いんだよ。それを聞き入れ、実行したのは彼女だ。全部…、とはいかないが責められる事をしたのも彼女だ」
「だ、だけど…!アーニャちゃんは悠人さんの事が好きで、振り向いて欲しくて…!」
「我が友は、魂の奥底から汝を慕っていた。我らは貴殿らに幸福を掴んで欲しく…」
「そもそも、蘭子。お前ふざけてんのか?」
その言葉に、彼女はびくりと肩を震わせる。
「何考えてんのか知らんけど、仮にも今お前は謝罪しに此処にいるわけだ。で、何で俺が苦労して通訳を始めないといけないの?それとも謝る気が無いから普通に喋るつもりが無いの?」
その言葉に、体を震わせて涙を流しているが、気にしない。
「お前らアイドルやってんだよな。友達の恋愛は応援しちゃいけませんとか言うつもりはねーよ?でもさ、アイドルが恋愛したらどうなるか考えなかったの?」
「そ、それは…」
「新田、お前3人の中で一番年上だよな。あんな風にアーニャけしかけて、間違いあったらどーするつもりだったの?」
有り得ない話だが、仮にもしも俺がアーニャを襲っていたら彼女はもう男性に恐怖しか抱かないだろう。
それに、彼女はまだ15である。そんな彼女が交際してる。なんて噂が立ったとしたらどうなるか。業界から消え去る可能性も有り得る。
「お前ら、てか346の連中はさ。アイドルになった時点でガキじゃないんだよ。自分で金稼いで、欲しいもん買って、食べたいもん食って。どんだけ影響力持ってんのか分かる?」
例えば姉ヶ崎とその妹。彼女達が服が欲しいと買い物に行けば、彼女達が訪れた店は少しだけでも繁盛するかもしれない。
例えば双葉杏。彼女が食べる飴が爆発的に売れて、生産量が増え。その一方彼女が食べなかったアメは消え去る可能性もある。
大袈裟かもしれないが、アイドルの経済効果は凄まじい物である。
話を戻そう。
「仮にお前らのどちらかが、同じ立場で同じ事をする側だったとしよう。襲われましたー、男の人こわいですー、仕事になりませーん。話になると思うか?」
「思いませんけど…。でも、アーニャちゃんは本気で悠人さんの事を想ってて…」
「だったらさ、自分の力で、自分の責任で行動するべきだったんだよ。相談すんなって訳じゃない、ただ自分の行動で何が起こるのかを考えるべきだった。」
その考えが少しでも会ったら、未来は変わっていたかもしれない。そんなif。
「正直な話、あんな綺麗な子に迫られて嬉しいぞ?だけどさ、素直になったらいけないものだってあんだろ」
諸手を挙げて受け入れたとしたら、待っていたのは破滅で。ハッキリと拒絶したら、待っているのは破滅。どっちも破滅じゃねーかよとおもわないでもないけど。進むことも戻ることも出来ないなら、待てば良いのだ。
「蘭子も新田も、アーニャを応援するのは良いよ別に。ただ、もう少し周りを見てみろ。そもそもお前らだって相談されてベストな回答出せる訳じゃないだろ?」
「まぁ…」
「そうです、けど…」
「急ぎすぎなんだよお前ら。どーせこれも後でアーニャに言うかもしれんけどさ、待つ事を覚えろ。待って待って、どうしても我慢が出来なくなったら行動しろ。」
あーもう、慣れないことしたせいか支離滅裂な事ばっかり喋ったきがする。
泣いてる2人に、少し早めの夕飯を取らせて帰らせる。その際に、Pを呼んでおいてキチンと見送らせる。
「あーもう慣れないことするんじゃなかった。真面目に喋ったせいか口が疲れたわ…」
少しだけ口周りのマッサージをして、筋肉を解す。
「ただいま、です…」
そんな事をしていたら、アーニャちゃんが帰ってきた。何時もより少しだけ早い帰宅に驚きながら、笑顔で出迎える。あーもー人間って面倒くさい。こんなカワイイ子に慕われてんのに断んないと行けないとか有り得ない。
アーニャちゃんにバレないように小さくため息をこぼし、彼女のためのご飯を作る。
今日は、お客さんが来なかった…
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お風呂に入ることで、1日の汗を流し体を清めます。頭からシャワー勢いよく浴び、一緒に涙を流す。
これから私はユートに酷いことをする。だけど、それでユートは私の事を忘れないでいてくれるかもしれない。もしかしたら、側にいてもいいかもしれない。
なんて、都合のいい事ばかり考えてるけど。ユートはハッキリと拒絶するだろう。でも、それでいいのかもしれない。私がユートに何かしたから追い出される、そんな大義名分があれば、ユートには迷惑はかからないと思う。
「ユート…、好き、でした。」
「おう、一週間ばかりで俺は過去の人か」
呟いた言葉に、返事が帰ってきて思わず叫びそうになる。だけど、その返事の主がユートだってわかり、少しだけ嬉しかった。
「ユート…、何でそこにいるんですか?」
「何でも何も、大好物残した我侭娘がまた逆上せてないか心配できたんだよ」
その言葉に、体がぽかぽかして、幸せになる。こんなにも彼が私の事を考えてくれている。たったそれだけの事で…。
「ユート、好きです」
「知っている」
「大好きです…」
「…うん」
「ユートは、私の事、嫌いですか?」
その質問は直ぐに返事が帰ってこずに、少しだけ時間が掛かってから、返事が来た。
「ぶっちゃけ、その質問ってずるいと思う。嫌いだったらまずさ、ここまで心配もしないしご飯毎日作って帰り待ってると思う?」
確かに、ユートは私が何時に帰ってきても温かなご飯を用意してくれた。今だって、心配してここにいてくれる。
でも、だったら
「何で、私を受け止めてくれないんですか…?」
好きなら、私を受け止めて。好きなら私の側にいて。そんな言葉が、シャワーにかき消されていく。
「あーもう…。蘭子も新田も何で発破かけるような真似したかなぁ…。まずさ、アーニャ。と言うか新田にも蘭子にも言えることだけど。待てないの?」
まつって…、松ですか?と訪ねると盛大なため息で返された
「stayの方の待つ!今すぐ何かアクション起こさないと死ぬの?死なないでしょ?だったら1年2年の間待ってさ、アイドルとして結果でも出せば少しは世間的にも良かったんじゃないの?」
その言葉を聞いて、私は膝から崩れ落ちた。
「ふふふ、待つ、ですか。その発想はありませんでした…」
「そこはまっ先に思い浮かべろよ」
「確かに、待てば私も16歳になりますし。ユートの気持ちも私にゾッコンになるかもしれません…」
恋は盲目という言葉を思い出しました。確かに、何も見えなかったです。その結果がこれですもん…
「ゾッコン…。まぁゾッコンになるかも知れないし、逆かも知れないけど。もしもさ、アーニャの気持ちがそうだな…。アーニャがシンデレラになるまで変わらないなら、俺はアーニャを受け入れるよ」
「本当に…?」
「ここまで散々か周りから言われておいて、何もなしとか男として駄目だと思うしね」
思わず、私は風呂場の扉を開け放ちます。当然目の前にはユートがいて、私はユート抱きつき、キスをしました。
ユートが、とても驚いてますけど…気にしません!だって、こうでもしないと私はこの気持ちを抑えられなかったから。好きです、大好きですユート。
「だから、待ってて下さいね!」
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「あっ」
という間に1年が経過して、アーニャがシンデレラガールになった。何を言っているか分からないと思うけど俺も分からない。ただハッキリと言えることは、彼女がシンデレラになった事で俺の死期が近づいたという事だ。
何でも、彼女両親に俺の事を話していたらしく。アーニャの父親が大変俺に興味を持ってくれたらしい。嬉しいことこの上ない(血涙)
シンデレラを目指している間も、アーニャの気持ちに変化が無ければ受け入れる。その約束をしっかりと一言一句覚えていた彼女は、シンデレラガールになった晩に夜這いを掛けてきた。エロ同人見たく美味しく頂かれた俺は涙を流しながら約束を守り、彼女と付き合うことになった。けど
アーニャのお父さんロシアの荒熊とか呼ばれてるらしいのね。なんでも腕1本で熊を倒したとか。スイカを指先一つで爆発させたとか色んな噂が絶えない人らしい。
そんな人相手に出来ることと言えば、料理を出すことぐらいなので。アーニャの為にも、死なない様に頑張ろうと思う。
「ユート、愛してます!」
「俺だって愛してるよアーニャ…」
アナスタシア完!
本当は神楽の右腕が切り落とされるルートとか、アナスタシアが夜空の下で倒れるルートとか、神楽の右腕が義手になるルートとか考えたけど。黒ウサギ鬱とか苦手なのでこうなりましたてへぺろ!
次回は1回ネタ挟んでから、次のヒロインに向かいたいと思います。奏か周子か蘭子かウサミン。だーれだ…
本当に誰にしよう…