居酒屋で愚痴を聞くだけの簡単なお仕事です   作:黒ウサギ

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もしものお話
文香編に入った原因は活動報告にて記しています。


鷺沢文香:if

2度目の人生だと理解してから、俺の世界はバラ色だった。何せ勉強は学年上位をキープ出来るし、親の手を煩わせる事の無いいい子でいられるし、学生らしく部活動に打ち込むことも出来たし、これぞ青春!みたいにラブコメしてた

 

 

 

 

ごめん嘘です。見栄はりました。

 

 

 

 

実際は成績優秀だけど他に目立つことのない生徒です。文武両道とか都合のいいもんなんて無く、運動神経なんて平均より少し上ぐらい。歌が少し上手いの褒められたけど特にそれがイイ方向に作用することは無く平凡な生活を送っていた。中学生特有の病気は2度目となると流石に発症はせず、周りが発症しているのを微笑ましく見てたのが中学生の思い出です。

 

高校に入学して少し経った頃両親が亡くなった。飲酒運転なんてふざけた事をしでかした馬鹿により跳ねられて即死。親孝行なんてする間もなく家族を失った。

じいちゃんに引き取られ、両親の残した遺産で高校は無事に通うことが出来た。寂しさはあったがじいちゃんと2人で過ごす生活も悪くは無いと思えて来た。

将来的な自立に向けてアルバイトを始めた。じいちゃんは大学位は行かせてやるからのんびりしてろと言って反対してたがそうはいかない。両親の遺産だって学費に消えていく一方である。年金生活であるじいちゃんに負担をかける訳にもいかないと伝えたら涙を流しながら許可を貰えた。コンビニで働きつつ学校に通い学友と馬鹿みたいに騒いだり、不運に見舞われたけど悪くないと思えていた。

高校2年の秋、じいちゃんが入院した。慌てて病院に走った俺をじいちゃんの姿は腕に管をつけた状態で笑い飛ばした。「まだガキのお前を残して死ねるか」なんて言ってたじいちゃんだったけど、その笑顔は作り物の笑顔だと察した。それからじいちゃんは暫く病院で過ごす事になった。じいちゃんの妹さんだと言う人が見舞いに来たり、その家族が見舞いに来たり。城ヶ崎さんと言うらしい。東京からわざわざ見舞いに来てくれた事に感謝を伝えたら、大人だけの会話があるからと病室を追い出された。

 

「おじさんの容態、あまり良くなさそうだね」

 

部屋を出て、外の広場で城ヶ崎さんの娘さんである美嘉ちゃんがそう言った。ここ最近のじいちゃんは段々と細くなっていき、皮と骨だけと言っても過言ではない程である。俺も理解している。じいちゃんはもう長くは無い。

 

「多分だけど、じいちゃんもう長くは無いと思う。今みたいに美嘉ちゃんの親たちとじいちゃんの妹さんだけで話してるって事はそういう事なんだろうね」

 

「……そっか」

 

会話はそれで1度止まってしまう。暗い雰囲気が俺達の間に広がり、それをよく思わなかったのか美嘉ちゃんが色々話題を出してくれた。妹の事、学校の事、最近スカウトされた事。身内びいきになるかもしれないが美嘉ちゃんは確かに可愛いと思う。今の内にサインでも貰おうかななんて笑いながら言うと彼女もまた笑ってくれた。サインは結局貰わなかった、彼女はスカウトは断っていたらしい。なんだか少し残念である…。

 

じいちゃんが一時的に退院して、久しぶりに家に戻ってきた。じいちゃんが家にいるのが懐かしくなり、最近めっぽう上達した料理をご馳走した。

 

「もう悠人は立派な大人なんだな…」

 

そう告げられ、目頭が熱くなった。だけど、泣くのを堪え、笑顔でそうかもねと返す。いらぬ心配は掛けたくない、じいちゃんには笑顔で居てもらいたい。それだけだ。

料理の後は俺の今後について聞かれた。俺ももう3年であり、進学するか就職するかを決めなければならない時期になっていた。ここから通える場所を受験するつもり出会ったがじいちゃんが東京の大学のパンフレットを渡してきた。調べてみると学力的には余裕で通るレベルであり、問題は無いのだが……

 

「考えとくよ」

 

そう伝えるだけだったが、じいちゃんは笑顔で頷いていた。夜、ふと目が覚めた。水でも飲もうと自室を出た所リビングに灯りが付いた。

 

「俺も…直ぐそっちに行くからな…」

 

仏壇に向けて語りかけるじいちゃんの姿を見てしまい、俺は慌てて自室に駆け込んだ。その夜、枕を濡らした。

 

 

 

 

葬儀が終わった。全ての手続きは城ヶ崎さんの所でやってくれたらしい。らしいと言うのも殆ど記憶が無いからだ。一時退院が終わり病院に戻って少し経った頃じいちゃんは息を引き取った。

最後に孫と過ごせて良かった。その言葉を残し亡くなった。

葬儀が終わり、城ヶ崎さんにこの先どうするのかと訪ねられた。正直どうでも良いと思えていたのだが、東京の大学に進学して、一緒に暮らさないかと告げられた。

 

「九郎さんにお願いされていたんだ。孫を頼むって」

 

じいちゃんの遺言だからと言ってそんな簡単に男を居候させても良いものなのか?と、聞いてみたが家族からの了解は受け取っているらしい。なる様になるだろう。そう考えた俺は城ヶ崎さんの言葉に従い東京の大学に進学する事にした。

あっという間に受験も終わり、卒業である。卒業と同時にじいちゃんの家を離れ東京に向かう。家はこのまま残すらしいが、詳しい事は妹さんが知っているらしい。まぁ俺が知っててもあまり意味はないのかもしれない。最後にじいちゃんの部屋に別れを告げに行く。嗅ぎなれた本の匂いで少し涙が出た。

 

 

 

 

大学に進学すると同じ頃、美嘉ちゃんが女子高生アイドルとしてデビューした。その時のおじさんの何とも言えない顔を忘れることは出来ないだろう。おばさんは笑顔で喜んでいた。莉嘉ちゃんも喜んでいた。寧ろ私もアイドルになる!なんて息巻いていて、流石にそれはおじさんにストップがかけられたが「パパなんて嫌い!」その一言でおじさんは膝から崩れ落ちていた。南無。

笑顔に包まれた幸せな家庭であった。でも、俺は異物なんだと何故かそう思えてしまった。

 

 

 

 

次の授業に向かうため少し駆け足で教室を移動する。大学は無駄に広いので、余裕を持って行動するためには駆け足で位が丁度いい。学友と話し合いながらすれ違う人とぶつからないように動いていたら1人の女生徒が目に入った。

黒のを基調としたシンプルなデザインの服に身を包み、長く、サラリとした黒髪で何処か神秘的な雰囲気を放つ女性であった。

 

「あの子、噂のお化けじゃね?」

 

その噂は聞いたことがある。何でも長い黒髪の女性が講義室の最後尾で1人ポツンと座っている。何でもその子の目を見ると呪われる。そのほか色々。馬鹿馬鹿しいと思い、友人の言葉に適当に相槌を打ちながらその子の横を通り過ぎた時

 

ーふわり

 

懐かしい、とても懐かしい本の香りがした。




ふみふみメインの筈なのに名前も出なければ出番が最後で地味に不遇な扱い。どうしてこうなった。
あと書いてて思ったのはこれちっひ出番無いんじゃ無いかなって事。

・姉ヶ崎がデビューした時のパッパの顔は右が喜び左が悲しみの二重構造。パッパば親馬鹿である。

・ふみふみの服装についてなんだけど中身男の私が女物の服なんて詳しく書けるわけないだろJKって事で誤魔化す。イメージはノーマルふみふみの服装。

・美嘉莉嘉と絡ませる事は考えてなかったけど(もしかしてこれ絡ませれば風呂敷広がるんじゃね?)なんて考えた作者のアホな発想で生まれた。尚畳めるかどうかは不明。

ふと思ったけど最後以外書いてた意味があるのかと疑問でしょうがない。
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