ROMANCE DAWN STORY   作:ヘビとマングース

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ローグタウン

 海を行く船が二隻ある。

 どちらにも麦わら帽子をかぶったドクロが掲げられており、片方には鮫を模したマークの旗も掲げられている。麦わらの一味とアーロン一味であった。

 航海は順調に進んでいるらしく、今日は快晴。

 皆の調子は良いままだった。

 

 のどかな空気が流れる甲板の上で、ある時大きな声が出される。

 メリー号の船首に座っていたルフィが前方に島を発見し、嬉しそうに声を上げたのだ。

 

 「島が見えたぞぉ~!」

 

 嬉しそうな声に全員が気付き、隣を走るアーロンの船にも届く。

 皆が前方の島を確認し始めたことにより、船上は一気に騒がしくなった。特にそれが顕著なのが麦わらの一味である。それぞれ思い思いに過ごしながら会話が弾むようだ。

 

 「ほんとに見えたぞ! 真正面だ!」

 「当たり前でしょ。真っ直ぐ進んでたんだから」

 「ナミはすげぇなぁ~。おれなら絶対着かなかったぞ」

 「でしょうね。そうだと思うわよ。ま、自慢することじゃないけどね」

 

 ルフィの声に反応して船首まで足を運んだナミは、能天気な発言にやれやれと首を振る。

 今回の航海は大して難しい物ではない。気候は穏やかなまま、人並みの航海術があれば誰であっても辿り着くことができる。できないのはルフィやゾロくらいだろう。

 そのため自慢する様子もなく、呆れた顔で苦笑するのみだった。

 

 振り返ったルフィは喜色満面の笑みでひどく楽しそうにしている。

 ナミを見つめて無邪気に話しかけた。

 

 「なぁ、なんて町だっけ」

 「ローグタウン。始まりと終わりの町よ」

 「あそこにあるんだよな。海賊王が死んだ処刑台」

 「当然。イーストブルーじゃ一番ってくらい有名よ。見に行く?」

 「うん」

 

 間髪入れずにルフィが頷いた。

 海賊王を目指す者として、その場所だけは逃せないのだろう。そこも考慮してローグタウンへ立ち寄る計画になったのかもしれない。発案したのはいつも通りでキリだった。

 船長に対しては過保護な彼の事、事前に考えてそうだと思って苦笑する。

 

 そう言えば彼の姿は見当たらなかった。シルクとサンジも甲板に居ないため、共に船室だろう。

 ゾロはいつもと同じで欄干に背を預けて昼寝。

 ウソップはメインマストの傍で物を広げ、武器の作成に余念がない。

 いつも通りのメリー号は今日も上機嫌な様子だった。

 

 扉が開いて船の中からキリが出てくる。

 右手にはルフィの麦わら帽子を持ち、以前と違って首にかけられるよう紐が付けられていた。

 

 「今日も船長が騒がしいね。そろそろ到着かな?」

 「お、キリ。帽子できたか?」

 「ご注文通りに。失くさないように頑丈にしといたから」

 「しっしっし、サンキュ。これで安心だな」

 

 船首から降りて腕を伸ばし、離れたままキリから帽子を受け取る。

 頭にはかぶらず、紐を首にかけて背に垂らしてみた。すると初めてなせいか多少の違和感はあるものの、かぶっている時とは違う感触。少なくとも帽子を失くす心配はなさそうだ。

 これに機嫌を良くして、ルフィはもう一度キリに礼を言う。彼も笑顔で受け取った。

 

 続いてすぐにシルクがお盆を持って出てきて、次はサンジが出てくる。

 二人の手には人数分以上のクレープがあり、どうやらおやつの時間のようだ。

 

 「みんな、おやつできたよ。今日はクレープ」

 「おれとシルクちゃんの愛の結晶だ。欠片も残すなよ」

 「おほぉ~! やったぁ~!」

 

 それを聞いてルフィが跳び上がり、急いでシルクから一つ受け取る。嬉しそうに食べ始めてすぐに食べ切りそうなほど豪快な姿だった。

 肩を揺らして嬉しそうに、次にシルクは他のみんなにも配る。

 同じくサンジも手渡すために移動していた。

 

 「シルクちゃん、先にナミさんに渡してもらってもいいかな? アホどもはおれがやるから」

 「あはは、わかった。でもサンジが作ったのじゃなくていいの?」

 「おれの料理はいつも食ってもらってるから。シルクちゃんのお手製も味わって欲しいだろ?」

 

 今日のおやつ、クレープにはシルクが一人で作った物も多い。シルクが持っているお盆に乗せられている物がそれだ。すでにルフィが一つ美味そうに食べており、しかしまだまだ数がある。彼が大食漢なことを考慮した上で多く作っていた。

 

 男とは違い、女性同士の友情もある。そう考慮した結果の気遣いだろう。

 サンジの言葉に微笑んだシルクは子供っぽく肩をすくめ、素直に頷く。

 

 「うん。ありがとうサンジ」

 「いやいやお礼を言われるほどのことではぁ~! あとルフィ! シルクちゃんのばっか食うんじゃねぇよ! ナミさんの分が無くなる! こっちもあるからちっとは考えろ!」

 「ふんがっ!」

 

 言われて見てみると、いつの間にかルフィは頬が膨らむほどクレープを詰め込み、口の周りにはクリームが付着していた。

 よっぽど美味しかったのか。シルクはくしゃりと笑って怒りはしなかった。

 

 大食漢なルフィはサンジに任せ、移動したシルクはナミにも一つ手渡す。

 お手製なだけでなくそれなりに自信がある。

 ここのところ彼女はサンジの手伝いをしていて、料理の腕は着実に上がっている。丁寧で的確な教え方によってどんどん自信が増していき、おまけに女性とキッチンに立てるサンジも上機嫌。メリー号のキッチンは以前とはすっかり様変わりしていた。

 

 受け取ったナミも期待して口をつけ、広がる甘味に頬が緩む。

 反応は上々。安堵したシルクも一つ手に持った。

 

 「おいしー。これもシルクが作ったの?」

 「えへへ……サンジには敵わないけど」

 「そんなことないわ。また違ったおいしさがあるのよ。いつもありがと」

 「そう言われると嬉しいな。ねぇ、ナミも料理できるんでしょ? やってみる気ない?」

 「私は遠慮しとく。あんまり柄じゃないし。料金ありでいいならやるけど」

 「あはは、変わらないね」

 

 変化はないと言うが、やはりココヤシ村の一件があってから彼女の態度は柔らかくなった。今は気兼ねなく笑っていて、嬉しくなってシルクもクレープにかぶりつく。

 女性らしさより海賊らしさ。

 がぶりと勢いよく噛みつけば口の端にクレープが付着し、ルフィと似た様相。やる人間が代われば不思議と印象も変わる。彼女のそれは子供っぽくて可愛らしいものだった。

 ナミは苦笑し、指摘してやりつつ、二人して顔を見合わせ笑う。

 

 他の面子もサンジから受け取り、おやつの時間を始めていた。

 すでに甘く柔らかいクレープにかぶりつきながら、作業の手を止めたウソップが口火を切る。

 

 「そういやそのローグタウンって海軍基地があるんじゃなかったか?」

 「うん。休養中に確認したから間違いないね」

 

 同じく食べながらキリが返答し、瞬間、ウソップの顔が忘れていたかのようにさっと青くなる。

 つい先日、彼らは大きな事件を起こして新聞に載った。

 時を同じくしてルフィとキリの両名が賞金首になっており、新聞に挟まっていた手配書も確認している。それがイーストブルーでは規格外の高額だとも知っていた。

 

 そんな一味が海軍基地のある町へ入っていいのか。否、いいはずがない。

 メリー号の上でずば抜けてネガティブな彼だけが不安に苛まれ、近くなった後で疑問を口にし始めた。すっかりおやつの手が止まってしまうほどの狼狽である。

 

 「お、おいおい、まずいんじゃねぇか? うちにはもう賞金首が居るってことを忘れんなよ。このまま普通に行ったら普通に見つかって普通に捕まるだろ。やめた方がいいんじゃねぇか?」

 「そんなこと言ってたらこれから二度と補給できなくなるよ。大丈夫、って信じるしかないね」

 「信じてたって現実は現実なんだぞ。なぁルフィ、せめて基地のない町とかよぉ。そりゃ確かに処刑台はあるかもしれねぇけどこの町じゃなくたって」

 「シルク! おかわり!」

 「こっちにもあるよ。どうぞ」

 「聞けよ!」

 

 ルフィは全く聞いておらず、興味はクレープにのみ向いている。手に持っていた物を食べ切ってしまったのでシルクの下まで赴いて再び食べ始めた。

 

 船長がこうなら話す相手は自然と副船長になる。

 こちらはこちらで厄介とはいえ、少なくともきちんと話は聞いてくれるはずだ。

 ただ、聞いたところで意見をのらりくらりと避けられるのも知っている。必然的にウソップだけが休息の一時ではなく本気になっていった。

 

 「今日まではなんとか無事だったけど、どこに危険が潜んでるのかわからねぇんだ。慎重になり過ぎて損になることはねぇ、そうだろ?」

 「ごもっともな意見。全く異論はないよ」

 「そうだな。でだ、海軍の基地がある町に入ると見つかる可能性も高いわけだ」

 「うん。そうだと思う」

 「だからおれは別の町へ行った方がいいと思うんだ。前に行ってたとこじゃダメなのか?」

 「でもあそこは処刑台がないし」

 「処刑台を見たって海賊王に会えるわけじゃないんだぞっ。それにおれたち海賊にとっちゃ不吉の象徴だ。海軍は自分の威厳を示すために海賊を捕まえて首を切っちまうんだからな」

 「お、ウソップにも海賊の自覚ができたんだね。良い事だ」

 

 何気ない口調でさらりと言えば、本気になっていたはずのウソップがぐらりと揺れる。

 不意に彼の表情が緩んでしまっていた。

 

 「そりゃおまえ、おれは魚人に勝った男だからな。新聞の一面にも載ったんだぞ!」

 「村を出た時よりずっと頼りになったよ。今も強くなるための研究中でしょ?」

 「ふふ~ん、当たり前だろ? おれがしっかりしねぇで誰が仲間を守るんだよ」

 「そうだね。キャプテン・ウソップに任せておけば大丈夫だ。船長と肩組んでる写真が全世界の人間に見られたわけだし、あれだけでも注目されてるよ、きっと。もちろん良い意味で」

 「なっはっは! まぁな! 今はまだ手配書がおまえとルフィだけだが、世界中の人間がおれに恐れを抱く時だってそう遠くねぇさ!」

 「シロップ村のみんなも海賊になったって知っただろうし」

 「ああ、あいつらに恥じねぇ姿を見せねぇとな……」

 「ウソップが居れば心配なんてないさ。ってことで、ローグタウンでどう?」

 「そこしかねぇな! わっはっは、万事おれに任せろ! 矢でも鉄砲でも持って来ォい!」

 

 親指をぐっと立てて笑い出す彼は巧みに篭絡されてしまったようだ。

 高笑いが辺りに響いて食欲も戻り、キリは楽しそうに彼を見る。

 

 そう珍しい光景ではない。仲間の特徴をよく知るキリならこういった事態がよくあった。

 周囲に居た面子は至って普通だと普段通りに過ごしている。

 立ったまま片手にお盆を持ち、片手でクレープを食べるサンジはどこか憮然とした顔で呟く。傍では座った状態でゾロも食しており、同意するように口を開く。

 

 「大体おれはあの写真に納得いってねぇぞ。カメラマンの腕が悪いんじゃねぇか」

 「違ぇねぇ。次はもっとマシな奴に頼むとするか」

 「二人が写真写り悪いだけだよ。笑顔の練習でもしとけば?」

 

 彼ら二人は自身の手配書が出なかったことを不満に思っているらしい。普段は文句を言うこともないが、ちょうどその話が出たため思い出した様子だ。

 声をかけてきたキリを見やり、サンジの眉間に皺が寄る。

 

 「大体おかしいだろ。ルフィの手配書はまだわかる、船長だからな。だがなんでおまえまで手配書が出るんだ。しかもいきなり2000万」

 「これでも一応副船長だよ」

 「だからってだけで説明できるか。クソ、なんでおれの手配書が……」

 「まぁいいじゃんか。新聞に載っただけで美女は口説けるよ」

 「おいキリ、見くびるなよ。別におれは美女を口説くためにこんなこと言ってんじゃねぇ」

 「そう? もったいないね。せっかく注目されてるのに」

 「いや、だが自然な流れでその話が出てきた時は仕方ねぇ。口説くためじゃねぇが気付かれたとしたって仕方ねぇだろう。写真はもう出回っちまったわけだからな」

 「サンジは良い男だからね。女性がほっとかないよ、きっと」

 「やっぱりそうかなぁ! 困っちまうなぁおいっ! レディがおれを見つけちゃったかぁ!」

 

 サンジもウソップ同様、理由は違えど、新聞に対する周囲の人間のリアクションを期待して舞い上がってしまった。どちらも分かり易い姿である。

 傍から見ていたゾロはクレープを食べつつ嘆息する。

 キリはからからと笑うだけだ。

 

 「アホか」

 「楽しい一味だね。みんな幸せそうで安心したよ」

 「どいつもこいつもおまえの掌の上でな。ったく、先行き不安だぜ」

 「まぁなんとかなるよ。ウチの船長は出たとこ勝負好きだし」

 「だから不安だっつってんだろ。これでグランドラインに入って大丈夫なのか?」

 「今の今まで寝てたゾロが言ってもねぇ」

 

 人のことは言えないと言われ、睨むようにゾロがキリを見る。しかし怯えた様子はない。上機嫌に笑うだけで表情を変えることさえできなかった。

 

 何とものどかな風景が広がっている。

 海も穏やかで、しばし目を離した程度では船の向きも変わらない。

 のんきにおやつを食べて落ち着いているだけで徐々に島へ近付いていた。

 

 目的地であるローグタウンが近くなったことにより、甲板に座る面々を見たナミが切り出す。

 クルーもこれだけ数が居ればそれぞれ欲する物も違うだろう。グランドラインを航海するための準備をするには、それぞれ違った店に赴かなければならないはず。

 それを思い出し、一番話がわかるだろうキリへ目が向けられた。

 

 「そろそろ各自の行動を決めましょ。お金も無限にあるわけじゃないからね。ちゃんと計画して使いなさいよ。とりあえずキリ、何が必要?」

 「えっと、サンジは食料の調達。ゾロは刀を買わなきゃいけないし、ナミは航海に必要な物を揃えなきゃいけない。あとルフィは処刑台だっけ? 他のメンバーは手伝うか自由行動だね」

 「だって。それじゃ一人ずつ決めていきましょう」

 

 ナミがその場を仕切って決めていく。

 こういった場合、常にほにゃほにゃしてやる気に欠けるキリよりナミの方が頼りになった。頭脳労働はどちらも得意としているところだが非常時以外は本気にならないキリの態度は知れている。

 テキパキ進めようとナミが一段高くから皆を見回し、考えながら言葉にしていった。

 

 「まず私は、キリに教えてもらったログポースっていうのを用意しなきゃいけない。あと海図を描くための道具もある程度揃えなきゃ。せっかく大きい町に来たんだし、あんたたちのも含めて服もね。シルク、付き合ってくれる?」

 「あ、うん。手伝うよ」

 

 隣に居たシルクがすぐに頷き、文句もなく決定する。

 続いて目を向けられたのがゾロだった。

 

 「ゾロの刀は必要だろうけど、一人で歩かせたらいつまで経っても帰って来ないかもしれない。ウソップ、あんたがついて行って迷わせないようにして」

 「おれか? おれも買おうと思ってたもんがあるんだが」

 「刀の前でも後でも好きにしなさいよ。どうせ時間が限られてるわけじゃないし」

 「おれは一人でいい」

 「あんたの意見は却下。あんなに小さいココヤシ村で迷う奴なんか信用できるかっ」

 

 奇跡的な方向音痴で知られるゾロはウソップに任せ、問題児はもう一人。

 すっかり少なくなったクレープを頬張るルフィを見て、次いで視線はキリへ向かった。

 

 「ルフィはキリが見ること。保護者なんだからよろしくね」

 「あいあいさー。慣れればそう難しくもないんだよ」

 「それじゃ慣れるまではあんたに任せるわよ。サンジくんは一人になるけど、大丈夫よね?」

 「それって信頼されてるってこと? だったら何も問題ないさ」

 「よし、仕分け完了。これで決定ね」

 

 ちょうどルフィが口の中の物を全て飲み込んだ。

 クレープも無くなった頃で、ナミが問えばすぐに返答が返ってくる。

 

 「滞在はどうする? まだ日は高いし、補給してすぐに出航するか、大事を取って町で休むか」

 「んん、そうだな。すぐに出よう。早くグランドラインに行きてぇし」

 「それじゃ、自由行動は二時間を目途にしましょ。最終的にメリーに集合」

 「おう! それで行こう!」

 

 ルフィが元気よく答えたことで最終的な決定が下され、肩をすくめたキリが動く。

 欄干に寄って見るのはアーロンの船だ。多くの者が甲板で寛いでおり、メリー号とは違ってさほど浮かれている雰囲気でもない。物静かで退屈そうな雰囲気がある。

 身を乗り出したキリが声をかければ、反応したのはアーロンではなくはっちゃんだった。

 

 「アーロン、そっちはどうする? 町に行く用事は?」

 「ニュ~、おれたちは行かねぇんだ。船番してるよ」

 「じゃあメリーも頼むよ。誰も居ないからって沈めないように見張ってて」

 「大丈夫だ。みんなアーロンさんが麦わらに勝つまで手ェ出すなって言われてる」

 「余計なこと言ってんじゃねぇぞハチ!」

 

 甲板へ持ち出した椅子に座って、腕を組んで不機嫌そうにしているアーロンが怒鳴りつけたことにより、はっちゃんは焦った様子で口を噤んだ。

 聞かれたくはなかったのか。

 口や態度は不満を訴えるのに存外素直な態度に笑いつつ、手を出さないと安心して任せられる。

 

 船は彼らが居れば大丈夫だろう。残る人間を選ばなくて済む。

 だんだん島も近付いて来た。比例してルフィやウソップが楽しそうにしている。

 

 身を乗り出してそのまま島の姿を眺めたキリは、大きな町に想いを馳せる。

 

 「問題なのは噂に聞いた白猟のスモーカーか。何事もなく済めばいいけど……まぁ無理か」

 「うおいっ!? 無理なのかよ!」

 

 背後からウソップの驚きがぶつけられ、笑顔で振り返る。

 仲間を見回してキリが気楽に告げた。

 

 「とりあえず行ってみよう。なんとかなるよ、多分ね」

 「よぉし野郎どもォ! 町に入るぞ! その次はやっとグランドラインだ!」

 

 左右の拳を突き上げてルフィが叫び、同意するように皆が勇ましい声で応えた。

 

 かくして、メリー号は港から多少離れた位置にある岩場の岸辺に辿り着き、ゆっくりと足を止めて航海を終える。短く簡単な航海で疲れも見せていない。

 イーストブルーで立ち寄る最後の島になるだろう。

 

 始まりと終わりの町、ローグタウン。

 東西南北四つの海で最も有名な町へ辿り着いたのである。

 


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