ROMANCE DAWN STORY   作:ヘビとマングース

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Black or White(2)

 「どうやらそう簡単にはいかないみたいだ」

 

 森の中に身を潜めて、木を背にして立つキリが深刻な様子で呟いた。

 当初から簡単にはまとまらないと思っていた。そう考えれば予想通りとも言えるものの、ここまでこじれるとも思っておらず、最終的には戦闘になる可能性もある。

 キリは能天気に過ごしているルフィへ目を向けた。

 

 彼は喋る白熊、ベポに興味津々な様子であった。

 不思議そうに彼の毛皮を撫で、迷惑そうな様子も気にせず楽しげに話しかけている。

 

 「お前おもしれぇなぁ~。なんでしゃべるんだ?」

 「おれはミンク族だぞ。みんな喋るのくらい当たり前だ」

 「ミンク族? なんだそれ」

 「おれたちみたいな種族のことだよ」

 「へぇ。しゃべるクマか」

 「熊だけじゃなくてもっとたくさん居るよ。猫とか犬とか」

 「しゃべるのか?」

 「うん。喋る」

 「あっひゃっひゃ。おもしろそうだなぁ。お前おれの仲間になれよ」

 「ええっ!? それは無理だ。おれはキャプテンについていくんだから」

 

 話すのは今日が初めてのはずだが、意外に仲が良さそうに話していた。ひとまず彼らのことは心配いらない様子なので少しだけ安堵する。

 しかしそれ以上の問題があった。

 キリは木に背を預けて立つローを見やり、少し離れた場所に居る彼へ歩み寄る。

 

 「どうなると思う?」

 「誰かが仕掛けるか……或いは徒党を組んで襲ってくるか」

 「そのどちらかか」

 「少なくとも素直に頷くとは思えねぇな」

 

 ローは迷いを見せることなく冷静に言い切った。

 これまで互いを敵として見ていた海賊が簡単に手を組むとは思えない。特に今回の面子はあまりにも信用が無さ過ぎる。ローの判断は当然であり、キリも否定はできなかった。

 

 不幸中の幸いはこの場にローが居たこと。彼とは以前から協力関係を築いている。その時にはまさかこんなことになるとは思っていなかったが、今考えてみれば良い判断だっただろう。

 もしもここでローが敵に回っていれば事態はさらに過酷だったはず。

 とはいえ、まだ信用できない者が多いのは間違いない。決して安全ではなかった。

 

 キリはベポと遊ぶルフィに目を向けて口を閉ざす。

 そんな彼へ、目を向けることなくローが尋ねた。

 

 「本気でやる気か? 奴らはお前に従わない」

 「シキに喧嘩を売った。もう引き返せない」

 「面倒なことを……おれの目的には薄々感付いてるはずだ。なぜ止めなかった」

 「どうせ止めたって聞かない人だからね。それに、シキが動けば世界は動く。それくらいの影響力は今もあるはずだ。遅かれ早かれだよ」

 「それにしたって準備もできねぇ」

 

 睨むような視線を向けてくるローへキリが笑顔で言う。

 

 「それと、別に従わせるつもりなんてないよ。ただ協力しようってだけだ」

 「それが問題なんだ。奴らが協力するとは思えん」

 「でも従わせようとするよりは可能性があるはず。まぁ、拗れそうではあるけど」

 

 キリが言い終えたところでルフィが振り返った。

 やはり当初から思うところはあったのか、表情は優れない。

 嫌悪感を示すほどではないとはいえ、どことなく不服そうにも見える表情で眉をひそめ、困った様子を隠そうともせずに言い出す。

 

 「なぁキリ、おれは別に同盟なんていらねぇぞ」

 「そう言うとは思ってたけど、事態はそれほど簡単じゃない。シキを相手にするなら一人でも多くの戦力が必要なんだ。このままじゃあまりにも危険過ぎる」

 「巨人のおっさんが居るじゃねぇか」

 「全盛期のシキなら巨人が十人居ても一瞬で倒し切った。奴の能力は島を空に浮かべてしまう。本気を出せば、白ひげ同様世界を滅ぼすことだって可能なんだ」

 「へぇ~。そんなにすげぇのか」

 「事の重大さがわかってるかな? まぁいいけど」

 

 呑気に考えているルフィを相手にするキリはもはや慣れっこで、別段彼の反応を特別視しようとはしていない。しかしローはそうではなかった。

 いつの間にか頭を抱えていた彼にキリが眉を動かす。

 あぁ、と気付くまで数秒。普通はそのリアクションこそが正しかった。

 

 「気にしないで。いつもなんだ」

 「おい。大丈夫なんだろうな、こいつは」

 「やる時はやるよ。でもやらない時は全くやらない」

 「組む相手を間違えたか……」

 

 彼らとの同盟を後悔するような一言だった。

 緊張感がないルフィを睨みつつ、ローは追求を諦める。

 そもそもおかしな奴だと判断していたはずだ。それ故にこれを問題と捉えるのをやめた。

 

 不意にローが視線を外した。

 ずいぶん距離を置いた森の向こう、こちらを眺めて立つ二人組を見つける。

 

 「なんだ、やっぱりお前らデキてんじゃねぇか」

 「ボニー船長……やっぱりこいつらには近付かない方がいいんじゃ」

 

 島に残った唯一の女海賊、ジュエリー・ボニー。髭を蓄えた太った男を伴ってその場へ現れた。

 警戒するローは冷たい眼差しで彼女らを見据える。

 想定していない訳ではなかった。島内で会ったならば戦闘か手を組むか、どちらかだろう。ただの世間話のためにわざわざ各地へ散った海賊を探すはずがない。

 ローが刀に手をかけようとすると、ボニーが余裕を見せる笑顔で止めた。

 

 「待てよ。ここでやり合う気はねぇからさ」

 「信じると思うか?」

 「こっちは別にいいんだぜ。方法は他にもありそうだしな」

 

 ボニーがすっと右手を上げた。

 掌を彼に見せ、好戦的な笑みを浮かべる。

 

 「私に触れられなきゃいいけどな。なんなら試してみるか?」

 

 眉をぴくりと動かしたローが刀を抜こうとした時、咄嗟にキリが声をかける。

 

 「ロー」

 「チッ……利用できると思ってんのか?」

 「余地はある。まだゼロじゃない」

 

 ローが刀を下ろした。

 それを見てボニーも手を下ろし、ひとまず戦闘は回避される。

 警戒心が強いだけでなく、どうやら彼らを受け入れる気のないローに代わり、キリが彼女の方へ一歩進み出た。その時になってようやく交渉の余地があると判断したらしい。

 

 「用件を聞くよ。ここへ来た理由は?」

 「別に。ちょっと面白そうかなと思っただけだ」

 「協力する気は?」

 「お前ら次第だな。悪いが私は金獅子には興味なんかねーよ。目的は別にあるんだ」

 

 キリは真剣な表情で挑むものの、ボニーは余裕のある笑みを崩さなかった。

 勝算があるのか、もしくは戦う気がないのか。

 彼女の態度に変化はない。

 

 「見返りがあれば期待できるのかな?」

 「それでもいいぜ。で、何ができる?」

 「情報と戦力なら多少は提供できる。と言ってもそう多くはないけど」

 「ハンっ。頼りねぇ連中だなぁ。まぁいいや」

 

 ボニーは近くにあった岩に腰掛けて話す。

 

 「どうせ他の連中も手を組んでるだろうよ。お前ら特に嫌われてそうだもんなぁ。だから敢えて狙い目かと思って来たんだけどな」

 「予想はついてた。このままだと戦争になるぞ」

 「シキとぶつかる前にか。避けたかった事態だけど」

 

 キリが嘆息する。

 簡単にはいかないと知っていたとはいえ、このままでは彼らを呼び止めた甲斐が無い。なんとか策を講じた方がいいかとは思うが、それもまだ思いついてはいない。

 とにかく誰もかれもが個性的過ぎる。

 一応の協力を取りつけたローでさえボニーを始末しようとした。きっと全員がこうなのだ。

 信用にはほど遠く、利益を重視した協定さえ許さない。彼はつい不安を抱く。

 

 少なくともボニーはこちらにつくつもりのようだ。

 それが最善であるのか。はたまたここで小さな同盟を作ったことにより混沌となるのか。

 味方は多い方がいいはず。そう考えたキリは彼女を拒否しようとはしなかった。

 

 おそらくボニーの想像通り、他の面子が密かに手を組んでいる。

 仕掛けるとすれば一番に予想できるのはキッド。次いでアプーかベッジ。

 ローはキリが抑えているため一応我慢するつもりではいるのだろう。敵が手を出してこない場合に限るが、それでも状況を整えるには十分だ。

 

 「感謝するよ。味方は多い方がいい」

 「つっても、とりあえずだけどな。お前らが役に立たねぇんなら捨てていくだけだ」

 「それでもいいさ」

 

 約束は取りつけた。

 信用できるかどうかは定かではない。まだ警戒が必要な段階。一応とはいえ味方が増えた。

 小さく鼻を鳴らすローが呟く。

 

 「説得は無理だ。こいつにしろ、奴らにしろ」

 「ハァ……なんとかするしかない」

 

 キリは思わず俯き、それでも言う。

 彼の表情が曇っていることを確認した後、ローは視線を逸らした。

 

 「そろそろ時間だ。作戦は決まったか?」

 

 いつになく考えあぐねるキリは目を閉じる。

 頭を働かせ、考え、それでも決定的な答えは出なかった。

 彼らを一つにするには絶対的な何かが必要になる。自分たちが何を言ってもおそらく状況は変えられない。今この場所にはその絶対的な何かがない。

 頭を振ったキリはルフィを見つめ、眉をひそめた顔で伝えた。

 

 「ルフィ。もしも戦闘になったら、思いっきりやっていい」

 「おう。もちろんだ」

 

 それが彼の決断らしい。

 ローは何も言わずに視線を落として、ボニーは嘲笑するように鼻を鳴らす。

 

 「なんだ。噂の紙使いも大したことねぇんだな」

 「おい、キリを悪く言うなよ。こいつはすげぇんだぞ」

 「そのすげぇとこが全然出てねぇみたいだが?」

 「そうなのか?」

 

 ルフィが不思議そうにキリを見るものの返す言葉がなく。あいにくと今は彼の信頼に応えられるほどの働きができていない。申し訳なさすらあった。

 こうなればぶっつけ本番。

 最悪の場合、実力でわからせて話をつける。

 それが海賊らしさだとすればそれもいい、と彼は結論付けた。

 

 「時間だ。行こう」

 

 かくして彼らは再び山を登り、集合場所である砦へと集結した。

 同じ場所、同じ空間に全員が集まる。

 船長が九人。護衛が九人。全部で十八人。

 丸いテーブルを囲んで座り、さっきよりも空気は明らかに重々しかった。

 

 誰が話を始めるのか。

 肌に突き刺さるような空気が漂って互いにけん制し合うが、彼らを呼び出したということで代表としてキリが喋り始めて先陣を切る。

 

 各々、すでに答えは用意してきたようだ。

 さっき集まった時と見るからに表情が違った。

 

 「決を聞こう。同盟に賛成か、それとも反対か」

 

 尋ねたところで沈黙が続く。

 誰も黙して語らず。それが奇妙な不気味さを醸し出している。

 おそらく誰もが機を窺っている。いつ、どこで言い出すべきか。

 

 このまま何も語らずに終わるのか。そんなことを考え始めた時、やはり動いた。

 口を開いたのはキッドだった。

 

 「おれからも提案していいか?」

 「どうぞ」

 「てめぇの言い分はわかった。だからおれも答えを決めたぞ」

 

 一瞬、爆発的に緊張感が増して、空気が変わった。

 

 「答えは――」

 

 そしてついに動き出す。

 キッドがテーブルを下から持ち上げて思い切り投げ飛ばした。

 真っすぐ上へ向かい、くるくる回る。

 

 「こういうことだッ!!」

 

 素早く能力を使って金属を腕に纏わせ、拳を繰り出したキッドは落下してくるテーブルを全力で殴り飛ばし、轟音を起こしてバラバラに破壊した。

 彼の行動と同時に全員が身構えていた。

 

 キッドの正面に座っていたルフィが素早く拳を伸ばし、キッドの拳にぶつける。

 両者の間で空気が爆発するようにパンっと鳴り、弾かれるように腕を引く。

 

 その瞬間、キリが紙を投げてキッドへ突き刺そうとした。

 硬化した紙が真っすぐキッドを狙って飛来する。それらを全てキラーが刃で打ち落として、瞬時にキッドの傍で彼を守るために武器を構えて見せた。

 それでいて彼はキリに注意を向けていた。

 どうやらここで始末するつもりらしい。他の誰よりも優先してキリに刃を向ける。

 

 一瞬の内に数多起こる攻防。

 彼らは尚も止まらない。

 

 キッドとルフィ、彼らが同時に前へ踏み出した。

 飛び散ったテーブルの残骸が体に当たることも気にならず、思い切り拳を握る。

 同時に前へ突き出して、再び二人の拳が正面から激突した。

 

 「うらぁああああっ!」

 「うおおおおおおっ!」

 

 激突の衝撃で再び空気が破裂した。

 たった一発だけで強い風が起こって周囲へ駆け抜けていく。同じタイミングで身構えていた面々はその風を浴びながらも素早く周囲を見回す。

 

 誰が味方で、誰が敵だ。

 即刻その場で判断をした。だがその中で意外な行動に出たのがボニーだ。

 

 「あっはっは! やっぱりおっぱじめやがった」

 「ボニー船長ォ!? 待ってェ!」

 

 軽快な動きで壊れた砦の壁によじ登り、高い位置から彼らを見下ろす。攻撃のためではない。彼女はその中で唯一観戦することを決めたようだ。

 その選択は誰の味方にもならないということに他ならない。

 ボニーの行動を確認した一同はそれを考慮して判断する。

 

 「さて、誰が誰についたか……」

 

 大笑いするボニーの行動に全く揺らがず、ローはにやりと笑う。

 最初から信用していない。あてにもしていない。だからそれはイレギュラーなどではなかった。

 標的にしていいのは誰だと、彼は武器を手にする面々を見回して刀の柄を握る。

 

 嘆息して、ドレークが武器を抜いた。

 左右それぞれに異なる得物を持つ。左手には剣、右手には四枚の刃が付いた斧のようなメイス。それらを軽く操って戦闘に参加しようとする。

 彼としてはルフィとキッド、どちらが生き残ろうと気にしない。

 生き残った方と手を組めればいい。そんな気持ちだった。

 

 前へ踏み込んで攻撃を行おうとする。その時、突如横から視界へ入ってきた石柱。その辺りに倒れていただろうそれで思い切り殴られる。

 武器を構えて防御したとはいえ、凄まじい強さで勢いよく吹き飛ばされた。

 ドレークは脆くなった壁を破壊して外へ消えていき、石柱を振り回したウルージが笑う。

 

 「おーおー、派手にやりなさる。だが、こちらにも気を配ってもらおうか」

 

 落ちていた巨大な石柱を軽々と持ち上げて、彼はそれを武器にしていた。

 見ただけでわかる怪力。見物していたアプーは拍手を送る。

 

 「アッパッパ~! そりゃいい技だな。シンプルだからこそ強い」

 「海鳴り」

 「だ~が~、おれが聞いた噂じゃそいつに手を出すのはまずい感じなんだけどなぁ」

 

 アプーが指差した方向を見る。

 ウルージは笑みを消さぬまま目を見開いた。

 一部が壊れた壁の向こう、禍々しい巨体がウルージを睨んで唸っている。

 

 「元海軍少将、X(ディエス)・ドレーク。とにかく能力がおもしれェ。アッパ~!」

 

 さらに規模を大きく壁を破壊して巨体が現れた。

 突撃してきたのは大きな恐竜。集まった面子の中で最も大きなウルージの体よりも大きく、強靭な脚力で素早く駆け、迷わず頭から突っ込んできた。

 驚くウルージは辛うじて防御に間に合うが、頭突きを受けた衝撃で石柱が折れた。

 まともに腹へ頭突きを受け、彼は運ばれるようにして逆側の壁へ激突する。

 

 恐竜に変身したのはドレークであった。

 彼は鋭い牙をむき出しにして雄々しく吠える。

 まさに野生の力。壁に押し付けたウルージの体をさらに押し込み、壁を破壊してその向こうへと消えていく。非常に荒々しくも騒々しい戦いだった。

 

 ホーキンスは彼らの戦闘を冷静に眺めていた。

 そんな時に、突如頭上から音楽が聞こえてくる。

 

 見上げれば高所に上ったアプーが自分の体を楽器にして音楽を奏でている。非常に陽気な音で軽快なリズム。いくつもの楽器の音が重なっていた。

 何もせずにホーキンスが見上げていると、アプーは急に彼を見下ろす。

 

 「アパパパパッ! (ドーン)!!」

 

 突然、ホーキンスの体が爆発した。

 彼の体はゆっくり倒れていき、やがて完全に地面へ背中をつける。

 得意気なアプーは大喜びして笑っていた。これで一人倒したと思い込んだのだろう。

 

 「イエーッス! なんだ楽勝だな! とりあえずこれで一人――!」

 

 言っている途中でホーキンスがむくりと起き上がった。

 平然と立つ彼と視線が合ってアプーは顔色を変える。

 

 「脱落……ってわけじゃなさそうだな」

 

 ホーキンスの腕からわさわさと藁人形が出てくる。それがほとんど全身焦げていて、ただの人形なのだが力尽きるように腕から地面へ落ちた。

 時を同じくしてある場所でベッジの部下が悲鳴を上げていた。

 その声に気付いてベッジ自身が異常に気付き、ホーキンスの腕から落ちた人形を見る。

 

 「ぎゃあああああっ!?」

 「おい、どうした!? バジル・ホーキンス、まさかてめぇか……!」

 「これだけの能力者を相手に無策で挑むほど、おれはお人よしでも馬鹿でもない」

 

 ベッジが怒りの形相を見せる。

 危険を感じたアプーは一旦距離を取って彼らから離れた。

 その一方、ホーキンスは冷静に剣を抜き、戦闘準備を行う。

 

 「砲撃準備!」

 

 叫ぶと同時にベッジの胸にある砲門が複数開き、内部に居た部下たちが動いて準備をする。

 

 「やはりお前も能力者……」

 「おれの部下に手を出してんじゃねぇよ!」

 

 あまりにも小さな大砲の砲弾が放たれた。しかしそれらはベッジの傍を離れると突然本来の大きさに戻り、そのまま軌道を変えることなく前方へ飛ぶ。

 避けなかったホーキンスは直撃した。

 大きな爆発に包まれるのだが彼自身は全く影響がなかったかのように突っ立ったまま。代わりに藁人形を腕から一つ捨て、同じ頃、アプーの船で一人の男が悲鳴を発して黒焦げになった。

 

 流石に受けてばかりもいられないと思ったのか。ついにホーキンスが動く。

 ざわざわと肌が動き出し、藁に覆われていく。

 身長や体格も大きくなって、まるで巨大化した藁人形。怪しく光る目がベッジを捉え、その手には指を絡みつけるようにして五寸釘を持っている。

 あまりにも怪しげな、化け物のような姿。

 流石にベッジも冷や汗を流して驚かずにはいられなかった。

 

 「“降魔の相”」

 「チッ、なんだこの能力は……!」

 「お前には死相が出ていない。どうやら仕留め切るのは不可能なようだ」

 

 ホーキンスが動き出してベッジへ襲い掛かろうとする。

 その瞬間、辺りが奇妙な膜で覆われた。

 

 「ROOM」

 

 ある地点を中心に一瞬にして広がった不思議な部屋。

 全員が一旦手を止めてそこを見るとローが左手を地面に向けている。

 どうやら彼の能力。

 ローが右手で刀を振るおうとする姿に誰もが強く警戒した。

 

 「生き残った奴ァ連れてってやる。そうでないなら、死ね」

 

 刀を一閃。

 異様な太刀筋で、古びていたとはいえ巨大な砦が一瞬にして両断されてしまった。

 砦は轟音を立てて崩壊していく。

 

 それでも彼らは誰一人として潰されてはいなかった。

 見事に先程の一撃を回避し、改めて厄介な敵を潰すために戦闘を開始する。

 

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