僕は仮面ライダーアマゾン   作:ふくつのこころ

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あかいあくま

「へえ、その年で武者修行か!すげえな、お前!」

「どうしてもやりたいことがあるんだ」

「夢、みたいなもんか?」

「そうなるかな」

 

 イッセーと名乗った少年は白龍皇と同じ気配を感じさせながらも、彼と反対にずいぶん気のいい少年だと感じた。木場の紹介もあるとはいえ、イッセーはかなり人懐こい性格をしているらしく、アモンが無意識に張っている心の壁を容易く乗り越えてきた。というよりも、他者の心の壁を気づけば消失させているというのが正しいか。

 

 アモンが駒王学園に見学に来たというと、その待ち人が来るまでの間、少しだけ構内を案内したいと提案した。イッセーの提案はアモンにとってはありがたく、同年代にほとんど友人がいないと言ってもいいアモンは無意識のうちに彼に心を許すようになっていた。教室の廊下を木場、イッセー、アモンの三人で歩いていると、物珍しそうな視線を送られるのをアモンは不思議がったが。

 

「それは、お前が着物着てるからじゃないか?二ホン系の顔してるけど、服装が珍しいんだよ。そりゃあ、みんなビックリもするって」

「そういうものなのか?俺の先生も着ていたけど。顔立ちはヨーロッパとかその辺だけど」

「もしかして、その人の影響だったりすんのか?着物って」

「ああ。俺の恩人だよ」

 

 どうしてアモンの方を他の生徒たちは見ているのか、という疑問に対して快活な少年は理由を返した。イッセーだってアモンのことを知らなければ、彼らと同じような対応をしただろう。しかし、彼の同級生であり、仲間でもある少女もまた目立つ格好をしていることを考えれば、おかしなことではない。それに、どのような服装をしていたからと言って服装で人を判断するほど偏見にまみれていなかった。

 

 先生とアモンが呼ぶ人物はアモンの声色に尊敬を感じさせたことから、きっとアモンにとってはよほど尊敬する人なのだなと思った。この学園を支配している上級悪魔の眷属となったイッセーだが、元は一般家庭の生まれ。武者修行はアニメや漫画くらいでしか見たことがなく、強力と称される異能の力だって最近目覚めたようなもの。アモンの言う世界は彼にとっては非日常でしかないが、アモンにとってはイッセーらの日常もまた非日常なのだと悟った。

 

「あら、祐斗にイッセー。……そちらの子は?生徒ではないようだけど?」

 

 彼らが談笑している中、三人に話しかける少女がいる。明るい赤毛に豊満なスタイル、端正な顔立ちはどことなく赤い魔王を連想させる。不思議と恐怖を覚えなかったのはイッセーと木場に対して慈しみの表情を向けていることからか。もしも、アモンの予想が正しいのであれば、彼女の名前はリアス・グレモリー。

 赤い魔王、サーゼクス・ルシファーの生家のグレモリー家出身のサーゼクスの妹に当たる存在である。そして、木場のいう彼の主に当たる女性であろう。彼女が現れたことで廊下にいる生徒たちは黄色い声を飛ばしている。人間相手にもこうもカリスマ性を持っているとは、少なくとも王の素質はあるとみていい。

 

「部長!こいつはアモンて言って、さっき、友達になったんすよ!誰か待ち合わせしてるみたいだから、時間まで学校の中を案内してやろうと思って!」

「あら、そうなの、イッセー。でも、学園近くで待ち合わせをその子がしてるわけだし、うちの生徒と知り合いなの?……申し遅れたわ、私はリアス・グレモリー。この子たちの部活動の部長よ」

 

 リアスは丁寧にアモンにお辞儀をした。どことなく高圧的な彼女の兄よりはよほど好感を持てる。木場の話によれば、彼女らのサポートをするのがこの地におけるアモンの仕事だろう。

 

「部長、実は彼が……」

「……もしかして、件の助っ人?なら、部室に来てもらわないといけないわね。失礼だけど、待ち合わせしている生徒の名前を教えてもらっていい?時間を取るから、連絡してもらわないと」

 

 木場の言葉にリアスの表情は先ほどの優しい表情から視線は鋭くなり、真剣なものへと変わる。その表情はサーゼクスを想起させるものであり、彼らの血縁を色濃く感じさせるものだった。

 

「えっ、もしかして、アモンて〝俺ら側”の人間なんすか!?」

「そうなるな、イッセー。待ち合わせをしているのは姫島朱乃。わかるか?」

 

 イッセーが驚いた、と顔いっぱいに表現するとアモンは頷きながら答える。アモンの出した名前にリアスら三人は顔を見合わせた。

 

「……それなら、話は早いわ。早速、来てもらってもいい?」

 

 

「ええっ!?アモンて悪魔だったのか!?てか、朱乃さんと知り合いとか羨ましい」

「正確には悪魔の因子がある改造人間、みたいなものだ。イッセーや木場のように眷属になっているわけでもなければ、リアス・グレモリーのように生粋の悪魔というわけでもない。朱乃とは養父の繋がりからだな、仲良くしてもらってる」

「爆発しろ、アモン畜生!」

「俺は爆発しない」

「やめなよ、イッセーくん。あと、アモンくんは真面目に返しちゃだめだよ」

 

 旧校舎のオカルト研究部、その部室。

 シャワールームも完備の生活空間のような部室の中でアモンは椅子に座り、木場が淹れた紅茶を啜りながらこれまでの経歴を少しばかり話した。事情の方がほとんど伝わっていることもあり、いまさら隠し立てができないようなので洗いざらいである。アモンが悪魔の因子がある人間というと、イッセーはまた驚いていた。こうも過剰な反応を見せられると、本当にコロコロ表情の変わる感情表現豊かな奴なんだなと思わされる。

 

 朱乃との関係を羨み、爆発しろと言葉の綾で叫んだイッセーにケロッとした顔で返すアモン。そんな彼らのやり取りに苦笑いしながら木場は突っ込みを入れる。同性の同級生に避けられがちな木場にとっては新鮮なやり取りだが、ある意味ではイッセーとアモンは似通っているところがあるかもしれないと思った。

 

「それで、俺はどうすればいい?リアス・グレモリー。キバからは俺は傭兵や用心棒のようにしてほしいと言われた。それはあんたの要求とみて間違いないか?」

「傭兵や用心棒という表現は間違ってはないわね。アモン、貴方はお兄様の要求で来たの?それとも、他の誰かに頼まれた?」

「答える必要がある?」

「ええ、ここの統治を任されている以上、知る必要はあるわ」

 

 リアスがお兄様、というところで少し言葉に棘が見られた。自分たちだけでもできるのに、と奥歯で噛みしめているように見え、過保護にされることをくやしがっているようだった。貴族の令嬢、それも花よ花よといい物を与えられて育ったであろう彼女は自分の力でなんとかしてみたいと思うところがあるのだろう。自らで旗を上げたいという気持ちはアモンにも共感できた。

 

 アモンは正確に誰に頼まれたのか、と言ったところで答えに迷った。アザゼルからの電話でルシファージェットに乗って木場に仕事の内容を大まかに説明してもらい、来日したというべきか、サーゼクスに頼まれて来日したというべきか。そこで頭をよぎるのは交戦した白い龍皇、あの面倒な少年の対処を報酬とするならば、機嫌を取っておいた方がいいかもしれない。

 

「あんたの言葉通り、俺はサーゼクス・ルシファーに雇われた身だ。不満か?」

「……いいえ。では、こちらの状況を説明しましょう。この町に使用すれば強力な姿に変わるとされるものが盗まれたみたいなの、犯人がその品を持ち込んでいるようだから、その対処に当たってほしいと私たちは頼まれている。貴方は相当な手練れのようだから、私たちの背中を守ってほしい」

 

 簡潔に述べられるリアスの要求。

 アモンはそのリアスの姿勢が下手に騒がれるよりも受け入れやすく、そして、仕事をやりやすいとさえ思えた。下手に騒がれてこちらの存在を否定され、争いごとになるのは朱乃の知り合いであるという点を除いても得策ではない。気に入らない、あるいは苦手だからと言ってすぐに血気盛んに戦いに走ってしまうのは白い奴と一緒だ。

 

「部長!アモンて人間じゃないですか!?それも、悪魔の因子があるだけの……!」

「アモンを心配しているの?優しいのね、イッセー。悪魔の因子があるだけであっても、彼には力がある。貴方も知っているでしょう?人間でありながらも、強力な力を持つことがあると」

 

 イッセーはアモンを否定ともとれる言葉を吐くが、アモンはかえって目を丸くした。アモンを人間として見るのは、アザゼルだけだった。好意を抱いてくれる少女はアモンの力が怪物的ではあっても、否定しないという姿勢なだけであって人間として見ているわけではない。気に食わない白い奴はアモンの怪物としての姿を望んでいて、人間としての見方はないに等しい。

 

 リアスはイッセーの言葉に優しく諭すように言いつつも、事実からは目を逸らさなかった。イッセーの宿す異能が強大過ぎるシロモノであることも、その所有する異能ゆえに悪魔となった経歴を思い出させるように。

 

「アモン、いいのかよ!?お前は人間なんだぞ!?平気かよ、戦うことが!」

『その辺にしとけ、相棒。そいつなら大丈夫だ、なんせ、大昔に俺と白い奴をブチのめした人間と同じような力を持ってるんだからな』

「声……?どこからだ?」

 

 イッセーが感情を荒げると、どこからともなく声がする。白い奴からも発されていた、誰かの声。それに、白い奴も言っていたことと同じようなことをその声の主は言っている。何処までも傲慢で、欲深くて、何かに飢えているような声。その声は姿を現す代わりにイッセーの左腕に赤い籠手が出現し、緑色の宝玉が点滅していた。アレが点滅することで声を発しているのだろうか。

 

『よう、〝久しぶり″だな?というべきなのか?俺は赤い龍のドライグ。相棒が失礼したな、なにぶん、最近、悪魔になったばかりの未熟者だ』

「赤い龍……、赤龍帝なのか?イッセー」

「う……、まぁ、そんなところだ!」

「そうよ、イッセーは私たちの兵士(ポーン)。ドラゴンよ!」

 

 自分もほとんど人間のようなものだろ、とドライグに言われたようなものなのでイッセーは気まずそうな顔をした。リアスが得意げにしているのは自分の眷属が誇らしいらしい。より強力な眷属がいるのは悪魔社会における主のステータスらしく、リアスもその例に漏れないらしい。通常であれば吐き気を催すところだが、リアスの表情はそれ以外のモノも含まれていて、察するところがあった。

 

「本物を見るのははじめてだ。俺はアモン、あんたが本物の赤龍帝か。イッセーは、強いのか?白いのが言っていた」

『そういう、お前はこの時代の仮面の戦士か?成長性は広い、とは言っておこう。その言葉だと、会ったのか?白い奴に』

「ああ。思い出したくもない」

 

 アモンは表情をゆがめた。自分に本気を出させるためなら、お前の大切なヒトを殺すこともいとわないと言った白い奴。名前すらも覚えたくないとしてアモンは先ほどから彼を呼ぶのに白い奴と通している。

 

「……えっと、話を戻してもいい?」

 

 先ほどから会話に置き去りにされていたリアスが口を挟む。置いてきぼりにされたことを怒っているようだ。

 

「仮面ライダーについての話はまた聞かせてもらうとして、アモンは受けてくれるの?仕事」

「俺は構わない。……ところで、朱乃に連絡はしてくれたのか?」

「あ、」

 

 アモンはリアスの言葉にうなずいた。ここまで来ておいて断るという選択肢はなかった。それに、また白い奴が来た時に対処するにはちょうどいいだろう。なんとなくだが、近くにまた再会しそうな気がした。

 仮面ライダー、とはなにかと質問をしようとしたところ、リアスは大切なことを忘れていた様子。

 

「ねえ、アーちゃん?約束を忘れるとはいい度胸ね……?」

 

 リアスの背後で笑顔で怒りのオーラを纏う、朱乃がいた。

 男たちは思った、

 

 

 なんと恐ろしいものかと。

 




設定変更点
リアスの我が儘さをマイルドに
お兄ちゃんがアレなので、仮面ライダーの名称は知っているとしました
学校に通ったことがないと知ったら、学園に通わせるのを提案するかも


悪魔の因子設定を生かせば、555の設定とかキバもいけそう
カブトをやるのであれば、悪魔の因子関係ないけどワームになってワームの力をドライバーで制御とかいいかも
他の作者さんみたいに短編集でやるのがよさそうなネタがいっぱい

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