僕は仮面ライダーアマゾン   作:ふくつのこころ

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ライダーキック

「仮面ライダー~~?御伽噺か何かでしょ?笑わせないでくれませんかねえ?仮面ライダーは死んだ。護るべきクズに自分自身を殺された、馬鹿な戦士だ。みんながみんな最後に大切なのは自分自身だ。それすらも理解できていない甘ちゃんじゃないのぉ?」

 

 大きく肩を竦めるフリードアマゾン。

 対し、アモンの様子は冷静さを装っている。

 

「そうだ、仮面ライダーだ。力なき者のために戦い、その姿は絶望した者の希望となる。それが仮面ライダーだ、それが俺の受け継いだものだ」

 

 それから、アモンはキバの方を向く。

 複眼をギョロリと動かしながら。

 

「キバ。コイツは俺に任せて欲しい。お前にも色々あるだろうが、こいつだけは俺が倒さなくてはならない。お前にもお前の事情がある、しかし、俺にも譲れないものがある。こいつだけは許してはならない」

 

 アモンアマゾンはギパッと口を開く。

 そのときに木場は見えた、鋭い牙がズラリと並んでいる様子が。

 一本一本は小さく、その大きさは木場の親指ほどの大きさしかないが、ギラギラと輝く瞳は強い意思を感じさせる。

 

 復讐に駈られ、仲間を突き放した自分は主からもこうして見られていたのだろうか?同級生のあの少年、あの少年からもこうして見えていたのだろうか?アマゾンと成り果てた少年は師を目の前で失い、怒りに燃えているというのに冷静に振舞っている。

 

 アモンは自分の足りないものを持っている。

 

 そこに木場が気づくまで、そう時間は掛からなかった。

 彼の決意を無駄にするつもりはない、なぜならば、自分自身にだって終わらせるべき因縁があるのだから。

 終わらせた後は、もしも、彼が泣き言を言うようであれば、それを優しく聞いてやろう。

 話す相手、幼馴染がいるようだが、それでも同性の自分にだってできることはきっとあるはずだ。

 

 なぜならば、アモン自身が力を示して見せたから。

 自分にとって譲れないもの、受け継いできたもの、もらいものではあろうとも、それを己のものとして吸収し、役立ててきたとは簡単に出来るものではない。

 木場はアモンより物を知っているし、勉学であれば、アモンに劣ることはないだろう。

 といっても、それは学校における授業の話。

 世界を見て回ること、本で読むこととはまた話は変わる。

 

 実際に体験してきたことと想像をめぐらせることは似て非なるものだ。

 木場自身、剣の師匠と言うのがいるが、その剣の師匠の技をイメージトレーニングで想像しようとも、実際に受けるのとでは異なっている。

 

 

「……支援、いるかい?」

「強いて言うなら背中を」

 

 身体を動かすたびに再生能力が仕事をしていようとも、ぎちぎち、と肉が擦れる音がする。

 腕を動かすと同様で、先ほどのコカビエルとの戦いでアモンアマゾンが限界に達しているのにも関わらず、大怪我の身体に鞭打つようにして戦ったこともあり、既に身体は悲鳴を上げている。

 それでも、アモンは苦しむ素振り一つ見せずにフリードアマゾンを倒すことだけを見据えている。

 普段の木場ならば、復讐に囚われるなと言っただろうか?

 否、そのようには言うことはない。

 

 他でもない木場自身、復讐に囚われているというのに自分がそのように言葉をかける資格は持っていないと理解している。

 それにアモンの様子からして止めようにも止めることは出来ないだろう、一度決めたことは必ず遂行する。

 そんな意志の強さが感じられる、強い瞳だ。

 邪魔をしようものならば、どんなに満身創痍な状態であろうとも、立ちはだかる者をアモンは排除しにかかるだろう。

 アモンがコカビエルから免許皆伝の印として名乗った『仮面ライダー』、それは木場が聞く限りでは、誰か個人の名前でなく、ある種の称号に近いのではないかと考える。

 

「わかったよ、背中だね?」

 

 木場が答えると、アモンは地面を蹴って仇の顔面を殴り飛ばした後、フリードと殴り合いを始めた。

 武器を持たず、アマゾンドライバーのハンドルを変化させた武器なしで。

 フリードアマゾンは予想通り、正々堂々とした勝負をするつもりはなく、剣を用いるつもりだ。

 アモンアマゾンは身体を剣で切裂かれるたび、その身が開いて赤い血を噴き出す。

 身を光の力で焦がされ、浄化の作用を受けるたび、傷口を因子の力の恩恵である再生能力があるとは言え、身体中に走る激痛は相当なものだろう。

 傷口に塩を塗りこまれているに等しい行為、アモンアマゾンは言葉一つ発していない。

 対し、フリードアマゾンはアモンアマゾンの不屈の姿勢に恐怖心を抱いているようにも見える。

 

 何度も何度も、フリードアマゾンはアモンアマゾンと組みあい、負傷してボロボロなはずのアモンアマゾンの変身しても表面に浮かんでいる傷口に塩を塗りこむが如き行為。

 フリードアマゾンはアモンに対し、常に効果抜群な攻撃を与えているつもりであった。

 自分にも通用するが、振るうのにたる因子を持ち合わせているので自分自身の体調に変化はない。

 アモンアマゾンを、あのイカレたいけ好かないオリジナルにトドメを刺せる。

 先の戦いでの消耗、負傷はどう見てもチャンスでしかないだろう。

 そこに悪魔の因子を備えているが故の弱点を突き、トドメを刺す。

 生け捕りにするように言われているが、性根が全く合わないことと、泥臭いまでの正義感は見ていて吐き気がする。

 

 アモンの頭は酷く冷静だった。

 これが冷徹に徹せよ、というコカビエルの教えなのかもしれない。

 自分が教えを受けてきたことが正しいとの証明、それを為した後に長らく実行することのできなかった教えを亡くした後に実行している。

 ギリ、と奥歯を噛み締める。

 

 教えを請いたかった。

 色んな事を学び取りたかった。

 手合わせの時に一本とってみたかった。

 いずれは、アザゼルらと共に酒を吞みたかった。

 

 様々な『もしも』が頭を過ぎる。

 力いっぱいにフリードアマゾンを殴れば、神経が断ち切れる音がする。

 その都度、アモンアマゾンは痛みに顔をゆがめ、絶叫するのが普通の反応と言うのにそうすることをしない。

 

 

 剣で切りつける、身体が炎上する。

 同様にアモンを殴りつける、殴りつけた後に蹴りを入れてもなお、骨の砕ける音が聞こえ、骨折したようだ。

 顔面を掴み、アモンを地面へと叩きつける。

 その後、剣による攻撃を加える。

 

 何通りもの方法を試そうにも、アモンアマゾンは決して諦めるということをしない。

まるで、あの黒翼のカラスがいうようなことを遵守しているかのように。

 むしろ、身体を破壊されようとするたびに立ち上がり、一撃一撃を必殺技に見立てているかのようだ。

 確かに身体の崩壊が進む中、一度使えば、身体の細胞が崩壊するかもしれない威力の白兵戦。

 鈍い音が響くたび、背中を護るように言われた木場は戦慄する。

 

 あれが、怒れる仮面ライダーなのか、と。

 

「そ、そろそろさ?やめとかね?」

 

 変身を解き、ヘラヘラ笑うフリード。

 汗を浮かべてはいるが、瀬中には剣を隠している。

 隙を見せれば、アモンをすぐに殺すつもりだ。

 

「なぜだ」

「いやあ、アモンさんも結構重傷じゃないすか?だから、こちらとしても、そのようにしたほうがいいと思ってねぇ?」

 

 悪くないでしょ、とフリードは言うが、アモンはただ見据えている。

 むしろ、構えを取り始めた。

 少ししゃがむように、両腕を水平に広げるようにしながら。

 

「な、なんのつもりだ?やめようぜ、な?」

 

 その構えが分からないフリードではない。

 なぜならば、それは、“仮面ライダー”が使うもので最も有名な武器なのだから。

 

「慈悲はない。これが、」

 

 跳躍する。

 ひらり、ひらりとまるで風船のように高く。

 月を背景とし、まるで翼が生えたように軽やかに、尻餅をついたフリードを尻目にアモンは、仮面ライダーは降下する。

 

「ま、まて、無抵抗の俺を攻撃するのかーっ!?」

 

 醜い最後の言葉を残し、仮面ライダーは己の力と魂を込めた一撃をお見舞いする。

 

「――――ライダーキックだ」

 

 肉体が肉片を撒き散らして爆散する中、仮面ライダーは着地に成功する。

 憎き仇を討ったのを確認すると、変身が解除される。

 

「や、やったね!アモンく―――アモンくんッ!?」

 

 木場が駆け寄ろうとするが、アモンの腰からアマゾンドライバーが外れ、うつ伏せにアモンは倒れてしまった。

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