僕は仮面ライダーアマゾン   作:ふくつのこころ

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イッセーからスケベさがなくなる
私のHSDD二次創作ではなぜかよくあること


迫~アマゾン~
足音


 フリードアマゾン戦からしばらく経ったある日のこと。

 兵藤一誠はトレーニングに励んでいた。あの後、事の顛末を木場から聞いて驚かされた。同い年のアモンは身体を酷使してもなお、コカビエルの敵討ちのために重い身体を引き摺りながら立ち向かった。

 

 木場はグレモリー眷属に戻り、リアスからの説教を受けたものの、今後はより一層のこと騎士として精進する意思を見せたことでいつもの雰囲気が戻ってきた。

 

「もっと、強くならないとな……」

 

 あの後、襲来した赤龍帝と対を成す白い龍、白龍皇と対峙したが、全く歯が立たなかった。アモンを回収しに来たという、堕天使総督のアザゼルが来なければどうなっていたことか。

 

 アザゼルはヴァーリの攻撃を受け止め、撤退させるなど実力者としての片鱗を除かせ、助けられた礼を言えば、「お前の神器の進化の先、そいつを見せてくれ」と笑っていた。血縁関係はないと聞くが、どことなくアモンと振る舞いはそっくりだった。

 

『相棒、あそこにいる奴はあの仮面ライダーじゃないのか?』

「アモンが?」

 

 ドライグに言われ、周囲をきょろきょろしていると、目に入ったのは公園のベンチに座るサイズの大きなコートを羽織った少年。

 どことなく光を失ったような瞳をしているが、外見から窺える年齢はおそらく一誠や木場と同世代だが、纏う雰囲気の力強さは並大抵のものではない。

 

「おーい、アモン。なにしてるんだ?」

『……そうして、声をかけられるのは相棒の美点なんだろうな』

「なに言ってんだ、ドライグ?アモンとはもう友だちだぜ?」

『……まあいい。行って来い』

 

 おうよ、と一誠はアモンの元へ向かう。

 

 ジャージ姿の為か、動きやすい。一誠が手を振りながら近づくと、アモンも小さく手を振って返してくれた。まだまだ良く分からないところや世間知らずな印象が強いが、アモンがいいやつだという印象は強く一誠に根付いた。

 

 髪は相変わらず跳ねており、以前会ったときとの違いといえば、痛々しいまでのガーゼが見られることだが、その特異体質のおかげか、ほとんど治ってしまったのだから驚きだ。

 

 リアス曰く、伝説に登場する仮面ライダーというのは二天龍に対して正面から喧嘩を挑み、徒手空拳で叩きのめしてしまったと言う人間離れした能力を備えた人間であったと言う。

 その理由は悪魔、堕天使、天使による大戦において被害を被った人間のために立ち上がり、力なき者に代わって天誅を下しにきたのだというが、何かの為に戦えると言う姿勢に対し、リアスからは熱意が感じられた。

 

 たとえるならば、大好きな特撮シリーズを語る特撮マニアに近いものが。一誠自身、幼少期からヒーロー物に慣れ親しんできたが、リアスの言う仮面ライダーはどちらかと言えば、寝物語に聞く昔話の英雄なのかといった印象だった。

 

「お前は、確か……」

「イッセーでいいぜ、アモン」

「分かった」

 

 名前を忘れたと言うのに、イッセーは笑顔を絶やさない。普通に隣に座り、「いやあ、今さ、トレーニングする為に走ってたんだけど、疲れちまった!」と話す。

 同世代とこうして言葉を交わすのは木場くらいだが、木場とは又タイプが違うように思う。

 

 出会って早々、兄弟呼ばわりしてきた銀髪の少年のことは数えていいのかと少し悩み、やがて頭からヴァーリのことは忘れることにした。

 

「なあ、アモンはさ。その、コカビエルと仲が良かったのか?」

 

 一誠はコカビエルとアモンの関係をアザゼルから少しだけ聞いていた。並外れたアモンのセンスにもよるものだが、あそこまでアモンが自分の身体を酷使して戦ったのは、コカビエルの名誉のためと言うのもあったという。

 

 終ぞ肉体が残らなかったコカビエルの葬儀については行なわれなかったが、アモンが夜に公園で一人で泣いていたのを一誠は夜のランニングで知っている。

 

「良かったよ。俺にとってはアザゼル先生と同じくらいのことを教わった人だった」

 

 そういうアモンの表情や声色は暗く、イッセーと顔をあわそうとしない。てっきり、ばっさり切り捨てられて話さないと思っていたイッセーだったが、その考えは杞憂だった。

 

 アザゼルと言えば、チョイ悪親父と言う感じで学園のマドンナの父親であるバラキエルに似ているが、不良と言った印象を与える。コカビエルも話でしか聞かないが、今回の聖剣事件についても首謀者の一人であり、好戦的であったと聞く。

 

 凶悪に笑う男であったとされ、凶暴だったとも言われるが、実際に関わってきたアモンには違って映っていたのだろうか。穏やかな口調の中に悲しんでいる色が見られる。

 

「よければ、どんな人か教えてもらえないか?」

「どうして?俺とイッセーは、」

 

 アモンは此処ではじめて振り返った。

 目には涙が浮かび、冷たい印象は見られない。突き放そうとしているのが見られるが、それでもイッセーはそうされるのを良しとせず、心の距離をつめようとする。

 

「アモンと俺は友だちだ。だから、俺はお前が悲しんでいるのを放っておけないんだ。一人より二人、二人より三人って言うだろ?」

「トモダチ……」

 

 反芻するアモンにイッセーは力強く頷く。

 

「そう、友だちだ。だから、聞かせてくれ。どんな人だったのかとかさ。俺はコカビエルのことをよく知らない。けど、俺はアモンと仲良くなりたいんだ」

「……オセッカイだって、言うんだよな?こういうのを」

 

 アモンは少し息を吐いて言うと、

 

 だけど、悪い気はしないだろ?

 

 そう言ってイッセーはニッと笑った。

 その笑顔を見ていると、不思議とアモンの口は動いていた。

 どんな修行をしてきたのか、どんなことを言われてきたのかを。話すたびに涙が流れそうになるが、心が楽になるのを感じた。

 

 トモダチとは、これほどまでに心を暖かなものにさせるのかとアモンは感じた。これまで、アモンは己のわがままを通す為の力を求め、世界を旅してきたが、イッセーの力はアモンが求めてきたものと対極にありながら、どこまでも眩しいもの。

 

 自分の求めてきた強さは間違いではないと強く信じているが、イッセーのその強さはアモンは眩しいと思えた。

 

「……最初で最後の贈り物が名前、か」

「名前って大事なものなんだ。先生も言っていた。親から子に授ける最初の贈り物だと。だから、大切にしなくてはならない」

 

 コカビエルの場合、アモンに与えた名前は自分が憧憬する唯一の存在の名前だった。

 

 仮面ライダー。

 

 その名を最初は嫌々ではありながらも、教えを授けた弟子の成長を認め、免許皆伝の印として与えたと言うのであれば、アモンにとっては仮面ライダーの名前は特別な意味合いを持つ。

 

 人外化生にとっては仮面ライダーとは、人間でありながらも人間をやめた存在として恐れているものだが、アモンにとってはその名前は力を扱う術を教えてくれた先生からの“祝福”であり、“呪い”の類ではないだろう。

 

「うちの父さん母さんも言ってた。そうだ、アモン。よければ、うちに来ないか?泊まっていけよ。……そういえば、どこに住んでんだ?お前」

「朱乃の家に今は泊まらせてもらってる。しばらく、俺は旅に出ていたから」

 

 朱乃、と聞いてイッセーの中で心当たりのある名前と言えば、学園のマドンナの名前がぴったり合う。

 

「え、なにアモン。朱乃さんと仲が良いとか羨ましいそのあたりもっと教えてくれ、友よ」

 

 慌てた様子の赤い龍を宿す少年に対し、アモンは口元を緩める。

 

「ゲンキンな奴。……その前に、連絡しなくちゃ」

 

 親しく学園のマドンナと電話をする様子は、さながら妻のいる男だったと宿主を通した目で見た赤い龍の感想だった。

 

※※※

 

「悪魔の因子、ね」

 

 送られてきたデータに目を通し、豪奢な部屋の中で男は楽しそうに笑う。

 それは、先日、“仮面ライダー”と名乗った少年に対してぶつけた養殖の異形との戦闘によるデータ。

 

 男の改造を受けたことにより、白髪の悪魔祓いは精神を狂わせ、その野性の本能に飲まれ、異端と成り果てた。

 

 研究所から脱走し、彷徨っているところを悪魔としての気配を消失させ、甘い言葉をかけての捕縛はたやすかった。

 以来、その養殖の異形はずっと男のことを殺したいと豪語し、探し回っていたらしいが、その願いが叶うことは終ぞなかった。

 

「堕天使総督に拾われたと聞いたときはどうなるかと思ったけど、順調に成長を続けているなら安心安心。それにしても、アモンか」

 

 男は、“本物の異形”につけられた名前を呼ぶ。

 アモン。

 かつて、神に反旗を翻したルシファーの元に義勇軍を引き連れて馳せ参じた悪魔の中で最も強く、それでいて義侠心に厚いとされる者。

 

「彼がルシファーにとっての道具(アモン)になりうるか。それとも、」 

 

 男は立ち上がり、壁にかけられた絵に近づく。

 差し込んだ月明かりが男の銀髪を照らし、綺麗に発光させる。美しい銀髪に対し、男の表情は凶悪で、それでいて下種の極みだ。

 

 絵画の内容は、先の大戦で仮面ライダーが種族乱れる軍に向かい、たった一人で戦いを挑む直前の背中と取り囲む敵を描いている。

 

 悪魔、堕天使、天使。

 

 そして、並び立つ赤と白の龍。それらに対し、身体を決してよろけることなく、毅然と真っ直ぐに立ち向かうさまはまさしく人間の英雄そのもの。

 

「この彼みたいになっちゃうか。しかし、驚いたね。悪魔の因子を他種族に入れたらどうなるのか、なんてのを暇つぶしにやってみたら、まさか本当になるなんて思わなかったよ。仮面ライダーに」

 

 人間の世界、それも極東のニホンという国では、そのシリーズは今も尚続いていると言う。

 魂にまで刻まれた、自分たちにとっての救世主であり、英雄と呼ばれる存在の記憶。皮肉にも、“仮面ライダー”の物語は悪魔の側にも伝わっている。それを当時の彼が聞いたら、どんな顔をするのかと思うと楽しみだ。

 

「死に体の人間の子供ちゃんの身体を使って、適応するかどうかってのが発端だけど、再会が楽しみだねえ?」

 

 男――リゼヴィム・リヴァン・ルシファーは“英雄の背中”とタイトルのつけられた絵画をなで、その名を愛おしそうにつぶやく。

 

「可愛いアモンちゃん?」

 




大戦時に現れた“仮面ライダー”について

二天龍→人間の癖に生意気な!?

アザゼル→その姿勢に興味を持たれ、次第に武器の流通やらをしてもらう

コカビエル→敵幹部でありながらも、その力を認め合った仲

リゼヴィム→バットマン好き好きなジョーカーのようなポジション。他でもない、仮面ライダーの活躍を伝えたのはこいつ
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