僕は仮面ライダーアマゾン   作:ふくつのこころ

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そういえば、アモンって生みの親のほかに親父が二人いるんですよね。

育ててくれ、愛情をくれたアザゼル。

戦場にて死なず、どうして強さを得るのかを教えてくれたコカビエル。

産みの親父はいったい何ヴィムなんだ。。。?




仮面ライダーのベルトⅣ

 サタンライナーの魅力をリアスが語った後、アモンは一人、広い客室で外を眺めていた。サタンライナーの走行中、まるで風景が吹っ飛んでいくような速度の鉄道、時空を飛び越えているかのよう。

 これまで、アモンは武者修行に出かけていた時でも、こんな乗り物には乗ったことがなかった。否、それは嘘だ。鉄道には乗ったことがあるが、奇妙な乗り物ははじめてだった。

 やけに装飾過多で金持ち趣味の鉄道には。リアス・グレモリーを部長に据えたオカルト研究会のいる車両は何時ものように騒がしい。これからいく仮面ライダー博物館とは、と兵藤一誠やアーシア・アルジェントにその魅力を惜しげもなく伝えている所だった。

 

 あの猫叉姉妹の呆れる顔が想像に容易い。幼少期からの付き合いである、親同士の繋がりのある少女はどんな顔で過ごしているのだろうと考えてみたり。

 同世代との繋がりは、アモンは朱乃くらいしかなかった。北欧の地では、オーディンに世話になっていた頃、人里を戦乙女のロスヴァイセに面倒を見てもらっていた時期もあったが、昔からアモンは人懐こい方ではなかったのもある。

 人見知りをしてアザゼルの後ろに隠れてばかり、幼馴染の少女との出会いも彼女に振り回されるような初邂逅だった。

 アザゼルに洋服店ウィザードでサイズの大きな上着を買ってもらってから数年、たくさんの人に出会えた。

 

「アーちゃん、私。入ってもいい?」

 

「構わない」

 

 扉をノックしたのは、考えていた幼馴染の彼女。

 同級生のグレモリーの元にいなくてもいいのか、と思ったが、お節介で優しい彼女のこと、一人でいるであろうアモンのことを心配してきてくれたのだろう。

 ノックはするも、ほとんど顔を覗かせているのはノックの必要性に首を傾げるが、アモンはそこまで気が回らない。

 なんとなく、コカビエルとの修行後のことを思い出して思わず笑ってしまった。彼女は少し不審そうにアモンの隣にさも当然のように座る。

 

「どうしたの?アーちゃん」

「いや、昔のことを思い出してしまって」

「アーちゃん、コカビエルさんのことは……」

「あの人は、最後まで誇り高かった。それだけだ。それだけなんだ」

 

 笑う幼馴染の少年のアホ毛がぴこぴこ動くたび、朱乃はそれを目で追いながら、ふと話題に出してしまう。

 まるで自分を言い聞かせるように言うアモン、朱乃はしまったと口を押さえるが、アモンは特に気にした様子はない。

 それにつられ、朱乃も笑ってしまう。なんとなくおかしくなってしまった。

 

「アーちゃんはさ、やっぱり、興味あるの?」

 

 サタンライナーのこと、仮面ライダーのこと。

 前者はサタンライナーに乗車する前、リアスに熱くなって話を聞いていたところを見ると、アザゼルの息子なのだなと再確認。

 そういえば、昔からあまり男の子らしいものに興味を示さなかったことを思えば、これまでのものを取り戻そうとしているのかもしれない。

 これから向かおうとしているところは、彼の養父がとっても気に入りそうだなと思いつつ、アザゼルの後ろに隠れて顔だけを出して窺っていたころのように大人しくしていることを思うと心配になった。

 

 コカビエルに貰ったという、最初で最後の贈り物。

 子供であろうとも、本当に最低限の手加減しかせず、2人には何の贈り物も優しい言葉もかけてくれたこともなかった男が最後の最期に手ほどきをしていた少年に与えた障害で必ず倒すと目標にした男の名前。

 遺言が同胞にして友、兄弟でもあるそれぞれの父親と養父に対する言葉でも世界への恨みでもなく、贈り物をしたという事実。

 帰って来たバラキエル曰く、アザゼルはコカビエルらしいと笑い、バラキエルは懐かしそうな様子で語った。

 堕天使とは、かつては神の子の天使だった者が穢れに塗れ、落とされてしまった姿とされる。

 年月を経てども、変わらぬ彼等の絆は自分には計り知れぬものだろうと朱乃は思った。

 だから、知りたかった。幼馴染の、弟のようなアモンは仮面ライダーについて興味があるのかと。

 

「勿論。俺に戦う術を教えてくれた男が生涯で必ず倒すと誓った戦士のことだからな。昔から、俺はコカビエルさんに勝利したことなんて一度もなかった。もしも、あのとき横槍が入らなかったら、俺は初めてコカビエルさんに勝利できたかもしれない。だけど、あのアマゾンもどきが一つだけ俺に齎してくれたものがあるとするならば――――」

 

 アモンは気づけば、涙を流していた。

 優しさを見せなかった男がただの一度、起こした行動は凶刃から弟子を守ったこと。

 その身はアマゾンもどき・フリードアマゾンによって食われてしまうも、その魂は今もなおアモンの中で燃え続けている。

 嗚咽を漏らし、気づけば、朱乃に身を委ねていた。幼馴染の行動に驚く朱乃だが、自分を頼ってくれていることが嬉しくて、腕を回す。

 

「アーちゃんはさ、コカビエルさんに憧れてたの?」

 

「自分が……、したいと……、思うことには貫く強さが必要なんだって」

 

 あの男がいいそうな言葉だ。

 朱乃はアモンの背中を優しくなでた。外に誰もいないことを確認し、そっと幼馴染の少年の額に口付けを落とす。

 アモンは気づいてはいないようだが、少しはマシになったように思えた。自分がこうして慰めてあげる、しかも、ほとんど背丈も変わらなくなった今でも。

 怪物の姿に変身し、あのとき母方の親戚に異端として殺されかかったところを救われた時から、彼は何にも変わらない。

 呼び名は必ず、あのときのようなかわいい呼び方に戻させるのだと密かに息巻いた。

 

「そうね。私もね、アーちゃん。強くなったの。かあ様を守るためにも、アーちゃんを守るためにも」

 

 彼女は掌に光を生み出した。

 悪魔にとっては弱点ともいえる光、アモンが知らないところであった話だが、友人の婚約騒動で自らの力を過去の事件にアモンが介入したことによって嫌うことがなく、振るったことで後一歩と追い詰めることに成功した。

 そのとき、婚約者のフェニックスがゲームに例えると体力と魔力を全快するアイテムを使ったことで追い詰められてしまうが、それさえなければ勝利できたほどのもの。

 朱乃はリアス・グレモリーの眷属ではない。別世界では、友人の役に立ちたいと思い、共に戦うこととなるが、彼女が本来いるべき席には猫叉の少女の姉がいる。

 朱乃が参戦した理由はたった一つ、気に食わない結婚はするべきではないと思ったから。あのとき、あの少年なら、アモンなら、このように行動したのではないかと考えて。

 

 そこまで振り返り、彼女は頬を紅潮させた。

 あの日、手紙を読んでいたときからずっとアモンのことを想っていたのだと。泣きじゃくり、顔を赤くしたアモンの頬に手を這わせ、身を寄せさせる。

 アモンはそのぬくもりがかつて感じた、彼女の母親のそれに似ているものと感じた。

 

 優しい女に育った。

 

 本能的に彼は感じることが出来た。

 彼女の父親ならば、自分の自慢の娘だと胸を張っていうだろうが、娘を溺愛している彼のことだ、様式美として掴みかかられるかもしれない。

 

「アーちゃん。アマゾンの姿、見せて」

「朱乃、でも、あの姿は……。朱乃の母親が嫌いな……」

「でも、私は嫌いじゃない。ずっと、あのことを気にしてたの?」

 

 優しいのね、とアモンを朱乃は抱きしめる。

 腰のアマゾンドライバーにアモンが手をかけ、アモンアマゾンの姿に変身する。

 又の名を、仮面ライダー。

 アモンの師匠が、アモンに戦う術を教えた男がくれた名前である。

 その異形の腕に触れ、怪我をさせてしまうのではないかと恐れるアモンに対し、気にしない彼女は自らの頬に手を這うようにする。

 

「大きな手。ごつごつしているけど、冷たいような。アーちゃんは大きくなったけど、この姿は変わらないんですのね」

「朱乃、俺は……」

「いいの、私は強いから。ねえ、アーちゃん?私は力をつけて、友達を守るのに力を振るったの。自分のわがままを貫き通す為に。アーちゃんと一緒。貴方が怪物と自虐するなら、私もそう」

「!お前は、怪物じゃない」

「怪物よ。人間でも、堕天使でもない。でも、取り返しのつかないことになる前に助けてくれたのはアモンだから。……素敵で優しいアモンのおかげ」

 

 ありがとう、と異形のその大きな複眼を彼女は見つめる。

 優しく微笑み、二メートル近くはあるアモンアマゾンの腕に自ら抱かれるようにし、サタンライナーに揺られ、目的地につくまで2人はそのままだった。

 

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