オーズとフォーゼの久々の登場とか胸が熱い
仮面ライダーミュージアムに到着し、サタンライナーは停車した。ご丁寧に駅まで凝っており、駅の名前にはしっかりと「仮面ライダーミュージアム」と書いてある。
金持ちのプライベートの道楽とは良く言ったもので、サーゼクス・ルシファーとアザゼルがどうしてプライベートでもそれなりに親しく話せるのか分かった気がした。
サタンライナーから降りれば、呆れたようなジト目をしている白音、目を輝かせているイッセー、何処か得意気なリアスと三者三様の反応を見せている。
朱乃はサタンライナーに乗るまで熱心にリアスにサタンライナーの魅力について聞いていた幼馴染の様子を見ていると、あまりテンションは上がっていなさそうだった。
「ここが仮面ライダーミュージアムね。どう、イッセー?アモン?結構凄いところでしょう?」
「仮面ライダーか……。小さい頃にテレビで見てたんだけど、まさか悪魔になってから仮面ライダーの博物館に来ることになるとはなあ……、それも悪魔が建てたと来た。人生、分からないもんだな」
「思った以上に中世のようなデザインで驚いている。以前、北欧に行った時の建物はこんな感じだったな」
駅の向かい側にあるレンガ造りの建物が仮面ライダーミュージアムであるという。イッセーとアモンがそれぞれコメントすると、リアスは嬉しそうに胸を張った。
「そうなの。ミュージアムってのはこうでなくっちゃ、ってお兄様が張り切っておられたの思い出すわ。実は、アザゼルとも相談を何度かしたと言ってたわね」
「先生……」
「あの人らしいわね、アーちゃん」
嬉々としてサーゼクスと話している養父の顔が脳裏に浮かぶが、それ以上に“仮面ライダー”の名前を最期の最期に授けてくれた戦闘技術の師の顔も浮かんでくる。彼が長い間に生きてきて、唯一勝てないと思わされた相手であり、必ず勝利してみせると思った相手であると言う伝説の戦士。
アザゼルを知るものは苦笑するが、コカビエルとの繋がりがそれなりにあった朱乃とアモンはあの凶悪な笑みを思い出してしまう。
「おや、今お着きになられましたか」
ミュージアムから出てきたのは人の良さそうな老年の男性だ。しかし、その精悍な顔つきからは生命力を感じ、彼の衰えを感じさせない。冥界にいると言うことは悪魔である可能性が高いのだが、それにしたってまとっている雰囲気がやわらかい。
「こんにちは、館長。今日はお世話になります。こちらは私の眷族達と友人よ」
「これはこれは。リアスお嬢様とそのご友人でしたか」
リアスは自らの眷族、そしてアモンと朱乃について紹介をした。「仮面ライダーミュージアム」の場所における“仮面ライダー”の名前の大きさを彼女なりに受け止めているからか、あえてアモンのことを“現在の仮面ライダー”として紹介しなかったのには意図があるのだろう、と朱乃は感じた。
館長と呼ばれた男性はグレモリー眷族とそれぞれ握手を終えた後、アモンの元にやってきて上から下へと視線を動かした。ここまでまじまじと見られるのはアモンとしては初めての経験、なんとなく珍しい神器の研究をしているときのテンションが高い養父のことが頭を過ぎった。
「君の名前は知っているよ、アモンくんだったかな?」
「なぜ俺の名前を?」
「君が現代の“仮面ライダー”なんだってね?色々と魔王から色々聞いている。しかし、こんなに若いとは……。年はいくつかな?」
「17歳、だろう」
館長はアモンに笑みを浮かべ、手を差し出し、握手を求めた。アモンはその握手に応えると、固くその手を握った。なにか色々と潜り抜けてきたような、そんな男の手は固く、それでいて暖かかった。
正確な自分の年齢のことは良く覚えていないアモンは、イッセーや木場らと同い年と言うことにした。アザゼルと出会う前、まだ地下室で異形の姿として暮らしていた頃の記憶は覚えているものと言えば、赤い光景くらいしかない。
自分が正確に生まれた、と言えるのはアザゼルと出会い、「悪魔の中で最も強靭な者」を意味するアモンと言う名前をもらった後と考えるのが妥当だろう。
もしかすると、この場にいる誰よりも年上かもしれないが、その可能性は考慮しない。自分にとっての人生のはじまりは、あの出会った日なのだから。
「そうか。当館では、先の大戦で活躍をした伝説の戦士・仮面ライダーのことを称え、縁のあるものを保管している。と言っても、記録があっても実物はほとんどないがね。なんせ、おおよそのものが記録から想像とともにサーゼクス・ルシファーの趣味と当時の戦争に参加していた者から話を聞いて再現したレプリカがほとんどだ」
館長はからから笑うと、パイプを咥える。その雰囲気もあり、パイプを咥える様子は非常に様になっているが、イッセーは疑問を抱いた。
「ちょっと質問なんスけど、館長さんって、魔王様と長い付き合いだったりするんスか?いや、さっきから妙に親しい感じに話しているもんだからつい……」
「こちらの館長さんはね、イッセー君。魔王様がかつて指南を受けた方だそうだよ。言うなれば、師匠だね」
「えっ!?本当かよ、木場!魔王様の先生なんスか!?」
思わぬ正体にイッセーは口をあんぐりとあけてしまう。
仮面ライダー……、修行といえば、浮かんでくるのは仮面ライダー一号から登場しているおやっさんと言う男性。昭和ライダーたちにとっては大恩ある人物であり、ユニークなエピソードでは、敵対する組織に仮面ライダーを倒す為に怪人の特訓をし、そのこともあって仮面ライダーに弱点を教えるというものがある。
「はっはっはっは、そうした時期もあったな。短い間だったがね。彼には教えることがほとんどない優秀な生徒だったよ、なにより基礎もできていた。それらしい、と言う理由だけで館長を任されるとは思わなかったけれども。……とにかく、中に入ってくれ。立っているのもなんだ。それに色々と案内をしよう」
「休館」と書かれているプレートを館長はひっくり返し、「貸切」とした。年齢を感じさせない覇気のあふれる笑い声、館長はミュージアムへと一行を案内した。
ミュージアムの中は、仮面ライダーにまつわる品が多くあり、エントランスには仮面ライダーが着用していたと思わしきスーツが中央に展示されている。
マフラーにマスク、手袋にブーツとどれも再現度が高い。テレビ番組として仮面ライダーを幼少期に見ていたイッセーは、御伽噺として聞かされて育ったリアスとは対照的にまだまだ現実を受け止めきれていなかった。
子供の「夢」としてヒーローは実在する、と思っていたことはあったが、それはあくまで幼少期のこと。実際に昔から親しみがあったヒーローが本当に存在したとあれば、誰だって戸惑うものだ。
「すげえな……、本当に仮面ライダーミュージアムだ……」
「イッセー。仮面ライダーとは、イッセーにとっては、御伽噺のようなものだったのか?」
未だに信じられないと言った様子で視線を動かしているイッセーに対し、アモンは尋ねた。
「うーん、まあ、そんなところだ。テレビ番組ってのは、こう、色んな筋書きがあって毎週決まった時間に流れるんだけど、まさか、慣れ親しんだヒーローが実在したなんてなあ……」
「それほど、人間界にも深く影響が残っているんだろう。先の大戦では、人間の自由と平和の為にたった一人で立ちはだかったのだから」
そうした結果が守るべき人間に裏切られた上での死、とアマゾンとしての姿になったフリードは言っていた。あんまりな最期だが、強力な力を持つもの、特に英雄と言うのは最期は報われぬことが多いとはどの時代も変わらないらしい。
「これが、その仮面ライダーのベルト。……といっても、一部を除けば、他は再現したものだがね」
館長に案内されたのは、一際大きなショーケースの前。
それは、アモンの持つアマゾンドライバーにどことなく似たデザインの大きなプロペラのようなパーツの見えるベルトがおさめられていた。
館長のイメージは園崎さんちのお父様です。