僕は仮面ライダーアマゾン   作:ふくつのこころ

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リゼヴィム戦も今回と後一話で終了。
まさか、アマゾンズ2の主題歌聞いてこうもジェットコースターに進んでいくなんて。

サブタイトルはシーズン1主題歌より。
ベルトの形状は悠や仁さんのやつです


お前は誰だ

 その怪物は、アマゾンの体色は、いつも以上に色合いは暗かった。ただ、怪物を怪物が愛した女性が大切な人と気づくには十分すぎる証拠がそこにあった。

 蒼い体色、赤い複眼のアマゾンの身体の至るところに見られる稲妻の模様、それは雷の力を使う彼女とその父の持つ力を思えば、“誰なのか”は明白である。

 跳ぶアマゾンは舞い降り、奇声を上げながらも、同じような姿をした“兄弟”をその爪で切り裂き、喰らいついて殺していく。

 彼らが自分達と違う者の証拠に緑色の血を流すというところがあり、怪物を愛した女性は女性を愛した怪物とその兄弟たちを見失うことはなかった。

 それが同じような姿をした彼らであっても、アマゾンの“兄弟”の色がくすんだ灰色に紫の複眼をしているといった違いがあったものの、幼い頃に母と自分を救ったのも間違いなくアマゾン――アモンだったから。

 その異形の姿を見、誰かは彼を拒絶するだろう。優しい彼はその度に傷つくだろう。しかし、彼女は彼を受け入れるとミュージアムに向かう際に決めた。

 

「アーちゃん、その姿は……」

 

 アモンは背後の彼女を守るようにアマゾン達の前に立ちはだかる。ベルトがないため、確かに今の自分は仮面ライダーではない化物でしかないだろう。

 自分のアマゾンとしての姿を見ていないアモンは彼女の表情が驚きと喜びに満ちているものと気づけなかった。ただ前を見据え、“あの日”のように戦っているから。

 

「“僕"、が格好いいヒーローじゃなくてごめん」

 

 アモンは声を震わせながら、アームカッターを魔力で編み上げた上で出現させ、アモンに食いつくアマゾンを切り捨てる。

 アモンは肩から緑色の血を流しながら、その複眼から涙を流す。その間もアモンが迎撃し切れなかったアマゾンを朱乃は雷で迎え撃つ。

 

「“僕”が全うな生き物じゃなくてごめん。僕は、誰かの死体を借りているだけの――――「でも、アーちゃんは守ってくれた」……え?」

 

 アモンが涙ながらに告白すると、朱乃はその言葉を遮った。サタンライナーの客室の中で話したというのに、彼はまだ引き摺っているようだ。

 彼女は嬉しかった。アモンが近くにいることが。かつての伝説の英雄のようにヒトのために戦い、人の為に死んでいく願望期のような最期はお断りだが、そうして隣で弱音を吐く分には許してあげたかった。

 

「私、これでも強くなったのよ?どこかの泣き虫さんを守ってあげなくちゃ。なんで私のまわりの殿方はこうもだめな人ばかりなんでしょうね?とうさまも、アザゼルおじさまも、コカビエルさんも。――アーちゃんも。みんな自分の事で精一杯。だから、強くならなくちゃって」

 

 朱乃が雷を迸らせると、数百ものアマゾンが消し飛んだ。唖然としているアモン、まさかここまで強くなっているとは。けれど、彼女の表情はアモンが慕っていた母親のような女性とよく似ている。

 疎遠になってしまったけれど、あの夜、自分が守ることができたのは、何よりも誇らしい。

 そして、理性を持たず、本能のままに暴れている兄弟達と自分の決定的な違いを思い知る。

 アモンは彼ら、アマゾンズを処分する為だけの役割であり、それ以外のものを期待されていない。

 それはつまり、アモンはアマゾンズを殺すためだけに生まれた死神であり、アマゾンズたちにとっては天敵である。

 殺戮を本能からの直接的な目的と受け取り、そのままに行動するアマゾンズはアモンという死神を排除する為に殺しに掛かっている。

 

 兄弟達は、アモンのように生きたいと願っている/アモンもまた兄弟達のように生きたいと願っている。

 

 だけど、彼らの思いは交差することはない。リゼヴィムの愛した英雄の再現の為に生み出された、「改造人間」は創造主の求めたものではなく、「怪物」を生み出してしまった。

 弱ければ殺される、自分が生き残るには全てを壊しつくさねばならないと感じたからこそ、アザゼルとであった際に生存していた怪物はアモンこと死体喰らいのスカルマンのみ。

 兄弟達はごく最近に生み出されたのだろう、“修行”というもので己を鍛え上げたアモンに敵う筈がなかった。その圧倒的な物量を除けば、の話だが。

 

 雷を受け、破裂して身体の中に詰まっていたモノを噴きだすアマゾンたちに抱くものは無であった。

 アモンは生き残りたい、その生存競争の為に戦っているのだと正当化した。自分のしたいことのためには力が必要だというコカビエルの教えもあって、アマゾンズを殺すのに一切の迷いはなかった。

 

「バラキエルの娘か。さぞや良い母胎となり、雷の能力を持った仮面ライダーが生まれることだろうな。最大威力の雷撃も何発持つことか……、騙されていると分からないのか?その死体(ゾンビ)に。よりによって、死体を愛するとはなあ。いやあ、魅了まで使えるとは、まさしくデンジャラス・ゾンビ!お父さんもびっくりだなあ、アマゾン!」

 

 デンジャラス・ゾンビ、死体と言う表現に朱乃のこめかみはぴくりと動いた。

 

「死体と言うには、あまりにも生きているって感じしますけどね?アーちゃんは。おにぎりは知らないのにらいすぼーるって表現は分かってて、世間知らずで、純粋で可愛いアーちゃん。小さいのに私やかあさまを守ってくれた可愛い幼馴染。死体なんかじゃないわ、アーちゃんは、アモンは素敵な人だから」

 

 蹴散らしても蹴散らしても湧いてくるアマゾン、その大群に対して雷を打ちながら、アモンは朱乃が打ち漏らした相手を切り裂きながら、朱乃は肩を震わせた。

 

「朱乃……」

 

 自分が旅に出ていた間、彼女もまた成長したようだ。どこかお姉さんぶろうとするところは変わらないが、強くなった。

 アモンはアマゾンとなった今でも、その身体の内に暖かさを感じることができた。その温もりは、そう、朱乃からもらった手作りのおにぎりを食べたときを思い出す。

 

「まあ、最終回にはちょうど良いか。それにあんまりいい出来なようには見えないしな。やっぱり、これ持ってきておいて良かったわ。こいつがオリジナル、そのドライバーの仕組みはこいつを基にしているんだなあ」

「それは……、仮面ライダーの、ベルト?」

 

 リゼヴィムが取り出したのは、ミュージアムで見た仮面ライダーのベルト。展示されていたときは破損していたものの、リゼヴィムの手にあるそれは修復されている。

 ただし、プロペラのようなモノが見られた以前と比べると、悪魔の装飾らしきものがあり、なんとなくセンスがアザゼルに通じるものを感じ、朱乃は嫌悪感を見せた。

 

「おや、ネクロフィリアのお嬢さんはお嫌いだったかな?このベルト。こいつを手に入れるには苦労したぜ、仮面ライダーの師匠ってやつはどうしてこう強いのかねえ?俺さぁ、そういうの嫌いなんだよなあ。だって俺、仮面ライダーのベルトだって再現できちゃうんだぜ?……暴れること以外分からないデンジャラスゾンビちゃんにはわからないかな?こいつはライダーベルト改め、デモンズドライバー」

「分からないな。……強さを授ける者が弱くては意味が無いだろうよ」

「ふうん、一人前に言うようになったなあ。……アモンって名前が板についてんな」

「それはどうも」

 

 仮面ライダーのベルト改め、デモンズドライバーを腰に巻きつけたリゼヴィム。そして、ベルトの前で手を翳すと、その姿が変貌していき、何体ものアマゾンが消し飛び、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 アモンの言葉にどこか複雑そうな様子を見せたリゼヴィムだが、それはほとんど一瞬。

 山羊を思わせる頭部の六枚羽の黒い人型へと形成する。周囲の空気が震えたことから、デモンズドライバーによる変身の影響は大きなものなのだろう。

 

「迂闊だったなあ……、仮面ライダーを(ビル)()ってのが間違ってたんだ。オレが作れば良かったんだなあ」

 

 自分の手をぐーぱーさせながら、リゼヴィムは嗤う。

 やがて、その形が全うな人型を作ったのならば、どこか“初代”仮面ライダーの意匠を持つ黒い人型となる。

 

「その姿は……!」

 

 アモンは声を震わせる。

 

「仮面ライダー、ルシファー!なんてなァ。さぁ、仲良く親子喧嘩と行こうじゃないか。ネクロフィリアの御嬢ちゃんに愛想つかされないようにしようなぁ?失敗作(ばかむすこ)ぉ?」

 

 リゼヴィムは、仮面ライダールシファーは、大声で笑い声を上げた。

 

 




アモンの名前についてのリゼヴィムの感想は、アモンと言う悪魔の記述から。
ルシファーが神に反旗を翻した時、義勇軍を率いてやって来たと言うのがアモンの逸話にあるので。唯一、義侠心のある魔神だそうで
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